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生命保険料控除とは?限度額・計算式・年末調整の書き方を徹底解説

生命保険料控除とは?限度額・計算式・年末調整の書き方を徹底解説

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公開:

2024.05.03

更新:

2025.06.07

貯蓄型保険基礎知識タックスプランニング定期保険損害保険

給与明細に並ぶ税額を見て「まだ減らせるのでは」と感じたら要チェックなのが生命保険料控除です。保険料の一部を所得控除に回すだけで年間数万円の節税が期待できる反面、旧新区分の判定ミスや証明書添付漏れ、配偶者口座からの引き落としの扱いなど小さな手続きミスで効果がゼロになる恐れもあります。この記事では3区分の見分け方と控除額計算式、年末調整・確定申告の書類作成・再発行手順を整理し、制度の背景と最新税制改正のポイント、家族構成別シミュレーションで控除を満額活用する具体策まで提示し、控除漏れを防ぎながら家計のキャッシュフローを最適化する判断軸を示します。

サクッとわかる!簡単要約

この記事を読むと、生命保険料控除の仕組みと年間最大控除12万円の到達条件、旧新区分判定と計算式、年末調整・確定申告の書類作成の要点が一望できます。区分チェックリスト、配偶者口座引き落とし時の注意、証明証紛失時の再発行フロー、地震保険・iDeCoとの控除配分戦略、30歳子育て世帯と55歳退職前世帯の節税シミュレーションを掲載。控除メリットを最大化しながら過剰保障や資金拘束リスクを抑える具体策と最新税制改正への対応策、所得税と住民税の二段階での削減効果を数値で把握でき、読後すぐに家計改善アクションを起こせます。

目次

生命保険料控除とは?保険の掛金を所得控除して節税できる仕組み

所得控除により課税所得が減り、所得税住民税が軽減

生命保険料控除には3種類区分が存在

新生命保険料控除・旧生命保険料控除の限度額

所得税は12万円まで、住民税は7万円までと、控除額が異なることに注意

生命保険料控除の計算式

生命保険控除額はどう計算する?計算ステップを解説

旧制度の生命保険料控除

新制度の生命保険料控除

3区分それぞれの生命保険料控除の対象となる保険の種類

一般生命保険料控除の対象となる保険

介護医療保険料控除の対象となる保険

個人年金保険料控除の対象となる保険

損害保険のうち生命保険料控除の対象となるもの

生命保険料控除の申請方法

年末調整の手続き

確定申告の手続き

保険商品の選び方の例

事例1:30歳男性 配偶者有り 子供一人 会社員の場合

事例2:55歳男性 配偶者有り 60歳で定年退職を迎える場合

参考:生命保険の他に控除の対象となるもの

節税を目的として保険加入を考える際の注意点

生命保険料控除とは?保険の掛金を所得控除して節税できる仕組み

生命保険料控除とは、民間の保険会社で独自に加入した生命保険や介護医療保険、個人年金保険の保険料の一部を所得から控除できる制度です。この制度を利用することで、所得税や住民税の負担が軽減されます。生命保険料控除は、1月1日から12月31日までの1年間に支払った保険料の一部が、所得控除の対象となります。対象となる保険は、一般の生命保険、介護医療保険、個人年金保険です。保険料控除には、2012年1月1日以降に締結した契約を対象とする「新制度」と、2011年12月31日以前の契約を対象とする「旧制度」があります。新制度では、一般生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料の3つに区分されています。「新制度」と「旧制度」では、保険料控除の計算式が異なります。 以下では、新制度を「新生命保険料控除」旧制度を「旧生命保険料控除」として説明します。

所得控除により課税所得が減り、所得税住民税が軽減

生命保険料控除は所得控除の一種です。控除額分だけ課税対象となる所得(課税所得)が減少するため、その分にかかる所得税・住民税が軽くなります。控除額に税率を乗じた分だけ所得税額が減り、住民税についても控除額×一律10%(標準税率)相当が軽減されます。例えば課税所得から10万円の控除を受けられると、所得税率が10%の場合は1万円、住民税(税率10%)も1万円、合計2万円の税負担軽減につながります。なお、所得税の軽減分は年末調整や確定申告で還付され、住民税の軽減分は翌年度の税額に反映されます。生命保険料を支払いながら税の負担を減らせる点は、この制度の大きなメリットです。

生命保険料控除には3種類区分が存在

新制度の保険料控除では、一般生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料の3つに区分されています。以下はそれぞれについて解説します。

一般生命保険料控除:死亡保険を中心とした生命保険

一般生命保険料控除は、死亡保険金や満期保険金などが支払われる生命保険契約の保険料が対象となる控除です。具体的には、一生涯の死亡保障が得られる終身保険、一定期間の保障を提供する定期保険、契約者(被保険者)の生存を条件に満期金が支払われる学資保険、契約者の死亡時に一定期間定額給付が受け取れる収入保障保険などが該当します。契約形態によっては、同じ保険でも保障内容に応じて介護医療保険料控除の対象となる特約部分が含まれる場合がありますが、基本的に死亡や生存に起因する給付を主とする保険はこの区分で控除対象となります。なお、一般生命保険料控除を適用する契約では、保険金受取人が契約者本人、配偶者、または一定範囲内の親族であることが条件です。

介護医療保険料控除:病気や介護、就業不能へ保険が対象

介護医療保険料控除は、病気やケガでの入院・手術給付金、がん診断給付金、所定の介護年金など、疾病や介護に関する給付金が支払われる保険契約の保険料が対象です。対象となる主な保険として、民間の医療保険、がん保険、介護保険、就業不能(所得補償)保険などが挙げられます。これらは公的保険で賄いきれない医療費・介護費用の備えとなる民間保険であり、その保険料は介護医療保険料控除として所得控除の対象になります。なお、一般生命保険料控除と同様に、保険金・給付金の受取人が契約者本人や配偶者・親族である契約のみが控除の対象です(介護医療保険料控除は平成24年分以降に新設された控除区分です)。

個人年金保険料控除:一定要件を満たした個人年金保険が対象

個人年金保険料控除は、個人年金保険(将来の年金受取を目的とした保険)の保険料が対象です。ただし、控除を受けるには契約内容が一定の要件を満たしている必要があります。具体的には、年金受取人が契約者本人またはその配偶者であり被保険者と同一であること、保険料払い込み期間が10年以上(※一時払い契約は対象外)であること、年金の受取開始年齢が60歳以上かつ年金受取期間が10年以上であること、といった条件を全て満たし、「個人年金保険料税制適格特約」が付加された契約でなければなりません。これらの要件をクリアした個人年金保険契約の保険料が、個人年金保険料控除の対象となります。

新生命保険料控除・旧生命保険料控除の限度額

生命保険料控除について、所得税と住民税の控除額にはそれぞれ限度額が設定されています。新制度と旧制度によって保険の区分と限度額が異なっているため、新制度と旧制度の保険の双方に加入している場合は、それぞれ加入時の条件で合算して計算を行います。

所得税は12万円まで、住民税は7万円までと、控除額が異なることに注意

旧保険料控除所得税控除額住民税控除額
旧一般生命保険料控除50,00035,000
旧個人年金保険料控除50,00035,000
新保険料控除所得税控除額住民税控除額
新一般生命保険料控除40,00028,000
新個人年金保険料控除40,00028,000
新介護医療保険料控除40,00028,000

所得税は新旧合算して12万円まで、住民税は新旧合算して7万円まで生命保険料控除に参入可能です。

所得税は年間の予定所得金額から課税金額を計算し、毎月、源泉徴収にて事前徴収を行い、確定申告時期にて正しい税額を納付するものです。それに対して住民税は、前年の総所得金額から住民税の控除として定められている金額を差し引いて、税率計算により算出した金額を当年分割して支払っていくという形です。そのため、所得税・住民税それぞれについて独自の限度額と計算式が設けられています。

生命保険料控除の計算式

生命保険料控除は新制度と旧制度でそれぞれ計算方法が変わってきます。ここではそれぞれの保険料控除について解説します。

生命保険控除額はどう計算する?計算ステップを解説

生命保険料控除で差し引かれる控除額は、年間に支払った保険料の額に応じて決まります。計算の手順は次のとおりです。

  1. 加入している保険契約が「一般生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」のどの区分に該当するか確認します。
  2. 区分ごとに、その年(1月1日〜12月31日)に支払った保険料の合計額を算出します。
  3. 各区分の保険料合計額に応じて、それぞれの控除額を計算します。控除額は支払保険料に応じた所定の計算式で求められ、各区分とも所得税では最大4万円(住民税では2万8,000円)までです。
  4. 計算した各区分の控除額を合計した金額が、年間の生命保険料控除額となります(所得税計算上の合計最大控除額は12万円〔住民税では7万円〕)。

旧制度の生命保険料控除

旧制度の生命保険料控除額は所得税が最大5万円、住民税が最大3万5千円ずつ、旧一般生命保険料控除と旧個人年金保険料控除に適用されます。

旧制度の所得税控除額と住民税控除額の計算方法は以下の通りです。

旧制度の所得税の生命保険料控除計算式

年間の支払保険料等所得税控除額
25,000円以下支払保険料等の全額
25,000円超 50,000円以下支払保険料等×1/2+12,500円
50,000円超 100,000円以下支払保険料等×1/4+25,000円
100,000円超一律50,000円

旧制度の住民税の生命保険料控除計算式

年間の支払保険料等住民税控除額
15,000円以下支払保険料等の全額
15,000円超 40,000円以下支払保険料等×1/2+7,500円
40,000円超 70,000円以下支払保険料等×1/4+17,500円
70,000円超一律35,000円

以上の通り、保険料の金額が大きくなるにつれて、控除額の変化は小さくなっていきます。

最大の控除額を得られるのは、年間の支払保険料が10万円を超え、所得税が5万円、住民税が3万5千円の合計8万5千円の控除を受けられたときです。

新制度の生命保険料控除

新制度の生命保険料控除額は所得税が最大4万円、住民税が最大2万8千円ずつ、新一般生命保険料控除と新個人年金保険料控除、新介護医療保険控除のそれぞれに適用されます。 そのため、3つを合わせた最大額は、所得税12万円、住民税7万円の控除額となり、旧制度よりも控除最大額は大きくなっています。

新制度の所得税の生命保険料控除計算式

年間の支払保険料等所得税控除額
20,000円以下支払保険料等の全額
20,000円超 40,000円以下支払保険料等×1/2+10,000円
40,000円超 80,000円以下支払保険料等×1/4+20,000円
80,000円超一律40,000円

新制度の住民税の生命保険料控除計算式

年間の支払保険料等住民税控除額
12,000円以下支払保険料等の全額
12,000円超 32,000円以下支払保険料×1/2+6,000円
32,000円超 56,000円以下支払保険料×1/4+14,000円
56,000円超一律28,000円

以上の通り、旧制度と同様に新制度も保険料の金額が大きくなるにつれて、控除額の変化は小さくなっていきます。

最大の控除額を得られるのは、年間の支払保険料が8万円を超え、所得税が4万円、住民税が2万8千円の合計6万8千円の控除を受けられたときです。

3区分それぞれの生命保険料控除の対象となる保険の種類

ここまで、生命保険料控除の控除額について説明してきました。ここでは、具体的に、生命保険にはどのようなものがあり、どの生命保険料控除に該当するのかをご説明します。

以下は現在加入した場合の、つまり新制度での控除の対象を基準に分類しています。旧制度については保険の種類ごとに付記していますのでご参考にされてください。

一般生命保険料控除の対象となる保険

一般生命保険料控除の基本保障は「死亡保障」です。保険料の積み立てができる保険は、基本的には死亡保障が付いていて、このような保険は「一般生命保険料控除」に分類されます。

死亡保険(新制度・旧制度:一般生命保険料控除)

死亡保険は、働き手の家族が急な不幸に見舞われたとき、残された家族が生活に困らないよう、リスクヘッジのために入ります。残された家族が多ければ多いほど、保険金額が多くなるのは目に見えると思いますが、世帯主の収入によっても、その生活を維持するため、入るべき金額が家庭によって違ってきます。その金額を知るために、ライフプラン設計が必要になります。

加入保険の中では、比較的、独身の方は保険料のボリュームが少なく、家族が多くなればなるほど、ボリュームが大きくなります。

扶養者が多い方ほど、この死亡保障の生命保険料控除の金額が大きくなる傾向があります。

給付要件は、被保険者が死亡したら受け取れる保険。医療保険等のように給付要件がいろいろあるわけではなく、被保険者の死後の葬儀費用・残されたご家族の生活費・教育費に充てることを目的とした保険です。相続対策に活用されることもあります。

学資保険(新制度・旧制度:一般生命保険料控除)

お子様の教育費(主に大学費用)の積立の為に加入する保険です。

学資保険は死亡保障がついていることが忘れられがちな保険です。学資保険は積立期間であれば積立てた金額がそのまま死亡保障となっています。そのため、途中で契約者が亡くなった場合は、元本が全て死亡保障として払われます。そのため学資保険も「一般生命保険料控除」となります。

終身保険(新制度・旧制度:一般生命保険料控除)

死亡保険の一つで、一生涯に渡って保障される死亡保障です。積立型のものがほとんどで、保険による積立商品として加入されることもあります。

変額保険(新制度・旧制度:一般生命保険料控除)

終身保険の場合がほとんどですが、保険料の積立が出来る保険で、積立部分の運用を投資信託を用いて運用しています。変額保険にすることで、運用により解約返戻金の変動リスクを負うかわりに、保険料が安く死亡保障を受けられるのがメリットです。

収入保障保険(新制度・旧制度:一般生命保険料控除)

世帯主の定年までの間、死亡リスクに対して、家族の生活費の補てんとして加入されているケースが多いです。現代は配偶者も仕事をしていることが多く、配偶者も加入している場合も増えています。また、住宅ローンの死亡リスクに対する、団体信用生命保険の代わりに、生命保険を用いて対策する場合も、この保険を使います。

定期保険(新制度・旧制度:一般生命保険料控除)

保障の期間が決められた死亡保障です。掛け捨てで、積立金がないケースがほとんどなので、比較的保障に対して保険料が安く、大きな金額の保障を決まった期間欲しいときに、適した保険です。働き盛りの現役世代が、家族の生活費として必要な金額を算出し、その金額に合わせて加入する場合が多いです。

また、現役の経営者が、急な不幸に見舞われた時に備えて、スムーズな事業承継を行うために、加入する場合もこの保険を使います。

低減定期保険(新制度・旧制度:一般生命保険料控除)

世帯主が万が一不幸に見舞われた時、子供の教育費を補てんする保険として加入されている方が多い保険です。加入時の保障金額が一番多く、次第に少しずつ保障が低減していく保険です。時の経過とともに、子供達は大きくなり、今後必要な教育費は少しずつ減っていくので、低減型を使います。

介護医療保険料控除の対象となる保険

介護医療保険料控除の対象となる保険は、旧制度では一般生命保険料控除でしたが、新制度では介護医療保険料控除に変更されています。

国の制度を使うと、健康保険により医療費の3割負担の治療費となり、正社員なら休業手当などを受け取れます。金額が高額になれば高額療養費制度を使い、一定金額までの支払いで済みます。

しかし、この制度が使えるのは治療費のみとなり、個室料金や休業手当は6割ほどしかないので、入院中の家族の生活費としては不足する上に、入院に係る雑費(差額ベット代・滞在に係る着衣代・お見舞い返しなどの費用他)を手出しする必要があります。

これを補てんするのが、医療保険やがん保険などの保険です。

また国の介護保険は、サービスに対して1割のみの負担で済むというものですが、その1割の手出しが、働けなくなった場合の出費としてかなり痛手になるのと、その他の介護サービスに充てる分も含め、介護保険で補てんします。

医療保険(旧制度:一般生命保険料控除、新制度:介護医療保険料控除)

基本の保障は病気・けがで入院、手術をしたときに、かかる医療費の補てんの為に加入する保険。特約で充実した保障になります。

介護保険(旧制度:一般生命保険料控除、新制度:介護医療保険料控除)

介護保険制度により介護サービスを受ける場合、個人の負担は1割負担になりますが、その1割負担の部分や、その他手出ししなければいけないサービス部分の補てんをするために加入する保険です。また、介護施設に入居する費用の負担軽減の為に入る、保険会社が提供する保険です。

がん保険(旧制度:一般生命保険料控除、新制度:介護医療保険料控除)

がんに罹患した場合に、給付が行われる保険です。一般的には一時金での給付をされるものか、かかった費用分が給付される実費給付タイプがあります。

控除金額と予算など考えて必要なら加入するものです。

就業保障保険(旧制度:一般生命保険料控除、新制度:介護医療保険料控除)

けがや病気などで、仕事を休まなければいけなくなった場合に、給料の補てんの為に加入する保険です。働き盛りには検討したいものです。

特定疾病保険(旧制度:一般生命保険料控除、新制度:介護医療保険料控除)

7大疾病・8大疾病とされる病気に罹患したときに、基本的に一時金で、給付を受け取るものです。がん・心疾患・脳血管疾患・糖尿病・肝疾患・腎疾患・高血圧・膵臓疾患など、要件が保険によって違うので、しっかり確認して加入してください。

個人年金保険料控除の対象となる保険

個人年金保険とは老後生活資金の積立てを目的に加入する保険です。積立の保険は、他にも種類がありますが、個人年金と分類された保険のみの控除になります。節税対策をしたいが他の控除は十分に保険加入しているという場合、老後生活資金としての積立として、あえて個人年金保険を選ばれるとよいでしょう。

積立保険はその他に、「変額保険」「終身保険」などを使った積み立てもありますが、これらは基本的に「一般生命保険料控除」になります。「個人年金保険料控除」に該当しないのでご注意下さい。

損害保険のうち生命保険料控除の対象となるもの

損害保険に含まれる一部の医療保障・所得補償・がん保障は、控除額へ算入出来るケースがあります。詳しくは、保険担当者にご確認いただくか、損保会社から送られてくる控除証明書をご確認ください。

生命保険料控除の申請方法

生命保険料控除を受けるためには、年末調整または確定申告が必要です。会社などに雇用されているかたは年末調整で、それ以外の方は確定申告が必要です。保険会社より郵送される「保険料控除証明書」をもとに、申請を行います。

年末調整の手続き

毎年10月~11月頃、契約保険会社から郵送される「保険料控除証明書」を就業先に提出する「給与所得者の保険料控除申告書」と共に提出する必要があります。

確定申告の手続き

毎年10月~11月頃、契約保険会社から郵送される「保険料控除証明書」を確定申告期間の翌年2/16~3/15に、他の申請書類と同時に税務署へ提出します。

生命保険料控除は配偶者の口座払いでも適用される?

生命保険料控除は、実際に保険料を支払った人(保険料負担者)が受けられる制度です。そのため、保険契約者が本人であっても、保険料の引き落とし口座が配偶者名義になっている場合は、一般的に配偶者が支払ったと見なされ、本人(契約者)は控除を受けられない点に注意が必要です。ただし、契約者ではない配偶者の保険料を本人が実質的に負担している場合(例:夫名義の口座から妻の保険料を支払っているなど)は、その保険料について本人が控除を受けることも可能です。この場合、勤務先から求められた際に通帳の写しなどを提出し、誰が保険料を負担したか証明できるようにしておきましょう。

生命保険料控除証明書再発行の方法は?

生命保険料控除証明書を紛失してしまっても、再発行の手続きをすれば新しい証明書を入手できます。まずは契約している生命保険会社に連絡し、控除証明書の再発行を依頼しましょう。依頼の際は保険証券番号など契約内容が分かるものを手元に用意しておくとスムーズです。多くの保険会社では、コールセンターへの電話やインターネット上の契約者専用サービスから再発行の申し込みが可能です。再発行された証明書は後日郵送で送付されます。最近では、保険会社によってはマイナポータルや公式ウェブサイト上で控除証明書の電子データを提供している場合もあります。電子交付に対応している場合は、取得したデータを印刷して年末調整や確定申告に利用することもできます。

保険商品の選び方の例

生命保険料控除を満額受けるためには、一般生命保険料控除、介護医療保険料控除、個人年金保険控除の対象保険の保険料が、それぞれ年間8万円以上であることが必要です。

新しく保険に入る場合は、それまでに入っている保険の保険料と合わせて、各控除の対象となる保険料の総額をそれぞれ計算しましょう。

控除額をできるだけ活用し、最大化するならどうするか。 事例を交えてご紹介致します。

①死亡保険…6,800円/月(一般生命保険料控除)→年間81,600円

②医療保険…4,000円/月(介護医療保険料控除)→年間48,000円 ②がん保険…3,000円/月(介護医療保険料控除)→年間36,000円

③個人年金保険…10,000円/月(個人年金保険料控除)→年間120,000円 (個人年金保険は、10,000円/月~の加入商品がほとんどのため、年間80,000円からは超過してます)

この金額を目安に加入すると、控除額を満額使って申告できます。必ずこのように加入すると良いというわけではありませんし、全ての保険を網羅したケースではないので、専門家へ相談する際の目安と考えて下さい。

このような、控除額を満額つかい、かつ、保険料をなるべく安く抑えるような保険の加入例をご紹介します。

事例1:30歳男性 配偶者有り 子供一人 会社員の場合

年間支払額所得税控除額住民税控除額
一般生命保険料控除126,96040,00028,000
介護医療保険料控除83,79640,00028,000
個人年金保険料控除120,00040,00028,000
合計330,756120,00084,000

お子様がいるので、学資保険を検討したいところですが、現在学資保険は利率が低迷しており掛け金が高くなる為、教育費だけではなくその他急な出費に備え、変額保険で準備する形にしました。

また、今回の事例は、あくまで保険料控除を出来るだけ上手く活用する方法なので、お子様の教育費の積み立ては、他の金融商品で行っているケースと考えて下さい。

一般生命保険料控除 保険料合計=10,580円/月 年間合計126,960円

終身保険…終身払/終身保障 2,508円/月払い

保障額200万円(オリックス生命/ライズ) (葬儀代に充てる保険。一般的に200万~300万円くらいの保障額で設定)

収入保障保険…65歳払済/65歳満期 2,072円/月払い

保障額10万円/月 (FWD生命/FWD収入保障) (家計を支える収入がある家族が万が一の時、残された家族の生活費に充てる死亡保障)

変額保険…80歳満期/終身保障 約5,000円/月払い (死亡保障)

保障額約250万円(アクサ生命/ユニットリンク) (一般生命保険料控除になる積立保険。積立部分の用を投資信託のしくみで運用するので、積立商品の中でも、保険料が割安のものが多い)

介護医療保険料控除 保険料合計6983円/月 83,796円/年間

医療保険…入院日額10,000円 60日型 60歳払済/終身保障 3,963円/月払い +8大生活習慣病入院無制限給付特則 +入院一時金 +先進医療 (メディケア生命/メディフィットA)

特定疾病保険…7大疾病一時金100万円 +7大疾病払込免除特約3,020円/月払い (なないろ生命/なないろセブン)

個人年金保険料控除 120,000円/年間

外貨建て個人年金保険…10,000円/月払い 65歳払済/65歳支払開始 (マニュライフ生命/外貨建こだわり個人年金)

事例2:55歳男性 配偶者有り 60歳で定年退職を迎える場合

年間支払額所得税控除額住民税控除額
一般生命保険料控除155,85640,00028,000
介護医療保険料控除82,30840,00028,000
個人年金保険料控除120,00040,00028,000
合計358,164120,00084,000

一般生命保険料控除 12,808円/月 年間合計155,856円

終身保険…終身払/終身保障 5,348円/月払い

保障額200万円(オリックス生命/ライズ) (葬儀代に充てる保険。一般的に200万~300万円くらいの保障額で設定)

定期保険…10年更新 7,460円/月払い

保障額1,000万円 (メットライフ/スーパー割引定期保険)

男性に万が一があり、残された妻の生活費に充てる目的で、10年間だけ定期保険に入っておくと安心でしょう。定年を迎える60歳で、保障額を500万円に減額すると保険料が抑えられ、一般保険料控除にもほどよい保険料になります。

介護医療保険料控除 6859円/月 年間82,308円

医療保険…入院日額5000円 60日型 終身払い/終身保障 6859円/月払い +3大生活習慣病入院無制限給付特則 +特定疾病一時金50万円 +先進医療 (チューリッヒ生命/終身医療保険)

個人年金保険料控除 10,000円/月 年間120,000円

個人年金保険…65歳払済/65歳支払い開始 10000円/月払い

個人年金は、20~40歳くらいまでに加入しておいて、毎年控除を受けるようにしておいた方がよいが、55歳でも加入可能なものはあります。保険料は10000円が最低となるケースがほとんどです。健康状態の告知がない為、持病などで他の保険の加入が難しい方でも入れます。また、個人年金保険料控除を受けるための条件もありますので、加入の際は確認して下さい。10年は払い込みが必要になります。

※上記具体例は、あくまでも一例です。保険加入に当たっては、家族構成や貯蓄方法、貯蓄金額、支払い方法など詳細は個人によって異なりますので、FPやIFAなど専門家の意見を聞くことをお勧めいたします。

参考:生命保険の他に控除の対象となるもの

申請すると得られる控除には以下のものがあります。

・地震保険料控除: 火災保険に付随して付加する地震保険(損害保険)

・小規模企業共済等掛金控除: 小規模事業共済の他にも、確定拠出年金(iDeCo、企業型DC)や地方公共団体が実施する、いわゆる心身障害者扶養共済制度の掛金含む積立商品 

・社会保険料控除: 今まで払っていなかった年金の追納などまで考慮すると、もっと控除額により節税になります。

節税を目的として保険加入を考える際の注意点

保険での節税を優先して加入してしまうとリスクヘッジの為にたくさんの保険に加入してしまい、保険料を払い過ぎてしまって生活費に影響する場合も考えられますので、必要以上の保障に入らないように、現在の自分に合った保険料と必要保障額を認識し、加入することを心掛けて下さい。

また、常にライフバランスは変わることを認識しておくことが重要です。収入と支出のバランスは、ライフステージや少しの変化によっても変わります。例えば、ライフプランにあまり考慮しない転職や、急な病気や環境の変化による収入減少など、人生のステージは常に変わります。

保険は定期的に内容確認をし、収入と支出のバランスが変化する時には、常に見直しを考えておく必要があります。

常に管理する方法としては、1年に一回確認する日を作ると、常に把握することができます。エンディングノートを利用した、毎年年末のご自身の振り返りなどの際に、確認タイミングを作り、毎年その時期に確認するようにすると良いでしょう。

この記事のまとめ

生命保険料控除は死亡・医療・年金の3区分を把握し、年間保険料を8万円超に最適化するだけで所得税12万円、住民税7万円まで節税余地があります。控除額・保険料・税率の3指標で費用対効果を定量確認し、旧契約・配偶者口座分の証明書管理まで抜かりなく。流動性や手数料をiDeCoや地震保険と比較し、将来の資金拘束リスクと保障ニーズ、自己のリスク許容度が一致するか定期点検しましょう。証明書紛失や提出漏れは控除ゼロにつながるため、10月到着から申告までのプロセスをルーチン化することが重要です。必要に応じて専門家に相談するのも選択肢です。

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投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。

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老齢基礎年金

老齢基礎年金とは、日本の公的年金制度の一つで、老後の最低限の生活を支えることを目的とした年金です。一定の加入期間を満たした人が、原則として65歳から受給できます。 受給資格を得るためには、国民年金の保険料納付済期間、免除期間、合算対象期間(カラ期間)を合計して10年以上の加入期間が必要です。年金額は、20歳から60歳までの40年間(480月)にわたる国民年金の加入期間に応じて決まり、満額受給には480月分の保険料納付が必要です。納付期間が不足すると、その分減額されます。 また、年金額は毎年の物価や賃金水準に応じて見直しされます。繰上げ受給(60~64歳)を選択すると減額され、繰下げ受給(66~75歳)を選択すると増額される仕組みになっています。 老齢基礎年金は、自営業者、フリーランス、会社員、公務員を問わず、日本国内に住むすべての人が加入する仕組みとなっており、老後の基本的な生活を支える重要な制度の一つです。

個人年金保険

個人年金保険とは、公的年金だけでは不足しがちな老後資金を、自助努力で補うために設計された私的年金商品です。契約者が決められた期間にわたり保険料を払い込み、あらかじめ設定した開始年齢(60歳・65歳など)に達すると年金形式で受け取りが始まります。受取方法には、決められた年数だけ確実に受け取る「確定年金型」と、生存している限り終身で受け取れる「終身年金型」があり、どちらを選ぶかによって総受取額や万一の際の遺族保障の形が異なります。変額型や外貨建て型など、インフレ対応や為替分散を意識したバリエーションも登場しています。 大きな魅力の一つは税制優遇です。一定の要件(受取人が契約者本人または配偶者、払込期間が10年以上など)を満たす契約であれば、払込保険料は「個人年金保険料控除」として所得控除の対象になります。たとえば年間保険料が8万円の場合、所得税で最大4万円、住民税で最大2万8千円が控除され、課税所得を圧縮できるため実質負担を抑えながら老後資金を積み立てられる点がメリットです。 一方で注意すべき点もあります。途中解約時には元本割れが生じやすく、解約返戻金が払込総額を下回るケースが多いこと、固定利率型の商品ではインフレに追いつけない可能性があること、そして保険会社が破綻した場合でも保険契約者保護機構による補償は責任準備金の90%が上限となることです。また、税優遇制度としては個人型確定拠出年金(iDeCo)や新NISAも利用できるため、流動性・運用商品の自由度・掛金上限などを比較し、自分に合った組み合わせを検討する必要があります。 これらの特徴を踏まえると、個人年金保険は「計画的に積立を続け、税制メリットを生かしながら老後の生活費を補完したい」人に適した選択肢といえます。生活防衛資金や他の運用枠を確保したうえで長期的な資産形成の一環として活用すれば、老後のキャッシュフローに安定感をもたらす手段となるでしょう。

住民税

住民税は、居住地の自治体(市区町村および都道府県)に納める地方税で、地域の行政サービスを賄うために使われます。住民税は「所得割」と「均等割」の2つで構成されます。 所得割は、前年の所得に基づき一律の税率(多くの場合10%)で計算されます。一方、均等割は所得に関わらず一律の金額(全国基準では年額5,000円程度)を納める部分です。 住民税は、所得税のような累進課税ではなく比例課税が基本で、納税額は所得や扶養状況などにより異なります。また、住民税は原則として前年の所得に基づき計算されるため、納税は翌年度に行われます。これにより、地域社会の運営を支える重要な財源となっています。

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