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資産寿命の延ばし方とは。WPP理論で実現する老後の安心マネープラン

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資産寿命の延ばし方とは。WPP理論で実現する老後の安心マネープラン

資産寿命の延ばし方とは。WPP理論で実現する老後の安心マネープラン

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執筆者:

公開:

2023.08.16

更新:

2026.03.03

基礎知識貯蓄型保険定期預金

老後のお金は「なんとなく不安」のままだと、対策が先延ばしになりがちです。資産寿命を計算すれば、年金と支出の差で資産が何年もつかを数字で把握できます。この記事では、資産寿命の意味・計算手順と、長生きリスク、医療・介護費の目安、延ばし方(運用・支出管理・緊急資金・WPP理論)までを具体的に解説します。今日からの第一歩に使えます。

サクッとわかる!簡単要約

資産寿命の考え方と「資産総額÷不足額」の基本式を理解し、夫婦・単身の生活費目安や医療・介護費を踏まえて不足額を見積もれるようになります。そのうえで、手元資産・支出・見込収入を整理して自分の資産寿命を算出し、運用・支出見直し・緊急資金・就労延長や年金繰下げ(WPP)のどれを優先すべきか判断できるようになります。

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目次

資産寿命とは?なぜ計算するのが大事なの?

資産寿命の計算方法

資産寿命を計算することが大事な理由

老後の不安の正体を知ろう

なぜ老後のお金が不安なのか

長生きリスクとは何か

平均寿命と健康寿命の差が、老後のお金の設計を左右する

老後に必要なお金はいくら?

夫婦2人世帯の必要額

独身・一人暮らしの必要額

ゆとり生活に必要な金額

医療・介護費も要注意

資産寿命を把握するために重要な3つのステップ

ステップ1:現在の資産状況を確認する

ステップ2:月々の出費を整理し、支出を正確にに把握する

ステップ3:見込まれる収入と資産、生活に必要な支出から資産寿命を計算する

老後の安心に向けた資産寿命の延ばし方

資産寿命を延ばす方法1:複数の金融商品を組み合わせた資産運用で安定的に資産を増やす

資産寿命を延ばす方法2:支出を管理し資産の取り崩しを緩やかにする

資産寿命を延ばす方法3:予期せぬ急な出費に備えて緊急資金を事前に確保

定期的なレビューと調整で資産寿命を延ばす

WPP理論で実現する安心の老後生活設計

Work longer(就労延長)の意味

Private pensions(私的年金)の役割

Public pensions(公的年金)の活用法

WPP理論の具体的なシミュレーション

パターン①:70歳まで働き、私的年金でつなぐ

パターン②:就労と貯蓄で生活費をまかなう

資産寿命とは?なぜ計算するのが大事なの?

資産寿命とは、あなたが現在持っている資産(貯金や不動産など)が、現在の生活水準を維持しながら何年間使い続けられるかを示す指標です。つまり、あなたのお金がどれくらいの期間でなくなるか、ということを示しています。

資産寿命の計算方法

資産寿命を計算する際は、「資産総額 ÷ 毎月(または毎年)の収支の不足額」などといった方法を用いるのが一般的です。

退職後の収入(公的年金や退職金の取り崩しなど)と支出額の差額を算出し、その不足分を資産から補填し続けた場合、あとどのくらいの期間で資産が尽きるのかを把握するのです。

  1. たとえば、あなたが60歳で、現在の貯金が5000万円、毎月の生活費が25万円だとします。この場合、貯金を毎月25万円ずつ使っていくと、5000万円は200ヶ月、つまり約16年7ヶ月で使い果たされます。これが資産寿命です。

資産寿命を計算することが大事な理由

資産寿命を計算する大きな理由は以下の2つです。

資産寿命を計算することが大事な理由

  1. 老後の生活設計に具体性が生まれる
  2. 早期に対策を講じることでリスクを軽減できる

老後の生活設計に具体性が生まれる

「漠然とした不安」がある状態では対策も曖昧になりがちです。資産寿命を数字で計測し、「どれだけのお金が、どれくらいの期間でなくなるか」を把握すれば、必要な対策がより明確になります。

早期に対策を講じることでリスクを軽減できる

もし「資産寿命が短すぎる」と気付いた場合、まだ現役で働いているうちに、資産運用や支出の見直しなどを始めることができます。早めに対策するほど、老後のお金の不安を軽減しやすくなります。

老後の不安の正体を知ろう

「老後のお金が不安」という声はよく耳にしますが、その不安が具体的にどこから来るのかを把握できている方は多くありません。

漠然とした不安のままでは、対策も漠然としたものになりがちです。まず不安の正体を数字で把握することが、老後の生活設計を進めるうえでの第一歩になります。

なぜ老後のお金が不安なのか

結論から言うと、老後のお金への不安は「年金だけでは足りない」という現実認識が根っこにあります。

公益財団法人 生命保険文化センターが2024年に実施した調査によれば、老後の経済的備えに「不安を感じている」と答えた方の割合は、全体の6〜7割にのぼっています。

また、同センターの別の調査(生活保障に関する調査)では、老後の不安の内訳として「公的年金だけでは不十分」と答えた方が79.4%ともっとも多く、「日常生活に支障が出る」が57.3%と続いています。

つまり、不安の多くは「年金+貯蓄だけで老後を乗り切れるかどうか」という収支のギャップへの懸念から来ているのです。

もうひとつの要因は、「いつまで生きるかわからない」という不確実性です。支出がいつ終わるかわからない状態で、限りある資産を取り崩していくプレッシャーは、数字で示せないだけに心理的な負担が大きくなります。

このような不安を解消するためには、「感情で考える」のではなく「数字で把握する」という視点への切り替えが重要です

長生きリスクとは何か

長生きリスクとは、平均寿命よりも長く生きることによって資産が底をつくリスクのことです。長寿は喜ばしいことですが、お金の面からは「想定より長い期間、資産を持たせなければならない」という課題を生み出します。

厚生労働省の「令和6(2024)年簡易生命表」によると、日本人の平均寿命は男性81.09歳、女性87.13歳です。

平均寿命寿命中位数65歳時の平均余命
男性81.09歳83.89歳約19.5年(84歳相当)
女性87.13歳90.04歳約24.4年(89歳相当)

出典:厚生労働省「令和6年簡易生命表」

ただし、「平均寿命まで生きればよい」と考えるのは危険です。平均寿命はあくまでも「平均」であり、半数の方はそれより長く生きます。

同じ生命表をもとにした「寿命中位数(ちょうど半数が生存する年数)」は、男性83.89歳、女性90.04歳です。つまり女性の2人に1人は、90歳を超えて生きる可能性があります。

さらに65歳時点での平均余命(その後の平均生存年数)は、男性が19.47年、女性が24.38年。65歳でリタイアしたとすると、男性で約20年、女性で約24年分の生活費を賄える資産が必要になる計算です。

  1. この「長生き」という現実を踏まえて資産計画を立てることが、老後の不安を解消するうえで欠かせない視点です。次のセクションでは、実際にどれだけのお金が必要なのかを、具体的な数字で見ていきましょう。

平均寿命と健康寿命の差が、老後のお金の設計を左右する

老後の資金計画を考えるうえで、平均寿命と合わせて把握しておきたいのが「健康寿命」です。

健康寿命とは、介護を必要とせず自立した生活を送れる期間のことです。厚生労働省の「令和4年版厚生労働白書」によると、日本人の健康寿命は男性が72.68歳、女性が75.38歳となっています。

平均寿命と健康寿命の差は、男性で約8年、女性で約12年。この差の期間は、何らかの介護や医療サポートを必要とする可能性が高い時期にあたります。つまり老後の生活は、大きく2つのフェーズに分けて考える必要があります。

フェーズ期間の目安お金の使い方の特徴
活動期(健康寿命まで)65歳〜72〜75歳頃旅行・趣味など積極的な支出が可能
介護期(健康寿命以降)75歳頃〜平均寿命まで医療費・介護費が増加、行動が制限される

「老後はお金があっても使えなくなる」とよく言われますが、実際には「使いたいけれど体が動かない」という状況が、多くの人に訪れます。「健康なうちに使える期間は思っているより短く、介護が必要になってからの費用は思っているより大きい」という現実を前提に、必要な金額を考えることが重要です。

老後に必要なお金はいくら?

老後に必要なお金の額は、家族構成や生活スタイル、健康状態によって大きく変わります。そのため、「老後にはいくら必要か」という問いに対して一律の答えを出すのは難しいのが実情です。

ただし、国が公表している統計データをもとにすれば、「平均的な老後に必要な金額の目安」を把握することができます。ここでは、夫婦世帯・独身世帯のそれぞれについて、公的データをもとに整理します。

夫婦2人世帯の必要額

結論から言うと、夫婦2人の老後の生活費は月25〜26万円程度が平均的な水準です。総務省の「家計調査報告(2024年)」によると、65歳以上の夫婦のみ無職世帯の家計収支は以下のようになっています。

項目月額
実収入(年金など)252,818円
可処分所得(手取り)222,462円
消費支出256,521円
毎月の不足額約34,058円

出典:総務省「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」

毎月の手取り収入は約22.2万円に対して、消費支出は約25.7万円。つまり毎月約3.4万円の赤字が生じています。

この不足分は貯蓄や退職金の取り崩しで補われているのが現実です。65歳でリタイアして90歳まで25年間生きると仮定すれば、単純計算で約1,020万円の資金が必要になります。

なお、この消費支出の内訳を見ると、食費が約7.6万円でもっとも多く、次いで交通・通信費(約2.8万円)、教養娯楽費(約2.5万円)、保健医療費(約1.8万円)などが続きます。住居費が約1.6万円と比較的低いのは、持ち家で住宅ローンを完済している世帯が多いためです。賃貸住まいの方はこれに家賃が加わるため、不足額がさらに増えます。

独身・一人暮らしの必要額

同じく総務省の「家計調査報告(2024年)」によると、65歳以上の単身無職世帯の実収入は月約13.4万円で、消費支出は約14.9万円です。毎月約1.5万円の不足が生じています。

出典:総務省「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」

「夫婦の約半分」と思われがちですが、実際にはそれほど単純ではありません。光熱費や通信費などの固定費は、夫婦世帯と比べてそれほど減らないからです。

65歳から30年間、毎月1.5万円の不足が続くと仮定すると、必要な追加資金は約540万円。一見少なく見えますが、これは平均的な収支に基づく最低限の試算です。介護費や住居費の変動、万が一の医療費なども加味すると、より多くの準備が必要になるのが実情です。

ゆとり生活に必要な金額

前述の統計は「平均的な生活費」であり、旅行や趣味などにお金を使うゆとりのある老後をイメージしている方は別途考える必要があります。

生命保険文化センターの「2022年度 生活保障に関する調査」によると、夫婦2人が老後を過ごすうえで必要な月額費用の意識調査の結果は以下のとおりです。

生活水準月額
最低日常生活費23.2万円
ゆとりある老後生活費37.9万円

出典:生命保険文化センター「2022年度 生活保障に関する調査」

ゆとりある生活に必要な月37.9万円という数字は、旅行や趣味、孫へのプレゼントなど日常の楽しみに使える余裕分を含んでいます。年金(月約22万円)との差額は約15.9万円。これが毎月不足するとすると、65歳から90歳の25年間で約4,770万円が追加で必要になる計算です。

「老後2,000万円問題」として話題になった数字は最低限の試算に基づいています。ゆとりある老後を目指す場合は、さらに大きな備えが必要だと理解しておきましょう。

医療・介護費も要注意

老後の「生活費以外の支出」として、見落としがちなのが医療費と介護費です。

医療費

厚生労働省の「令和5(2023)年度 国民医療費の概況」によると、65歳以上の1人あたり国民医療費は年間約79.7万円です。ただし、これは保険適用分の総額であり、実際の自己負担割合は70〜74歳で2割、75歳以上で原則1割(現役並み所得者は3割)です。

出典:厚生労働省「令和5(2023)年度 国民医療費の概況」

自己負担額の目安は、65歳以降の25〜30年間で200万円前後と言われています。ただし差額ベッド代(保険適用外の入院室料)や先進医療は全額自己負担となるため、実際の負担はケースによってかなり異なります。

介護費

生命保険文化センターの「2024年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、介護にかかる費用の平均は月約9万円です。在宅介護なら月5.3万円、施設介護では月13.8万円が目安とされています。

出典:生命保険文化センター「2024年度 生命保険に関する全国実態調査」

要介護状態になった場合の平均介護期間は約55ヶ月(4年7ヶ月)とされており、月9万円×55ヶ月で約495万円の費用がかかる計算になります。さらに住宅改修や福祉用具購入の初期費用(平均約47万円)も加わります。

医療費・介護費を合わせると、生活費の不足分とは別に1人あたり数百〜1,000万円規模の備えが必要になります。これらを「見えにくいコスト」として事前に把握しておくことが、老後の資産計画を立てるうえでとても重要です。

世帯生活費(月)年金との不足額(月)25年分の不足総額
夫婦・最低限の生活約25.7万円約3.4万円約1,020万円
夫婦・ゆとりある生活約37.9万円約15.9万円約4,770万円
独身・最低限の生活約14.9万円約1.5万円約540万円
老後に必要なお金の目安まとめ表

※医療費・介護費(1人あたり数百〜1,000万円規模)は別途加算が必要

資産寿命を把握するために重要な3つのステップ

資産寿命とは、あなたが持っている資産がどれくらいの期間で使い果たされるかを示す指標です。これを理解し、適切に管理することで、安定した生活を維持し、資産を最大限に活用することが可能になります。

以下では、資産寿命を正確に把握するために重要な3つのステップを詳しく説明します。

ステップ1:現在の資産状況を確認する

現在の資産状況を正確に把握することは、資産寿命を延ばす第一歩です。

銀行の預貯金、退職金、家や土地など、全部合わせてどれくらいあるのかをリストにしてみましょう。このリストを作ることで、これからの人生でどれくらいのお金が使えるのかがわかります。

難しいと感じる場合は、専門家に相談したり、資産管理ツールを使ってみると良いでしょう。例えば、投資のコンシェルジュのような資産管理ツールを使うと、現在保有している資産を見える化することができます。

投資のコンシェルジュによる資産の一括管理

資産状況を一覧化し、日々の変化を計測できるようにすることで、正しく現状を把握することができます。

ステップ2:月々の出費を整理し、支出を正確にに把握する

次に、毎月どれくらいお金を使っているのかをチェックしましょう。毎月の支出を把握することは、資産寿命を理解し、適切に管理するために必要不可欠です。

家賃や光熱費などの毎月決まった出費、食費や趣味に使うお金、これからの大きな出費(例:孫へのプレゼント、旅行など)をしっかり整理して数字で確認してみましょう。

支出のパターンを把握し整理することで、無駄な支出が削減できれば、資産寿命を延ばすことも可能です。これまで支出の分析をしてこなかった初心者の方でも、まずは家計簿アプリや紙に書いて整理してみることがおすすめです。

ステップ3:見込まれる収入と資産、生活に必要な支出から資産寿命を計算する

資産のリストができ、月々の支出が整理できたら、現状の資産寿命を計算してみましょう。

例えば、一般的な65歳年金受給者夫婦の場合、年金が毎月20.5万円支給され、支出が毎月26万円というデータがあります。つまり、支出に対して、収入が毎月5.5万円不足している状態になります。この場合、持っている資産から毎月5.5万円を切り崩して生活することになります。

もし仮に1100万円の資産があり、毎月5.5万円取り崩していく場合、資産寿命は16年8ヶ月(200ヶ月)です。日本人の平均寿命は男性が約81歳、女性が約88歳。資産寿命16年8ヶ月だと少し心許ないかもしれません。

仮に支出が抑えられて、毎月5万円の取り崩しになれば、資産寿命は220ヶ月。18年4ヶ月と、約2年資産寿命が延長されます。あるいは、資産を運用し1100万円の資産が10%増の1210万円になれば、同様に資産寿命が220ヶ月となります。

あるいは、ゆとりある老後の生活を送ろうとすると、毎月34.9万円が必要です。年金が20.5万円の場合、毎月14.4万円不足します。1100万円の資産だと、6年4ヶ月(76ヶ月)しか保ちません。

文章(簡潔)数値・前提結論
年金収入より支出が多い収入20.5万円/支出26万円毎月5.5万円不足
資産1,100万円を毎月5.5万円取り崩す1,100万円÷5.5万円200か月(16年8か月)
平均寿命と比較男81歳/女88歳やや不安が残る
取り崩しを5万円に抑える1,100万円÷5万円220か月(18年4か月)
資産が10%増の1,210万円1,210万円÷5.5万円220か月(18年4か月)

このように、現在の資産で資産寿命を計算することが、現状を把握するスタート地点です。これを踏まえて、ご自身の理想の生活スタイルを踏まえ、どのように資産を運用していくのか、というのが次に考えることです。

資産寿命の計算をするには、ライフプラン作成ツールを使ってみると、支出の変化をすぐに反映し管理できるため便利です。

投資のコンシェルジュには簡単に使えるライフプラン作成ツールもあります。資産が連携されていれば、現状の収支や今後の収支の変化、特別な支出などの情報を入力するだけで、ライフプランに応じた資産状況の変化を簡単にシミュレーションできます。

投資のコンシェルジュを使ったライフプランシミュレーション

どんぶり勘定にするのではなく、数字で変化を見ることによって、正しく将来の状況を把握できます。このように「いまのままだと何年でお金が尽きるか」を把握したうえで、「どれくらい運用すればよいのか」「支出をどのくらい抑えるとよいのか」を考えるのがポイントです。

老後の安心に向けた資産寿命の延ばし方

資産寿命を延ばすためには、資産を増やす戦略と支出を抑える戦略が必要です。これらは、どのような生活を送りたいかという支出の観点と、そのためにどの程度資産を増やす必要があるのか、という観点の双方のバランスを取る必要があります。

以下では、これらの戦略を具体的にどのように実行するかを詳しく解説します。

資産寿命を延ばす方法1:複数の金融商品を組み合わせた資産運用で安定的に資産を増やす

資産を増加させ、資産寿命を延ばしたいと考える場合、何らかの金融商品を購入して資産運用するのが一般的です。

資産寿命を延ばす

金融商品による資産運用の際には、金融商品の価格が下落し資産が目減りしてしまうリスクと、価格が上昇したときに得られる利益のリターンのバランスが重要です。

投資においてリスクとリターンは比例します。低リスクな預貯金や国債はリターンも低く、株式や不動産は中程度、仮想通貨や先物は高リスク・高リターンとされています。ローリスク・ハイリターンはありません。

ハイリスク・ハイリターンの金融商品は、価格変動が大きく、大きなリターンが期待できる一方で、値崩れによりマイナスになってしまう可能性も大いにあります。一方、ローリスク・ローリターンの金融商品は、利回りが小さく資産の増加幅は大きくありませんが、値崩れにより資産が目減りする可能性も低いという特徴があります。

単体でローリスク・ハイリターンという都合の良い金融商品は存在せず、リターンの大きさとリスクの大きさは比例します。

ただし、複数種類の金融商品を上手く組み合わせることで、資産の全体としてリターンを大きく、リスクを小さくすることが出来ます。このように、複数種類の金融商品を組み合わせて運用することを「ポートフォリオ運用」といいます。

投資信託や債券などの金融商品や、ポートフォリオ運用は難しそうに感じるかもしれませんが、適切な知識と戦略を持つことで、安定的かつ効果的に資産を増やすことが可能になります。

資産寿命を延ばす方法2:支出を管理し資産の取り崩しを緩やかにする

資産寿命を延ばすためのもう一つの重要な方法は、支出をコントロールすること、つまり、無駄な出費を控えることです。

日々の生活費や突発的な出費を計画し管理することで、資産の思わぬ減少を防ぎ、十分な資産寿命を確保することができます。

具体的な手段としては、予算作成とその実行があります。毎月の計画と実際の支出を比較し、不必要な支出が見つかれば削減します。また、節約策を実施して出費を抑えることも有効です。

資産寿命を延ばす方法3:予期せぬ急な出費に備えて緊急資金を事前に確保

緊急時に備えて資金を確保することは、資産寿命を延ばす上でとても重要です。突然の出費や収入の減少に対応できるよう、日常の生活に必要な金額とは別に、手元に一定の資金を確保しておくことで、資産全体を守ることができます。

緊急資金は通常、生活費の3〜6ヶ月分が目安とされます。これにより、予期せぬ事態に対応しながら、計画通りの資産寿命を維持することが可能になります。

あるいは、生活上のリスクに備えて、保険に加入しておくことも選択肢の1つです。老後は病気や怪我による治療費や入院費など、経済的な負担が大きくなる可能性があります。このような突発的な出費が発生したときにカバーできるように保険で備える、ということも1つの選択肢です。

定期的なレビューと調整で資産寿命を延ばす

健康に過ごすために定期的な健康診断が必要なように、資産寿命を延ばすためには定期的な見直しと調整が必要です。市場環境、自身のライフスタイル、目標、リスク許容度などは時間とともに変化します。

これらの変化に対応するためには、資産運用のポートフォリオや支出計画を定期的に見直し、必要に応じて調整することが重要です。また、緊急資金の状況も定期的に確認し、必要なら補充することも忘れてはなりません。

もし、資産運用が元々の想定よりも上手く行った場合、旅行など特別な支出ができる余地が生まれているかもしれません。時と場合によって考えることは様々です。

これらの見直しと調整は、資産寿命を最大限に延ばすための重要なステップです。具体的には、年に少なくとも1回、または大きなライフイベントがあるたびに、全体の資産状況を見直すことがおすすめです。

このように、定期的に正確な状態を把握し、主体的に調整を行うことで、安心して生活できます。

WPP理論で実現する安心の老後生活設計

近年、老後の生活設計において注目を集めているのが「WPP理論」です。これは人生100年時代に対応した新しい年金受給戦略で、厚生労働省の審議会でも紹介されています。

WPPとは、「Work longer(就労延長)」「Private pensions(私的年金)」「Public pensions(公的年金)」の頭文字を取った造語です。この3つの要素を組み合わせることで、安心できる老後生活を実現しようという考え方になります。

Work longer(就労延長)の意味

最初のWは「Work longer(就労延長)」を意味します。働けるうちはできるだけ長く働き続けることで、老後資金の準備期間を延ばし、年金に頼る期間を短くする考え方です。

令和3年4月からは、70歳までの就業機会確保が企業の努力義務となりました。内閣府の「令和6年版高齢社会白書」によると、60代後半の就業率は年々上昇しており、令和4年には65~69歳の就業率が53.5%に達しています。

  1. 就労延長には、老後の家計収支を二重に改善する効果があります。第一に、働いている間は収入があるため、貯蓄の取り崩しを遅らせられます。第二に、厚生年金に長く加入することで、将来の年金額も増やせます。

Private pensions(私的年金)の役割

2つ目のPは「Private pensions(私的年金)」です。就労を引退してから公的年金の受給を開始するまでの期間を、私的年金でつなぐという考え方になります。

私的年金には、企業年金・退職金・iDeCo・個人年金保険など、さまざまな種類があります。これらを組み合わせて、公的年金を受給するまでの生活資金を確保します。

  1. 従来は「私的年金で一生涯の保障を得る」という考え方が主流でした。しかしWPP理論では、私的年金の役割を「つなぎ」に限定することで、より現実的で効率的な設計が可能になります。

Public pensions(公的年金)の活用法

3つ目のPは「Public pensions(公的年金)」です。公的年金を繰り下げて受給額を増やし、終身で受け取ることで、長生きリスクに備えるという考え方になります。

公的年金の最大の強みは、生きている限り一生涯受け取れることです。75歳まで繰り下げれば受給額は1.84倍に増え、その金額を死ぬまで受け取り続けられます。これは民間の金融商品では実現が難しい、貴重な特徴といえます。

  1. 民間の終身年金は、低金利環境や長寿化により、提供が困難になっています。公的年金こそが、長生きリスクに最も効率的に対応できる手段といえるでしょう。

なお、公的年金の繰上げ受給や繰下げ受給に関しては、こちらの記事で詳しく解説しています。あわせて参考にしてみてください。

WPP理論の具体的なシミュレーション

WPP理論を実際にどう活用するかは、個人の状況によって異なります。ここでは4つの代表的なパターンを紹介し、それぞれのメリットを解説します。

パターン①:70歳まで働き、私的年金でつなぐ

最も標準的なWPPのパターンです。60歳以降も働き続け、70歳で引退します。その後は企業年金や退職金で生活し、75歳から増額した公的年金を受給するモデルです。

具体例

  1. 60~70歳:再雇用で年収300万円で働く(厚生年金に加入)
  2. 70~75歳:企業型DCを5年確定年金(月額10万円)で受給
  3. 75歳~:公的年金を84%増額して受給(月額27万円)

このパターンのメリットは、70歳まで働くことで厚生年金の加入期間が延び、年金額がさらに増えることです。また、70歳までの10年間で老後資金を追加で準備できるため、貯蓄の余裕も生まれます。

70~75歳の5年間は企業型DCでつなぐため、貯蓄を取り崩す必要がありません。75歳以降は増額された公的年金で安心して暮らせます。

このモデルでは、65歳時点で必要な貯蓄額を大幅に削減できます。従来の「老後2,000万円」が、WPP理論では600万円程度で済む計算になります。

公的年金だけでなく、私的年金を有効活用して老後に備えましょう。年金の種類に関しては、こちらの記事も参考にしてみてください。

パターン②:就労と貯蓄で生活費をまかなう

企業年金や退職金が少ない場合や、私的年金の準備が十分でない場合のパターンです。67歳まで働き、その後は貯蓄を取り崩しながら70歳から公的年金を受給します。

具体例

  1. 60~67歳:パートで年収180万円で働く
  2. 67~70歳:貯蓄を取り崩して生活(月額5万円程度)
  3. 70歳~:公的年金を42%増額して受給(月額21万円)

このパターンは、私的年金が充実していなくても実践できる点がメリットです。67歳までパートで働けば、貯蓄の取崩しを最小限に抑えられます。

70歳から受給する公的年金は42%増額されているため、単身であれば十分に生活できる水準です。配偶者の年金と合わせれば、世帯で月額30万円程度になるでしょう。

このモデルでは、67歳時点で約200万円程度の貯蓄があれば対応できます。現役時代に十分な貯蓄ができなかった方でも、就労延長と繰下げ受給を組み合わせることで、老後の安心を確保できます。

この記事のまとめ

この記事では、資産寿命を使って老後不安を「年金と支出のギャップ」「長生きリスク」「健康寿命と平均寿命の差」「医療・介護費」という要素に分解し、必要資金を数字で捉える方法を整理しました。次は、①資産を一覧化し、②毎月の支出を洗い出し、③不足額から資産寿命を計算してみましょう。まず一度。不安が残る場合は、ライフプラン作成ツールや専門家相談で前提を点検するのが有効です。

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2026.02.05

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公的年金

関連する専門用語

資産寿命

資産寿命とは、収入と支出のバランスを考えながら、資産がどれくらいの期間維持できるかを判断するための指標です。貯蓄や年金、投資収益などが、生活費や医療費といった支出をどの程度まかなえるのかを知るうえで重要な役割を持ちます。これは老後だけでなく、働いている間や退職後も含め、資産が途中で尽きないよう計画を立てる際に活用されます。 資産寿命は、収入と支出のバランスによって決まります。例えば、毎月の生活費が30万円で収入が20万円の場合、不足する10万円を貯蓄や投資資産から補う必要があります。仮に1億円の資産を持ち、年間400万円ずつ使うとすると、単純計算では25年で資産がなくなります。しかし、資産運用による利益や物価の上昇を考慮すると、実際の資産寿命は変動します。 資産寿命を延ばすには、資産運用による収益の確保、支出の見直し、公的年金の受け取り時期の調整などが有効です。長期的なライフプランを作成し、将来のリスクに備えることも大切です。資産寿命を適切に管理することで、安心して生活を続けることができます。

ポートフォリオ運用

ポートフォリオ運用とは、複数の金融商品に分散して投資することで、全体としてのリスクを抑えながら安定的な運用成果を目指す方法です。株式、債券、投資信託、不動産など、異なる種類の資産を組み合わせて「投資のかご」をつくるイメージで、その組み合わせ全体をポートフォリオと呼びます。一つの資産だけに頼ると、大きな損失を受けるリスクが高まるため、資産を分けて投資することで特定の市場の変動に強い運用を目指すことができます。初心者でも、自分の投資目的やリスク許容度に合わせてバランスの取れたポートフォリオをつくることが大切です。

ハイリスク・ハイリターン

「ハイリスク・ハイリターン」とは、リスクが高い投資ほど、リターン(利益)も大きくなる可能性があるという投資の原則を指します。リスクが高い投資とは、価格の変動が激しい、予測が難しいなどの特徴があり、その分、投資で得られる利益も大きくなることがあります。しかし、反対に損失を被るリスクも大きくなるため、慎重に判断する必要があります。 例えば、株式投資や暗号資産などはハイリスク・ハイリターンの代表例です。短期間で大きな利益を得る可能性がある一方で、急激な価格下落によって大きな損失を被るリスクもあります。投資初心者にとっては、自分のリスク許容度をしっかり把握し、慎重に投資判断を行うことが大切です。

ローリスク・ローリターン

ローリスク・ローリターンとは、投資の世界で「リスクが低い投資は、その分リターン(利益)も少ない」という考え方です。 たとえば、株式よりも債券や定期預金のような安全性の高い金融商品を選ぶと、大きな損失のリスクは減りますが、高い利益も期待しにくくなります。リスクが低いというのは、価格の変動が少ないという意味で、値動きが安定している分、急激な利益の増加もあまり見込めません。 この方法は、大きなリスクを取りたくない人や、退職後の安定した収入を求める人に向いています。また、市場の動きが不安定なときにも、資産を守りながら少しずつ増やす手段として活用されます。

投資信託

投資信託は、多くの投資家から集めた資金を一つの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する金融商品です。運用によって得られた成果は、各投資家の投資額に応じて分配される仕組みとなっています。 この商品の特徴は、少額から始められることと分散投資の効果が得やすい点にあります。ただし、運用管理に必要な信託報酬や購入時手数料などのコストが発生することにも注意が必要です。また、投資信託ごとに運用方針やリスクの水準が異なり、運用の専門家がその方針に基づいて投資先を選定し、資金を運用していきます。

債券

債券(サイケン、英語表記:Bond)とは、発行者が投資家に対して将来一定の金額を支払うことを約束する金融商品です。 国や地方自治体、企業などが資金を調達する目的で発行し、投資家はこれを購入することで、定期的に利息(クーポン)を受け取ります。満期が来ると、投資した本金が返済されます。 債券はリスクが比較的低く、安定した収入を求める投資家に選ばれることが多いです。 また、市場で自由に売買が可能であるため、流動性も確保されています。債券市場は世界的にも広がりを見せており、多様な投資戦略に利用されています。

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