
今さら聞けない「投資信託」の仕組みを解説!〜メリット、デメリットを徹底解剖〜
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執筆者:
公開:
2023.04.02
更新:
2025.03.13
投資信託とは、金融商品の一種です。
多数の投資家から資金を集め、運用会社のファンドマネージャーが、その資金を伝統的金融資産(株式・債券など)やオルタナティブ資産(不動産など)に投資し、その運用成果を投資家それぞれの投資額に応じて分配する仕組みの金融商品です。
参考記事:アセットクラスについて
※図は投資信託協会の資料を参考に当編集部にて作成
株式や債券、不動産などに直接投資する場合もあれば、別の投資信託に投資する(投資信託だけに投資する投資信託をファンド・オブ・ファンズといいます)場合もあります。
投資信託の仕組み
投資信託の仕組みは、以下の通りです。
- 運用会社が投資信託を作ります。
- 販売会社(銀行や証券会社等)によって投資信託が投資家に販売されます。
- 投資家から集めた資金は、信託銀行によって保管されます。
- 運用会社は、様々なデータをもとに分析し、どの投資銘柄に対して、いつ、どれぐらいの金額を投資するかを検討した上で、信託銀行に対して投資を指示します。
- 信託銀行はその指示通りに金融市場で投資を行います。
- 投資によって得られた運用成果は、販売会社を通じて投資家に対して還元されます。
※図は投資信託協会の資料を参考に当編集部にて作成
投資信託のメリット・デメリット
メリット
①手軽に分散投資ができる
投資信託の中には、様々なアセットクラスに分散して投資をする商品があります。また、1つのアセットクラスに投資をする投資信託も、そのアセットクラス内で様々な銘柄に投資をしています。
そのため、投資信託に投資をすることで、手軽に分散投資をすることができます。
②個人では投資が困難な商品にも投資できる
先進国や新興国の株式や債券、不動産など、一個人では投資が困難な金融商品であっても、投資信託を通じて手軽に投資をすることができます。
③投資のプロが代わりに運用してくれる
投資信託では、投資のプロであるファンドマネージャーが、投資する商品の銘柄や金額、売買時期を決めて投資を行います。そのため、投資に詳しくない人でも、適切な投資を行える可能性が高くなります。
④少額から投資できる
投資信託の最低投資金額は、一般的に1万円で設定されていることが多いですが、中には100円から投資できるものも多数存在するなど、少額から投資できる。
デメリット
①コストがかかる
投資信託は、購入時や保有中に手数料がかかります。ファンドマネージャーに対する人件費などを賄う必要があるためであり、株式や債券に対して直接投資するよりもコストがかかることが一般的です。
②売却に制約がある
株式は購入直後に売却をすることが可能ですが、投資信託は毎日の市場終了後に計算される基準価格が定まるまでは、売買することができません。
また、最低保有日数が定められているケースも多く、それよりも短い期間で売却をすると信託財産留保金を支払う必要があります。
投資信託の主要な手数料
購入時手数料
購入時手数料とは、投資信託の購入時※に、投資信託の販売会社(証券会社や銀行等)に対して支払う手数料です。投資信託の購入金額×購入時手数料率で計算されることが一般的です。
投資信託を購入する際に販売会社が行う商品提案や事務手続きの対価という名目で徴収されるケースが多いです。
3%前後の手数料率を取る投資信託もある一方、購入時手数料が無料のノーロードファンドも最近は普及しています。
※まれに解約時に支払うケースもあります。
信託報酬(運用管理費用)
信託報酬(運用管理費用)は、投資信託を保有している間、支払い続ける費用です。販売会社や運用会社、信託銀行に対して支払う報酬としての位置付けです。
投資信託の純資産総額に対する比率で計算され、保有する投資信託の残高から毎日差し引かれます。投資信託の種類によって、差し引かれる金額は異なりますが、年率0.5〜2.0%程度が一般的です。
信託財産留保額
投資信託を解約する際に徴収される費用です。途中解約する投資家に対する「ペナルティ料」としての位置付けです。
解約する際に、投資信託の解約金額に対する比率で計算され、解約代金から差し引かれる形で徴収されます。投資信託の種類によって差し引かれる金額は異なりますが、0.1〜0.5%程度を差し引かれることが一般的です。また投資信託の中には、信託財産留保額を差し引かれない投資信託も存在します。
2つの切り口で見る投資信託の種類
投資信託の種類は、切り口によっていくつかありますが、この記事では、ポートフォリオ運用を行う上で知っておくべき必要最低限の切り口から、投資信託の種類を解説したいと思います。
投資対象資産・地域
投資信託の種類の1つ目の切り口として、投資対象資産と地域で区分するというものがあります。
投資対象資産(株式・債券・REIT・コモディティ)と地域(国内・外国)のマトリックスで、投資信託の種類を区分できます。(コモディティについては、地域を一括りにすることが多いです)
外国をさらに先進国と新興国に分けることもあります。
同じ種類に区分される投資信託であれば、異なる商品であったとしても、似たような値動きをすることが多いです。そのため、ポートフォリオ運用を実践する際は、この区分方法を頭に入れて、商品を選択すると良いかと思います。
投資手法
アクティブファンド
アクティブファンドとは、資産運用会社の運用担当者(ファンド・マネージャー)が、独自の運用方針と分析に基づき、投資銘柄を選択して運用する投資信託です。
アクティブファンドでは、ベンチマークとなる指数(インデックス)を定め、ベンチマークを上回るリターンを得ることを目指します。
様々なテーマに基づくファンドが販売されており、現在約4,000を超えるアクティブファンドが存在します。
アクティブファンドについて詳しく知りたいという方は、以下の記事をご参照ください。
参考記事:「アクティブファンド」とは?インデックスファンドと比較した時の特徴を解説!
インデックスファンド
インデックスファンドとは、ファンドの価格の値動きが、日経平均株価やNYダウ平均株価といった指数(インデックス)に連動するように、商品設計されているという投資信託がです。
インデックスファンドが対象とする指数(インデックス)は、日経平均株価、TOPIXなどの株価指数の他、債券指数、リート(不動産投資信託)指数、コモディティ指数など、多種多様な指数(インデックス)があります。
インデックスファンドは、幅広い銘柄に分散投資をしています。また、アクティブファンドよりも信託報酬の低い商品が多いです。そのため、中長期的な資産形成にあたって、有効な投資商品の一つです。
インデックスファンドについて詳しく知りたいという方は、以下の記事をご参照ください。
参考記事:「インデックスファンド」とは?その仕組みや具体的な銘柄をご紹介
まとめ
- 投資信託とは、投資家から幅広く資金を募り、その資金を元手に運用会社のファンド・マネージャーが投資を行い、得た運用成果を投資家に還元する金融商品を指す。
- 投資信託に投資するメリットとして、①手軽に分散投資ができる、②個人では投資が困難な商品にも投資できる、③投資のプロが代わりに運用してくれる、④少額から投資できる、といった点が挙げられます。
- 一方、投資信託に投資するデメリットとして、①コストがかかる、②売却に制約がある、といった点が挙げられます。

MONO Investment
投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。
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繰上償還(投資信託)
繰上償還とは、投資信託や債権などにおいて、運用資産が少なくなり一定規模を下回った場合に運用会社が効率的な運用をすることが難しくなったと判断して、償還期日(あらかじめ設定されていた期限)を繰り上げて、償還期日よりも前に償還することをいう。投資目的を早期に達成した場合にも行われることがある。
証券化
証券化とはキャッシュフローを産む資産を証券化し、投資家に売却することである。裏付けされたキャッシュフローを発行される債券の利払いと元本の償還に充てる。証券化される資産の種類は多様であり、不動産債権、クレジットカード債権、住宅ローン債券などがある。
増配
増配とは、企業が前期より一株当たりの年間配当金を増額することであり、利益成長や手元資金の潤沢さを背景に株主還元を強化する意思表示として行われます。配当金が増えると、株価が一定でも年間配当金を株価で割った配当利回りが上昇するため、インカムゲインを重視する投資家にとっては大きな魅力となります。特に連続増配年数が長い企業は、景気変動下でも安定したキャッシュフローを維持できる経営体質だと評価されやすく、株式の長期保有を促す材料にもなります。 もっとも、増配は企業の資本政策の一手段であり、好業績時でも将来の成長投資を優先する局面では実施されない場合があります。反対に、業績悪化が続けば配当を前年と同額に据え置く、あるいは前期より減額する減配に転じるリスクもあります。投資家は配当の持続可能性を測る指標として、配当総額を当期純利益で割った配当性向や、営業キャッシュフローとのバランスを確認し、企業に増配余力があるかどうかを見極めます。 このように増配は、企業の収益力と株主還元姿勢を映し出すシグナルであり、配当利回りや配当性向、減配・据え置きの動向と合わせて分析することで、株式投資の判断材料として活用できます。
信託報酬
信託報酬とは、投資信託やETFの運用・管理にかかる費用として投資家が間接的に負担する手数料であり、運用会社・販売会社・受託銀行の三者に配分されます。 通常は年率〇%と表示され、その割合を基準価額にあたるNAV(Net Asset Value)に日割りで乗じる形で毎日控除されるため、投資家が口座から現金で支払う場面はありません。 したがって運用成績がマイナスでも信託報酬は必ず差し引かれ、長期にわたる複利効果を目減りさせる“見えないコスト”として意識されます。 販売時に一度だけ負担する販売手数料や、法定監査報酬などと異なり、信託報酬は保有期間中ずっと発生するランニングコストです。 実際には運用会社が3〜6割、販売会社が3〜5割、受託銀行が1〜2割前後を受け取る設計が一般的で、アクティブ型ファンドでは1%超、インデックス型では0.1%台まで低下するケースもあります。 同じファンドタイプなら総経費率 TER(Total Expense Ratio)や実質コストを比較し、長期保有ほど差が拡大する点に留意して商品選択を行うことが重要です。
有価証券
有価証券とは、財産的価値を裏づける権利が紙や電子データそのものに具体化された証券類を指します。金融商品取引法第2条では「第一項有価証券(株式・社債など)」「第二項有価証券(投資信託受益証券など)」に分類され、さらに商法や手形法でも定義が設けられています。現在は株券不発行制度や「ほふり(証券保管振替機構)」による電子化が進み、一般の投資家が実物の証券を受け取る場面はほとんどありません。 有価証券は、大きく ①資金調達・投資対象としての証券 と ②決済・信用補完を目的とする証券 に分けられます。前者には株式、社債、国債、投資信託受益証券、ETF(Exchange Traded Fund〈上場投資信託〉)などが含まれ、保有者は配当金や利息、値上がり益を得る可能性があります。後者には約束手形や小切手が該当し、主に企業間の支払い手段として流通しますが、一般的な投資対象にはなりにくい点が前者と大きく異なります。 企業や政府は有価証券を発行して広く資金を集め、投資家は将来得られるリターンを期待して取得します。その価格は市場の需給、金利水準、発行体の信用力などで日々変動するため、価格変動リスクと引き換えに収益機会を得られることが資産運用上の魅力です。ただし、譲渡益や配当・利息には原則として20.315%の申告分離課税がかかり、上場株式や公募投信は時価評価が会計基準でも義務づけられるなど、税務・会計・金融規制の面でも厳格なルールが設定されています。 このように有価証券は、金融市場を通じて資金を循環させる中心的なインフラであり、個人投資家にとっては資産形成の主軸となる一方で、法律・税務・会計の枠組みによって権利が保護され、リスク管理が図られている点が大きな特徴です。
分配金
投資信託の収益から投資家に還元するお金のこと。 決算時に支払われるのが一般的。 ただし、運用成果や今後の運用戦略を考慮したうえで運用会社が決めるため、決算期ごとに毎回支払われるとは限らず、金額も未定。 分配金の支払い原資は投資信託の資産であり、分配金を支払うと資産は減る。 このため、分配金を支払うことで、その分だけ基準価額が下がる。
オープンエンド型投資信託
オープンエンド型投資とは、会社が運用期間中に払い戻しに応じ、いつでも換金可能な投資信託のこと(対義語:クローズドエンド型投資信託)。投資家が換金を希望する場合は、いつでも会社は基準価格で株式を買い戻す契約となっている。オープンエンド型投資のメリットとしては、投資家側はいつでも換金の保障があるという安心感を感じられることが挙げられるが、いつ買戻し請求があってもいいようにするために会社側にコストがかかり、結果として利回りが低くなるというデメリットがある。
投資信託
投資信託は、多くの投資家から集めた資金を一つの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する金融商品です。運用によって得られた成果は、各投資家の投資額に応じて分配される仕組みとなっています。 この商品の特徴は、少額から始められることと分散投資の効果が得やすい点にあります。ただし、運用管理に必要な信託報酬や購入時手数料などのコストが発生することにも注意が必要です。また、投資信託ごとに運用方針やリスクの水準が異なり、運用の専門家がその方針に基づいて投資先を選定し、資金を運用していきます。
基準価額
基準価額とは投資信託の値段のことである。投資信託が保有する株式や債券などの資産の時価評価額である「純資産総額」を工数で割って算出される。原則基準価額は1日に一度算出され公表される。多くの投資信託では運用開始時に1口=1円、1万口=1万円で設定される。
利回り
利回りとは、投資によって得られる収益を「投資金額に対する割合」で示したものです。ここでいう収益は利息だけでなく、投資商品を売却したときの損益(キャピタルゲインやキャピタルロス)なども含まれます。一般的には、1年間を基準とした「年利回り」として表されることが多いです。 また、利回りには大きく分けて「単利」と「複利」があります。単利は元本に対してのみ利息がつくのに対し、複利は再投資を前提とするため、同じ利率でも長期運用すると結果に大きな違いが出る可能性があります。