
「インデックスファンド」とは?その仕組みや具体的な銘柄をご紹介
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公開:
2023.04.02
更新:
2025.06.08
コストの低さと指数連動のわかりやすさから、インデックスファンドはつみたてNISAやiDeCoでも支持を集め、長期投資の定番として個人投資家に浸透しています。グローバル株式から国内債券まで指数を選べば専門知識がなくても幅広く分散できる点も魅力です。しかし「平均に乗れば安全」と思い込むと、信託報酬差やトラッキングエラー、指数偏在、ベンチマーク急落時の同時下落リスクといった落とし穴に気づきにくいのが実情です。本記事では運用構造、実質コスト、代表的ファンド例を整理し、業種配分や為替感応度を定量比較したうえで、資産形成にどう組み込むかの判断軸を提示します。
サクッとわかる!簡単要約
この記事を読むと、インデックスファンドが低コストで市場平均を狙える仕組みと、信託報酬差・トラッキングエラー・指数の業種偏在がリターンを左右する理由を一気に把握できます。株式・債券・リートの代表ファンドを比較し、為替影響や運用コストの違いまで可視化できるため、自分のリスク許容度と投資期間に合わせて積立額や商品を選ぶ判断力が身につきます。さらに、アクティブファンドとの勝率や長期複利効果を数値で確認し、市場全体が下落した場合の想定損失幅も前もってイメージできるので、ブレない長期戦略を描けます。
インデックスファンドとは?
インデックスファンドとは、投資信託やETF(上場投資信託)の一種です。
ファンドの価格(基準価額)の値動きが、日経平均株価やNYダウ平均株価といった指数(インデックス)に連動するように、商品設計されているという特徴があります。
インデックスファンドが対象とする指数(インデックス)は、日経平均株価、TOPIXなどの株価指数の他、債券指数、リート(不動産投資信託)指数、コモディティ指数など、多種多様な指数(インデックス)があります。
インデックスファンドは、幅広い銘柄に分散投資をしています。そのため、中長期的な資産形成にあたって、有効な投資商品の一つです。
インデックスファンドの仕組み
インデックスファンドは、対象とする指数(インデックス)に連動するように設計された商品だと述べましたが、具体的にはどのように設計されているのでしょうか?
ここでは、日経平均株価(日経225)に連動する投資信託を元にご説明します。
インデックスファンドはインデックスを構成する銘柄を購入している
一般的に、日経225に連動する投資信託は、日経225採用銘柄の中から200銘柄以上に等株数投資を行います。つまり、トヨタ自動車、ソフトバンクグループ、三菱UFJフィナンシャルグループなどといった日経225に採用されている株式銘柄を、同じ株数分だけ購入しているということです。
日経平均株価は、日本経済新聞社が選定した225社の株式銘柄の株価を、単純平均して算出される指数(インデックス)です。そのため、日経平均採用銘柄の全銘柄を、同じ株数だけ購入すれば、その値動きの平均は日経平均の値動きと一致します。
日経225に連動する投資信託でも、基本的にはこれと同じことを、非常に大きい規模感でやっています。
機械的に全銘柄を購入しているわけではない
ただし、単純に日経平均採用全銘柄を機械的に購入しているわけではなく、信用リスクが高いと思われる銘柄等は投資対象から除外する場合があります。
また、取引コストの低い株価指数先物取引等を積極的に活用しています。
これは、投資家が投資信託を売買する都度、日経平均全部の銘柄を売買すると、取引コスト(銘柄売買手数料)がかかってしまうことから、日経平均と似たような値動きをする日経平均株価先物を売買することで、取引コストを抑えることを意図しています。
そのため、日経225に連動する投資信託の値動きが、日経平均株価の動きと完全に一致するわけではありません。あくまで日経平均株価に連動する投資成果を目指した金融商品となります。
他のインデックスファンドも、基本的な構造は上記と同様です。対象とする指数(インデックス)がどのように算出されているのかを紐解き、その算出方法と同様になるように金融商品(株式や債券等)を購入することで、インデックスファンドが出来上がります。
インデックスファンドの具体例
種類 | 対象とする指数例 | ファンド具体例 |
---|---|---|
国内株式 | 日経平均株価(日経225) | たわらノーロード日経225 SMT 日経225インデックス・オープン Funds-i 日経225 |
国内株式 | 東証株価指数(TOPIX) | たわらノーロードTOPIX SMT TOPIXインデックス・オープン Funds-i TOPIX |
先進国株式 | MSCIコクサイ・インデックス | たわらノーロード先進国株式 SMT グローバル株式インデックス・オープン Funds-i 外国株式 |
新興国株式 | MSCIエマージング・マーケット・インデックス | たわらノーロード新興国株式 SMT 新興国株式インデックス・オープン Funds-i 新興国株式 |
国内債券 | NOMURA-BPI総合 | たわらノーロード国内債券 SMT 国内債券インデックス・オープン |
先進国債券 | シティ世界国債インデックス | たわらノーロード先進国債券 |
新興国債券 | JPモルガン・ガバメント・ボンド・インデックス-エマージング・マーケッツ・グローバル・ディバーシファイド | SMT 新興国債券インデックス・オープン |
国内リート | 東証REIT指数 | たわらノーロード国内リート SMT J-REITインデックス・オープン |
先進国リート | S&P先進国REITインデックス | たわらノーロード先進国リート Funds-i 外国REIT |
「たわらノーロード〇〇」は、アセットマネジメントOne(みずほ系列)の商品、
「SMT〇〇」は、三井住友トラスト・アセットマネジメント(三井住友信託系列)の商品、「Funds-i 〇〇」は、野村アセットマネジメント(野村系列)の商品です。
上記の商品はほんの一例ですが、多種多様なインデックスに基づくファンドが存在することがわかります。
また、同じ指数を対象とするファンドが複数存在しています。ファンドごとの値動きはほぼ同じですが、ファンドを運用する資産運用会社によって、信託報酬が異なりますので、その差異に気をつけながら商品を選ぶことが重要です。
この記事のまとめ
インデックスファンドを選ぶ際は、信託報酬・実質コスト・トラッキングエラーという定量指標で横並び評価し、純資産残高と出来高で流動性を確認します。同じ指数でも地域・通貨・ヘッジ有無で値動きとコストは変わるため、株式・債券・リートなど他資産と組み合わせ、投資期間と許容損失幅に照らして配分を調整しましょう。さらに、NISAやiDeCoなら課税繰延効果と対象商品の品ぞろえを確認し、コスト差が長期複利に及ぼす影響を試算することも重要です。手数料水準の推移も定期点検を行いましょう。必要に応じて専門家に相談するのも選択肢です。

MONO Investment
投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。
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インデックス
インデックス(Index)は、市場の動きを把握するための重要な指標です。複数の銘柄を一定の基準で組み合わせることで、市場全体や特定分野の値動きを分かりやすく数値化しています。 代表的なものには、日本の株式市場を代表する日経平均株価やTOPIX、米国市場の代表格であるS&P500などがあります。これらのインデックスは、投資信託などの運用成果を評価する際の基準として広く活用されており、特にパッシブ運用(インデックス運用)では、この指標と同じような値動きを実現することを目標としています。
インデックスファンド
インデックスファンドとは、特定の株価指数(インデックス)と同じ動きを目指して運用される投資信託のことです。たとえば「日経平均株価」や「TOPIX(東証株価指数)」などの市場全体の動きを示す指数に連動するように設計されています。この仕組みにより、個別の銘柄を選ぶ手間がなく、市場全体に分散投資ができるのが特徴です。また、運用の手間が少ないため、手数料が比較的安いことも魅力の一つです。投資初心者にとっては、安定した長期運用の第一歩として選びやすいファンドの一つです。
トラッキングエラー
トラッキングエラーとは、主にインデックスファンドなどの運用成績が、目標とする指数(たとえば日経平均株価やS&P500など)とどれくらいズレているかを示す指標です。ファンドは基本的に指数に連動するように運用されますが、運用コストや売買のタイミングの違いなどにより、実際の成績が指数と完全に一致することはまれです。 この差が大きいほど、運用が指数とずれていると評価されます。トラッキングエラーが小さいほど、より正確に指数に連動しているとされ、インデックス投資においては重要な確認ポイントとなります。
信託報酬
信託報酬とは、投資信託やETFの運用・管理にかかる費用として投資家が間接的に負担する手数料であり、運用会社・販売会社・受託銀行の三者に配分されます。 通常は年率〇%と表示され、その割合を基準価額にあたるNAV(Net Asset Value)に日割りで乗じる形で毎日控除されるため、投資家が口座から現金で支払う場面はありません。 したがって運用成績がマイナスでも信託報酬は必ず差し引かれ、長期にわたる複利効果を目減りさせる“見えないコスト”として意識されます。 販売時に一度だけ負担する販売手数料や、法定監査報酬などと異なり、信託報酬は保有期間中ずっと発生するランニングコストです。 実際には運用会社が3〜6割、販売会社が3〜5割、受託銀行が1〜2割前後を受け取る設計が一般的で、アクティブ型ファンドでは1%超、インデックス型では0.1%台まで低下するケースもあります。 同じファンドタイプなら総経費率 TER(Total Expense Ratio)や実質コストを比較し、長期保有ほど差が拡大する点に留意して商品選択を行うことが重要です。
有価証券
有価証券とは、財産的価値を裏づける権利が紙や電子データそのものに具体化された証券類を指します。金融商品取引法第2条では「第一項有価証券(株式・社債など)」「第二項有価証券(投資信託受益証券など)」に分類され、さらに商法や手形法でも定義が設けられています。現在は株券不発行制度や「ほふり(証券保管振替機構)」による電子化が進み、一般の投資家が実物の証券を受け取る場面はほとんどありません。 有価証券は、大きく ①資金調達・投資対象としての証券 と ②決済・信用補完を目的とする証券 に分けられます。前者には株式、社債、国債、投資信託受益証券、ETF(Exchange Traded Fund〈上場投資信託〉)などが含まれ、保有者は配当金や利息、値上がり益を得る可能性があります。後者には約束手形や小切手が該当し、主に企業間の支払い手段として流通しますが、一般的な投資対象にはなりにくい点が前者と大きく異なります。 企業や政府は有価証券を発行して広く資金を集め、投資家は将来得られるリターンを期待して取得します。その価格は市場の需給、金利水準、発行体の信用力などで日々変動するため、価格変動リスクと引き換えに収益機会を得られることが資産運用上の魅力です。ただし、譲渡益や配当・利息には原則として20.315%の申告分離課税がかかり、上場株式や公募投信は時価評価が会計基準でも義務づけられるなど、税務・会計・金融規制の面でも厳格なルールが設定されています。 このように有価証券は、金融市場を通じて資金を循環させる中心的なインフラであり、個人投資家にとっては資産形成の主軸となる一方で、法律・税務・会計の枠組みによって権利が保護され、リスク管理が図られている点が大きな特徴です。
分配金
投資信託の収益から投資家に還元するお金のこと。 決算時に支払われるのが一般的。 ただし、運用成果や今後の運用戦略を考慮したうえで運用会社が決めるため、決算期ごとに毎回支払われるとは限らず、金額も未定。 分配金の支払い原資は投資信託の資産であり、分配金を支払うと資産は減る。 このため、分配金を支払うことで、その分だけ基準価額が下がる。
投資信託
投資信託は、多くの投資家から集めた資金を一つの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する金融商品です。運用によって得られた成果は、各投資家の投資額に応じて分配される仕組みとなっています。 この商品の特徴は、少額から始められることと分散投資の効果が得やすい点にあります。ただし、運用管理に必要な信託報酬や購入時手数料などのコストが発生することにも注意が必要です。また、投資信託ごとに運用方針やリスクの水準が異なり、運用の専門家がその方針に基づいて投資先を選定し、資金を運用していきます。
パッシブ運用
パッシブ運用とは、投資信託を選ぶ際の運用手法の一つ(対義語:アクティブ運用)。比較のために用いる指標であるベンチマーク(日経平均やNASDAQなど)と同様の動きを目標とする運用手法で、組み入れ銘柄数は多くなる傾向がある。パッシブ運用はアクティブ運用に比べて販売手数料や信託報酬などのコストは安くて済むが、リスクが分散される分、リターンも小さくなるという特徴がある。
S&P500指数
S&P500指数とは、アメリカの代表的な株価指数の一つで、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が算出しています。米国を代表する主要企業500社の株価をもとに構成されており、テクノロジー、金融、ヘルスケアなど幅広い業種が含まれるのが特徴です。 この指数は、米国株式市場全体の動向を示す指標として世界中の投資家に注目されており、投資信託やETF(上場投資信託)のベンチマークとしても広く活用されています。「アメリカ経済の健康状態を測る体温計」とも言われる、非常に重要な指標です。