やってはいけない老後の資産運用には、具体的にどのようなものがありますか?
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2025/09/19 09:02
男性
60代
老後の生活資金を守るためには、リスクの高い投資や無計画な運用を避けるべきと聞きましたが、具体的にどのような運用が「やってはいけない」とされるのでしょうか。具体的な注意点を教えて下さい。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
老後資金の運用で最も重要なのは「減らさないこと」です。高リスクや複雑で不透明な商品、一括投資や借金を伴う投資は避けるべきです。代わりに、分散・低コスト・計画的な取り崩しを基本にしましょう。
典型的な失敗例としては、退職金を一括で高リスク商品に投資すること、レバレッジ取引や仕組債の購入、毎月分配型ファンドや外貨建て保険への偏り、不動産ローンを組んでの投資などがあります。これらはいずれも損失が大きく、途中解約や現金化が難しい点が問題です。
避けるかどうかを判断する基準は、流動性・透明性・コスト・価格変動の大きさ・通貨や信用リスクの5点です。どれか1つでもリスクが大きい場合、老後資金の主力には適しません。
資産配分は「現金・債券・株式」を3つのバケツに分け、生活防衛資金をまず確保。そのうえで、安定資産と成長資産をバランス良く組み合わせます。取り崩し率は年2.5〜3.5%を目安とし、下落時には引き出しを減らして資産を守ります。
また、詐欺やトラブルに注意が必要です。「元本保証」「高利回り保証」をうたう案件や、契約を急かす提案は避けましょう。必ず第三者に相談してから判断してください。
今日からできる実行ステップは、生活費2年分の現金確保、必要資金と許容リスクの試算、低コストの分散投資商品の選定、分割投資と定期リバランスの実施です。営業からの提案は、自分で理解できない商品なら理由を添えて断ることが大切です。
最終的に、老後資金は「守り」を優先し、分散・低コスト・計画性のある運用を徹底することが安心につながります。
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レバレッジ
レバレッジとは、借入金や証拠金取引など外部資金を活用して自己資本以上の投資規模を実現する手法です。利益の拡大が期待できる一方、市場の下落や金利の変動で損失が膨らみやすく、追加証拠金(追証)が必要になる場合やロスカットが発生するリスクも高まります。 また、借入金利や手数料などのコストが利益を圧迫する可能性があるため、ポジション管理やヘッジ手法を含めたリスク管理が不可欠です。レバレッジによる損益変動幅が大きくなることで精神的な負担も増えやすい点にも注意が必要です。最終的には、投資目的やリスク許容度を考慮し、適切なレバレッジ水準を設定することで、資産運用の効率を高めつつリスクを抑えることが重要となります。
仕組債
一般的な債券にはみられないような特別な「仕組み」をもつ債券。 この場合の「仕組み」とは、スワップやオプションなどのデリバティブ(金融派生商品)を利用することにより、投資家や発行者のニーズに合うキャッシュフローを生み出す構造を指す。こ満期やクーポン(利子)、償還金などを、投資家や発行者のニーズに合わせて比較的自由に設定することが可能。
毎月分配型
毎月分配型とは、投資信託などの金融商品において、運用成果の一部を「毎月」分配金として受け取ることができるタイプのファンドを指します。通常の分配型ファンドは年1回や半年に1回など決まったタイミングで分配金を出しますが、毎月分配型は定期的に現金収入を得られることから、年金代わりや生活費の補填を目的とした投資家に人気があります。 分配金の原資は、運用益に加えて元本の一部が含まれることもあり、その場合は基準価額(ファンドの価格)が徐々に下がる傾向があります。そのため、「分配金が多い=運用が好調」とは限らず、分配の中身を見極めることが重要です。毎月分配型は短期的なキャッシュフローには向いていますが、長期の資産形成を目的とする場合には注意が必要です。
外貨建て保険
外貨建て保険とは、保険料の支払いや保険金の受け取りなどが、日本円ではなく米ドルや豪ドルなどの外貨で行われる保険商品のことをいいます。主に終身保険や年金保険の形で提供されており、日本国内の低金利環境に対する対策として注目されることがあります。 外貨建て保険の魅力は、円建ての保険よりも高い利回りが期待できる点ですが、その反面、為替レートの変動によって実際に受け取る金額が目減りするリスクもあります。また、為替手数料や解約時のコストがかかることもあるため、加入する際には仕組みをしっかり理解し、自分の資産運用方針やリスク許容度に合っているかを見極めることが大切です。特に長期で保有する場合には、為替動向や国際情勢にも一定の関心を持つ必要があります。
流動性
流動性とは、資産を「現金に変えやすいかどうか」を表す指標です。流動性が高い資産は、短時間で簡単に売買でき、現金化しやすいという特徴があります。例えば、上場株式や国債は市場で取引量が多く、いつでも売買できるため、流動性が高い資産とされています。 一方、不動産や未上場株式のように、売買相手を見つけるのが難しかったり、取引に時間がかかったりする資産は、流動性が低いといえます。 投資をする際には、自分が必要なときに資金を取り出せるかを考えることが重要です。特に初心者は、流動性が高い資産を選ぶことで、急な資金需要にも対応しやすく、リスクを抑えることができます。