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債券ファンドは買ってはいけないと言われましたがなぜでしょうか?

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2025/07/24 09:34


男性

60代

question

安定資産として債券投資を検討していましたが、購入単位が大きいので債券ファンドにしようかと考えています。しかし、知人に債券ファンドは買ってはいけないと言われました。なぜだかイマイチピンときませんでした。この理由はなんでしょうか?


回答

佐々木 辰

株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長

債券投資を検討する中で「債券ファンドは買ってはいけない」と言われた理由には、主に以下のようなポイントがあります。ただし、すべての債券ファンドが悪いわけではなく、選び方次第で十分に活用できる手段でもあります。

第一に挙げられるのは金利上昇時の価格下落リスクです。個別の債券は満期まで保有すれば元本が返ってきますが、債券ファンドは常に時価で評価されるため、金利が上昇すると保有債券の価格が下がり、ファンドの基準価額が下落します。特に、長期債を多く含むファンドは「デュレーション(価格変動の感応度)」が高いため、金利の変動に敏感です。

第二に運用コストの問題があります。アクティブ型の債券ファンドでは信託報酬が年0.5~1%ほどかかることがあり、利回りの低い債券では手数料の負担がリターンを打ち消してしまう可能性もあります。一方で、ETFやインデックス型であれば信託報酬を年0.1%未満に抑えることができ、コストの問題はある程度回避できます。

第三に、分配型ファンドの構造的な問題があります。特に毎月分配型の商品では、債券からの利息収入以上に分配金を出す「元本取り崩し(タコ足配当)」が行われるケースもあり、資産形成を目的とする長期運用には不向きです。また、分配金が高いファンドには、信用リスクの高いハイイールド債や新興国債が組み込まれている場合もあり、景気悪化時に大きな損失が出る可能性があります。

さらに見落とされがちなのが為替リスクと信用リスクです。海外の債券に投資するファンドでは、為替ヘッジがなければ円高になると基準価額が下落します。また、利回りが高い債券ほどデフォルトの可能性も高く、過度にリスクを取っているファンドも存在します。

これらのリスクを理解したうえで、低コストで分配なし・短期債中心のETFやインデックスファンドを選べば、債券ファンドは十分に活用できます。たとえば、国内債券ETFや為替ヘッジ付きの先進国債券ETFなどは、ボラティリティが低く、ポートフォリオ全体の安定性を高める役割を果たします。

まとめると、債券ファンドに対して「買ってはいけない」という評価があるのは、商品によってリスク構造や運用方針が大きく異なり、適切な知識がないまま選ぶと期待外れになりやすいからです。しかし、特徴を理解し、目的に合ったファンドを選べば、債券ファンドは資産運用の重要な構成要素にもなり得ます。大切なのは、商品選定の際に「金利リスク」「コスト」「分配方針」「為替・信用リスク」などを丁寧に確認することです。

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債券ファンド(社債ファンド)

債券ファンドとは、投資家から集めた資金を国債や社債などの債券に投資し、利息収入や価格変動による収益を目的とする投資信託の一種である。比較的安定した収益を期待できるため、リスクを抑えながら資産運用を行いたい投資家に適している。ファンドの種類によっては、短期債中心のものや高利回りを狙ったハイイールド債ファンド、物価上昇に対応するインフレ連動債ファンドなどがある。 一般的に「債券ファンド」という場合、非上場の債券投資信託を指すことが多いが、債券を対象としたETF(上場投資信託)も存在し、特に社債ETF(Corporate Bond ETF)と呼ばれる。ETFは市場でリアルタイムに売買できる流動性の高さが特徴であるのに対し、投資信託は基準価額で取引されるため、売買の自由度が異なる。債券ファンドを選択する際は、運用形態やコスト、金利変動リスクを考慮しながら適切に選ぶことが重要である。

基準価額

基準価額とは、主に投資信託の商品価格を表すもので、投資信託1口あたりの価値を示しています。毎営業日に一度計算され、投資信託が保有している株式や債券などの資産の時価総額から、運用にかかる費用を差し引いた金額を、発行済みの総口数で割って算出されます。 投資信託の購入や売却の際には、この基準価額が参考になりますので、価格の動きに注目することが大切です。ただし、基準価額は市場価格とは異なり、リアルタイムで変動するわけではないため、翌営業日の価格になることが多い点にもご注意ください。

信託報酬

信託報酬とは、投資信託やETFの運用・管理にかかる費用として投資家が間接的に負担する手数料であり、運用会社・販売会社・受託銀行の三者に配分されます。 通常は年率〇%と表示され、その割合を基準価額にあたるNAV(Net Asset Value)に日割りで乗じる形で毎日控除されるため、投資家が口座から現金で支払う場面はありません。 したがって運用成績がマイナスでも信託報酬は必ず差し引かれ、長期にわたる複利効果を目減りさせる“見えないコスト”として意識されます。 販売時に一度だけ負担する販売手数料や、法定監査報酬などと異なり、信託報酬は保有期間中ずっと発生するランニングコストです。 実際には運用会社が3〜6割、販売会社が3〜5割、受託銀行が1〜2割前後を受け取る設計が一般的で、アクティブ型ファンドでは1%超、インデックス型では0.1%台まで低下するケースもあります。 同じファンドタイプなら総経費率 TER(Total Expense Ratio)や実質コストを比較し、長期保有ほど差が拡大する点に留意して商品選択を行うことが重要です。

毎月分配型

毎月分配型とは、投資信託などの金融商品において、運用成果の一部を「毎月」分配金として受け取ることができるタイプのファンドを指します。通常の分配型ファンドは年1回や半年に1回など決まったタイミングで分配金を出しますが、毎月分配型は定期的に現金収入を得られることから、年金代わりや生活費の補填を目的とした投資家に人気があります。 分配金の原資は、運用益に加えて元本の一部が含まれることもあり、その場合は基準価額(ファンドの価格)が徐々に下がる傾向があります。そのため、「分配金が多い=運用が好調」とは限らず、分配の中身を見極めることが重要です。毎月分配型は短期的なキャッシュフローには向いていますが、長期の資産形成を目的とする場合には注意が必要です。

タコ足分配

タコ足分配(特別分配・元本払戻金)は、投資信託が分配金を支払う際に運用収益ではなく投資家の元本を取り崩して充当することを指します。見かけ上は毎回安定した分配が続くものの、ファンドの純資産はその分だけ目減りしている点が最大のリスクです。 特別分配は税務上「元本の払い戻し」とみなされるため、受取時には所得税・住民税とも課税されません。ただし非課税の代わりに保有口数あたりの取得価額がその分だけ引き下げられます。取得価額が下がると将来の売却益が大きく計算されるため、売却時に支払う譲渡所得課税(現行20.315%)が増える可能性があります。短期的には非課税メリットがあるものの、長期的には課税を先送りしているに過ぎない点に注意が必要です。 一方、運用益由来の普通分配は受取時点で課税され、取得価額は変わりません。分配金の内訳が普通分配か特別分配かは、交付目論見書や運用報告書の「分配金の計算明細」で確認できます。高い分配利回りだけに着目せず、分配原資の質とファンドの総合的なパフォーマンスを必ずチェックしましょう。

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