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「租税回避」と「脱税」の違いは何ですか?

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2025/08/05 07:38


男性

30代

question

最近、節税について調べている中で「租税回避」や「脱税」という言葉を目にすることが増えました。どちらも税金を減らす行為のように感じますが、違法性の有無や行為の内容がいまいち分かりません。違いを見分けるポイントや注意点はなんでしょうか?


回答

佐々木 辰

株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長

租税回避と脱税は、どちらも「税金を減らす」という点では共通していますが、法的な位置づけや社会的な評価は大きく異なります。まず、租税回避とは、法律の枠内で税負担を軽減する行為を指し、合法とされています。たとえば、NISAやiDeCoのような非課税制度の活用、不動産投資による減価償却費の計上などは、適法な租税回避に該当します。

一方で、脱税は法律に反して税金の支払いを逃れる行為です。たとえば、売上を申告しない、架空の経費を計上する、帳簿を改ざんするなどが代表的です。脱税が発覚すれば、重加算税や延滞税が課されるだけでなく、場合によっては刑事罰の対象にもなります。

租税回避と脱税の違いは、「形式上合法かどうか」ではなく、「実質的な取引の合理性」が問われる点にあります。たとえ書類上は適法に見えても、実態が乏しく経済的な意味がない取引と判断されれば、課税当局から否認される可能性があります。特に、海外の子会社やペーパーカンパニーを利用したスキームなどは、グレーゾーンとしてリスクが高くなりがちです。

また、脱税が発覚した場合の影響は深刻です。追徴課税に加えて最大40%の重加算税、さらに延滞税が年利14%近くになることもあります。企業であれば社会的信用の失墜、個人であっても金融機関からの信頼低下など、長期的な資産形成に大きな支障をきたします。

資産運用を始めたばかりの方にとっては、「合法的な節税」と「違法な脱税」の境界を正しく理解することが非常に重要です。ネットや雑誌で紹介される節税スキームの中には、制度改正や実態否認リスクを抱えるものもありますので、鵜呑みにせず、必ず税理士など専門家に相談しましょう。

節税対策を講じる際は、取引の証拠資料を整え、実態に即した経済合理性を説明できるようにしておくことも大切です。また、税制や会計制度は年々変化しているため、常に最新の情報をチェックする姿勢も求められます。

結論としては、税務リスクを回避しながら資産を守るためには、「リターンの最大化」だけでなく、「正確な制度理解と遵守」が欠かせません。合法的に制度を活用しながら、長期的な視点で安定した資産形成を目指すことが、初心者にとって最も安全で確実なアプローチだといえるでしょう。

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関連する専門用語

租税回避行為

租税回避行為とは、法律の範囲内で税金の負担を軽くするために、制度のすき間や抜け道を使って税金の支払いを減らす行為のことをいいます。脱税のように法律に違反しているわけではありませんが、税金を課す側の想定と異なるやり方で負担を回避するため、問題視されることがあります。 特に企業や富裕層が複雑な取引や海外の仕組みを利用して行うことが多く、税務当局はこのような行為を封じるために法律の整備を進めています。資産運用を行う際には、合法であっても過度な租税回避は信頼性や評判に影響することがあるため、注意が必要です。

脱税

脱税とは、本来支払うべき税金を、意図的に支払わなかったり、少なく申告したりする違法な行為のことを指します。たとえば、所得を隠したり、経費を水増ししたりすることで、本来より少ない税金で済ませようとする行為が該当します。税金は法律で定められた国民の義務であり、脱税が発覚した場合は、追徴課税や罰金、場合によっては刑事罰を受けることもあります。資産運用の場面でも、利益が出た場合には正しく税務申告を行うことが大切です。投資初心者の方は、知らず知らずのうちに脱税に該当する行為をしてしまわないよう、税金のルールをしっかり確認しておくことが重要です。

追徴課税

追徴課税とは、納税者が申告漏れや誤りによって本来納めるべき税額よりも少なく納税していた場合、税務署が追加で課す税金のことです。過少申告加算税、無申告加算税、重加算税など、状況に応じた種類があります。

重加算税

重加算税とは、納税者が意図的に所得を隠したり、虚偽の申告をしたりするなど、特に悪質な税務違反を行った場合に、通常の税金や過少申告加算税などに加えて課される、ペナルティ的な性格を持つ税金です。たとえば、売上の一部を帳簿に記載しなかったり、架空の経費を計上したりといった行為があった場合に、税務署がその事実を確認すると、重加算税が課されることがあります。課税額は本来納めるべき税額に対して原則35%(場合によってはさらに高くなることもあります)が上乗せされるため、非常に重い負担になります。税制の公平性を保つとともに、不正な申告を抑止する役割を果たしており、税務調査などの際には特に注意が必要な制度です。

経済合理性

経済合理性とは、お金や資源をできるだけ無駄なく使い、最大限の利益や効果を得ようとする考え方のことです。資産運用においては、限られた資金の中でどのように投資すれば最も効率よくリターンを得られるかを判断する際に、この考え方が重要になります。 たとえば、手数料が高い商品よりも低コストで同じ成果が得られる商品を選ぶことや、リスクとリターンのバランスを取って投資判断を行うことなどが経済合理性に基づいた行動です。また、感情や思い込みではなく、客観的なデータや情報に基づいて判断する姿勢も含まれます。投資初心者の方は、商品選びや資金配分の際に「なぜその選択が合理的か」を考えることが、資産を守り育てるための第一歩となります。

税務調査

税務調査とは、税務署などの税務当局が、個人や法人の申告内容が正確かどうかを確認するために行う調査です。収入や経費の記載、納税額に不備がないかを検証し、適切な課税が行われているかをチェックすることが目的です。 調査には、事前通知がある「任意調査」と、重大な脱税の疑いがある場合に裁判所の令状に基づいて行われる「強制調査(査察)」の2種類があります。一般の個人投資家や中小企業が対象となるのは、ほとんどが任意調査で、税務署職員が自宅や事務所を訪れ、帳簿や領収書などの資料を確認します。 資産運用の文脈では、株式の譲渡益、配当収入、海外口座の利子などの申告漏れや過少申告が調査の対象になることがあります。日頃から記録を整理し、適正な申告を行っていれば、過度に不安になる必要はありません。基本的な税知識を持ち、必要に応じて専門家に相談する姿勢が重要です。

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