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家族信託や後見制度で不正があった場合、取り消しや損害賠償を求めることは可能でしょうか?

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2025/05/28 14:21


男性

50代

question

家族信託や任意後見制度は安心できる仕組みだと聞きますが、もし財産を託した相手が不正をした場合、後から取り消しや損害賠償はどのような手続きを経て可能なのでしょうか?法律上の期限や注意点があれば知りたいです。


回答

佐々木 辰

株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長

家族信託や任意後見契約は、高齢期の財産管理を家族に安心して託すための有効な仕組みです。しかし実際には、「もし信頼して任せた人が財産を勝手に使ってしまったらどうしよう」と心配になる方も少なくありません。そうした不正が起きたときに、あとから取り消したり、損害賠償を求めたりするにはどうすればいいのか、また、そもそもそうした事態をどう防げばよいのかを分かりやすくご説明します。

まず、家族信託の場面では、受託者(財産を預かる人)が信託の目的に反して勝手に資産を動かした場合、信託法という法律にもとづいてその行為を取り消せる可能性があります。ただし、取り消しには「気づいてから3か月以内」かつ「行為が行われてから1年以内」という厳しい期限があり、さらに相手方が受託者の違反を知っていた(=悪意だった)ことが条件です。迷ったまま対応が遅れると、取り戻すのが難しくなるリスクがあります。

仮に損害が出ている場合は、受託者に対して損害賠償や元に戻すことを求めることもできます。この場合は「損害とその原因を知ってから5年」または「行為があってから10年」のいずれか早い時点で時効が成立します。

一方、任意後見契約で後見人が不正に財産を使った場合も、民法という法律により、損害賠償を請求することが可能です。この場合は、「損害と加害者を知ってから3年」または「行為時から20年」で時効となります。場合によっては、不当利得の返還を求めることも検討されます。

こうしたトラブルを未然に防ぐには、制度を単に利用するだけでなく、「日常的な見守り体制」をしっかり整えておくことが重要です。次の3つの対策を講じると安心できます。

  1. 契約段階で予防策を組み込む  信託契約や任意後見契約を作成する際に、定期的な報告義務や記録保存、問題発生時の解任条件などをあらかじめ明記しておきましょう。これにより、後々の「言った・言わない」といった争いを防げます。また、報酬の段階的支払いなど、チェック機能を働かせやすくする工夫も有効です。
  2. 日常的な監視体制を構築する  財産管理用の専用口座に、家族や第三者がオンラインで残高や取引履歴を確認できる権限を設定しておけば、不自然な動きを早期に発見できます。また、月次や四半期ごとの収支報告を義務化することで、「見られている」という意識が働き、不正行為の抑止力となります。
  3. 第三者による監督で透明性を確保する  司法書士や弁護士などの専門家に信託監督人や後見監督人として参画してもらうことで安心感が高まります。異変を察知した場合には、家庭裁判所への報告を通じて契約解除や財産凍結などの対応が可能です。さらに、損害保険の活用や定期的な外部監査の導入で、より確実な保護体制を築けます。

そして万が一、口座から見覚えのない出金がある、不自然な振込が続くといった事態が発覚した場合は、できるだけ早く記録の開示を求め、法的な期間内に解約や賠償請求の準備を進める必要があります。行動が早ければ早いほど、財産を守れる可能性は高まります。

信頼して任せることと、きちんと見守ることは両立できます。制度そのものに不安を感じたら、契約内容や監督の仕組みを見直したり、専門家の意見を取り入れたりしながら、あなたやご家族に合った「安心できる仕組み」を準備していくことが大切です。困ったときに動ける備えがあることで、より安心して制度を活用できるようになります。

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家族信託

家族信託とは、ご自身の財産を信頼できる家族に託し、その管理や運用を契約で定めた目的に沿って行ってもらう仕組みです。委託者さまは公正証書で信託契約を締結し、現金や不動産、株式などを信託財産として受託者名義に移転します。これにより、たとえ将来認知症を発症されても資産が凍結されず、受益者さまへ生活費や医療費を継続して届けられる点が大きなメリットです。相続発生後は受益権そのものが相続対象となるため、遺産分割協議を簡素化できる効果も期待できます。 もっとも、家族信託には手続きと費用が伴います。不動産を組み入れる場合は信託登記が必要となり、登録免許税や司法書士報酬、公証人手数料が発生いたします。また、受託者さまは信託口座の開設、収支報告書の作成、信託財産とご自身の財産の分別管理など、煩雑な事務を担う義務があります。税務面では契約締結時に贈与税が課税されることは原則ございませんが、信託財産を売却した際の譲渡所得税や信託終了時の相続税は避けられません。そのため、成年後見制度や遺言信託と比較しながら、費用対効果や家族の負担を総合的に検討することが大切です。

受託者

受託者とは、信託契約に基づいて、委託者から託された財産を管理・運用する人や法人のことを指します。信託の目的や契約内容に従い、受益者の利益を最優先に考えて資産を扱う責任があり、この責任は「受託者責任」と呼ばれます。受託者には、高い倫理観と専門的な知識が求められるのが特徴です。 たとえば、親が子どもの将来の教育資金として自分の資産を信託した場合、受託者はその資産を信託の目的に沿って安全かつ効果的に管理・運用する義務を負います。自分の資産とは明確に分けて管理する「分別管理義務」もあり、不適切な流用は許されません。 信託において受託者は、実際に財産を動かす実務の中心的な役割を担うため、信頼関係が非常に重要です。誰を受託者に選ぶかは、信託設計の成否を左右する大きなポイントであり、専門家や信託会社の活用も選択肢となります。

任意後見

任意後見とは、自分の判断能力が低下する将来に備えて、あらかじめ信頼できる人を後見人として選び、公正証書で契約を結んでおく制度のことをいいます。これは「元気なうち」に本人の意思で準備できる後見制度であり、判断能力が実際に低下したときに、家庭裁判所の監督のもとで任意後見人が正式に活動を開始します。 任意後見人は、本人の財産管理や生活支援などを本人の希望に沿って行うことができるため、自分らしい生活を維持するための手段として注目されています。法定後見と違い、自分で「誰に、何を任せるか」を決めておける点が特徴です。高齢化や認知症のリスクが高まる中で、資産や生活の管理を将来にわたって安心して託すための、重要な準備の一つです。初心者にとっても、「自分の老後を自分で選ぶ」ための有効な制度として知っておく価値があります。

詐害行為取消権

詐害行為取消権とは、債務者が自分の財産をわざと第三者に譲渡したり減らしたりして、債権者からの取り立てを免れようとする行為(詐害行為)に対して、債権者がその行為を取り消すことができる権利のことをいいます。たとえば、借金を抱えた人が、返済を免れるために自宅を家族名義に無償で移してしまうようなケースが該当します。 このような行為が認められてしまうと、債権者が正当に回収できるはずの財産がなくなってしまうため、法律では不公平を防ぐために「詐害行為取消権」という救済措置が用意されています。取消しが認められると、その財産は「なかったこと」として扱われ、債権者が回収できる状態に戻されます。これは債権者が自分の権利を守るための強力な法的手段であり、資産の不正な移転や隠匿を防ぐために重要な役割を果たします。初心者にとっても、債務や相続などで財産の移転が関係する場面では、知っておくと役立つ法律上の概念です。

損害賠償請求

損害賠償請求とは、他人の行為によって自分が損害を受けたときに、その損害を金銭などで補償するよう相手に求める法的な手続きのことをいいます。たとえば、交通事故でけがを負った場合や、契約違反で経済的損失を受けた場合などに、「その損害を補ってほしい」として行う請求がこれにあたります。 損害には、実際にかかった費用(治療費や修理費など)だけでなく、精神的な苦痛や逸失利益なども含まれることがあります。請求が認められるためには、相手に過失や故意があったこと、損害が現実に発生したこと、その損害と行為との因果関係があることなど、いくつかの条件が必要になります。資産運用の文脈では、金融商品や契約において不当な取り扱いや説明不足があった場合、投資家が損害賠償請求を行うこともあります。初心者にとっても、自分の権利を守る手段として理解しておく価値のある基本的な法律用語です。

除斥期間

除斥期間とは、ある権利が成立してから一定の期間が過ぎると、たとえその権利を行使しようとしなくても自動的に消滅してしまう期間のことです。似たような概念に「時効」がありますが、除斥期間は時効のように「主張しないと消えない」のではなく、期間が過ぎれば当然に効力がなくなるという点で大きく異なります。たとえば、不法行為による損害賠償請求権は、発生から20年が経過すると除斥期間により行使できなくなります。この制度は、いつまでも不確定な権利関係が残ることを防ぎ、法律上の安定性や公平性を保つために設けられています。資産運用や相続の分野でも、請求権の有効性を確認するうえで知っておくべき重要な考え方です。

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