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除斥(じょせき)期間とは?資産運用で「もう取り戻せない」を防ぐための基本知識

除斥(じょせき)期間とは?資産運用で「もう取り戻せない」を防ぐための基本知識

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公開:

2025.05.28

更新:

2025.05.28

資産運用で「もっと早く動いていれば…」と後悔しないために知っておくべき、意外と見落とされがちなリスクがあります──それが「除斥期間」です。たとえ悪質な詐欺や親族の不正行為による損害でも、一定の期間が経過すると、法的に取り戻す手段が消えてしまうことも。この記事では、富裕層の資産トラブルで実際に起こり得る除斥期間の影響を、事例とともに詳しく解説します。資産を守るために「時間との戦い」に備えておきませんか?

サクッとわかる!簡単要約

この記事を読むことで、あなたは「除斥期間」という法律上の時限爆弾のような存在について体系的に理解できます。単なる法律用語の解説にとどまらず、実際の投資詐欺や家族信託、相続トラブルなど、富裕層が直面しやすい事例に即した解説を通じて、「いつ・どのようなケースで権利を失うのか」を具体的に把握できます。また、時効との違いや、どんなに正当な主張であっても“動くのが遅ければすべてが水の泡になる”という現実にも気づけます。さらに、兆候の見極め方や初動対応の重要性、専門家との連携のタイミングまで、資産を守る行動指針として実務に直結する知識が得られる内容となっています。

目次

除斥期間とは?

時効との違い──なぜ除斥期間は厳格なのか

資産運用における除斥期間の具体例

投資詐欺・運用トラブルの損害賠償

家族信託や任意後見の不正利用

相続人間の不正行為や名義変更

除斥期間があることで泣き寝入りになるケース

大型投資詐欺の発覚が遅れたケース

家族による信託財産の不正流用ケース

相続財産の隠匿が発覚したケース

除斥期間を意識した「早期対応」のすすめ

兆候を見逃さない

迷わず行動する

専門家に早期相談

専門家に相談するタイミングと方法(無料相談の活用)

除斥期間とは?

除斥期間とは、ある権利が発生してから一定の期間が経過すると、行使の有無にかかわらず自動的にその権利が消滅してしまう法的な期限のことです。例えば、不法行為に基づく損害賠償請求権には「加害行為の時から20年」という除斥期間が民法上で定められており、それを過ぎれば、たとえ損害の存在や加害者を知らなかったとしても請求が認められなくなります。

この制度は、時間の経過とともに証拠が散逸し、関係者の記憶も曖昧になることを前提に、法的な安定性を確保し、長期間にわたる紛争の持ち越しを防ぐ目的で設けられています。除斥期間が経過すると、法的請求ができなくなるだけでなく、事実上の回復手段も失われるため、大きな損失につながるリスクがあります。

特に資産運用や相続の場面では、発覚が遅れやすい不正やトラブルも多く、除斥期間を正しく理解し、早期対応を心がけることが極めて重要です。

ただし、この「一定期間で権利が消滅する」という考え方は、よく似た制度である「時効」と混同されやすい点に注意が必要です。次に、除斥期間と時効の違いを明確に整理しておきましょう。

時効との違い──なぜ除斥期間は厳格なのか

除斥期間と混同されやすいのが「時効(消滅時効)」です。どちらも“時間の経過によって権利を失う”という点では似ていますが、その仕組みや法的効果には大きな違いがあります。

まず、時効の場合は、たとえ期間が過ぎても権利は自動で消滅しません。相手方が「時効の援用」を主張することで初めて効力が発生します。さらに、裁判の提起や内容証明の送付などにより進行を止める「中断」や「停止」といった柔軟な仕組みも用意されています。これにより、実態に応じた救済の余地が残されています。

一方、除斥期間は極めて厳格です。期間の経過そのものに法的効果があり、相手方が何も言わなくても裁判所が職権で権利の消滅を判断します。原則として中断や延長は認められず、たとえ被害者が損害や不正の存在に気づいていなかったとしても、カウントは権利発生時から機械的に進み続けます。

この厳しさには、「いつまでも権利関係を宙づりにせず、社会の法的安定性を保つ」という明確な理由があります。しかし、裏を返せば、動き出すのが遅れただけで正当な主張が封じられてしまうという現実にも直面します。資産を守るためには、この違いをしっかり理解した上で、早期対応の重要性を常に意識しておく必要があります。

資産運用における除斥期間の具体例

資産運用に関連する場面では、除斥期間が原因で権利行使ができなくなるケースがいくつも考えられます。ここでは富裕層の方が直面しがちな具体例を挙げてみましょう。

投資詐欺・運用トラブルの損害賠償

たとえば、悪質な投資詐欺によって多額の被害を受けた場合を考えてみます。被害に遭った直後はショックや混乱で対応が遅れたり、あるいは犯人が巧妙に隠れて被害に気づけないまま時間が過ぎてしまうこともあります。

しかし民法上、不法行為に基づく損害賠償請求権には「加害行為の時から20年」という最長の期間制限が定められており、この20年を過ぎると被害者が損害や加害者の存在を知らなかった場合でも請求権自体が消滅します。たとえば2005年に起きた投資詐欺に気づかず、2025年になってようやく事実を把握したとしても、残念ながら法的には「時すでに遅し」で賠償請求が認められなくなるわけです。

同様に、ファンドマネージャーやアドバイザーによる運用トラブル(不正な運用や横領など)でも、損失補填や損害賠償を求める権利には時間的なリミットがあります。多くの場合、不法行為による損害賠償請求権として扱われ、発生時から20年が経過すると請求不可となるため、発覚が遅れれば泣き寝入りを強いられるリスクが高まります。

特に海外投資案件や未公開株詐欺など、発見が難しいケースでは「まだ大丈夫」と油断しているうちに取り返しがつかなくなる恐れがあるので注意が必要です。

家族信託や任意後見の不正利用

近年、資産承継や認知症対策として家族信託や任意後見契約を活用する富裕層が増えています。しかし、この仕組みを悪用したトラブルも起こり得ます。例えば親族を受託者とした家族信託で、受託者が信託財産を私的に流用していた場合や、任意後見人が被後見人(高齢の親)の預貯金を勝手に使い込んでいた場合です。こうした不正が発覚したとき、被害回復のために信託の解除や損害賠償請求を検討することになりますが、ここでも時間との闘いになります。

そもそもの家族信託の仕組みはこちらの記事をご参照ください。

信託財産の不正流用に対しては、状況によっては詐害行為取消権(さいがいこういとりけしけん)という手段で信託契約や財産移転の取り消しを図ることができます。しかしこの権利にも期限があり、「事実を知った時から2年以内、行為の時から20年以内」に行使しなければならないと定められています。つまり受託者の不正が行われてから20年以上経ってしまうと、たとえ後から気付いても法的には取り消しが認められなくなるのです。

任意後見の不正利用でも状況は似ています。例えば、任意後見人が被後見人の資産を着服していた場合、後になってから親族が損害賠償を請求しようとしても、不正行為の発生から長期間が経過していれば請求権が消滅している可能性があります。せっかく高額の資産を守るために導入した仕組みでも、そこに付け込まれて不正が行われた際に対応が遅れると泣き寝入りになりかねない点に注意が必要です。

相続人間の不正行為や名義変更

富裕層の資産承継では、相続人間のトラブルも発生しがちです。典型的なのが、ある相続人が他の相続人に無断で財産の名義変更を行ってしまうケースや、遺産分割において不正な工作が行われるケースです。例えば、長男が親の死亡直後に預金口座から資金を引き出して隠してしまったり、特定の財産について勝手に自分名義に変えてしまったような場合です。

このような不正に対しては、本来であれば他の相続人が相続回復請求や遺産分割協議の見直しを求めることで対処できます。しかし、ここでも除斥期間の壁が存在します。例えば、遺産分割協議に欺瞞や強迫があった場合、その協議の取り消しは「錯誤・詐欺・脅迫行為から20年」が経過すると認められなくなります(知ってから5年以内という短期の期限もありますが、知らなかった場合でも20年で打ち切られる点が重要です)。

また、相続人が遺留分(いりゅうぶん)を侵害された場合の請求権(遺留分侵害額請求権)も、被相続人の死亡から10年が経過すると、たとえ侵害を知らなくても権利そのものが消滅してしまいます。実際に、親族間で不正があったにもかかわらず長年発覚せず、親の死から10年以上経ってから問題が表面化した時には法的手段が取れなかったというケースも起こり得ます。

遺留分の請求期限についてはこちらのFAQをご参照ください。

除斥期間があることで泣き寝入りになるケース

以上のように、除斥期間によって「本来なら取り戻せたはずの資産を諦めざるを得ない」事態が現実に起こり得ます。実際に富裕層の資産トラブルでも、以下のような泣き寝入りケースが報告されています。

大型投資詐欺の発覚が遅れたケース

被害から20年以上が経過して詐欺が発覚。法律上は損害賠償請求権が既に消滅しており、明確な詐欺被害であっても加害者に法的責任を問えません。泣き寝入りを余儀なくされた被害者は、「もっと早く気付いていれば…」と後悔を募らせています。

家族による信託財産の不正流用ケース

高齢の親の財産を家族信託に預けていたところ、受託者の親族が長年にわたり資産を流用。発覚時には信託設定から20年近く経っており、法的手段(契約取消や損害賠償)が時すでに遅く、資産は回収不能となりました。身内の問題だけに刑事告発も難しく、親族間の関係悪化だけが残る結果となっています。

相続財産の隠匿が発覚したケース

親の死亡後、長男が他の兄弟に内緒で多額の現預金を引き出していたことが15年後に判明。しかし発覚時には遺留分減殺請求(現在の遺留分侵害額請求権)の除斥期間である10年を大幅に超えており、法的には請求権が消滅。他の兄弟は話し合いによる任意の解決を試みましたが、当の長男は取り合わず、結局打つ手がないまま泣き寝入りを強いられました。

このように、一旦除斥期間が経過してしまうとどんなに正当な権利主張でも法律上は認められなくなるため、悔しい結果に終わってしまいます。しかも期限経過後に加害者が任意に応じない限り救済策はなく(任意交渉で金銭を支払ってもらうしかありませんが、協力が得られる保証もありません)、事実上「泣き寝入り」となってしまうのです。

除斥期間を意識した「早期対応」のすすめ

除斥期間という厳しいタイムリミットがある以上、ポイントは“とにかく早めに動くことです。大切な資産を守るために、以下の点を意識して早期対応を心がけましょう。

兆候を見逃さない

資産運用の報告書や口座の動きを定期的にチェックし、普段と違う異変に気付いたら放置しないことが肝心です。例えば、説明のつかない損失、不審な資金移動、家族から伝え聞く怪しい投資話など、小さな兆候も見過ごさずアンテナを張っておきましょう。

迷わず行動する

問題の可能性を感じたら、すぐに初期対応に取り掛かりましょう。具体的には関係資料や証拠となる書類の保全、取引記録の確認、不正の疑いがある人物への事実確認などです。時間が経つほど証拠集めも難しくなるため、「あとでいい」は禁物です。初動の早さがその後の交渉や法的手続きの成否を大きく左右します。

専門家に早期相談

自力で判断せず、できるだけ早めに専門家へ相談することを強くおすすめします。弁護士や信託銀行の相談窓口、司法書士・税理士など、それぞれの分野のプロに状況を説明しアドバイスを受けましょう。専門家は法律上の期限や必要な証拠について的確な助言をしてくれますし、何より早い段階で相談するほど打てる選択肢も増えるものです。

特に弁護士への相談は、争いの見通しや取るべき手段を明確にする意味で重要です。「こんな相談をしていいのだろうか」と迷う前に、一報入れて状況を伝えてみることが肝心です。早期にプロの助言を仰げば、裁判を起こさずとも交渉で解決できる可能性も高まりますし、仮に法的手続きが必要な場合でも期限内に準備・着手する余裕が生まれます。

専門家に相談するタイミングと方法(無料相談の活用)

結論から言えば、専門家への相談は「思い立った今すぐ」がベストです。資産運用に関するトラブルの芽を感じたら、躊躇せずに法律や金融のプロにコンタクトを取りましょう。相談のタイミングが早ければ早いほど、残された時間内で取れる対応策も増え、打てる手が広がります。

では具体的に誰にどう相談すればよいのでしょうか。基本的には、内容に応じて弁護士や司法書士、信託銀行の専門部署などが相談先となります。例えば投資詐欺や横領被害であれば民事・刑事両面に詳しい弁護士、家族信託のトラブルなら信託法務に強い専門家、相続問題なら相続案件に精通した弁護士や司法書士といった具合です。

相続の専門家選びに悩まれる方はこちらの記事とFAQをご参照ください。

大切な資産を守るためには、スピードと適切な助言が大切です。「もしかして…」と感じたその時が行動のタイミング。早期に相談すればするほど、除斥期間というタイムリミットにも十分間に合った解決策を講じることができます。専門家への相談をためらう必要はありません。

投資のコンシェルジュでも富裕層の資産管理に関する無料相談を受け付けておりますので、ぜひお気軽にご利用ください。

この記事のまとめ

除斥期間は「知っていれば防げた」リスクの代表格です。大切なのは、“不安を感じたその瞬間に動くこと”。資産の流出や権利喪失を防ぐには、専門家の助言を早い段階で仰ぐことが不可欠です。弁護士や信託の専門家は、権利の消滅時期を見極め、今打つべき具体的な対応を一緒に考えてくれます。仮に法的手続きが不要な場合でも、交渉や資料保全といった対応策を早期に講じることで、将来的な損失回避につながります。投資のコンシェルジュでも、富裕層向けの無料相談窓口を用意しています。迷ったときこそ、今すぐ一歩を踏み出して、資産を守る道を一緒に見つけましょう。

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投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。

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除斥期間

除斥期間とは、ある権利が成立してから一定の期間が過ぎると、たとえその権利を行使しようとしなくても自動的に消滅してしまう期間のことです。似たような概念に「時効」がありますが、除斥期間は時効のように「主張しないと消えない」のではなく、期間が過ぎれば当然に効力がなくなるという点で大きく異なります。たとえば、不法行為による損害賠償請求権は、発生から20年が経過すると除斥期間により行使できなくなります。この制度は、いつまでも不確定な権利関係が残ることを防ぎ、法律上の安定性や公平性を保つために設けられています。資産運用や相続の分野でも、請求権の有効性を確認するうえで知っておくべき重要な考え方です。

時効

時効とは、一定の期間が経過することで、法律上の権利が消滅したり、逆に新たに取得されたりする制度のことです。 これは、長いあいだ権利を行使しなかった場合や、反対に長期間にわたって安定的に事実関係が続いた場合に、法的な区切りをつけるために設けられています。 代表的なものとして、以下の2つがあります。 - 消滅時効:たとえば、お金を貸していたとしても、一定期間請求しないままでいると、その請求する権利が消滅してしまうことがあります。 - 取得時効:他人の土地を長年にわたって平穏に、かつ継続して使い続けていた場合には、その土地の所有権を取得できることがあります。 このように時効制度は、社会の秩序や公平性を保つために重要なルールです。 権利や財産の状態をいつまでも不安定なままにせず、一定のタイミングで「けじめ」をつける仕組みといえます。 資産運用や相続の場面でも、債権の管理や財産の引き継ぎにおいて影響を及ぼす可能性があるため、基本的なしくみを理解しておくことが大切です。

損害賠償請求

損害賠償請求とは、他人の行為によって自分が損害を受けたときに、その損害を金銭などで補償するよう相手に求める法的な手続きのことをいいます。たとえば、交通事故でけがを負った場合や、契約違反で経済的損失を受けた場合などに、「その損害を補ってほしい」として行う請求がこれにあたります。 損害には、実際にかかった費用(治療費や修理費など)だけでなく、精神的な苦痛や逸失利益なども含まれることがあります。請求が認められるためには、相手に過失や故意があったこと、損害が現実に発生したこと、その損害と行為との因果関係があることなど、いくつかの条件が必要になります。資産運用の文脈では、金融商品や契約において不当な取り扱いや説明不足があった場合、投資家が損害賠償請求を行うこともあります。初心者にとっても、自分の権利を守る手段として理解しておく価値のある基本的な法律用語です。

詐害行為取消権

詐害行為取消権とは、債務者が自分の財産をわざと第三者に譲渡したり減らしたりして、債権者からの取り立てを免れようとする行為(詐害行為)に対して、債権者がその行為を取り消すことができる権利のことをいいます。たとえば、借金を抱えた人が、返済を免れるために自宅を家族名義に無償で移してしまうようなケースが該当します。 このような行為が認められてしまうと、債権者が正当に回収できるはずの財産がなくなってしまうため、法律では不公平を防ぐために「詐害行為取消権」という救済措置が用意されています。取消しが認められると、その財産は「なかったこと」として扱われ、債権者が回収できる状態に戻されます。これは債権者が自分の権利を守るための強力な法的手段であり、資産の不正な移転や隠匿を防ぐために重要な役割を果たします。初心者にとっても、債務や相続などで財産の移転が関係する場面では、知っておくと役立つ法律上の概念です。

家族信託

家族信託とは、ご自身の財産を信頼できる家族に託し、その管理や運用を契約で定めた目的に沿って行ってもらう仕組みです。委託者さまは公正証書で信託契約を締結し、現金や不動産、株式などを信託財産として受託者名義に移転します。これにより、たとえ将来認知症を発症されても資産が凍結されず、受益者さまへ生活費や医療費を継続して届けられる点が大きなメリットです。相続発生後は受益権そのものが相続対象となるため、遺産分割協議を簡素化できる効果も期待できます。 もっとも、家族信託には手続きと費用が伴います。不動産を組み入れる場合は信託登記が必要となり、登録免許税や司法書士報酬、公証人手数料が発生いたします。また、受託者さまは信託口座の開設、収支報告書の作成、信託財産とご自身の財産の分別管理など、煩雑な事務を担う義務があります。税務面では契約締結時に贈与税が課税されることは原則ございませんが、信託財産を売却した際の譲渡所得税や信託終了時の相続税は避けられません。そのため、成年後見制度や遺言信託と比較しながら、費用対効果や家族の負担を総合的に検討することが大切です。

受託者

受託者とは、信託契約に基づいて、委託者から託された財産を管理・運用する人や法人のことを指します。信託の目的や契約内容に従い、受益者の利益を最優先に考えて資産を扱う責任があり、この責任は「受託者責任」と呼ばれます。受託者には、高い倫理観と専門的な知識が求められるのが特徴です。 たとえば、親が子どもの将来の教育資金として自分の資産を信託した場合、受託者はその資産を信託の目的に沿って安全かつ効果的に管理・運用する義務を負います。自分の資産とは明確に分けて管理する「分別管理義務」もあり、不適切な流用は許されません。 信託において受託者は、実際に財産を動かす実務の中心的な役割を担うため、信頼関係が非常に重要です。誰を受託者に選ぶかは、信託設計の成否を左右する大きなポイントであり、専門家や信託会社の活用も選択肢となります。

任意後見

任意後見とは、自分の判断能力が低下する将来に備えて、あらかじめ信頼できる人を後見人として選び、公正証書で契約を結んでおく制度のことをいいます。これは「元気なうち」に本人の意思で準備できる後見制度であり、判断能力が実際に低下したときに、家庭裁判所の監督のもとで任意後見人が正式に活動を開始します。 任意後見人は、本人の財産管理や生活支援などを本人の希望に沿って行うことができるため、自分らしい生活を維持するための手段として注目されています。法定後見と違い、自分で「誰に、何を任せるか」を決めておける点が特徴です。高齢化や認知症のリスクが高まる中で、資産や生活の管理を将来にわたって安心して託すための、重要な準備の一つです。初心者にとっても、「自分の老後を自分で選ぶ」ための有効な制度として知っておく価値があります。

遺産分割協議

遺産分割協議とは、相続人が複数いる場合に、誰がどの財産をどのように受け取るかを話し合って決める手続きのことです。預貯金や不動産、有価証券などすべての遺産が対象になります。原則として相続人全員の合意が必要で、話し合いの結果を「遺産分割協議書」という文書にまとめて、全員が署名・押印します。遺言書がない場合や、遺言があっても一部の財産について分け方が指定されていないときに行われます。もし話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所での調停手続きに進むことになります。

被後見人

被後見人とは、認知症や知的障がい、精神障がいなどによって判断能力が不十分な状態にあるため、法律的な手続きや財産管理を自分一人では適切に行うことが難しいと家庭裁判所に認められ、成年後見制度のもとで後見人の支援を受ける人のことをいいます。 たとえば、不動産の売買や遺産分割、金融商品の契約などを自分で判断して進めることが難しい場合に、後見人が代わりに手続きを行い、被後見人の利益を守ります。被後見人は法律行為を自分だけで有効に行うことができず、後見人の同意や代理が必要になる点が特徴です。資産運用や相続の現場では、被後見人の立場にある方が関わることも多く、適切な支援と手続きを経ることでその人の権利と財産を保護することが求められます。初心者の方にとっても、高齢化社会において重要な制度の一部として理解しておくべき基本的な法律用語です。

相続回復請求

相続回復請求とは、本来の相続人が、自分の相続権を侵害された場合に、その権利を取り戻すために行う法的な請求のことをいいます。たとえば、他人が虚偽の申告や偽造書類を使って相続人を装い、相続財産を不当に取得していた場合に、真の相続人が「自分が正当な相続人である」と主張して、その財産の返還を求めるのが相続回復請求です。 この請求が認められると、不法に取得された財産を取り戻すことが可能になります。ただし、この請求には民法で「相続権を侵害されたことを知ってから5年以内、または相続開始から20年以内」という時効が定められており、期間内に行使しなければ権利が消滅する可能性があります。相続に関するトラブルが起きた際に、自分の権利を主張し、正当な取り分を確保するための重要な制度です。特に遺産分割で不正があった場合に備えて、知っておくと役立つ法的手段です。

遺留分

遺留分とは、被相続人が遺言などによって自由に処分できる財産のうち、一定の相続人に保障される最低限の取り分を指す。日本の民法では、配偶者や子、直系尊属(親)などの法定相続人に対して遺留分が認められており、兄弟姉妹には認められていない。遺留分が侵害された場合、相続人は「遺留分侵害額請求」によって不足分の金銭的補填を請求できる。これは相続財産の公平な分配を確保し、特定の相続人が極端に不利にならないようにするための制度である。

遺留分侵害額請求

遺留分侵害額請求とは、相続人の最低限の取り分である「遺留分(いりゅうぶん)」を侵害された場合に、その不足分に相当する金銭の支払いを求める手続きのことを指します。たとえば、遺言によって特定の相続人だけに多くの財産が渡され、他の相続人が本来もらえるはずの遺留分を受け取れなかったときに、侵害された相続人が他の相続人や受遺者に対してその差額を金銭で請求することができます。 この制度は、相続人間の不公平を防ぎ、一定の相続権を保護するために設けられています。2019年の民法改正により、かつては「遺留分減殺請求」として行われていたものが、現在は金銭による支払いを求める「遺留分侵害額請求」となりました。資産運用や相続の場面では、遺言によって財産の分け方を自由に決める一方で、遺留分という法律上の制約を理解し、トラブルを防ぐための知識として非常に重要です。

信託財産

信託財産とは、信託契約にもとづき委託者が受託者(信託会社や信託銀行など)に預けた現金・株式・不動産といった資産のことです。受託者はこれらの資産を信託目的に沿って管理・運用しますが、信託財産は受託者自身の資産とは厳格に分別管理され、法律上も独立した財産とみなされます。 たとえば投資信託では、投資家から集めた資金が信託財産となり、株式や債券への投資に充てられます。万が一、受託者や販売会社が経営破綻しても、信託財産は分別管理されているため原則として投資家の資産は保護されます。 このように信託財産は、資産を安全に預けて運用を委ねる仕組みの要となる存在であり、信託商品を選択する際には分別管理の仕組みや信託目的を理解しておくことが大切です。

不法行為

不法行為とは、他人に損害を与えるような違法な行為を指し、その結果として被害を受けた人が加害者に対して損害賠償を請求できる法律上の根拠となるものです。たとえば、交通事故で他人をけがさせた場合や、虚偽の情報を流して誰かの名誉を傷つけた場合などが不法行為にあたります。 不法行為が成立するためには、加害者に故意または過失があること、損害が発生していること、そしてその行為と損害との間に因果関係があることが必要です。民法では、被害者が不法行為に基づく損害賠償を請求できる期間(時効)も定められています。資産運用の文脈では、たとえば金融機関が説明義務を怠って損失を招いた場合などに、不法行為として責任を問われるケースがあります。初心者にとっても、自分の権利を守るために重要な基本的な法律概念の一つです。

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