よく聞く103万円や106万円の壁とはなんですか?103万円の壁は廃止されるというのは本当ですか?
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2025/09/02 08:27
女性
30代
正社員の配偶者に扶養で入っている場合、よく「103万円の壁」や「106万円の壁」といった言葉を耳にします。これらの金額を超えると税金や社会保険の負担が増えると聞きましたが、具体的にどのような仕組みで負担が変わるのでしょうか。また、最近は「103万円の壁が廃止される」という話題も見かけますが、本当に制度が変わるのでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
現在よく話題になる「103万円の壁」や「106万円の壁」は、主に配偶者の扶養に入って働く人に関係する制度上の基準です。
まず「103万円の壁」とは、所得税に関わる基準です。給与収入が年間103万円以下であれば、本人に所得税はかからず、配偶者も配偶者控除を受けられます。しかし、103万円を超えると本人に所得税が発生し、配偶者控除の対象から外れる場合があります。ただし、その後は配偶者特別控除が段階的に適用されるため、負担が急に大きくなるわけではありません。
一方で「106万円の壁」は、社会保険に関わる基準です。一定規模以上の企業で働く場合、年収106万円を超えると配偶者の扶養から外れ、自分で健康保険や厚生年金に加入しなければなりません。このため、収入が増えても社会保険料の負担によって手取り額が思ったほど増えないという状況が起こりやすくなります。
また、「103万円の壁が廃止される」という話題については、誤解も含まれています。政府は働く人の就業調整を緩和するための支援策を検討していますが、完全に廃止されるわけではありません。現状では、企業による配偶者手当の見直しや、収入超過に対する補填制度といった取り組みが中心です。
つまり、103万円や106万円の壁は「税金や社会保険料が増える分岐点」を意味しており、完全になくなるのではなく「緩和や支援が進む段階」にあります。収入を増やす際には、税や保険料の負担だけでなく、将来の年金額が増えるといったメリットも考えて判断することが大切です。
関連する専門用語
103万円の壁
103万円の壁とは、配偶者がパートやアルバイトで働く場合に、年間の給与収入が103万円を超えると所得税が発生する基準のことを指します。これは「配偶者控除」という制度と関係が深く、103万円以下であれば、配偶者の所得に応じて世帯主が税金の軽減を受けられますが、103万円を超えるとその控除が一部制限される、または受けられなくなることがあります。そのため、特に主婦や主夫など、扶養の範囲内で働きたい人にとって重要な収入の目安となります。税金や家計に関わるため、手取りを意識する人の間では「壁」として広く知られています。
106万円の壁
106万円の壁とは、パートやアルバイトなどで働く人が年収106万円を超えると、社会保険(健康保険や厚生年金)に加入しなければならなくなる基準額のことを指します。これは特に扶養内で働きたい人にとって重要なラインです。年収が106万円を超えると、自分で保険料を負担する必要が出てくるため、手取り収入が減る可能性があります。 そのため、106万円を超えないように働き方を調整する人も多くいます。対象となるのは、従業員数が一定以上の企業(通常は51人以上)で働いている場合など、いくつかの条件を満たす人です。この制度は、働く人の社会保障を手厚くすることが目的ですが、手取り重視の人にとっては「壁」と感じられることがあります。
配偶者控除
配偶者控除とは、納税者に配偶者がいる場合、一定の条件を満たせば所得税や住民税の計算において課税所得を減らすことができる制度です。具体的には、配偶者の年間所得が一定額以下であれば、納税者の所得から一定金額を差し引くことができるため、結果として支払う税金が少なくなります。この制度は、家計全体の負担を軽減するためのもので、特にパートタイムや扶養内で働く配偶者がいる世帯にとって重要な意味を持ちます。なお、配偶者の収入が一定額を超えるとこの控除が使えなくなるため、「○○万円の壁」といった表現で語られることもあります。資産運用やライフプランを考える際には、税金の仕組みを理解しておくことが大切であり、配偶者控除はその中でも身近で影響の大きい制度のひとつです。
配偶者特別控除
配偶者特別控除とは、配偶者の年収が一定額以下である場合に、納税者の所得から一定の金額を差し引くことができる制度です。この控除を受けることで、所得税や住民税の負担が軽くなります。配偶者控除との違いは、配偶者の所得がある程度ある場合でも段階的に控除が受けられる点にあります。 たとえば、配偶者がパートなどで年間150万円程度まで収入がある場合でも、この制度を活用することで節税が可能です。資産運用においては、世帯全体の手取り額を増やす工夫のひとつとして意識される制度で、特に夫婦で家計を管理する際に重要な視点になります。
社会保険
社会保険とは、国民の生活を支えるために設けられた公的な保険制度の総称で、健康保険、厚生年金保険、雇用保険、介護保険などが含まれます。労働者や事業主が保険料を負担し、病気や高齢による収入減少、失業時の経済的支援を受けることができます。社会全体でリスクを分担し、生活の安定を図る仕組みです。 また、社会保険は万が一の備えとして機能し、資産運用においては「公的保障の不足分をどのように補うか」を考える前提となる存在です。
厚生年金
厚生年金とは、会社員や公務員などの給与所得者が加入する公的年金制度で、国民年金(基礎年金)に上乗せして支給される「2階建て構造」の年金制度の一部です。厚生年金に加入している人は、基礎年金に加えて、収入に応じた保険料を支払い、将来はその分に応じた年金額を受け取ることができます。 保険料は労使折半で、勤務先と本人がそれぞれ負担します。原則として70歳未満の従業員が対象で、加入・脱退や保険料の納付、記録管理は日本年金機構が行っています。老後の年金だけでなく、障害年金や遺族年金なども含む包括的な保障があり、給与収入がある人にとっては、生活保障の中心となる制度です。