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扶養家族とは?いくらまでなら外れないか、条件や仕組みを解説

扶養家族とは?いくらまでなら外れないか、条件や仕組みを解説

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公開:

2025.09.17

更新:

2025.09.17

「扶養に入るか外れるか」で税金や社会保険料が大きく変わることをご存じでしょうか。年収103万円や130万円といった“壁”を少し超えるだけで、手取りが減ったり保険料が発生したりすることがあります。さらに税金の扶養と社会保険の扶養では基準が異なり、誤解すると思わぬ負担増につながります。本記事では、扶養の仕組みを税と社保の両面から整理し、年収ラインごとの影響や手続きの注意点をわかりやすく解説します。

サクッとわかる!簡単要約

この記事を読み終えると、自分や家族の働き方に応じて「どの年収ラインまでなら扶養に入れるのか」が明確にわかり、無駄な税負担や保険料の増加を避けられます。税と社保で異なる扶養の考え方を切り分けて理解できるため、配偶者や子ども、親のケースごとに正しい判断が可能になります。また、異動届の提出期限や必要書類といった実務ポイントも押さえられるので、制度を知るだけでなく実際の手続きにすぐに活かせます。

目次

扶養家族とは?まずは「税金」と「社会保険」2つの意味の違いを理解しよう

税制上の扶養家族(扶養親族)とは?所得税・住民税が安くなる仕組み

社会保険上の扶養家族(被扶養者)とは?保険料の負担がなくなる仕組み

「生計を同一にする」とは?同居・別居での判断基準を解説

履歴書に書く「扶養家族数」とは?税・社保と違う正しい数え方

税制上の扶養(扶養控除)を徹底解説!いくら税金が安くなる?

扶養控除の対象になる家族の4つの条件

扶養控除でいくら戻る?年齢別の控除金額一覧

子供は何歳から扶養控除の対象?16歳未満の扱いに注意

扶養控除の手続きはいつ?年末調整・確定申告での申告方法

扶養控除と配偶者控除の違いは?対象者と控除の仕組みを比較

社会保険の扶養を解説!健康保険・年金の手続きと条件

健康保険の扶養に入るための条件【収入・同居別】

健康保険料・年金保険料の負担がなくなる2つのメリット

加入・脱退の手続きは「被扶養者(異動)届」を原則5日以内に提出

迷ったら公式サイトで確認を|協会けんぽの扶養認定基準

「扶養内で働く」とはいくらまで?年収の壁と手取りへの影響を一覧解説

税金の壁103万円:所得税が発生し、扶養控除がなくなるライン

社会保険の壁130万円:自分で健康保険・年金に加入するライン

その他の壁:106万円・150万円・180万円の壁とは?

自分の年収上限はどう計算する?交通費や賞与の扱い

扶養のよくあるケースと注意点(配偶者・子・親)

パート・アルバイトの配偶者を扶養に入れる際の注意点

大学生・高校生の子供を扶養する際の年収と年齢のポイント

年金をもらっている親を扶養に入れる条件と手続き

75歳以上の親を扶養に入れる際の注意点(後期高齢者医療制度との関係)

扶養の加入・脱退手続きガイド:必要書類と提出先まとめ

家族を扶養に入れるときの税と社会保険の手続き

家族が扶養から外れるときの税と社会保険の手続き

健康保険被扶養者(異動)届の書き方と添付書類

結婚・退職で配偶者の扶養に入る/外れるときの手順

ライフイベント別:年の途中で扶養条件が変わったときの対応

年の途中で扶養から外れたら年末調整はどうする?

パート収入が増えたなど、年の途中で収入見込みが変わったら?

扶養家族とは?まずは「税金」と「社会保険」2つの意味の違いを理解しよう

「扶養」と一言でいっても、実は「税金」と「社会保険」の2種類があり、意味や条件が全く異なります。税金の扶養は納税額を減らすための「扶養控除」に関わり、社会保険の扶養は保険料の負担なく健康保険に加入するための制度です。この章では、まずこの基本的な違いを理解しましょう。

税制上の扶養家族(扶養親族)とは?所得税・住民税が安くなる仕組み

所得税や住民税の計算において「扶養控除」の対象となる親族のことです。納税者が条件を満たす親族を養っている場合に扶養控除を受けられ、納める税金が少なくなります。ただし、配偶者は扶養親族に含まれず、専用の「配偶者控除」の対象となる点に注意しましょう。

社会保険上の扶養家族(被扶養者)とは?保険料の負担がなくなる仕組み

会社員などが加入する健康保険や年金において、その収入で生計を立てる家族のことです。被扶養者になると、自身の保険料負担なしで健康保険に加入できます。扶養されている配偶者は、国民年金保険料の納付も免除されます(第3号被保険者)。税制上の扶養と違い、配偶者も対象に含まれます。

「生計を同一にする」とは?同居・別居での判断基準を解説

税金・社会保険のどちらの扶養でも条件となる考え方で、必ずしも同居は必須ではありません。別居していても、仕送りなどで生活費を支えている実態があれば「生計を同一にする」とみなされます。日常的に生活費を共にしているかどうかが判断のポイントです。

履歴書に書く「扶養家族数」とは?税・社保と違う正しい数え方

履歴書の「扶養家族数」の欄には、原則として社会保険上の扶養家族の人数を記入します。企業が健康保険の手続きや家族手当の支給を判断するために確認するためです。扶養欄がない場合や面接で聞かれた際も、社会保険上の人数を答えましょう。

税制上の扶養(扶養控除)を徹底解説!いくら税金が安くなる?

扶養親族がいると、所得税や住民税の計算時に「扶養控除」が適用され、税金の負担が軽くなります。これは家族を養う人の経済的負担を考慮した制度です。この章では、誰が対象になるのか、いくら控除されるのか、具体的な条件や金額について詳しく見ていきましょう。

扶養控除の対象になる家族の4つの条件

扶養控除を受けるには、扶養する親族が4つの条件をすべて満たす必要があります。親族の範囲、生計、所得、そして働き方の4つの観点から、誰が「扶養親族」に該当するのかを確認しましょう。

条件1:配偶者以外の親族であること(6親等内の血族・3親等内の姻族)

配偶者以外の親族が対象です(血族は6親等内、姻族は3親等内)。配偶者は扶養親族には含まれず、代わりに「配偶者控除」の対象となります。

条件2:納税者と「生計を同一に」していること

納税者と同じ財布で生活していることが必要です。同居していなくても、仕送りなどで生活を支えている場合も含まれます。

条件3:年間の合計所得金額が48万円以下であること

年間の合計所得金額が48万円以下であることが条件です。パートやアルバイトの給与収入のみの場合、年収103万円以下がこの条件に相当します。これは、給与所得控除と基礎控除を差し引くと所得が0円になるためです。

条件4:青色・白色申告者の事業専従者でないこと

納税者が営む事業から、事業専従者として給与を受け取っていないことが条件です。例えば、親の個人商店で働き、そこから給与をもらっている家族は対象外となります。

扶養控除でいくら戻る?年齢別の控除金額一覧

扶養控除の金額は、扶養親族の年齢や同居の状況によって変わります。所得税の計算上、課税対象となる所得から以下の金額が差し引かれます。

区分          対象となる親族の主な条件     所得税の控除額住民税の控除額
一般の控除対象扶養親族年齢16歳以上18歳以下、
および23歳以上70歳未満
38万円33万円
特定扶養親族年齢19歳以上23歳未満
(大学生など)
63万円45万円
老人扶養親族(同居)年齢70歳以上で、
本人や配偶者の父母・祖父母と同居
58万円45万円
老人扶養親族(別居)年齢70歳以上で、上記以外の場合48万円38万円

表の通り、住民税の控除額は所得税とは異なります。実際の計算では、これらの控除額が所得から差し引かれることで、納める税金が少なくなります。

子供は何歳から扶養控除の対象?16歳未満の扱いに注意

扶養控除の対象となるのは、その年の12月31日時点で16歳以上の親族です。そのため、例えば15歳の子供を扶養していても、その年の扶養控除は適用されません。これは児童手当の創設に伴い、年少者への扶養控除が廃止されたためです。

扶養控除の手続きはいつ?年末調整・確定申告での申告方法

扶養控除を受けるための手続きは、働き方によって異なります。

会社員や公務員の場合は、毎年勤務先に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出します。年の途中で家族の状況に変わりがあった際も、その都度申告書を再提出しましょう。

自営業者やフリーランスの場合は、確定申告の際に申告書の所定欄に扶養親族の情報を記入して申告します。

扶養控除と配偶者控除の違いは?対象者と控除の仕組みを比較

これまで見てきたように、配偶者は扶養控除の対象にはなりません。その代わり、配偶者を扶養している場合には、納税者の所得に応じて「配偶者控除」または「配偶者特別控除」が適用されます。

配偶者控除は、配偶者の年間所得が48万円以下(給与収入103万円以下)の場合に受けられます。

一方、配偶者特別控除は、配偶者の所得が48万円を超えても133万円以下(給与収入約201万円以下)であれば、所得に応じて段階的に受けられる控除です。

社会保険の扶養を解説!健康保険・年金の手続きと条件

社会保険の扶養とは、主に会社員などが加入する健康保険や年金に関する制度です。家族がこの扶養に入ると、自身で保険料を払わずに医療サービスを受けられたり、年金保険料が免除されたりします。ここでは、そのための具体的な条件や手続きについて解説します。

なお、事実婚などの内縁関係における社会保険の条件は以下Q&Aで説明しています。

健康保険の扶養に入るための条件【収入・同居別】

健康保険の扶養に入るには、「親族の範囲」「収入」「生計維持」という3つの条件をすべて満たす必要があります。誰が対象で、どのような条件が求められるのか、具体的に見ていきましょう。

対象となる親族の範囲

原則として、扶養者本人と3親等以内の親族が対象です。同居の有無によって、対象となる範囲が異なります。

  • 同居・別居を問わず対象となる親族:親、祖父母、配偶者(事実婚含む)、子、孫、兄弟姉妹
  • 同居が条件となる親族:上記以外の3親等内の親族(おじ・おば、甥・姪など)

収入の条件:「年収130万円未満」の見込みで判断

健康保険の扶養における収入の条件は、税金の計算とは異なるため注意が必要です。

  • 金額:年間収入が130万円未満であること。60歳以上または障害者の場合は180万円未満に緩和されます。
  • 判断基準:過去の実績ではなく、扶養に入る時点からの「将来1年間の見込み収入」で判断します。
  • 収入の範囲:通勤手当など、税法上非課税となるものも収入に含めて計算します。

生計維持の条件:主に扶養者の収入で生活していること

対象の親族が、主に扶養者の収入によって生活していることが条件です。同居か別居かで判断基準が異なります。

  • 同居の場合:親族の収入が、扶養者の年間収入の半分未満であること。
  • 別居の場合:親族の収入が、扶養者からの仕送り額未満であること。

健康保険料・年金保険料の負担がなくなる2つのメリット

社会保険の扶養に入ることには、家計上の大きなメリットがあります。

一つ目は、被扶養者自身の健康保険料の負担がなくなることです。保険料を追加で支払うことなく、扶養者と同じ医療サービスを受けられます。

二つ目は、扶養されている配偶者は「国民年金第3号被保険者」となり、国民年金保険料の納付が免除されることです。

加入・脱退の手続きは「被扶養者(異動)届」を原則5日以内に提出

家族を社会保険の扶養に入れる、または扶養から外す際は、扶養者の勤務先を通じて手続きを行います。具体的には「健康保険被扶養者(異動)届」を、事実が発生してから原則5日以内に提出する必要があります。

迷ったら公式サイトで確認を|協会けんぽの扶養認定基準

扶養の認定基準は加入している健康保険組合によって細かく異なる場合があるため、事前に公式サイトなどで確認すると安心です。なお、自営業者などが加入する国民健康保険には「扶養」という仕組み自体がない点にも注意しましょう。

「扶養内で働く」とはいくらまで?年収の壁と手取りへの影響を一覧解説

パートやアルバイトで働く際によく聞く「年収の壁」。これは、年収が一定額を超えると税金や社会保険料の負担が発生し、かえって手取りが減ってしまうことがある収入ラインのことです。自分に関係するのはどの壁なのか、金額別に影響を見ていきましょう。

税金の壁103万円:所得税が発生し、扶養控除がなくなるライン

年収103万円は、所得税がかかり始めるラインです。これを超えると、働いている本人に所得税の納税義務が生じます。同時に、扶養している親や配偶者は扶養控除を使えなくなるため、扶養者の税負担も増えることになります。

社会保険の壁130万円:自分で健康保険・年金に加入するライン

年収130万円は、社会保険の扶養から外れるラインです。勤務先の規模などに関わらず、この金額以上になると扶養の対象外となります。その結果、自分で国民健康保険や国民年金に加入し、保険料を納める必要があります。

その他の壁:106万円・150万円・180万円の壁とは?

103万円と130万円が代表的な壁ですが、働き方や家族構成によっては、他の年収ラインも重要になります。特に社会保険への加入や配偶者控除に関連する壁について解説します。

106万円の壁:短時間労働者の社会保険加入ライン

従業員51人以上の企業などで、週20時間以上といった条件を満たして働く短時間労働者の場合、年収約106万円で社会保険への加入義務が生じます。130万円未満でも扶養から外れ、保険料の負担で手取りが減ることがあります。

150万円の壁:配偶者特別控除が満額もらえる上限

配偶者の年収が150万円を超えると、扶養者(納税者)が受けられる配偶者特別控除の額が満額から減り始めます。これにより、扶養者の所得税や住民税の負担が少しずつ増えていきます。

180万円の壁:60歳以上または障害者の収入上限

扶養される人が60歳以上または障害者の場合、社会保険の扶養に入れる年収上限が180万円未満に緩和されます。

自分の年収上限はどう計算する?交通費や賞与の扱い

扶養に入れるかどうかを判断する「年収」には、税金の計算では含まないものも加算されるため注意が必要です。特に社会保険の扶養では、以下のものも収入とみなされます。

  • 交通費、通勤手当
  • 賞与(ボーナス)
  • 失業給付、育児休業給付金など

扶養のよくあるケースと注意点(配偶者・子・親)

扶養制度は、家族のライフステージや働き方によって判断が異なる場面が多くあります。ここでは特に相談の多い「パートで働く配偶者」「就職する子供」「年金を受け取る親」の3つのケースに絞り、扶養に入れるかどうかの判断ポイントや注意点を具体的に解説します。

パート・アルバイトの配偶者を扶養に入れる際の注意点

配偶者がパートやアルバイトで働く場合、扶養内でいられる年収の上限は、社会保険と税金でそれぞれ考える必要があります。

社会保険の扶養は、原則として年収130万円未満が条件です。ただし、勤務先が従業員51人以上の企業などで特定の条件を満たす場合は、年収約106万円で社会保険への加入義務が生じ、扶養から外れます。

一方、税制上は、配偶者の年収が150万円以下であれば、扶養者(納税者)は配偶者特別控除を満額受けられます。

大学生・高校生の子供を扶養する際の年収と年齢のポイント

子供が就職して扶養から外れるタイミングは、社会保険と税金で判断基準が異なります。

社会保険の扶養は、就職先の厚生年金・健康保険に加入した時点(通常は入社日)で扶養資格がなくなります。

一方、税法上の扶養控除は、その年1年間の所得見込みで判断します。就職によって年間の合計所得が48万円を超えることが確実な場合、その年は扶養控除の対象から外れます。

年金をもらっている親を扶養に入れる条件と手続き

公的年金を受け取っている親を扶養に入れることは可能です。その際も、社会保険と税金の両面から条件を確認します。

社会保険(健康保険)の扶養は、親の年齢が60歳以上の場合、年金収入などを含めた年間収入が180万円未満であれば対象となります。ただし、別居の場合は仕送りをしていることが条件です。

税法上の扶養は、親の年間合計所得が48万円以下の場合に、老人扶養親族として扶養控除を受けられます。

75歳以上の親を扶養に入れる際の注意点(後期高齢者医療制度との関係)

70歳以上の親を扶養に入れると、税制上は「老人扶養親族」となり、一般の扶養控除よりも控除額が大きくなります。

ただし、社会保険については注意が必要です。75歳になると、すべての人が会社の健康保険の扶養からは外れ、個人単位で「後期高齢者医療制度」に加入することになります。そのため、75歳以上の親は社会保険の扶養には入れません。

扶養の加入・脱退手続きガイド:必要書類と提出先まとめ

家族を扶養に入れる、または扶養から外す際には、所定の手続きが必要です。手続きは「税金」と「社会保険」でそれぞれ異なり、提出する書類や窓口も違います。この章では、誰が・いつ・どこへ・何を提出すればよいのか、具体的な手順を解説します。

家族を扶養に入れるときの税と社会保険の手続き

家族を扶養に入れる際は、税金と社会保険、それぞれの手続きが必要です。どちらも基本的には扶養者の勤務先を通じて行います。

  • 税金の手続き:勤務先に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出します。年の途中で扶養親族が増えた場合も、その都度提出しましょう。
  • 社会保険の手続き:勤務先を通じて「健康保険被扶養者(異動)届」を提出します。続柄を確認する住民票や、収入状況がわかる離職票などの添付書類が必要です。

家族が扶養から外れるときの税と社会保険の手続き

子供の就職や配偶者の収入増などで家族が扶養から外れる場合も、速やかに手続きを行う必要があります。手続きを忘れると、後で追加の税金や医療費の支払いが発生することがあります。

  • 税金の手続き:勤務先に提出済みの「扶養控除等(異動)申告書」を修正し、該当の親族を扶養から外して再提出します。これにより、年末調整が正しく行われます。
  • 社会保険の手続き:勤務先を通じて「健康保険被扶養者(異動)届」を提出します。手続き後、扶養から外れた証明となる「資格喪失証明書」が発行されます。

健康保険被扶養者(異動)届の書き方と添付書類

社会保険の手続きで中心となるのが「健康保険被扶養者(異動)届」です。扶養への加入・脱退のどちらの場合でも提出が必要な重要な書類です。添付書類は状況によって異なります。

添付書類の主な例は以下の通りです。

  • 続柄を確認する書類:戸籍謄本、住民票など
  • 収入を確認する書類:離職票、源泉徴収票、年金額のわかる通知書、給与明細など
  • その他の書類:在学証明書(学生の場合)、仕送り証明(別居の場合)など

結婚・退職で配偶者の扶養に入る/外れるときの手順

結婚、退職、就職といったライフイベントは、扶養手続きが発生する代表的なタイミングです。特に社会保険の手続きには期限があるため、速やかに行動しましょう。

結婚や退職などで配偶者の扶養に入る場合は、事実が発生してから原則5日以内に「健康保険被扶養者(異動)届」を提出します。同様に、就職や収入増で扶養から外れる際も手続きが必要です。会社の担当部署に速やかに届け出ましょう。

ライフイベント別:年の途中で扶養条件が変わったときの対応

年の途中で子供が就職したり、パート収入が増減したりと、家族の状況は変わりやすいものです。そのような場合、扶養に関する手続きも適切に行う必要があります。ここでは、年の途中で扶養の条件が変わった際の「年末調整」と「収入変動」への対応について解説します。

年の途中で扶養から外れたら年末調整はどうする?

年の途中で子供の就職などにより扶養親族の状況が変わった場合は、速やかに勤務先へ「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出し直しましょう。申告を忘れると、年末調整で誤った控除が適用されてしまい、後日、不足分の税金を追加で納めることになる場合があります。

パート収入が増えたなど、年の途中で収入見込みが変わったら?

パート収入の増減などで年の途中に収入見込みが変わった場合、社会保険と税金で扶養の扱いが異なります。

社会保険の扶養は、将来の見込み収入で判断します。そのため、残業などで一時的に収入が増えただけなら、すぐに扶養から外れない場合があります。事業主の証明があれば、扶養を継続できる特例措置も利用可能です。

一方、税法上の扶養控除は、その年1年間の実績所得で判断されます。一時的な収入増であっても、年間の合計所得が48万円を超えた場合、その年は扶養控除の対象外となります。

この記事のまとめ

扶養は税金と社会保険でルールが異なり、誤解すると思わぬ負担増につながります。年収103万・106万・130万・150万・180万円といった壁や「生計同一」「合計所得48万円」の基準を押さえ、状況が変わったら速やかに異動届を提出することが大切です。今の収入や家族構成を基に、扶養に入れるか外れるかを一度整理してみましょう。判断に迷う場合は勤務先の人事部や公的機関に確認し、将来の働き方や資産計画に結びつけることが次の一歩です。

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関連する専門用語

扶養

扶養とは、主に家族の生活を経済的に支えることを指し、税金や社会保険の制度においては特定の条件を満たした家族を「扶養親族」として扱う仕組みをいいます。税制上の扶養に該当すると、扶養する人の所得から一定額が控除され、結果として支払う税金が少なくなります。また健康保険における扶養では、収入の少ない配偶者や子ども、親などを被扶養者として登録することで、その人の医療費が保険でカバーされます。

扶養家族

扶養家族とは、生活費を自分で負担することが難しく、家計を支える人(扶養者)が経済的に援助する家族のことを指す。一般的には、配偶者、子ども、高齢の親などが含まれる。 扶養家族がいる場合、家計の支出が増えるため、収入の安定性や将来の生活設計が重要となる。特に、教育費や医療費などの長期的な支出を考慮し、資産運用のリスクを適切に管理する必要がある。 税制上の扶養控除の対象になる場合もあり、世帯の収入や税負担に影響を与える要素の一つとなる。

扶養控除

扶養控除とは、所得税や住民税を計算する際に、扶養している家族がいる場合にその人数や年齢に応じて課税対象となる所得から一定の金額を差し引くことができる制度です。これにより、税金の負担が軽くなります。対象となるのは、16歳以上の子どもや親などで、生計を共にしており、年間の所得が一定額以下であることが条件です。 子どもが16歳未満の場合は扶養控除の対象にはなりませんが、別途「児童手当」などの支援があります。控除額は扶養親族の年齢や学生かどうかなどによって異なり、たとえば「特定扶養親族(19歳以上23歳未満の子ども)」はより大きな控除額が認められています。税負担を軽減し、家族を支える世帯への配慮を目的とした制度です。

被扶養者

被扶養者とは、健康保険に加入している人(被保険者)に生活の面で養われていて、自分では保険料を払う必要がない家族のことを指します。 一般的には、配偶者、子ども、親などが該当しますが、その人の年収が一定額以下であることなど、いくつかの条件を満たす必要があります。たとえば、専業主婦(または主夫)や収入の少ない学生の子どもなどが典型的な例です。 被扶養者は、自分で健康保険に加入していなくても、扶養している被保険者の健康保険を通じて医療を受けることができ、医療費の一部負担で済みます。 この仕組みによって、家族全体の保険料負担が軽減されるメリットがあります。ただし、就職などで収入が増えた場合には扶養から外れ、自分自身で保険に加入する必要があります。

配偶者控除

配偶者控除とは、納税者に配偶者がいる場合、一定の条件を満たせば所得税や住民税の計算において課税所得を減らすことができる制度です。具体的には、配偶者の年間所得が一定額以下であれば、納税者の所得から一定金額を差し引くことができるため、結果として支払う税金が少なくなります。この制度は、家計全体の負担を軽減するためのもので、特にパートタイムや扶養内で働く配偶者がいる世帯にとって重要な意味を持ちます。なお、配偶者の収入が一定額を超えるとこの控除が使えなくなるため、「○○万円の壁」といった表現で語られることもあります。資産運用やライフプランを考える際には、税金の仕組みを理解しておくことが大切であり、配偶者控除はその中でも身近で影響の大きい制度のひとつです。

配偶者特別控除

配偶者特別控除とは、配偶者の年収が一定額以下である場合に、納税者の所得から一定の金額を差し引くことができる制度です。この控除を受けることで、所得税や住民税の負担が軽くなります。配偶者控除との違いは、配偶者の所得がある程度ある場合でも段階的に控除が受けられる点にあります。 たとえば、配偶者がパートなどで年間150万円程度まで収入がある場合でも、この制度を活用することで節税が可能です。資産運用においては、世帯全体の手取り額を増やす工夫のひとつとして意識される制度で、特に夫婦で家計を管理する際に重要な視点になります。

総所得金額

総所得金額とは、その年1年間に得た給与や事業収入、年金、利子・配当など、所得税の対象となるすべての所得を合計した金額のことです。 まだ控除や経費を差し引く前の“入り口”の数字であり、この金額を基に各種控除を差し引いていくことで課税所得が計算されます。資産運用を行ううえで、自分の投資利益がどれだけ全体の所得に影響するかを把握する第一歩となる概念です。

給与所得控除

給与所得控除とは、サラリーマンや公務員など給与を受け取って働いている人が、税金を計算する際に自動的に差し引かれる控除のことを指します。給与を得るためには通勤費や仕事に必要な支出がかかるため、それを一律に見積もって税負担を軽減する仕組みになっています。 実際の経費を一つひとつ証明する必要がなく、収入金額に応じてあらかじめ決められた金額が控除されます。そのため、給与所得者は自営業者のように細かい経費計算をせずとも、一定の負担軽減が自動的に適用されます。投資や家計管理を考えるうえでは、給与所得控除を差し引いた後の「課税所得」が税金計算の基礎になるため、自分の可処分所得を把握する上で理解しておくことが大切です。

基礎控除

基礎控除とは、所得税の計算において、すべての納税者に一律で適用される控除のことを指す。一定額の所得については課税対象から除外されるため、納税者の負担を軽減する役割を持つ。所得に応じて控除額が変動する場合もあり、申告不要で自動適用される。

所得税

所得税は、個人が1年間に得た所得に対して課される税金です。給与所得や事業所得、不動産所得、投資による利益などが対象となります。日本では累進課税制度が採用されており、所得が高いほど税率が上がります。給与所得者は源泉徴収により毎月の給与から所得税が差し引かれ、年末調整や確定申告で精算されます。控除制度もあり、基礎控除や扶養控除、医療費控除などを活用することで課税所得を減らし、税負担を軽減できます。

住民税

住民税は、居住地の自治体(市区町村および都道府県)に納める地方税で、地域の行政サービスを賄うために使われます。住民税は「所得割」と「均等割」の2つで構成されます。 所得割は、前年の所得に基づき一律の税率(多くの場合10%)で計算されます。一方、均等割は所得に関わらず一律の金額(全国基準では年額5,000円程度)を納める部分です。 住民税は、所得税のような累進課税ではなく比例課税が基本で、納税額は所得や扶養状況などにより異なります。また、住民税は原則として前年の所得に基づき計算されるため、納税は翌年度に行われます。これにより、地域社会の運営を支える重要な財源となっています。

年収の壁

年収の壁とは、一定の年収を超えると税金や社会保険料の負担が発生し、手取り収入がかえって減ってしまうように見える現象を指します。特にパートやアルバイトで働く人にとって重要な考え方であり、代表的なものに「103万円の壁」「106万円の壁」「130万円の壁」「150万円の壁」などがあります。 これらは扶養控除の適用や社会保険加入の条件と関わっており、家計における実際の可処分所得に大きく影響します。投資や資産運用を考えるうえでも、世帯の手取り額を正しく理解することが出発点となるため、年収の壁を把握して働き方や収入計画を調整することが重要です。

103万円の壁

103万円の壁とは、配偶者がパートやアルバイトで働く場合に、年間の給与収入が103万円を超えると所得税が発生する基準のことを指します。これは「配偶者控除」という制度と関係が深く、103万円以下であれば、配偶者の所得に応じて世帯主が税金の軽減を受けられますが、103万円を超えるとその控除が一部制限される、または受けられなくなることがあります。そのため、特に主婦や主夫など、扶養の範囲内で働きたい人にとって重要な収入の目安となります。税金や家計に関わるため、手取りを意識する人の間では「壁」として広く知られています。

106万円の壁

106万円の壁とは、パートやアルバイトなどで働く人が年収106万円を超えると、社会保険(健康保険や厚生年金)に加入しなければならなくなる基準額のことを指します。これは特に扶養内で働きたい人にとって重要なラインです。年収が106万円を超えると、自分で保険料を負担する必要が出てくるため、手取り収入が減る可能性があります。 そのため、106万円を超えないように働き方を調整する人も多くいます。対象となるのは、従業員数が一定以上の企業(通常は51人以上)で働いている場合など、いくつかの条件を満たす人です。この制度は、働く人の社会保障を手厚くすることが目的ですが、手取り重視の人にとっては「壁」と感じられることがあります。

130万円の壁

130万円の壁とは、配偶者や家族の扶養に入っている人が、パートやアルバイトなどで年収130万円を超えた場合に、健康保険や年金といった社会保険に自分で加入しなければならなくなる基準のことを指します。130万円以内であれば扶養のままでいられるため保険料の自己負担はありませんが、超えると自分で保険料を支払う必要があり、手取り収入が減ることがあります。そのため、働く人にとっては年収を調整する目安となり、「壁」と呼ばれています。投資や資産運用とは直接関係しませんが、家庭の可処分所得に影響するため、家計管理の観点から理解しておくことが大切です。

150万円の壁

150万円の壁とは、配偶者がパートやアルバイトで働く際に、年収が150万円を超えると「配偶者特別控除」が徐々に少なくなり、世帯全体の税負担が増える基準のことを指します。150万円以内であれば配偶者特別控除を満額受けられますが、これを超えると控除額が段階的に減っていき、最終的には201万円を超えると控除がなくなります。税金面での負担が増えるため、働き方を調整する目安として「壁」と呼ばれています。投資や資産運用を考える際にも、世帯の可処分所得に影響を与える要素となるため、理解しておくことが大切です。

180万円の壁

180万円の壁とは、配偶者がパートやアルバイトで働く場合に、年収が180万円を超えると「配偶者特別控除」がさらに縮小し、世帯の税負担が増える基準のことを指します。150万円を超えると控除額は段階的に減り始めますが、180万円を超えると控除額は大きく減少し、最終的には201万円を超えると控除がなくなります。 そのため、配偶者の働き方や収入調整を考える家庭にとって、180万円の壁は重要な目安になります。投資や資産運用の観点でも、家計の可処分所得に影響を与えるため、収入ラインと税負担の関係を理解しておくことが大切です。

後期高齢者医療制度

後期高齢者医療制度とは、75歳以上の高齢者(および一定の障害がある65歳以上の方)を対象とした日本の公的医療保険制度です。2008年に創設され、それまでの国民健康保険や被用者保険とは別に、医療費の負担をより明確にし、公平な制度運営を目指して導入されました。 この制度では、対象者は個人単位で保険に加入し、原則として年金からの天引きで保険料を納めます。医療機関を受診した場合には、所得に応じて自己負担割合(原則1割、一定以上の所得がある人は2割または3割)で医療費を支払います。 高齢化が進む中で、医療費の増加にどう対応していくかが社会全体の課題となっており、後期高齢者医療制度はその一つの柱として、安定的な医療提供と財源確保のバランスを図る役割を担っています。資産運用においても、老後の医療費を見積もる際に、この制度の仕組みを理解しておくことは重要です。

扶養控除等申告書

扶養控除等申告書とは、会社員やパート・アルバイトなどが勤務先に提出する書類で、自分に扶養する家族がいるかどうかを申告するためのものです。この書類を提出することで、扶養控除や配偶者控除などの税制上の優遇が受けられ、源泉徴収される所得税の額が少なくなります。通常は年の初めに勤務先へ提出し、提出していない場合は高めの税額が天引きされてしまうため注意が必要です。投資や資産運用を行ううえでも、可処分所得を増やすために税負担を軽減することは大切であり、この申告書はその第一歩となる基本的な手続きです。

健康保険被扶養者異動届

健康保険被扶養者異動届とは、会社員などが加入している健康保険において、扶養に入っている配偶者や子どもなどの状況が変わったときに提出する書類のことを指します。例えば、扶養家族が就職して自分の社会保険に加入した場合や、収入が基準を超えて扶養の条件から外れる場合に必要になります。 この届出を行うことで、健康保険証の返却や被扶養者資格の削除が行われ、保険制度が正しく運用されます。提出は勤務先を通じて健康保険組合に行うのが一般的で、就職先の保険証の写しや収入を証明する書類が求められることもあります。手続きを怠ると後から資格喪失が遡って適用され、医療費の返還や追徴が発生するリスクがあるため、異動が生じたら速やかに対応することが大切です。

年末調整

年末調整とは、会社員や公務員などの給与所得者が1年間に納めるべき所得税の額を、年末に雇用主が計算し直して精算する手続きのことです。通常、毎月の給与からあらかじめ見込みで所得税が源泉徴収されていますが、年末に実際の収入や各種控除(配偶者控除、扶養控除、保険料控除など)を反映させて正確な税額を算出し、過不足を調整します。 税金を払いすぎていた場合には還付され、足りなかった場合は追加で徴収されることがあります。年末調整によって、多くの給与所得者は確定申告をしなくても納税が完結する仕組みになっており、手間の軽減と課税の公平性を両立させる重要な制度です。ただし、自営業者や副業収入がある人、医療費控除や住宅ローン控除を受けたい人などは、年末調整だけでは対応できず、別途確定申告が必要になります。

確定申告

確定申告とは、1月1日から12月31日までの所得を計算して翌年の2月16日から3月15日に申告し、納税する手続き。多くの会社では年末調整を経理部がしてくれるが、確定申告をすると年末調整では受けられない控除を受けることができる場合もある。確定申告をする必要がある人が確定申告をしないと加算税や延滞税が発生する。

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