専業主婦に生命保険は必要ですか?
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2025/10/15 09:13
男性
30代
専業主婦の場合、自分の収入がないため「生命保険は必要ないのでは?」と感じています。しかし、もし自分に万一のことがあった場合、残された家族の生活費や子どもの教育費、家事・育児の外部委託費などをまかなう必要があると思います。夫が働き続けながら家事や育児を担うのは現実的に難しいため、専業主婦にも一定の保障が必要なのか知りたいです。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
基本的に専業主婦に生命保険は不要ですが、必要な場合があります。理由は、収入がないことよりも「家庭内で担っている経済的な役割」の大きさにあります。家事や育児、介護などを外部に依頼すれば費用がかかり、万一の際には残された家族の生活費だけでなく、家事代行や保育サービスなどの支出が増えます。
夫が働きながらそれらをすべて担うのは現実的ではないため、専業主婦の「労働の代替コスト」を考慮して一定の保障を備えることが重要です。
必要な保障額は、子どもの自立までにかかる外部委託費や教育費、葬儀費用などの一時金を合算し、貯蓄や夫の収入、公的給付で補える分を差し引いて算出します。
専業主婦は国民年金の第3号被保険者なので、子どもがいる場合には遺族基礎年金を受け取れますが、遺族厚生年金は受け取れないため、生活費補填には限界があります。こうした制度の範囲を確認したうえで、不足分のみ民間の保険でカバーするのが合理的です。
保険商品としては、必要な期間だけをカバーできる定期保険や収入保障保険が現実的です。子どもが小さい時期など、支出が増える期間に絞って保障を設計すれば保険料負担を抑えられます。終身保険は貯蓄目的で加入すると過剰になりやすいため、基本的には必要最低限にとどめましょう。医療やがん保険は、入院費を貯蓄でまかなえるかどうかを基準に考えれば十分です。
子どもが未就学で実家の支援を受けにくい家庭では、専業主婦に万一があると家計への影響が大きくなります。一方で、子どもが成長していたり貯蓄が十分にある場合は、保険が不要なケースもあります。共働きを予定している場合は、期間を短めに設定し、生活環境の変化に合わせて見直すことが大切です。
最初に家事・育児の内容を洗い出し、外部委託する場合の費用を見積もると必要な保障額が明確になります。その上で、教育費や葬儀費などを加算し、貯蓄や公的給付で差し引いた不足分を保険で補えば無駄がありません。過大な保険は家計を圧迫するため、年1回の見直しを習慣化すると良いでしょう。
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遺族基礎年金
遺族基礎年金とは、国民年金に加入していた人が亡くなったときに、その人に生計を維持されていた一定の家族(主に子どもがいる配偶者や子ども自身)に支給される年金です。これは公的年金制度のひとつで、生活保障を目的としており、主に子育て世帯を対象にしています。たとえば、夫が亡くなり、子どもを育てる妻がいる場合、その妻に遺族基礎年金が支給されます。受給の条件には、亡くなった人が保険料を一定期間納付していたことや、受け取る側に対象となる子どもがいることなどが含まれます。支給額は定額で、子どもの人数に応じた加算もあります。子どもが一定年齢に達すると支給は終了します。家計を支える人を失ったときに、遺族の生活を一定期間支援する大切な制度です。
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終身保険とは、被保険者が亡くなるまで一生涯にわたって保障が続く生命保険のことです。契約が有効である限り、いつ亡くなっても保険金が支払われる点が大きな特徴です。また、長く契約を続けることで、解約した際に戻ってくるお金である「解約返戻金」も一定程度蓄積されるため、保障と同時に資産形成の手段としても利用されます。 保険料は一定期間で払い終えるものや、生涯支払い続けるものなど、契約によってさまざまです。遺族への経済的保障を目的に契約されることが多く、老後の資金準備や相続対策としても活用されます。途中で解約すると、払い込んだ金額よりも少ない返戻金しか戻らないこともあるため、長期の視点で加入することが前提となる保険です。