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子どもの教育費はいつ・いくら必要? (1)

子どもの教育費はいつ・いくら必要?大学までの総額や公立・私立の平均費用と貯め方・支援制度活用を徹底解説

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公開:

2025.09.14

更新:

2025.09.14

教育資金

教育費は人生の中でも大きな支出であり、進路選択によって総額が大きく変わります。文部科学省の調査によれば、幼稚園から大学まで全て公立なら約1,000万円、全て私立では約2,500万円に達するとされ、特に大学入学時の費用負担は家計に直結します。

さらに2024年の児童手当拡充や2025年度に始まる多子世帯の大学授業料無償化など、制度改正の動きも見逃せません。

本記事では「教育費はいつ・いくら必要か」を時期別に整理し、公立・私立の平均額や備え方、支援制度の活用まで徹底解説します。

サクッとわかる!簡単要約

この記事を読むと、小中高大にかかる教育費の全体像と、入学初年度に特に大きな負担が生じる点を理解できます。大学で自宅外通学を選ぶと年間120万円以上の生活費が追加で必要になるリスクも把握できます。

さらに、目標額300万円なら月1.4万円、500万円なら月2.3万円の積立で到達できる具体的な目安が得られます。児童手当の全額貯蓄、つみたてNISA、学資保険という代表的な方法の違いや、2024年の児童手当拡充や2025年度の多子世帯無償化といった最新制度を活用する戦略まで整理でき、実際の資金計画に結びつけられます。

目次

まずは夫婦で共通認識を|そもそも「教育費」に何が含まれる?

教育費の3つの内訳(学校教育費・給食費・学校外活動費)

総額の目安:幼稚園から大学まで公立で約1,000万円、私立なら約2,500万円

学齢別:子どもの教育費はいつ・いくらかかる?公立・私立の平均費用

小学校6年間の教育費|公立約202万円 vs 私立約1,097万円

中学校3年間の教育費|公立約163万円 vs 私立約468万円(塾代が増加)

高校3年間の教育費|公立約179万円 vs 私立約309万円

大学4年間の教育費|国公立約250万円・私立文系約420万円〜

進路選択で総額はこう変わる|教育費の概算シミュレーション

進路パターン別 教育費総額の目安(比較表)

シミュレーションで考慮すべき3つのポイント

子どもが2人・3人の場合は?教育費のピークと乗り越え方

年齢差で変わる負担の波|ピークが「同時に来る」か「断続的に続く」か

対策1:児童手当は全額貯蓄するなど積立を前倒しする

対策2:奨学金や教育ローンも選択肢に入れ、資金調達ルートを複数確保する

2025年度から「子ども3人以上」で大学授業料が無償化へ

教育費「いくら」「どうやって」貯める?目標設定から具体的な貯め方まで

目標額の基本は「大学4年間でかかる費用」をまず準備すること

貯め方1:児童手当を全額貯蓄するだけで200万円以上貯まる

貯め方2:NISAなどを活用し、時間を味方につける(2026年以降はこどもNISAも)

貯め方3:学資保険で「強制的」に貯める仕組みを作り、保障も確保する

知らないと損!教育費の負担を軽くする国の7つの制度

制度1:高校の授業料は「就学支援金制度」で実質無償化

制度2:大学の費用は「修学支援新制度」で授業料減免&給付型奨学金

制度3:多子世帯(子ども3人以上)は大学授業料が無償に【2025年度以降】

制度4:奨学金には返済不要の「給付型」と卒業後返済の「貸与型」がある

制度5:「児童手当」の拡充で高校卒業まで給付(所得制限なし)

制度6:小中学生向け「就学援助制度」で給食費や学用品費を支援

制度7:祖父母からの援助は「教育資金贈与の非課税制度」が活用できる

計画倒れしない!夫婦で教育費について話し合う4つのポイント

ポイント1:まずは「わが家の教育方針」の理想と現実をすり合わせる

ポイント2:具体的な費用シミュレーションを「二人で一緒に」行う

ポイント3:「誰が・いつまでに・どうやって」貯めるか役割分担を決める

ポイント4:年に一度は計画を見直し、状況変化に柔軟に対応する

まずは夫婦で共通認識を|そもそも「教育費」に何が含まれる?

教育費の計画を立てる前に、まず「教育費」の範囲と総額の目安について夫婦で認識を合わせることが重要です。授業料以外に何が含まれるのか、進路によって総額はどれくらい変わるのか。ここでは、計画の土台となる教育費の定義と全体像を分かりやすく解説します。

教育費の3つの内訳(学校教育費・給食費・学校外活動費)

「教育費」には、授業料以外にも様々な費用が含まれます。文部科学省の調査では、①授業料や制服代などの「学校教育費」、②給食費、③塾や習い事などの「学校外活動費」を合計したものを「学習費総額」と定義しています。受験費用や部活動費なども含まれるため、家庭ごとの必要額を把握するには、これらの内訳を含めて考える必要があります。

総額の目安:幼稚園から大学まで公立で約1,000万円、私立なら約2,500万円

子ども一人にかかる教育費の総額は、進路によって大きく異なります。公的な調査によると、幼稚園から大学まで全て公立なら約1,000万円、全て私立なら約2,500万円が目安です。この金額は塾の費用などを含んだ平均値であり、特に大学在学中が費用のピークになる点は共通しています。私立は大学だけでなく小学校の費用も高額です。教育費は総額で数百万円以上かかるという点を、まず夫婦で共有することが大切です。

学齢別:子どもの教育費はいつ・いくらかかる?公立・私立の平均費用

子どもの成長段階に応じて、教育費は変化します。ここでは公的データに基づき、小学校から大学までの学習費総額を公立・私立別に解説します。特に入学金などで支出が膨らむ入学初年度の費用も示しますので、いつ、いくら必要になるのか具体的な目安としてください。

学齢期間公立私立
小学校6年間約202万円約1,097万円
中学校3年間約163万円約468万円
高校3年間約179万円約309万円
合計12年間約544万円約1,874万円
小・中・高校の学習費総額(比較表)

※文部科学省の調査データを基にした学習費総額(授業料、給食費、塾代などを含む)

小学校6年間の教育費|公立約202万円 vs 私立約1,097万円

項目(6年間合計)公立私立
学習費総額約202万円約1,097万円
入学初年度の費用約35万円約167万円

公立小学校の学習費総額は6年間で約202万円ですが、私立は約1,097万円と5倍以上になります。授業料や設備維持費により、公立の5.4倍もの差が生じます。特に私立は入学初年度だけで約167万円と負担が大きく、その多くを入学金や授業料が占めます。早い段階からまとまった資金準備が必要です。

公立小学校の授業料は無償ですが、給食費や教材費などの実費負担は発生します。学童保育費などを含めると、公立でも6年間で200万円前後を見込む必要があります。教育費が比較的低い小学校段階ですが、私立を選ぶか否かで家計への負担は大きく異なります。

中学校3年間の教育費|公立約163万円 vs 私立約468万円(塾代が増加)

項目(3年間合計)公立私立
学校教育費約45万円約361万円
学校外活動費(塾など)約107万円約100万円
入学初年度の費用約54万円約144万円
総額約163万円約468万円

中学校3年間の学習費総額は、公立が約163万円、私立が約468万円です。私立は公立の約2.9倍と、依然として大きな差があります。特に私立の入学初年度は約144万円と負担が大きく、入学金や授業料がその大半を占めます。中学から私立を選ぶ場合、入学時に100万円以上の負担が生じる点に注意が必要です。

公立中学校も授業料は無償ですが、給食費や部活動費などがかかります。また、表からも分かる通り、公立では学校外活動費(塾など)が3年間で約107万円と、学校でかかる費用を上回るのが特徴です。学習内容が高度になる中学時代は、塾の費用がかさむ傾向にあります。

高校3年間の教育費|公立約179万円 vs 私立約309万円

項目(3年間合計)公立私立
学校教育費約94万円約219万円
学校外活動費(塾など)約74万円約79万円
入学初年度の費用約51万円約105万円
総額約179万円約309万円

高校3年間の学習費総額は、公立が約179万円、私立が約309万円です。差額は約130万円と小中学校より縮まりますが、私立の入学初年度は約105万円と、依然として大きな負担となります。

公立高校の授業料は就学支援金制度により実質無償ですが、教科書代や部活動費などは自己負担です。大学受験に向けた塾通いも本格化し、公立でも3年間で約74万円の学校外活動費がかかります。一方、私立はカリキュラムが充実している場合も多く、学校外活動費は公立と大差ないというデータもあります。

大学4年間の教育費|国公立約250万円・私立文系約420万円〜

大学進学は教育費の最大の山場です。国公立か私立か、また文系か理系かによって、数百万円単位の差が出ると考えておきましょう。

進路4年間の学費総額(目安)
国公立大学約250万円
私立大学(文系)約420万円
私立大学(理系)約560万円
大学4年間の学費総額

4年間の学費総額は、国公立大学で約250万円が目安です。一方、私立大学は文系で約420万円、理系では約560万円が平均的な金額です。医歯系学部に至っては、6年間で2,000万円を超えることも珍しくありません。

注意点:自宅外通学なら生活費が年間120万円以上追加に

大学進学では、学費とは別に、自宅外で暮らす場合の生活費も考慮すべきです。首都圏での一人暮らしなら、家賃や食費などで年間120万円程度、4年間で約500万円が追加で必要になります。例えば、国公立大学へ自宅外から通う場合、学費と生活費の合計は750万円ほどになります。仕送りなどの生活費を含めて、進学費用を計画することが重要です。

進路選択で総額はこう変わる|教育費の概算シミュレーション

「すべて公立」「すべて私立」だけでなく、家庭の方針によって進路の組み合わせは様々です。どのタイミングで私立を選ぶかによって、教育費の総額は大きく変わります。ここでは代表的な進路パターン別の費用をシミュレーションし、計画を立てる際のポイントを解説します。

進路パターン別 教育費総額の目安(比較表)

以下の表は、幼稚園から大学卒業までにかかる子ども一人あたりの教育費の目安です。

進路パターン総額の目安特徴
① オール公立約1,000万円最も費用を抑えられる基本的なプラン。
② 高校のみ私立約1,200万円公立ベースに、高校の選択肢を広げるプラン。
③ 大学のみ私立(文系)約1,300万円最も多くの家庭が選択する現実的なプランの一つ。
④ 中学から私立約1,700万円中高一貫校などを視野に入れたプラン。
⑤ 小学校から私立約2,400万円早期から私立の教育環境を選択するプラン。
⑥ オール私立約2,500万円最も費用がかかるプラン。

※上記は子どもが自宅から通学した場合の平均的な費用です。

シミュレーションで考慮すべき3つのポイント

総額を試算する際は、基本費用に加えて以下の点も考慮に入れることが重要です。

ポイント1:私立への進学タイミング

上の表からも分かるように、私立に進学するタイミングが早いほど教育費の総額は大きくなる傾向があります。特に小学校から私立に通うと、高校卒業までの費用が公立に比べて1,000万円以上高くなるため、大学費用と合わせると総額が大きく膨らみます。「どの段階まで公立を基本とし、いつから私立を選択肢に入れるか」が、計画の大きな分岐点となります。

ポイント2:自宅外通学の費用

大学進学などで子どもが一人暮らしをする場合、学費とは別に生活費がかかります。家賃、食費、光熱費などを含めると、年間100万円以上、4年間で400万〜500万円の追加費用を見込む必要があります。進学先を選ぶ際は、この生活費の差も判断材料の一つとして親子で話し合っておくとよいでしょう。

ポイント3:受験対策など見えにくい費用

シミュレーションには、受験そのものにかかる費用も別途考慮しておきましょう。中学や高校、大学の受験を考えるなら、学習塾や模試、受験料などが発生します。特に難関校を目指す場合は、小学校高学年から塾に通うなど、まとまった費用がかかることも念頭に置いておく必要があります。

子どもが2人・3人の場合は?教育費のピークと乗り越え方

子どもが複数いる家庭では、教育費の負担が重なる時期が訪れます。しかし、子どもの年齢差による負担のパターンを理解し、計画的に準備すれば乗り越えることは可能です。ここでは、教育費のピーク時期と具体的な対策、利用できる支援制度について解説します。

年齢差で変わる負担の波|ピークが「同時に来る」か「断続的に続く」か

兄弟姉妹の年齢差によって、負担のピークは「断続的に続く」か「同時に来る」かに分かれます。

3歳差のように年齢が離れていると、長子の大学入学と次子の高校入学が重なるなど、数年おきに大きな支出が続きます。一方、双子や年子のように年齢が近いと、大学入学が重なるなど、一時的な支出が極端に大きくなります。

いずれの場合も、支出のタイミングが家計に大きく影響します。例えば、年子で私立大学に進学した場合、兄弟が同時に在学する期間の学費は年間200万〜300万円を超える可能性があります。総額は同じでも、家計への圧迫の仕方が異なるため、より計画的な資金準備が重要になります。教育費のピーク時には他の大きな支出を控えるなど、家計全体のメリハリをつけたやりくりも効果的です。

対策1:児童手当は全額貯蓄するなど積立を前倒しする

教育費のピークに備える最も確実な方法は、早い段階から準備を始めることです。特に、自動的に入ってくるお金を計画的に貯蓄へ回す仕組み作りが有効です。ここでは、誰でも始めやすい積立の前倒しについて解説します。

子どもが小さいうちから貯蓄を始め、上の子の教育費がかかる時期にも、下の子の資金を並行して準備することが理想です。例えば、支給される児童手当を全額貯蓄に回すだけでも、将来の大きな助けになります。早期から計画的に準備することで、着実に資金を確保できます。

対策2:奨学金や教育ローンも選択肢に入れ、資金調達ルートを複数確保する

貯蓄だけで全ての教育費を賄うのが難しい場合もあります。その際は、公的な融資や奨学金制度を賢く利用することも有効な手段です。いざという時に慌てないよう、どのような選択肢があるのか事前に知っておきましょう。

どうしても貯蓄だけでは足りない場合に備え、奨学金や教育ローンの活用も視野に入れておきましょう。例えば、日本政策金融公庫の「国の教育ローン」は、入学時の不足分を補うのに役立ちます。また、日本学生支援機構(JASSO)の奨学金を兄弟で利用時期を調整し、一時的な親の負担を平準化する方法もあります。ただし、貸与型の奨学金は将来子ども自身が返済する負担が残る点も考慮が必要です。

2025年度から「子ども3人以上」で大学授業料が無償化へ

近年、少子化対策の一環として、多子世帯への経済的支援が拡充されています。特に2025年度から始まる大学授業料の無償化は、対象となる家庭にとって大きな助けとなります。制度の概要と注意点を解説します。

2025年4月から、扶養する子どもが3人以上いる世帯を対象に、大学の授業料などを実質無償化する制度が始まります。国公立大学の授業料(年間約54万円)や私立大学の平均的な授業料(年間約70万円)相当が免除される見込みです。ただし、長子が卒業して扶養から外れると対象外になるなど、兄弟の在学タイミングが条件となる点には注意が必要です。こうした制度も活用し、具体的な試算と対策を夫婦で話し合っておくことが大切です。

教育費「いくら」「どうやって」貯める?目標設定から具体的な貯め方まで

教育費の準備は、まず目標額を決め、次に具体的な貯め方を実践する2ステップで考えます。ここでは、いつまでに「いくら」を目指すべきか、そして「どうやって」貯めるのか、今日から始められる3つの具体的な方法を解説します。

目標額の基本は「大学4年間でかかる費用」をまず準備すること

教育費の準備で最初のステップは、具体的な目標額を設定することです。漠然と貯めるのではなく、最も大きな山場となる大学費用を目安にすることで、月々の積立額が明確になります。まずは現実的なゴールを設定しましょう。

目標300万円なら月々1.4万円、500万円なら月々2.3万円(0歳から18年積立の場合)

子どもが生まれたらすぐに積立を始めるのが理想です。例えば、18年後の大学入学までに300万円を貯めるなら月々約1.4万円、500万円を目指すなら月々約2.3万円の積立が必要です。早く始めるほど、月々の負担を軽くできます。

貯め方1:児童手当を全額貯蓄するだけで200万円以上貯まる

教育費を貯める最も手軽で確実な方法は、国から支給される児童手当を貯蓄に回すことです。手を付けずに貯めるだけで、大学入学までにまとまった資金になります。まずはこの方法から始めてみましょう。

児童手当を計画的に貯蓄へ回すことは、教育費準備の大きな柱になります。2024年10月から制度が拡充され、所得制限なく高校卒業相当まで支給されるようになりました。この児童手当を使わずに貯蓄するだけでも、18年間で200万円以上の資金を確保できます。給与天引きの財形貯蓄や積立定期預金などを活用し、自動的に貯まる仕組みを作るのも確実な方法です。

貯め方2:NISAなどを活用し、時間を味方につける(2026年以降はこどもNISAも)

現在の低金利では、預貯金だけで教育費を準備するのは効率的とは言えません。長期間の準備期間を活かし、NISAなどの非課税制度を利用した資産運用を取り入れることで、お金にも働いてもらうことを検討しましょう。

教育費の準備期間が10年以上あるなら、資産運用の活用も有効です。近年はNISAなど少額から始められる非課税制度も充実しています。例えば月2万円を年利3%で18年間運用できれば、元本432万円が約570万円に増える試算もあります。もちろん元本割れのリスクはありますが、現在の低金利下では預貯金だけで資産を増やすのは困難です。

さらに2026年度以降、未成年も利用可能な「こどもNISA(子ども支援NISA)」の導入が検討されています。年間120万円程度のつみたて投資枠、無期限の非課税保有、柔軟な引き出しなど、より使いやすい制度設計が期待されています。

大切なのは、リスクを取りすぎないことと、大学入学が近づく高校生頃には預貯金などの安全資産へ移し、リスクを管理することです。

NISAがどのような仕組みかは、こどもNISAも含め以下記事で詳しく解説しています。

貯め方3:学資保険で「強制的」に貯める仕組みを作り、保障も確保する

コツコツ貯めるのが苦手な方や、万一の事態に備えたい方には、貯蓄と保障を兼ね備えた学資保険も選択肢の一つです。着実に資金を確保できる安心感が最大のメリットです。その特徴と注意点を解説します。

学資保険は、子どもの進学時期に合わせて満期金が受け取れる貯蓄型の保険です。契約者である親に万一のことがあった場合、以降の保険料支払いが免除される保障機能も付いています。近年は低金利で大きな増益は期待できませんが、「確実に貯められる」という安心感が支持されています。保険料として自動的に引き落とされるため、計画的に貯めるのが苦手な家庭にも向いています。ただし、途中解約すると元本割れする商品が多いため、無理のない保険料設定が重要です。

学資保険がどのような保険か、その選び方などは以下記事で詳しく解説しています。

知らないと損!教育費の負担を軽くする国の7つの制度

教育費の負担は、国の支援制度を賢く利用することで大幅に軽減できます。近年は少子化対策で制度が拡充されており、知っているかどうかで家計に大きな差が生まれます。ここでは、申請しないと利用できない主要な教育費支援制度について、その概要と活用法を解説します。

制度1:高校の授業料は「就学支援金制度」で実質無償化

高校進学にかかる費用のうち、最も大きな割合を占める授業料の負担を軽減する制度です。国公立だけでなく私立高校に通う生徒も対象となり、家庭の所得に応じて支援が受けられます。まずはご自身の世帯が対象になるか確認してみましょう。

この制度により、世帯年収の目安が910万円未満の家庭に授業料支援が行われます。例えば、年収590万円未満の世帯では、私立高校の平均授業料に相当する年39万6,000円が上限として支給されます。

また、2025年度は所得制限が一時的に撤廃されており、全世帯に公立高校の授業料相当額(年11万8,800円)が支給されています。この制度で授業料負担は大きく減りますが、教科書代などは自己負担のため、別途準備が必要です。

制度2:大学の費用は「修学支援新制度」で授業料減免&給付型奨学金

経済的な理由で大学などへの進学を諦めることがないよう、意欲ある学生を支援する制度です。対象となる世帯の学生は、「授業料・入学金の減免」と「返済不要の給付型奨学金」という2つの支援を同時に受けることができます。

住民税非課税世帯など、一定の所得基準を満たす家庭が対象です。例えば年収380万円未満の3人世帯の場合、国公立大学の授業料は全額免除、私立大学も年70万円程度が減額されます。さらに、返済不要の奨学金が毎月支給されるため、進学のハードルを大きく下げることができます。支援対象になるか、高校3年時に学校を通じて確認しましょう。

制度3:多子世帯(子ども3人以上)は大学授業料が無償に【2025年度以降】

子どもが3人以上いる「多子世帯」の大学費用負担を軽減するため、2025年度から始まった新しい支援制度です。所得制限なく利用できるのが大きな特徴で、対象となる家庭は大学にかかる費用を大幅に抑えることができます。

扶養する子どもが3人以上いる世帯を対象に、大学の授業料と入学金が免除されます。国立大学で年間約54万円、私立大学の平均的な授業料である年間約70万円が上限です。ただし、長子が卒業して扶養から外れると対象外になるなど、兄弟の在学タイミングが条件となる点には注意が必要です。

制度4:奨学金には返済不要の「給付型」と卒業後返済の「貸与型」がある

授業料や生活費など、大学在学中に必要なお金を学生本人に支援する制度です。親の貯蓄だけでは不足する場合の有力な選択肢となります。返済が不要な「給付型」と、卒業後に本人が返済する「貸与型」の2種類があります。

日本学生支援機構(JASSO)の奨学金が代表的で、多くの学生が利用しています。給付型は所得などの条件が厳しいですが、貸与型は比較的利用しやすくなっています。貸与型には無利息の第一種と、利息が付く第二種があります。卒業後の返済負担は残りますが、在学中の家計を支える重要な手段です。

制度5:「児童手当」の拡充で高校卒業まで給付(所得制限なし)

子どもを育てる全世帯を対象に、国から給付される手当です。2024年の制度改正で所得制限が撤廃され、支給期間も高校卒業まで延長されました。この手当を確実に貯蓄することで、将来の教育費の大きな原資とすることができます。

この手当を毎日の生活費に使うのではなく、子どもの将来のために貯蓄・運用に回すことが重要です。手を付けずに貯めるだけでも、第1子で総額約200万円、第3子以降なら400万円を超える資金を準備できます。公的給付を教育費の土台とし、不足分を計画的に積み立てましょう。

制度6:小中学生向け「就学援助制度」で給食費や学用品費を支援

経済的に就学が困難な家庭を対象に、自治体が小中学校でかかる費用の一部を援助する制度です。義務教育期間中の費用負担を軽減し、すべての子どもが安心して学べるようにすることを目的としています。

所得が一定基準以下の世帯を対象に、給食費や学用品費、修学旅行費などが支給されます。基準や支援内容は自治体によって異なりますが、給食費を無償化している自治体も増えています。対象になるか分からない場合でも、まずは学校やお住まいの自治体に相談してみましょう。

制度7:祖父母からの援助は「教育資金贈与の非課税制度」が活用できる

祖父母などが孫の教育資金をまとめて援助する場合に、贈与税が非課税になる制度です。一度にまとまった資金を贈与できるため、入学金や授業料など大きな支出に備える際に有効です。この制度は2026年3月31日まで利用できます。

30歳未満の子や孫を対象に、最大1,500万円までの教育資金の贈与が非課税となります。対象となる使途は、入学金や授業料、塾の月謝など幅広く認められています。利用には金融機関での専用口座開設と領収書の管理が必要になるため、詳細は金融機関や税務署でご確認ください。

教育資金贈与については以下Q&Aでも説明しています。

計画倒れしない!夫婦で教育費について話し合う4つのポイント

教育費の準備で最も大切なのは、夫婦間の協力です。知識を得た後は、具体的な計画を立て、共有することが不可欠。ここでは、計画倒れを防ぎ、納得感のあるゴールを目指すための話し合いの4つのステップを紹介します。

ポイント1:まずは「わが家の教育方針」の理想と現実をすり合わせる

計画の第一歩は、夫婦で教育に関する価値観を共有することです。「子どもにどんな経験をさせたいか」という理想と、「家計としてどこまで支援できるか」という現実の両面から話し合い、方針の土台を作りましょう。

まずは「子どもにどんな教育を受けさせたいか」「親としてどこまで支援するか」という基本方針を共有しましょう。「大学までは支援したい」「本人が望むなら私立も検討したいが、家計とのバランスを考えたい」など、夫婦の価値観をすり合わせることが大切です。そうすることで、目標とすべき費用の概算が見えてきます。また、最終的には子どもの希望を尊重することも含め、柔軟な方針を話し合っておくと良いでしょう。

ポイント2:具体的な費用シミュレーションを「二人で一緒に」行う

教育方針が決まったら、次はその方針に沿って必要額を具体的に数値化します。この作業を夫婦が一緒に行うことで、教育費に対する当事者意識を共有し、現実的な資金計画を立てることができます。

方針に沿って、必要な教育費を夫婦で試算してみましょう。これまでのデータを参考に「この進路なら総額〇〇万円」といったライフプラン表を作ることをお勧めします。住宅ローンや老後資金など、他のライフイベントと合わせた家計全体のキャッシュフローを可視化すれば、教育費にいくら充てられるか、不足する時期はいつかが見えてきます。この作業を一緒に行うことで、数字への共通認識が生まれます。

ポイント3:「誰が・いつまでに・どうやって」貯めるか役割分担を決める

目標額が決まったら、それを達成するための具体的な実行計画に移ります。「誰が、いつまでに、どうやって」貯めるのか、夫婦で明確な役割分担を決めることで、計画が絵に描いた餅で終わるのを防ぎます。

次に、教育資金をどう捻出するか、夫婦で役割分担を決めます。例えば「児童手当は全額貯蓄に回す」「ボーナスから〇万円を積み立てる」など、具体的なルールを作りましょう。共働きならどちらの収入から、片働きなら家計からいくら出すのかを話し合います。祖父母からの援助が見込めるかどうかも、この段階で現実的に話し合っておくと、より精度の高い計画になります。

ポイント4:年に一度は計画を見直し、状況変化に柔軟に対応する

教育費の計画は、一度立てたら終わりではありません。家計の状況や子どもの希望は変化するものです。定期的に計画を見直し、柔軟に修正していくことで、現実との乖離を防ぎ、目標達成の確度を高めます。

経済状況の変化や、子どもの希望(留学や特定の進路など)に応じて、計画は変わるものです。年に一度は夫婦で貯蓄の進捗を確認し、見通しを点検する時間を設けましょう。計画とのずれがあれば、積立額を増やす、あるいは子どもと進路について改めて話し合うなど、その都度柔軟に対応していくことが大切です。

教育費は家計に大きく関わる問題だからこそ、夫婦二人が納得して方針を決めることが何より重要です。どちらか一方が不満を抱えたままでは、計画の継続が難しくなります。オープンに話し合い、協力して進めていきましょう。

この記事のまとめ

教育費は家計に大きな影響を与えるライフイベントです。児童手当の全額貯蓄を基盤に、非課税制度を活用した長期運用や進学前の安全資産への移行で段階的に備えることが安心につながります。さらに、就学支援金や給付型奨学金、多子世帯への無償化制度などを組み合わせれば、負担を一層軽減できます。ただし家庭ごとに資金の流れや制度適用は異なり、漠然とした不安を解消するには数字に落とし込んだ計画と専門的な視点が不可欠です。投資のコンシェルジュの無料相談では、教育費と資産運用を総合的に整理し、最新制度を踏まえた具体的なシミュレーションを受けられます。

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就学支援金制度とは、主に高校に通う生徒の学費負担を軽くするために、国が授業料の一部または全部を支給する制度です。この制度は、世帯の収入状況に応じて支給される金額が変わる仕組みになっており、一定の年収以下の家庭では、全額が補助される場合もあります。対象となるのは公立高校や私立高校で、学校の種類にかかわらず利用できることが多いです。申請は学校を通じて行うことが一般的で、毎年更新の手続きが必要です。この制度は教育の機会を平等にするために設けられており、家計に無理なく子どもを高校へ進学・在学させられるようにすることを目的としています。

修学支援新制度

修学支援新制度とは、大学や短期大学、専門学校などの高等教育機関に進学する学生が、経済的な理由で進学をあきらめることがないように、授業料の減免と給付型奨学金を組み合わせて支援する国の制度です。2018年に法律が成立し、2020年から本格的に実施されています。世帯の収入が一定以下であることが主な対象条件であり、住民税非課税世帯やそれに準ずる世帯の学生が対象となります。授業料の減免に加えて、返さなくてもよい給付型奨学金が支給されるため、経済的な不安を抱える家庭の学生でも安心して進学・修学ができるようになっています。進学先の学校が制度の対象校であることが必要であり、申請と審査を経て支援が決まります。

貸与型奨学金

貸与型奨学金とは、学生が進学や修学のために必要な資金を借りることができる奨学金の一種で、卒業後に返済が必要となる制度です。日本では主に日本学生支援機構(JASSO)が実施しており、利子がつかない「無利子型」と、利子がつく「有利子型」に分かれています。 貸与金額は学生の希望や進学先の条件によって選ぶことができ、多くの場合は月額で定められ、在学中に毎月支給されます。卒業後の返済は、就職後に収入のある中で少しずつ返していく仕組みですが、返済が長期間にわたることもあるため、将来の家計設計に影響を及ぼすこともあります。そのため、貸与型奨学金を利用する際には、返済計画や利息の有無をよく理解してから申し込むことが大切です。

国の教育ローン

国の教育ローンとは、日本政策金融公庫が提供している、公的な教育資金の貸付制度のことです。このローンは、主に大学や専門学校などに進学する子どもを持つ家庭を支援する目的でつくられており、民間の教育ローンに比べて金利が低く、返済期間も長く設定されています。 また、世帯年収などの条件に応じて利用できるため、特に中低所得層の家庭にとっては心強い選択肢となります。返済は在学中からでも卒業後からでも選ぶことができ、将来の家計への影響を計画的に考えながら利用することが大切です。

こどもNISA

こどもNISAとは、未成年の子ども名義で資産運用を行うための制度で、正式には「ジュニアNISA」と呼ばれていました。2023年までに新規の口座開設は終了しましたが、保有している資産は2024年以降も非課税で運用を続けることができます。 この制度では、年間一定額までの投資による利益が非課税となるため、子どもの将来の教育資金や自立資金を効率的に準備する手段として活用されていました。保護者が代理で運用を行う仕組みになっており、18歳までは原則として引き出すことができないという制限がありました。制度の終了により、現在は新たに「こども向けのNISA」は存在しませんが、今後の資産形成を考える上で過去の制度を理解しておくことは大切です。

学資保険

学資保険とは、子どもの教育資金を計画的に準備するための保険商品で、一定期間保険料を支払うことで、子どもの進学時期(中学・高校・大学入学など)に合わせて祝い金や満期保険金が受け取れる仕組みになっています。保険であるため、契約者(通常は親)に万が一のことがあった場合でも、以後の保険料の支払いが免除され、満期時には予定どおりの給付金が支払われる点が大きな特徴です。 貯蓄機能と保障機能が組み合わさっており、「教育費を積み立てながら万一に備えたい」と考える家庭に人気があります。ただし、途中解約すると元本割れするリスクがあるため、長期的な資金計画としての活用が前提となります。初心者の方にとっては、預貯金とは違う形で将来の教育資金を準備できる手段のひとつとして、選択肢に入れて検討する価値があります。

就学援助制度

就学援助制度とは、経済的に困難な状況にある家庭の子どもが、小学校や中学校で安心して学べるように、学用品費や給食費などの学校生活に必要な費用を援助する自治体の制度です。 この制度は法律に基づいて市区町村が実施しており、所得や家計の状況によって援助の対象が決まります。援助される内容は、学用品、通学用品、校外活動費、修学旅行費、給食費など多岐にわたります。保護者が申請し、審査を通過することで支給が決まり、原則として毎年申請が必要です。義務教育を受ける子どもたちが経済的な理由で不利益を受けることがないようにすることが、この制度の目的です。

教育資金一括贈与非課税制度

教育資金一括贈与非課税制度は、祖父母や父母などの直系尊属が30歳未満の子や孫に対して教育目的で資金を贈与する場合、一定の条件を満たせば最大1,500万円まで贈与税が非課税になる特例制度です。制度は当初期限付きで導入されましたが、複数回の延長を経て、現在は2026年3月31日までに金融機関と管理契約を結んだ贈与が対象となっています。 非課税の上限1,500万円には内訳があります。学校や大学などに直接支払う授業料や入学金などは1,500万円まで非課税ですが、塾や習い事、スポーツ教室など学校以外の教育関連費用は500万円が限度です。両者の合計で2,000万円まで非課税になるわけではなく、あくまで総額1,500万円の範囲内での適用となる点に注意が必要です。 贈与された資金は、信託口座や金融機関の専用口座に預け入れ、支出のたびに領収書などを提出して教育目的で使ったことを証明する必要があります。制度の運用上、契約期間中に自由に解約することはできず、資金を無駄なく使い切るためには、あらかじめ支出の見込みに応じた計画的な贈与額の設定が求められます。 受贈者が30歳を迎えた時点で使い残した資金がある場合、そのうち2023年4月1日以降に拠出された分については、一般の贈与税率で課税されます。従来適用されていた特例贈与税率(直系尊属からの贈与に対する低率課税)は使えなくなっており、課税負担が重くなる可能性もあるため、使い切る時期と金額の見通しを立てた上での利用が重要です。 また、贈与者が生前に亡くなった場合、その時点での使い残し残高は、相続財産に加算され相続税の課税対象となります。2023年度の税制改正により、この残高課税は贈与からの経過年数にかかわらず一律で適用されるようになりました。さらに、贈与者の資産総額が5億円を超える場合は、受贈者が23歳未満や学生であっても例外なく残高が相続税の対象になります。 この制度は、祖父母世代などが早期に教育資金を移転し、若年世代の教育支援を行う手段として有効ですが、一方で制度上の制約や税務リスクも存在します。非課税枠の使い方や残高の管理、贈与者・受贈者双方の年齢やライフステージに応じた資金計画を立てることが、制度を効果的に活用する鍵となります。

給付型奨学金

給付型奨学金とは、返済の必要がない奨学金のことで、経済的に厳しい家庭の学生でも安心して進学・修学ができるように支給される金銭的な支援制度です。この制度では、授業料や生活費の一部に充てることができ、受給者は卒業後に返金する義務がありません。主に国の制度としては、日本学生支援機構(JASSO)による支援が有名で、住民税非課税世帯やそれに準ずる世帯の学生を対象としています。支給を受けるためには、学力や家計の状況、進学先の種類などいくつかの条件を満たす必要があります。給付型奨学金は、将来の負債を抱えることなく学ぶ機会を提供するもので、教育の機会均等に大きく貢献しています。

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