MOVE指数が低いときはリスクを取るべきなのでしょうか?
MOVE指数が低いときはリスクを取るべきなのでしょうか?
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2025/03/21 18:34
男性
40代
そもそもMOVE指数が低いというのは、どういう意味なのでしょうか? それがなぜ投資のチャンスと言われるのかもよく分かりません。例えば、過去にMOVE指数が低かったときに、実際にリスク資産の価格が上がったことが多かったのでしょうか? 逆に、MOVE指数が低くても市場が下がることはないのでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
MOVE指数が低水準にあるということは、米国債オプション市場が“金利は当面大きく動かない”と見ている証しであり、債券価格の変動リスクが抑えられた状態を映します。金利への不安が薄れると、相対的にリスク資産へ資金が流れやすくなるため「投資好機」と呼ばれるわけです。実際、過去に指数が30〜50ポイント台に収まっていた 2013年や 2020年後半〜2021年前半には米国株が力強く上昇しました。
ただし、低ボラティリティは必ずしも“安全”を保証しません。2007年前半のようにMOVE指数が落ち着いていながら信用不安が水面下で蓄積していた局面では、その後リーマン・ショックが発生しマーケットが急落しました。静けさはしばしば過度な楽観の裏返しであり、指数が沈静化しているほど反転時の値動きは急激になりやすい点に注意が必要です。
したがって、MOVE指数は「金利ボラティリティ」を測る一指標に過ぎず、これ単独で投資判断を下すことは危険です。実務では①株式ボラティリティを示すVIX、②クレジットスプレッドやCDSなど信用リスク指標、③景気サイクルや企業収益見通し、④FRBの政策スタンスと流動性環境――といった情報を併読し、市場心理とファンダメンタルズの両面を検証することが不可欠です。
特にMOVE指数が異例の低水準で停滞している場合は、ポジション過多になっていないか点検し、プットオプションや金利ヘッジを活用するなど下振れリスクへの備えを行うと安心感が高まります。結局のところ、「MOVEが低い=リスク資産に追い風」の図式はあくまで確率論に過ぎません。指数の動向をきっかけに市場の楽観・警戒のバランスを読み取りつつ、分散投資とリスク管理の基本を崩さないことが長期的な成果につながります。
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MOVE指数(move index)
MOVE指数(ICE BofAML U.S. Bond Market Option Volatility Estimate Index)は、ICEが算出・公表する米国債市場のボラティリティを示す指標であり、「債券市場のVIX指数」とも呼ばれる。米国債の先行き変動リスク(予想変動率)を測定し、特に米国債先物の1カ月物オプションのノーマライズド・インプライド・ボラティリティを基に算出される。イールドカーブ上の2年、5年、10年、30年物の国債を加重平均して構成されており、金利変動リスクを示す代表的な指標とされる。指数が上昇すると、債券市場の不確実性が高まっていることを意味し、金融政策の変更や市場の混乱時に特に注目される。
リスク資産
リスク資産とは、市場の変動によって価格が上下し、投資元本が増減する可能性のある資産のことを指す。代表的なものとして、株式、投資信託、外国為替、コモディティ(原油や金など)、不動産などがある。 これらの資産は、長期的に見ればリターンが期待できる一方で、短期的には価格が大きく変動することがある。そのため、リスク資産を運用する際は、投資の目的や期間、リスク許容度を考慮したポートフォリオの設計が重要となる。
ボラティリティ
ボラティリティは、投資商品の価格変動の幅を示す重要な指標であり、投資におけるリスクの大きさを測る目安として使われています。一般的に、値動きが大きい商品ほどそのリスクも高くなります。 具体的には、ボラティリティが大きい商品は価格変動が激しく、逆にボラティリティが小さい商品は価格変動が穏やかであることを示します。現代ポートフォリオ理論などでは、このボラティリティを標準偏差という統計的手法で数値化し、それを商品のリスク度合いとして評価するのが一般的です。このため、投資判断においては、ボラティリティの大きい商品は高リスク、小さい商品は低リスクと判断されます。
VIX指数(恐怖指数)
VIX指数は、シカゴ・オプション取引所(CBOE)が公表する、市場の「価格変動の大きさ(ボラティリティ)」を示す指数です。主にS&P500指数のオプション価格をもとに算出され、今後30日間の市場の不安感を表します。 一般に「恐怖指数」とも呼ばれ、数値が高くなるほど投資家の不安が高まり、リスク回避の動きが強くなっていることを意味します。特に金融市場が混乱する局面では、VIXが急上昇する傾向があります。
CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)
CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)とは、企業や国などが債務不履行(デフォルト)に陥った場合の損失に備えるための金融契約であり、信用リスクに対する“保険”のような役割を果たします。債券などに投資している投資家が、一定の保険料(CDSスプレッド)を支払うことで、対象となる債券が返済不能になった際に損失補填を受けられる仕組みです。 CDS契約は、リスクを回避したい投資家(CDSの買い手)と、そのリスクを引き受けて保険料を受け取る金融機関など(CDSの売り手)の間で交わされ、参照債務と呼ばれる特定の企業や国の債券などを保証対象とします。取引は通常、店頭(OTC)で行われ、透明性や流動性には限界がある点にも注意が必要です。 たとえば、ある国の国債に対して返済懸念が高まると、その国のCDSスプレッドが上昇します。これは市場がその国の信用リスクを高く見ていることを示すシグナルであり、CDSスプレッドは一般に年間保険料率としてベーシスポイント(bps)単位で表示されます(例:150bpsは年間1.5%の保険料を意味します)。 CDSは個別債券の信用リスク評価にとどまらず、CDXやiTraxxなどのインデックスを通じて、金融市場全体の信用不安を測る指標としても活用されます。特に金融危機や地政学的リスクが高まった場面では、CDS市場の動向が注目されます。 初心者の方は、「万が一お金が返ってこなくなったときに備える保険のような契約」とイメージすると、理解しやすいでしょう。
FRB(Federal Reserve Board/米連邦準備制度理事会)
FRB(Federal Reserve Board、米連邦準備制度理事会)は、米国の中央銀行制度であるFRS(Federal Reserve System)の中核をなす組織である。FRSは、ワシントンD.C.にあるFRB(理事会)と、全米に分布する12の地区連邦準備銀行(連銀)から構成される。 FRBの主な役割は、金融政策を通じて米国経済の安定を図ることであり、その目的として「最大雇用(Maximum Employment)」と「物価の安定(Stable Prices)」という2つの目標(デュアルマンデート)を掲げている。これらの目標を達成することで、米国経済の持続的な成長を促す。 FRBは、日本の日本銀行に相当する機関であり、政府から独立した中央銀行として運営されている。ただし、完全に独立しているわけではなく、議会に対して定期的に金融政策の報告を行うなど、説明責任を負っている。

