Loading...

MENU

投資の知恵袋>

純金融資産とはなんですか?普通の金融資産とはどのような違いがありますか?

回答受付中

0

2025/09/19 09:02


女性

30代

question

ニュースや金融記事で「純金融資産」という言葉をみかけました。金融資産といえば、預貯金や株式、投資信託などをイメージしますが、「純金融資産」とはそれらと何が違うのでしょうか?


回答

佐々木 辰

株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長

純金融資産とは、手元の金融資産の合計から、住宅ローンやカードローンなどの金融負債の合計を差し引いた金額のことです。式にすると「純金融資産=金融資産-金融負債」です。ここで言う金融資産には、現金・預貯金、株式、投資信託、債券、外貨、保険の解約返戻金、確定拠出年金の評価額などが含まれます。いっぽうで「金融資産」は差し引き前の総額を指します。つまり、金融資産は“保有額の総量”、純金融資産は“借入を差し引いた実力値”という違いがあります。

純金融資産は、純資産(正味財産)とも混同されがちですが別物です。純資産は「金融資産と実物資産の合計から総負債を引いたもの」で、マイホームや土地、車、貴金属などの実物資産も入ります。純金融資産は実物資産を含めない点が大きな違いです。家計の安定性や投資に回せる余力を判断するには、まず純金融資産を把握すると実務的に役立ちます。

集計するときは三つのポイントをそろえると精度が上がります。まず評価額は“時価”で統一します。株式や投信は最新残高、保険は解約返戻金ベース、年金は評価額で記録します。次に負債は残高と金利を同じ一覧に並べます。変動金利の住宅ローンやリボ払いなど、金利が高い負債ほど家計のリスクになるためです。最後に流動性の区分を付けます。すぐ使える資金(現金・普通預金)と、解約や売却に時間やコストがかかる資産(保険、定期、退職給付など)を分けると、緊急時の耐性が見えます。暗号資産は金融資産に含めてよいですが、価格変動が大きいため評価日を必ず記録しましょう。

数値例でイメージを確認します。世帯Aは金融資産が1,200万円(預貯金500、投信300、株式300、保険100)、負債が3,000万円(住宅2,800、教育200)とします。この場合、純金融資産は1,200万円-3,000万円=マイナス1,800万円です。投資の拡大より、固定費の見直しや金利交渉、繰上げ返済の余力づくりが優先課題になります。世帯Bは金融資産3,500万円、負債300万円なら、純金融資産は3,200万円です。市場変動に耐える余力が高く、長期投資の比率を上げやすい家計と言えます。

純金融資産を投資判断に生かすコツは三つあります。まずは安全資金の確保です。生活費の三〜六か月分は流動性の高い資産で持ち、それを超える部分からリスク資産へ回します。次に負債コストの最適化です。長期の想定リターン(年率三〜五%程度を想定することが多い)より金利の高い借入は、投資より返済を優先したほうが家計効率が上がる場合が少なくありません。最後に目標別の“バケット運用”です。数年内に使う資金(教育、車検、住宅修繕)は低リスク枠、老後資金は長期成長枠というように、目的ごとに器を分けて配分します。

注意点も押さえておきましょう。含み益への税金や売買手数料、保険の解約控除は、純金融資産の数字にすぐ反映されません。精緻に把握したいときは「税・費用差引後」の見込み額も別途試算します。確定給付型の企業年金のように現金化の自由度が低いものは、現在価値の把握が難しいため参考情報として別枠管理が無難です。マイホームなど実物資産の比率が大きい世帯では、純金融資産がマイナスでも直ちに危険とは限りませんが、流動性不足のリスクは高い点に留意してください。

まとめると、金融資産は“どれだけ持っているか”の総額で、純金融資産は“借入を差し引いた実力”です。家計のバランスシートを作成し、時価評価・負債情報・流動性の三点をそろえて見える化したうえで、安全資金の確保、金利の高い負債の圧縮、長期分散投資への配分という順序で進めると、初心者でも無理なく失敗しにくい運用計画になります。

佐々木 辰さんに相談する
コンシェルジュ編集部に相談CTA

関連記事

アセットアロケーションとは?資産配分を最適化する考え方を徹底解説

アセットアロケーションとは?資産配分を最適化する考え方を徹底解説

2025.07.01

難易度:

基礎知識投資理論ポートフォリオ運用

関連する専門用語

純金融資産

純金融資産とは、個人や世帯が保有する金融資産のうち、借金などの負債を差し引いたあとの純粋な資産のことを指します。たとえば、預貯金や株式、投資信託、保険などの「プラスの資産」から、住宅ローンやカードローンなどの「マイナスの資産(負債)」を差し引いた金額が純金融資産です。この数値がプラスであれば、資産が負債を上回っていることを意味し、経済的に安定した状態といえます。 逆にマイナスであれば、借金の方が多いということになります。純金融資産は、家計の健全性を判断するうえで重要な指標とされており、資産運用を考えるうえでもまず自分の純金融資産がどの程度あるのかを把握することが大切です。

金融負債

金融負債とは、個人や企業が将来的に返済しなければならないお金のことで、金融機関などからの借り入れやローン、クレジットカードの未払い残高などが含まれます。たとえば、住宅ローンや自動車ローン、教育ローン、カードローンなどが代表的な金融負債です。 これらは資産形成の一部として計画的に活用されることもありますが、返済能力を超える借入は家計を圧迫し、資産運用にも悪影響を与える可能性があります。金融負債は、資産と対になる存在であり、純金融資産を算出する際には必ず考慮されます。自身の財務状況を正しく把握し、健全なバランスで管理することが、安定した資産運用の第一歩となります。

純資産

純資産とは、総資産から総負債を差し引いた残余価値を指し、企業や個人が保有する「正味の持ち分」を示します。たとえば総資産が1億円、総負債が4,000万円なら純資産は6,000万円となり、この値がプラスであれば財政基盤は概ね健全、マイナスであれば将来の資金繰りに注意が必要だと判断できます。 企業では貸借対照表の「純資産の部」に計上され、株主資本(資本金・資本剰余金・利益剰余金など)とその他包括利益累計額が主要項目です。純資産は自己資本比率やROEの分母となり、財務健全性や資本効率を測定する起点になる指標です。利益の内部留保や株式発行が増加要因となる一方、赤字計上や配当、自己株式取得は減少要因となります。また時価評価差額や為替換算差額も変動要因となるため、採用している会計基準によって数値の見え方が異なる点に留意が必要です。 個人の場合、純資産は現預金、株式・投資信託、年金積立、不動産、車などの資産総額から、住宅ローン、教育ローン、クレジットカード残高などの負債を差し引いて算定します。この数値はFIREや教育・住宅資金計画の進捗を測る物差しとなり、住宅ローン審査など各種与信判断でも重視されるため、家計の健康診断に欠かせません。 純資産を活用する際は、まず株式や不動産など含み損益の大きい資産を時価で再評価し、値動きによる変動幅を把握することが大切です。企業なら自己資本比率、個人なら負債比率(負債÷総資産)など関連指標と併用すれば、リスク耐性や資本効率を立体的に分析できます。四半期ごとに財務諸表や家計簿を更新し、純資産が目標ペースで増えているかを確認しながら、「資産価格」「収支」「レバレッジ」という三つの要因に分解して要改善点を探ると、実践的な資産運用や財務戦略の見直しがしやすくなります。 純資産は単なる期末の残りではなく、将来の投資余力やリスク許容度を測る羅針盤です。数値を継続的に点検し、関連指標と照らし合わせながら経営判断やライフプランをアップデートしていくことが、長期的な資産形成と財務健全性の鍵となります。

流動性

流動性とは、資産を「現金に変えやすいかどうか」を表す指標です。流動性が高い資産は、短時間で簡単に売買でき、現金化しやすいという特徴があります。例えば、上場株式や国債は市場で取引量が多く、いつでも売買できるため、流動性が高い資産とされています。 一方、不動産や未上場株式のように、売買相手を見つけるのが難しかったり、取引に時間がかかったりする資産は、流動性が低いといえます。 投資をする際には、自分が必要なときに資金を取り出せるかを考えることが重要です。特に初心者は、流動性が高い資産を選ぶことで、急な資金需要にも対応しやすく、リスクを抑えることができます。

含み損益

含み損益とは、保有している資産をまだ売却していない段階で発生している、見かけ上の利益や損失のことを指します。たとえば、購入時よりも価格が上がっている株を持っていれば「含み益」、逆に価格が下がっていれば「含み損」となります。 これはあくまで現在の評価額と購入額の差であり、実際に売却して現金化しない限り、確定した損益とはなりません。そのため、「含み」とは「まだ確定していない」という意味を含んでいます。 投資判断をする際には、この含み損益をもとに、売却のタイミングや資産配分の見直しを検討することがあります。また、税金は原則として実際に売却して利益が確定した時点で課税されるため、含み益があるだけでは課税対象にはなりません。資産運用において、現在の状況を把握する重要な指標のひとつです。

バランスシート(BS/貸借対照表)

バランスシートとは、ある時点における企業や個人、政府の財政状態を一覧で示す貸借対照表のことで、左側に資産、右側に負債と純資産(資本)を記載し、資産=負債+純資産の恒等式で均衡を保つ構造になっています。 企業の場合は現金、売掛金、設備などの資産に対し、借入金や買掛金といった負債、そして株主資本が並び、これを分析することで財務の健全性や資金繰り、過剰なレバレッジの有無を判断できます。中央銀行や政府のバランスシートも、金融政策や財政運営の影響を見極めるうえで重要です。 こうした視点は個人にも当てはまり、預貯金、投資信託、株式、不動産、確定拠出年金などを資産とし、住宅ローンや教育ローン、クレジット残高などを負債として整理すれば、その差額が純資産(ネットワース)となります。個人が自らのバランスシートを可視化することで、流動資産と固定資産の比率、負債返済能力、自社株や不動産への資産集中度、負債依存度などを定量的に把握でき、ライフプランや投資戦略の前提となるリスク許容度や目標資産配分を具体的に設定しやすくなります。企業同様、個人にとってもバランスシートは長期的な資産形成とリスク管理の出発点になるのです。

無料で相談してみる

専門家に相談してみませんか?

無料で相談してみる

投資の知恵袋では、あなたの投資や資産に関する疑問や悩みを専門のアドバイザーに気軽に相談することが可能です。
ぜひご利用ください。

専門家に質問してみる

関連記事

アセットアロケーションとは?資産配分を最適化する考え方を徹底解説

アセットアロケーションとは?資産配分を最適化する考え方を徹底解説

2025.07.01

難易度:

基礎知識投資理論ポートフォリオ運用
マイホーム購入の前に知っておきたい住宅ローンの仕組みとは?3タイプの金利や返済・借り換え戦略、相談先まで徹底解説

マイホーム購入の前に知っておきたい住宅ローンの仕組みとは?3タイプの金利や返済・借り換え戦略、相談先まで徹底解説

2025.09.04

難易度:

資産運用のリスクとリターンとは?失敗しない資産配分・分散投資の基本を徹底解説

資産運用のリスクとリターンとは?失敗しない資産配分・分散投資の基本を徹底解説

2025.09.13

難易度:

資産寿命ポートフォリオ運用リスク管理

資産運用に役立つ情報をいち早くGET!

無料LINE登録

資産運用について気軽にご相談したい方

プロへ相談する

当メディアで提供するコンテンツは、情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。 銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。 本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。 また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。

投資のコンシェルジュ

運営会社: 株式会社MONO Investment

Email:

運営会社利用規約各種お問い合わせプライバシーポリシーコンテンツの二次利用について

「投資のコンシェルジュ」はMONO Investmentの登録商標です(登録商標第6527070号)。

Copyright © 2022 株式会社MONO Investment All rights reserved.

「投資のコンシェルジュ」はMONO Investmentの登録商標です(登録商標第6527070号)。

Copyright © 2022 株式会社MONO Investment All rights reserved.