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住宅ローンの仕組みとは?借入先・金利・頭金・返済方法・審査の流れなど基礎知識を完全解説

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住宅ローンの仕組みとは?借入先・金利・頭金・返済方法・審査の流れなど基礎知識を完全解説

住宅ローンの仕組みとは?借入先・金利・頭金・返済方法・審査の流れなど基礎知識を完全解説

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執筆者:

公開:

2025.09.04

更新:

2026.03.09

住宅ローンは、借入額や返済期間が大きく、金利タイプや頭金の決め方しだいで家計への影響が長く続きます。仕組みを十分に理解しないまま進めると、「借りられる額」と「無理なく返せる額」を取り違え、購入後の負担が重くなるおそれもあります。この記事では、住宅ローンの基本的な仕組みから、借入先の違い、金利タイプ、返済方法、審査、諸費用、夫婦での借り方までを具体的に解説します。

サクッとわかる!簡単要約

この記事を読むことで、住宅ローンとは何かという基礎から、借入先ごとの特徴、変動・固定の違い、頭金や返済方法の考え方までを体系的に理解できます。そのうえで、自分に合う借入方法や無理のない返済額を考えやすくなり、比較・試算・申込といった次のステップに進む前の判断軸を持てるようになります。

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目次

住宅ローンとは?まずは仕組みと全体の流れを理解しよう

住宅ローンは「家を買うための借金」、でも使い道にはルールがある

住宅ローンの借入先は4種類ある:民間・フラット35・財形・自治体

民間金融機関ローン

フラット35

財形住宅融資

自治体融資

住宅ローンの金利タイプ:変動・全期間固定・固定期間選択型の違いと金利変動の仕組み

変動金利:金利は低いが上昇リスクも。仕組みと注意点を解説

全期間固定金利:返済額が変わらない安心感が最大のメリット

固定期間選択型:「変動」と「固定」のハイブリッドタイプ

変動金利・固定期間選択型・全期間固定金利はどれが得?選び方のポイント

変動金利・固定期間選択型・全期間固定金利比較のポイント

変動金利がおすすめな人:金利上昇リスクを許容でき、総支払額を抑えたい方

固定期間選択型がおすすめな人:特定の期間だけ家計を安定させたい方

全期間固定金利がおすすめな人:将来の金利変動を気にせず、計画的に返済したい方

頭金とは?住宅ローンを借りる前に知っておきたい自己資金の基礎知識

頭金の相場と平均額

頭金を入れる3つのメリット

頭金なし(フルローン)を選ぶときの注意点

住宅ローンの返済方法と賢い返済計画の立て方

「元利均等」と「元金均等」の違いは?総返済額が少ないのは元金均等

ボーナス払いは慎重に!繰り上げ返済で将来の利息を賢く減らそう

繰り上げ返済とは?「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類

繰り上げ返済を成功させる3つのコツ

住宅ローンはいくら借りられる?年収から見る「無理のない借入額」の目安

まずは「返済負担率」を理解しよう:審査基準は年収の30〜35%

「年収の何倍まで借りられる?」は危険!金利や期間も考慮しよう

住宅ローン審査の仕組み:2段階の審査と通過のポイント

審査で確認される主な項目

事前審査と本審査の違い

属性別の審査ポイント

金利だけじゃない!住宅ローンの「見えないコスト」諸費用と総支払額のすべて

住宅購入時にかかる諸費用の内訳と相場

購入後にかかる維持費(ランニングコスト)も忘れずに

忘れずに活用したい税金の軽減措置

申し込みから引き渡しまでの流れ:住宅ローン手続きの全体像

ステップ1:物件の購入申し込み+事前審査(仮審査)

ステップ2:売買契約+住宅ローン本申し込み

ステップ3:本審査と融資承認

ステップ4:金銭消費貸借契約(金消契約)の締結

ステップ5:融資実行・残金決済・引き渡し

夫婦や親子で借りる3つの方法:ペアローン・連帯債務・連帯保証の違い

ペアローンとは

収入合算(連帯債務型)とは

収入合算(連帯保証型)とは

具体的な返済シミュレーション:借入額・金利・期間で変わる総支払額

平均借入額の参考データ

住宅ローンとは?まずは仕組みと全体の流れを理解しよう

住宅ローンとは、マイホームの購入資金を金融機関から長期で借り入れる仕組みのことです。借入額が数千万円と大きく、返済も最長35年と長期間にわたるため、家計への影響は少なくありません。まずは住宅ローンの基本的な仕組みや種類を理解することが、賢い選択への第一歩です。

住宅ローンは「家を買うための借金」、でも使い道にはルールがある

住宅ローンは、銀行などの金融機関から住宅の購入資金を借り、長期で返済していく仕組みです。購入する家と土地を担保に入れるのが一般的で、審査によって借入額や金利が決まります。

借入額が大きいため、わずか0.1%の金利差でも総返済額に大きな影響を与えます。例えば3,000万円を30年で借りた場合、利息総額に約50万円もの差が生まれることもあります。だからこそ金利は重要ですが、単に低いだけで選ぶのは危険です。金利タイプごとの特徴とリスクを理解し、ご自身の計画に合ったローンを選ぶことが何よりも大切です。

  1. 住宅ローンで借りたお金は、建物の建築費や土地の購入費だけでなく、登記費用や仲介手数料といった諸費用にも充当できます。ただし、原則として家具や家電、引っ越し代などは対象外です。金融機関によっては諸費用ローンを別途用意している場合もあるため、どこまでが対象になるか事前に確認しておくと安心です。

住宅ローンの借入先は4種類ある:民間・フラット35・財形・自治体

住宅ローンの借入先は、よく知られる「民間金融機関」と「フラット35」のほかに、「財形住宅融資」と「自治体融資」があります。利用条件によってはこちらのほうが有利なケースもあります。4種類の特徴を把握したうえで、自分に合った借入先を選びましょう。

項目民間金融機関フラット35財形住宅融資自治体融資
運営銀行・信用金庫・ネット銀行など住宅金融支援機構+民間金融機関勤務先(財形貯蓄制度)都道府県・市区町村
金利タイプ変動・固定・固定期間選択型から選択可全期間固定のみ5年間固定金利制(5年ごとに見直し)自治体による(固定が多い)
利用条件各金融機関の審査基準を満たすこと対象物件が住宅金融支援機構の技術基準を満たすこと財形貯蓄を1年以上継続・残高50万円以上居住地・年収など自治体が定める要件
勤続年数要件銀行により異なる(概ね1年以上)なし1年以上の継続積立が必要自治体による
融資上限額金融機関による8,000万円貯蓄残高の10倍・最大4,000万円自治体による
物件基準金融機関によるあり(機構の技術基準)なし(一般的な住宅)なし(一般的)
諸費用・保証料金融機関による保証料不要・事務手数料あり不要または低額なケースあり自治体による
こんな人に向く金利比較で有利な条件を探したい人長期固定で返済計画を安定させたい人・自営業・非正規会社員・公務員で財形貯蓄を積んでいる人居住自治体に制度があり年収要件を満たす人
民間・フラット35・財形・自治体融資の違い

民間金融機関ローン

都市銀行・地方銀行・信用金庫・ネット銀行などが提供する住宅ローンです。金利タイプや返済プランの選択肢が最も豊富で、各行独自の金利優遇や特典も充実しています。ただし、各金融機関の審査基準を満たす必要があり、金利や手数料は金融機関によって大きく異なります。複数行での比較検討が欠かせません。

フラット35

住宅金融支援機構と民間金融機関が提携する全期間固定金利ローンです。借入時の金利が完済まで変わらないため、長期的な返済計画が立てやすいのが特徴です。申込条件に勤続年数の要件がなく、自営業者や非正規雇用の方でも利用しやすい設計になっています。ただし、対象物件が住宅金融支援機構の技術基準を満たす必要があります。

財形住宅融資

勤務先で財形貯蓄制度を利用している会社員・公務員が対象の住宅ローンです。主な利用条件は「1年以上財形貯蓄を継続している」「貯蓄残高が50万円以上ある」の2点です。

融資額の上限は財形貯蓄残高の10倍・最大4,000万円で、住宅取得に必要な所要額の90%まで借り入れが可能です。金利は5年ごとに見直す「5年間固定金利制」を採用しています。手数料や保証料が不要または低額なケースもあるため、勤務先が制度を導入している方は一度確認してみましょう。

自治体融資

都道府県や市区町村が提供する住宅ローンで、自治体によって内容が異なります。一般的な住宅ローンより有利な金利でのあっせん融資や、利息の一部を補助する「利子補給制度」などがあります。

「その自治体に居住している」「年収が一定以下」など利用要件が設けられています。民間ローンとの併用が可能な場合もあります。お住まいの自治体の窓口やホームページで制度内容を確認してみましょう。

住宅ローンの金利タイプ:変動・全期間固定・固定期間選択型の違いと金利変動の仕組み

住宅ローンの金利タイプは、総返済額や返済計画に大きく影響します。主に「変動金利」「全期間固定金利」「固定期間選択型」の3種類があり、金利が変わるか否かが最大の違いです。それぞれの仕組みとメリット・デメリットを理解し、ご自身に最適な選択をしましょう。

変動金利:金利は低いが上昇リスクも。仕組みと注意点を解説

変動金利とは、ローン契約後も市場金利に応じて定期的に金利が見直されるタイプです。

メリットデメリット
固定金利より当初金利が低く、毎月の返済額を抑えやすい市場金利が上昇すると適用金利も上がり、毎月の返済額や総返済額が増加する
市場金利が下がれば適用金利も下がり、返済額が減る可能性がある5年・125%ルールにより金利上昇局面では元本が減りにくく、未払い利息が発生するケースがある
金利が低い水準のまま推移した場合、総支払利息を大幅に節約できる毎月の返済額が変動するため、長期の家計管理が難しくなる場面がある
変動金利のメリットとデメリット

金利の見直しは一般的に半年ごとに行われ、民間銀行の変動金利は「短期プライムレート」という指標に連動します。これは日本銀行の金融政策や経済情勢によって変動するため、景気の動向がご自身の住宅ローン金利に直接反映される仕組みです。

変動金利のメリット

当初の適用金利が他のタイプより低く設定されるのが一般的で、借入当初の毎月の返済額を抑えられます。固定金利より1%近く低い場合もあり、総支払利息を減らせる可能性があります。また、金利が低下する局面では、その恩恵を受けて返済額が減少します。

変動金利のデメリット

将来の金利変動リスクを負う点が最大のデメリットです。景気回復などで金利が上昇すれば、返済額が増え総支払額も増加します。返済計画に不確実性があり、急激な金利上昇時には「未払い利息」が発生して元金が減りにくくなるリスクも考慮すべきです。これらの特徴から、変動金利は金利が上昇しても家計に余裕をもって対応できる人に向いています。

「5年・125%ルール」が返済額の急変を防ぐが、未払い利息に要注意

変動金利には、金利が見直されてもすぐに毎月の返済額が変わらない仕組みがあります。多くの銀行で採用されているのが「5年ルール」と「125%ルール」です。

  1. 5年ルールとは金利が変わっても5年間は返済額を据え置く決まりで、125%ルールとは5年後の返済額見直し時に増額幅を直前の1.25倍までに抑える決まりです。これにより返済額の急変は避けられますが、増えた分の利息は「未払い利息」として残り、最終的な返済額が大きくなるリスクがあります。

全期間固定金利:返済額が変わらない安心感が最大のメリット

全期間固定金利とは、その名の通り、借入時から返済完了まで金利が一切変わらないタイプです。

メリットデメリット
借入時の金利が完済まで変わらず、毎月の返済額が一定で家計管理がしやすい変動金利より当初金利が高く、金利が低い水準のまま推移した場合は総支払利息が割高になる
金利上昇の影響を一切受けないため、将来の返済計画を長期にわたって立てやすい市場金利が下がっても返済額は減らず、低金利の恩恵を受けられない
5年・125%ルールのような「見えない利息増加リスク」がなく、返済の透明性が高い借り換えで金利を下げようとすると、諸費用(手数料・保証料など)が発生する
全期間固定金利のメリットとデメリット

将来の金利上昇を心配する必要がなく、毎月の返済額がずっと一定のため、長期的な家計管理がしやすい点が最大の魅力です。金利は変動金利より高めに設定される傾向があります。

全期間固定金利のメリット

借入時に完済までの金利と返済額が確定するため、将来の金利変動リスクを完全に回避できます。返済計画が立てやすく、子どもの教育費など将来の大きな支出とも両立しやすい安心感があります。低金利の時期に借り入れれば、その有利な金利を完済まで維持できることも魅力です。

全期間固定金利のデメリット

一般的に変動金利より金利水準が高めに設定されるため、当初の返済額や総支払額は大きくなります。また、将来さらに金利が下がっても、その恩恵を受けられない点もデメリットです。これらの特徴から、毎月の返済額を一定にして計画的に返済したい人に向いています。

長期金利の上昇が住宅ローンに与える影響は以下Q&Aで説明しています。

固定期間選択型:「変動」と「固定」のハイブリッドタイプ

「固定期間選択型」とは、契約から一定期間だけ金利を固定するタイプです。

メリットデメリット
固定期間中は返済額が変わらず、一定期間の家計管理がしやすい固定期間終了後に金利が上昇していると、返済額が大幅に増える可能性がある
変動金利より金利水準が低いケースが多く、全期間固定より当初の返済額を抑えやすい固定期間終了時に再度金利タイプを選び直す手間があり、判断を誤るリスクがある
固定期間中に繰り上げ返済や借り換えの検討など、次の手を計画する時間的な余裕ができる固定期間終了後は変動金利に移行するケースが多く、長期的な返済総額が読みにくい
子どもの教育費がかかる時期など、家計の負担が重い期間に合わせて固定期間を設定できる固定期間中に金利が大幅に低下した場合、変動金利に切り替えられず割高な返済が続く
固定期間選択型のメリットとデメリット

例えば「10年固定」なら、最初の10年間は金利が変わりません。固定期間の終了後は、その時点の金利で改めて変動金利か固定金利かを選び直します。ただし、手続きをしない場合、自動的に変動金利へ移行する契約が多い点には注意が必要です。

固定期間選択型のメリット

契約から一定期間は返済額が変わらないため、子どもの進学など特定の期間だけ家計を安定させたい場合に有効です。固定期間終了時に金利が下がっていれば、変動金利に切り替えて返済額を抑えられる可能性も残されています。

固定期間選択型の注意点:固定期間終了後の金利上昇リスク

このタイプには変動金利のような5年・125%ルールは適用されません。そのため、固定期間が終わった時点で市場金利が大幅に上昇していると、返済額が一気に跳ね上がるリスクがあります。将来の金利動向に返済計画が左右される点には注意が必要です。

変動金利・固定期間選択型・全期間固定金利はどれが得?選び方のポイント

変動金利、固定期間選択型、全期間固定金利のどれを選ぶべきか、悩ましい問題です。「どの金利タイプが得か」という問いへの答えは、2026年3月現在の金利上昇局面においては特に、将来の動向次第であり断言はできません。しかし、ご自身のライフプランやリスクに対する考え方に応じて、最適な選択をすることは可能です。

変動金利・固定期間選択型・全期間固定金利比較のポイント

金利タイプを比較検討する際は、以下の3つのポイントを総合的に判断することが重要です。

ポイント1:「総支払額の安さ」と「金利上昇リスク」のバランス

金利が低い変動金利は、金利が変わらなければ総支払額を最も抑えられます。しかし、将来金利が上昇すれば返済額が増えるリスクを伴います。コストメリットを重視しつつ、そのリスクをどれだけ許容できるかが最初のポイントです。

ポイント2:「返済計画の安定性」と「高めの金利」のバランス

返済額が変わらない固定金利は、将来にわたって家計の計画を立てやすい大きな安心感があります。一方で、金利は変動金利より高めに設定される傾向があります。将来の安心のために、変動金利との金利差というコストを支払えるかが第二のポイントです。

ポイント3:現在の金利状況と今後の見通し

2023年末から続く金融緩和策の調整により、住宅ローン金利は上昇傾向にあります。2026年3月時点では、固定金利は既に上昇していますが、変動金利はまだ低水準を維持しています。ただし、市場では日銀による追加利上げも予測されており、今後の変動金利上昇も視野に入れて判断する必要があります。

変動金利がおすすめな人:金利上昇リスクを許容でき、総支払額を抑えたい方

現在の低金利メリットを最大限に活かしたい方です。

変動金利がおすすめな人

  1. 収入が安定しており、金利上昇時にも繰り上げ返済や家計の見直しで対応できる余裕がある人
  2. 返済期間が短く、金利上昇リスクにさらされる期間を限定できる人
  3. 頭金を多く入れており、借入残高が少ないため金利上昇の影響を受けにくい人
  4. 金利動向を定期的にチェックし、必要に応じて借り換えや繰り上げ返済などの対策を自ら講じられる人

借入額に対して収入に十分な余裕があり、将来金利が上昇しても繰り上げ返済や家計の見直しで対応できる資金力や柔軟性がある場合に向いています。

固定期間選択型がおすすめな人:特定の期間だけ家計を安定させたい方

固定期間選択型がおすすめな人

  1. 子どもの教育費や住宅ローン以外の大きな支出が重なる時期に、返済額を固定して家計を安定させたい人
  2. 全期間固定より低い金利で借り入れつつ、一定期間は返済額の変動リスクを避けたい人
  3. 固定期間終了後に繰り上げ返済や借り換えを検討するなど、将来的に柔軟な対応を取る予定がある人
  4. 数年以内に収入アップが見込まれており、固定期間終了後の金利上昇にも対応できる見通しが立っている人

「子どもの教育費がかかる今後10年間だけは返済額を固定したいが、その後は金利状況を見て判断したい」など、ライフプランに合わせてリスクとメリットのバランスを取りたい方に向いています。

全期間固定金利がおすすめな人:将来の金利変動を気にせず、計画的に返済したい方

全期間固定金利がおすすめな人

  1. 将来の収入変動や金利上昇が不安で、完済まで毎月の返済額を確定させて安心して家計管理をしたい人
  2. 返済期間が長く、長期にわたって金利上昇リスクにさらされることを避けたい人
  3. 自営業・フリーランスなど収入が不安定で、返済額が変わらないことで生活設計を立てやすくしたい人
  4. 金利動向のチェックや借り換えの検討に時間や手間をかけたくない人

将来の金利上昇が心配で、返済額が変わらない「安心」を最優先したい方です。また、教育費や老後資金など、住宅ローン以外の支出計画をきっちりと立てており、返済額の変動で計画が崩れる事態を避けたい場合にも最適な選択です。

頭金とは?住宅ローンを借りる前に知っておきたい自己資金の基礎知識

住宅を購入するときには、物件価格の一部を現金で支払うのが一般的です。この現金部分を「頭金」といいます。住宅ローンの借入額は「物件価格 − 頭金」で決まるため、頭金が多いほど毎月の返済負担と総支払利息を減らせます。

一方で、頭金を増やしすぎると手元の現金が減り、急な出費への対応力が落ちます。頭金の額はライフプランとのバランスで決めることが重要です。

頭金の相場と平均額

住宅金融支援機構の「2024年度フラット35利用者調査」によると、フラット35利用者の頭金(自己資金)の全体平均は約486万円(所要資金に対する割合は約12.6%)でした。

一般的には物件価格の10〜20%が目安とされています。ただし、現在は頭金ゼロでも利用できる金融機関がほとんどです。

三井住友信託銀行が2024年に行った「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」では、2014〜2023年の住宅購入者の37.1%が「頭金なし」を選択しています。フルローンの割合は増加傾向にあります。

頭金を入れる3つのメリット

まず、借入額が減るため総支払利息が下がります。次に、審査上の信用力を高める効果があります。そして、フラット35では融資率(借入額÷物件価格)が9割以下になると金利が優遇されます。

たとえば、融資率9割以下は年1.84%、9割超は年1.95%と差があります。わずか0.11%の差でも35年返済では総支払額に大きな影響を与えます。

頭金なし(フルローン)を選ぶときの注意点

フルローンは手元の現金を残せる利点があります。ただし、借入額が大きくなるため利息の負担は増えます。

また、購入直後に物件価格が下落した場合、売却額よりローン残高が多い「オーバーローン」(売却しても借金が残る状態)になるリスクがあります。諸費用(物件価格の3〜10%程度)は原則として現金で支払うため、頭金ゼロを選ぶ場合でも諸費用分の現金は別途確保しておきましょう。

住宅を購入するときには、物件価格の一部を現金で支払うのが一般的です。この現金部分を「頭金」といいます。住宅ローンの借入額は「物件価格 − 頭金」で決まるため、頭金が多いほど毎月の返済負担と総支払利息を減らせます。

一方で、頭金を増やしすぎると手元の現金が減り、急な出費への対応力が落ちます。頭金の額はライフプランとのバランスで決めることが重要です。

住宅ローンの返済方法と賢い返済計画の立て方

住宅ローンは最長35年と長期にわたるため、無理のない返済計画が不可欠です。この章では、毎月の返済額の決まり方である「元利均等」「元金均等」の違いや、総返済額を減らす「繰り上げ返済」のコツなど、賢い返済計画を立てるための基本を解説します。

「元利均等」と「元金均等」の違いは?総返済額が少ないのは元金均等

住宅ローンの毎月の返済方法には、主に「元利均等返済」と「元金均等返済」の2種類があります。

項目元利均等返済元金均等返済
毎月の返済額完済まで一定返済が進むにつれて減少
返済開始直後の負担比較的少ない元利均等より多い
総支払利息元金均等より多い元利均等より少ない
元本の減り方返済初期は利息の割合が高く、元本が減りにくい毎月一定額の元本が減るため、残高が早く減る
家計管理のしやすさ毎月の返済額が変わらず計画を立てやすい返済額が変動するため管理がやや複雑
取り扱い金融機関ほぼすべての金融機関で利用可能取り扱いのない金融機関もある
向いている人返済開始時の負担を抑えたい人・家計管理を簡単にしたい人収入が安定しており、総返済額を抑えたい人
「元利均等」と「元金均等」の違い

どちらを選ぶかによって毎月の返済額の推移や総返済額が変わるため、それぞれの特徴を理解しておきましょう。

元利均等返済:毎月の返済額が一定で家計管理しやすい

毎月の「元金+利息」の合計返済額が一定になる方法です。

メリットデメリット
毎月の返済額が一定で、家計管理や長期の資金計画が立てやすい元金均等返済より総支払利息が多くなる
返済開始直後の月々の負担が元金均等より少なく、無理のない返済がしやすい返済初期は利息の割合が高く元本がなかなか減らないため、繰り上げ返済の効果が出るまでに時間がかかる
ほぼすべての金融機関で取り扱いがあり、選択肢が広い残高の減り方が遅いため、売却や借り換えの際にローン残高が物件価格を上回るリスクが生じやすい
元利均等返済のメリットとデメリット

元利均等返済は、住宅ローン利用者の大多数が選ぶ返済方式です。毎月の返済額が変わらないシンプルさは、30年・35年という長期にわたる返済を継続するうえで大きな安心感につながります。

ただし、総支払利息の面では元金均等返済に劣ることも事実です。この差を縮める有効な手段が「繰り上げ返済」です。元利均等返済を選んだ場合でも、余裕ができたタイミングで繰り上げ返済を行えば、残高を早期に圧縮して利息の負担を大幅に減らせます。返済方式の選択よりも、繰り上げ返済を続けられる家計の余白を設計することのほうが、長い目で見ると重要といえるでしょう。

元金均等返済:返済が進むほど月々の負担が軽くなる

毎月の「元金」の返済額が一定になる方法で、利息は残高に応じて計算されます。

メリットデメリット
元利均等返済より総支払利息が少なく、長期的な返済総額を抑えられる返済開始直後の月々の負担が元利均等より多く、家計を圧迫しやすい
毎月一定額の元本が減るため残高の減り方が早く、売却や借り換えの際にローン残高が物件価格を下回りやすい返済額が毎月変動するため、長期の家計管理や資金計画が立てにくい
返済が進むにつれて毎月の返済額が減るため、子どもの教育費など将来の支出増加に備えやすい取り扱いのない金融機関もあり、選択できる金融機関が限られる
元金均等返済のメリットとデメリット

元金均等返済は、返済開始時の負担の大きさから敬遠されがちですが、総支払利息の少なさと残高の減り方の早さは大きな強みです。特に、借入当初から収入に余裕があり、教育費や老後資金の準備と並行しながらでも無理なく返済できる見通しが立っている方には、検討する価値が十分あります。

一方で、注意したいのは返済開始直後の負担です。元金均等返済を選ぶ場合は、最初の数年間の返済額を事前にシミュレーションし、生活費・緊急予備費とのバランスを確認したうえで判断することを強くおすすめします。返済方式は一度決めると変更が難しいため、慎重に選ぶことが大切です。

ボーナス払いは慎重に!繰り上げ返済で将来の利息を賢く減らそう

毎月の返済に加え、ボーナス払いや繰り上げ返済を上手に活用することで、総支払額を大きく減らすことができます。特に繰り上げ返済は利息軽減効果が高く、計画的に行うことが重要です。ただし、手元の資金とのバランスを考え、無理のない範囲で実行しましょう。

住宅ローンを繰り上げ返済しないほうがいい場合については、以下Q&Aで説明しています。

繰り上げ返済とは?「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類

繰り上げ返済とは、毎月の返済とは別に、まとまった資金で元金の一部を前倒しで返済することです。これにより将来支払うはずだった利息を減らせます。方法には、返済期間を短くする「期間短縮型」と、毎月の返済額を軽くする「返済額軽減型」の2種類があります。

項目期間短縮型返済額軽減型
効果返済期間が短くなる毎月の返済額が減る
毎月の返済額変わらない繰り上げ返済後に減少する
総支払利息の削減効果大きい期間短縮型より小さい
手元のキャッシュフロー改善されない毎月の返済額が減るため改善される
向いている人総返済額を減らすことを最優先にしたい人月々の返済負担を軽くして家計に余裕を作りたい人
注意点返済期間が短くなるため、途中で収入が減った場合の対応が難しくなる削減した利息分が期間短縮型より少ないため、効果を実感しにくい
「期間短縮型」と「返済額軽減型」の違い

利息の軽減効果がより高いのは「期間短縮型」です。総支払額を少しでも減らしたい方におすすめです。

例えば3,000万円を金利1%・35年で借りた場合、5年目に200万円を期間短縮型で繰り上げ返済すると、利息を約50万円以上節約できます。

一方、「返済額軽減型」は、毎月の返済負担を直接減らせるのがメリットです。子どもの進学などで月々の支出が増える時期に、キャッシュフローに余裕を持たせたい方に向いています。

繰り上げ返済を成功させる3つのコツ

繰り上げ返済は、やみくもに行うと逆効果になることも。家計とのバランスを保ち、金利が上昇するタイミングを狙うなど、戦略的に行うことが重要です。手数料や最低金額も事前に確認し、賢く総返済額を減らしましょう。

1.無理のない範囲でコツコツと実行する

教育費や緊急時のための予備資金まで繰り上げ返済に充てるのは避け、手元の資金に余裕がある時に行いましょう。最近は1万円など少額から手数料無料で実行できる銀行も増えています。

2.金利上昇局面では優先度を上げる

変動金利で借りていて金利が上昇してきた場合、繰り上げ返済で元金を減らせば、将来支払う高金利期間の利息を大きく圧縮でき、節約効果が高まります。

3.手数料や最低金額を確認する

金融機関によっては、繰り上げ返済に手数料がかかったり、最低金額が設定されていたりする場合があります。事前に契約内容を確認しておきましょう。

住宅ローンはいくら借りられる?年収から見る「無理のない借入額」の目安

住宅ローンの借入額は、「いくら借りられるか」という上限額ではなく、「いくらなら無理なく返せるか」という視点で決めることが最も重要です。その基準となるのが、年収に占める年間返済額の割合「返済負担率」です。この章では、安全な返済負担率の目安や、ご自身の家計に合った借入額の考え方を解説します。

まずは「返済負担率」を理解しよう:審査基準は年収の30〜35%

返済負担率とは、年収に対して年間の住宅ローン返済額が占める割合のことです。金融機関は審査の際、この返済負担率が30~35%以下になるように融資額の上限を算出しますが、これはあくまで「貸せる上限」であり、「無理なく返せる額」とは異なる点に注意が必要です。

一般的に、返済負担率は25%以内に抑えるのが安全な水準です。理想は20%程度に収めることで、将来の急な出費や収入の変化にも対応しやすくなります。例えば年収600万円の世帯なら、年間返済額150万円(月々約12.5万円)が目安となり、借入額はおおよそ3,500万円前後が一つの基準となるでしょう。

「年収の何倍まで借りられる?」は危険!金利や期間も考慮しよう

「年収の〇倍まで」という考え方は、金利や返済期間が考慮されていないため危険です。無理のない借入額を考える上では、返済負担率を基準にシミュレーションすることが大切です。返済負担率を低めに設定しておけば、将来の教育費や車の購入、急な医療費など予期せぬ出費にも柔軟に対応できます。逆に返済負担率が高すぎると、少しの家計の変化で返済が苦しくなるリスクが高まります。

借入額を最終決定する際は、現在の収支だけでなく、将来の家計をシミュレーションすることが重要です。お子様の進学、車の買い替え、老後資金の準備など、今後のライフイベントとそれに伴う支出の変化を予測します。その上で、毎年の住宅ローン返済に充てられる上限額を逆算することで、「本当に無理なく返せる額」が明確になります。

住宅ローン審査の仕組み:2段階の審査と通過のポイント

住宅ローンを借りるには、金融機関による審査に通る必要があります。審査は「事前審査(仮審査)」と「本審査」の2段階で行われ、返済能力があるかどうかが厳しく確認されます。事前審査は数日〜1週間程度、本審査は1〜2週間程度かかるのが一般的です。

物件購入のスケジュールに合わせて、余裕を持って申し込みましょう。

審査で確認される主な項目

国土交通省の「令和6年度 民間住宅ローンの実態に関する調査」によると、9割以上の金融機関が審査で採用している主な項目は以下のとおりです。

審査で確認される主な項目

  1. 完済時年齢(98.4%):ほぼ全金融機関が確認。多くは80歳未満を条件とする
  2. 借入時年齢(96.0%):申込時の年齢が返済期間の上限に影響する
  3. 健康状態(95.1%):団体信用生命保険(団信)への加入可否に直結する
  4. 年収(93.4%):会社員の場合は前年度の税込年収で判定
  5. 勤続年数(93.2%):1年以上を基準とする金融機関が多い
  6. 担保評価・返済負担率(各90%超):物件の担保価値と、年収に対する年間返済額の割合。返済負担率は一般的に35%以下が目安
  7. 信用情報:クレジットカードや各種ローンの返済履歴。過去の延滞・債務整理があると審査通過は難しくなる。同調査では「カードローン等の他の債務の状況や返済履歴」を審査項目とする金融機関が前年度より大幅に増加している

住宅購入の前に、CIC(指定信用情報機関)などで自分の信用情報を照会しておくと安心です。

事前審査と本審査の違い

事前審査では、申込者の属性情報・返済能力・信用情報が大まかに確認されます。本審査では、これらに加えて物件の担保価値も厳密に評価されます。事前審査の内容と大きな相違がなければ、本審査で否決されるケースはほとんどありません。

本審査通過後は、金融機関との正式な借入契約(金銭消費貸借契約)を締結し、融資が実行されます。

属性別の審査ポイント

審査における評価は、申込者の雇用形態によって大きく異なります。

正社員・公務員は収入が安定しているとみなされ、審査上の評価が高い傾向にあります。一方、自営業・個人事業主は直近2〜3年分の確定申告書の所得の平均で判断されるケースが多く、節税目的で所得を低く申告していると審査上不利になる点に注意が必要です。所得が低く見られてしまう場合は、フラット35が直近1期分の確定申告のみを参照する点を活用する方法もあります。

非正規雇用の方は、勤続年数と収入の安定性が特に重視されます。民間銀行では審査が厳しくなる場合がありますが、フラット35は定期的な安定収入があれば利用しやすい設計になっているため、まず検討してみるとよいでしょう。

金利だけじゃない!住宅ローンの「見えないコスト」諸費用と総支払額のすべて

住宅ローンの総支払額は金利だけで決まるわけではありません。購入時には手数料や税金などの「諸費用」が、購入後には税金や修繕費などの「維持費」が必要です。これら見えないコストも把握し、資金計画に含めることが、無理のない返済の鍵となります。

住宅購入時にかかる諸費用の内訳と相場

住宅購入時には、物件価格とは別に諸費用がかかります。主なものに事務手数料、保証料、登記費用、各種税金などがあり、目安は物件価格の3〜10%程度です。現金で支払う場合が多いため、事前に準備しておきましょう。

費用項目相場備考
仲介手数料物件価格の3%+6万円+消費税が上限不動産会社に支払う。新築分譲・建売では不要なケースが多い
印紙税1,000円〜6万円(契約金額による)売買契約書・金銭消費貸借契約書に貼付。軽減税率が適用される場合あり
登録免許税固定資産税評価額の0.1〜0.4%所有権移転・抵当権設定登記に必要。軽減措置あり
司法書士報酬5万〜15万円程度登記手続きを依頼する場合に発生
住宅ローン事務手数料定額型:3万〜5万円/定率型:借入額の1〜2%金融機関により異なる。ネット銀行は定率型が多い
ローン保証料借入額の0〜2%程度保証会社に支払う。保証料不要の金融機関も増えている
火災保険料・地震保険料5年で5万〜20万円程度加入期間・補償内容・建物構造により大きく異なる
固定資産税・都市計画税の精算金物件・時期による引き渡し日以降の分を売主と日割り精算する
引越し費用5万〜20万円程度時期・距離・荷物量により変動。繁忙期は割高になる
合計の目安物件価格の3〜10%程度新築か中古か、ローンの有無などにより変動する
諸費用の内訳と相場

事務手数料は金融機関に支払う手数料で、「定率型(借入額の2.2%など)」と「定額型(3万円など)」があります。一般的に定率型は金利が低いネット銀行で、定額型は金利が高めの従来型銀行で採用される傾向があります。総支払額で比較検討しましょう。

保証料は万が一返済が困難になった際に、保証会社に返済を肩代わりしてもらうための費用です。支払い方法は、契約時に一括で支払う「前払い型」と、金利に年0.2%程度上乗せして毎月支払う「金利上乗せ型」があります。

購入後にかかる維持費(ランニングコスト)も忘れずに

マイホームの購入後も、様々な維持費が継続的に発生します。代表的なものに、毎年かかる固定資産税・都市計画税や、将来の修繕に備えるメンテナンス費用があります。マンションの場合は、これに加えて管理費や修繕積立金も毎月必要です。これらの維持費も見込んで、無理のない借入額を設定することが大切です。

忘れずに活用したい税金の軽減措置

住宅取得時には、税金の負担を軽くする様々な特例があります。例えば、不動産取得税や登記時の登録免許税には軽減措置が設けられています。また、新築住宅は固定資産税が一定期間減額される制度もあります。適用条件を確認し、忘れずに申請しましょう。

住宅取得資金の非課税贈与の注意点は、以下Q&Aで説明しています。

申し込みから引き渡しまでの流れ:住宅ローン手続きの全体像

住宅ローンの手続きは、物件の購入手続きと基本的に同時並行で進みます。全体の流れを把握しておくことで、書類の準備漏れやスケジュールのトラブルを防げます。

ステップ1:物件の購入申し込み+事前審査(仮審査)

希望の物件に購入申し込みをするタイミングで、住宅ローンの事前審査も申し込みます。事前審査は数日〜1週間程度で完了し、希望額を借りられるかどうかの見通しが立ちます。複数の金融機関に同時に申し込んで比較することも可能です。

ステップ2:売買契約+住宅ローン本申し込み

物件の売買契約を締結する際、手付金(物件価格の5〜10%が目安)を現金で支払います。この時点では融資が実行されていないため、手持ち資金での対応が必要です。

売買契約と同時に住宅ローンの本申し込みを行います。主な必要書類は以下のとおりです。

  • 源泉徴収票(直近2年分)
  • 住民票・印鑑証明書
  • 本人確認書類
  • 売買契約書のコピー
  • 返済中のローンがある場合はその返済予定表

ステップ3:本審査と融資承認

金融機関が物件の担保価値も含めて最終審査を行います。1〜2週間程度で融資承認の可否が通知されます。

ステップ4:金銭消費貸借契約(金消契約)の締結

融資承認が下りたら、金融機関との正式な借入契約である「金消契約(きんしょうけいやく)」を締結します。この契約で借入期間・金利・返済方法などが正式に確定します。引き渡し日の10日〜1週間前を目安に手続きを済ませましょう。

ステップ5:融資実行・残金決済・引き渡し

指定日に金融機関から融資が実行され、売主への残金決済と物件の引き渡しが完了します。住宅ローン控除の適用を受けるためには、この融資実行日から6ヶ月以内に入居する必要があります。

夫婦や親子で借りる3つの方法:ペアローン・連帯債務・連帯保証の違い

共働き世帯や夫婦でまとまった金額を借り入れたい場合、単独ローンのほかに「ペアローン」と「収入合算」という選択肢があります。それぞれの仕組みと注意点を理解したうえで選ぶことが重要です。

項目ペアローン連帯債務型連帯保証型
契約数2本1本1本
メリット夫婦それぞれが住宅ローン控除を適用でき、税負担を大きく減らせる1本契約のため諸費用が1本分で済み、手続きの負担が少ない取り扱い金融機関が最も多く、利用しやすい
メリットそれぞれが団信に加入でき、どちらが亡くなっても自分の債務が消える主債務者・連帯債務者ともに住宅ローン控除を適用できる場合がある収入合算により借入可能額を増やせる
メリット借入可能額を最大化しやすいフラット35の「デュエット」を利用すれば連帯債務者も団信に加入できる(金利+0.18%)手続きがシンプルで審査が通りやすい
デメリット①諸費用(手数料・印紙税など)が2本分かかる民間銀行では連帯債務者が団信に加入できないケースが多い連帯保証人は住宅ローン控除を適用できない
デメリット②離婚時にそれぞれのローンが残るため、売却・名義変更の手続きが複雑になる取り扱っている金融機関が限られる連帯保証人は団信に加入できず、万一の際に債務が残るリスクがある
デメリット③一方が育休・退職などで収入が減ると、その分の返済が家計を圧迫する離婚時に債務の負担割合の変更が難しく、トラブルになりやすい連帯保証人の収入が減少しても返済義務は残る
向いている人夫婦共働きで収入がほぼ同等、かつ長期的に共働きを続ける見通しがある人夫婦の収入を合算して借入額を増やしつつ、諸費用を抑えたい人収入合算で借入額を増やしたいが、手続きをシンプルにしたい人
ペアローン・連帯債務・連帯保証の違い

なお三井住友信託銀行の調査(2024年)では、20代住宅購入者の約43.9%がペアローンを利用しており、共働き世帯を中心に広く浸透しています。

ペアローンとは

1つの物件に対して、夫婦(または親子)がそれぞれ独立した住宅ローンを組む方法です。ローン契約が2本になり、互いが相手のローンの連帯保証人になります。

夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられるうえ、双方が団信に加入できるため、節税効果と万一のリスク対策を同時に得られます。返済期間や金利タイプを別々に設定できる柔軟性も魅力です。

一方で、ローンが2本になるため諸費用が2倍かかり、一方の収入が減っても自分のローンの返済義務は残ります。離婚時には共有名義の解消が複雑になる点にも注意が必要です。

収入合算(連帯債務型)とは

1本のローン契約に対して、主債務者と連帯債務者(れんたいさいむしゃ)が同等の返済義務を負う方法です。ローン契約が1本なので諸費用はペアローンより抑えられます。連帯債務者も住宅ローン控除を利用できます。

ただし、一般の民間金融機関では連帯債務者が団信に加入できないケースが多い点に注意が必要です。フラット35では「デュエット」という夫婦連生団信があり、双方の保障が可能です(金利に0.18%が上乗せされます)。取り扱い金融機関が限られている点も確認しておきましょう。

収入合算(連帯保証型)とは

主債務者1人がローンを契約し、もう一方が連帯保証人(れんたいほしょうにん)になる方法です。連帯保証人は主債務者の返済が滞った場合に返済義務を負います。取り扱い金融機関が最も多く利用しやすい反面、連帯保証人は住宅ローン控除が適用されず、団信にも加入できません。

万が一に備えて、連帯保証人が別途生命保険で保障を確保しておくことをおすすめします。

具体的な返済シミュレーション:借入額・金利・期間で変わる総支払額

住宅ローンを検討するうえで欠かせないのが、毎月の返済額と総支払利息の具体的なイメージです。「金利が低い=お得」とは限らず、借入期間によっても総支払額に大きな差が生まれます。

以下の試算は元利均等返済方式によるものです(税・諸費用は含みません)。

項目返済期間25年返済期間30年返済期間35年
毎月返済額約113,040円約96,468円約84,685円
総返済額約3,391万円約3,473万円約3,556万円
総支払利息約391万円約473万円約556万円
借入3,000万円・金利1.0%の場合
項目返済期間25年返済期間30年返済期間35年
毎月返済額約127,227円約110,920円約99,378円
総返済額約3,817万円約3,993万円約4,174万円
総支払利息約817万円約993万円約1,174万円
借入3,000万円・金利2.0%の場合

金利が1.0%から2.0%に上がるだけで、総支払利息は約618万円増加します。また、返済期間を35年から20年に短縮すると毎月の負担は増えますが、総利息を約244万円抑えられます。この差額は、繰り上げ返済の戦略を考えるうえでも参考になります。

実際の返済額は金融機関や金利タイプ、各種条件によって異なります。住宅金融支援機構の公式シミュレーターでご確認ください。

平均借入額の参考データ

国土交通省「令和6年度 住宅市場動向調査報告書」によると、新築住宅の平均購入資金(土地含む)は以下のとおりです。

  • 新築注文住宅:約6,188万円(全国)
  • 分譲戸建住宅:約4,591万円(三大都市圏)
  • 分譲集合住宅:約4,679万円(三大都市圏)

これは購入資金の総額(土地代含む)であり、実際の住宅ローン借入額は自己資金分を差し引いた金額になります。 なお、住宅金融支援機構「2024年度フラット35利用者調査」では、フラット35利用者の平均融資額は3,179万円(平均所要資金3,868万円)と報告されています。

無理のない借入額の設計には、返済負担率(手取り年収の20〜25%以内を推奨)を基準にシミュレーションするのが有効です。

この記事のまとめ

この記事では、住宅ローンの仕組み全体と、借入先・金利タイプ・返済方法・審査・諸費用・夫婦での借り方といった判断材料を整理しました。住宅ローンは、金利の低さだけでなく、返済の安定性や将来の家計負担まで含めて考えることが重要です。まずは家計の状況と今後のライフプランを確認し、無理なく返せる借入額を試算したうえで、自分に合う選択肢を比較していきましょう。

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投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。

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住宅ローン

住宅ローンとは、自宅を購入したり新築・リフォームしたりする際に、金融機関から長期的にお金を借りるための貸付制度のことを指します。通常、借りた資金は数十年かけて分割返済され、元金と利息を毎月支払っていく仕組みです。 多くの場合、担保として購入する住宅や土地が差し入れられます。住宅ローンには金利のタイプ(固定金利・変動金利)や返済方法(元利均等返済・元金均等返済)など、さまざまな選択肢があり、自分の収入やライフプランに合わせて慎重に選ぶことが大切です。 また、一定の条件を満たせば住宅ローン控除などの税制優遇を受けられる場合もあります。家という大きな買い物を実現する手段として、多くの人が利用する金融商品です。

担保

担保とは、お金を借りるときに「万が一返済できなかった場合にはこれを使って返済します」として提供される資産や保証のことです。たとえば、住宅ローンでは購入する家そのものが担保となることが一般的で、返済できなければ金融機関はその家を売却して貸したお金を回収します。 投資の世界では、企業が社債を発行する際に自社の資産を担保に差し出すこともあります。担保があることで、貸す側にとってはリスクが下がるため、金利も低めに設定される傾向があります。逆に担保がない貸付(無担保)は、リスクが高いため金利も高めになります。担保の種類や価値は、投資や融資の安全性を判断するうえでとても重要な要素です。

フラット35

フラット35とは、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する、最長35年間の全期間固定金利型の住宅ローンです。最大の特徴は、借入時に決まった金利が返済終了まで変わらない点にあります。これにより、将来の金利上昇による返済額の増加リスクを回避することができ、長期の資金計画を立てやすくなるメリットがあります。 主にマイホームの新築・購入・リフォームに利用され、一定の技術基準や住宅性能(例:省エネ性、耐震性)を満たす住宅が対象です。また、所得制限がなく、自営業者やフリーランスの方にも利用しやすいローンとして知られています。金融機関ごとに取り扱い条件や金利は異なりますが、公的性格を持つ制度として、住宅取得支援の重要な選択肢となっています。

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変動金利とは、市場の金利動向に応じて一定の期間ごとに金利が見直される仕組みのことを指します。住宅ローンや投資信託の分野でよく使われ、金利が低下すれば支払い負担が軽くなる一方で、金利上昇時には支払額が増加するリスクがあります。短期的な金利低下が見込まれる場合に有利ですが、将来的な金利上昇に備えた資金計画が重要です。

全期間固定金利

全期間固定金利とは、住宅ローンなどの借入において、返済が終わるまでのすべての期間にわたって金利が変わらないタイプの金利のことです。契約時に決められた金利が、景気の変動や金融政策の影響を受けずに最後まで維持されるため、返済額がずっと一定で予測しやすいという特徴があります。 将来の金利上昇リスクを避けたい方や、家計の見通しを立てやすくしたい方に向いている選択肢です。ただし、一般的に変動金利よりも初期の金利は高めに設定されていることが多いため、長期的な視点で比較検討することが大切です。

固定期間選択型

固定期間選択型とは、住宅ローンにおいて、最初の一定期間(たとえば3年、5年、10年など)だけ金利を固定し、その期間が終了した後は変動金利に切り替わるタイプの金利プランのことです。 この方式では、最初の固定期間中は金利が変わらないため、家計の見通しを立てやすく、将来の金利上昇に対するリスクを一時的に抑えることができます。固定期間が終わると、その時点の金利状況や金融機関の方針に基づいて、新たな金利が適用されるため、返済額が増減する可能性があります。初めて住宅ローンを利用する人にとっては、固定と変動の両方のメリットを取り入れられる選択肢として人気がありますが、将来の金利変動や更新時の条件も考慮したうえで選ぶことが大切です。

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