新NISAは改悪された、というのは本当ですか?
新NISAは改悪された、というのは本当ですか?
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2024/12/17 11:27
男性
40代
老後の生活への対策を考え、そろそろNISAを始めようと考えていますが、新NISAになって改悪されたという話を耳にしました。<br>新NISAはどんな点で改悪されたのでしょうか?初歩的な質問で恐縮ですが、ご回答よろしくお願いします。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
新NISAが「改悪」と言われるのは ①ジュニアNISAの新規開設・追加拠出が2024年以降できなくなったこと、②旧NISA資産を新NISAへロールオーバーできないこと、③成長投資枠で高レバレッジETFや毎月分配型投信など長期保有に不向きな商品が除外されたこと、の三点が理由です。
ただし制度全体を見れば、非課税投資枠が生涯1,800万円(成長投資枠1,200万円・つみたて投資枠600万円)へ拡大し、非課税期間が無期限化され、売却後は簿価残高方式で枠を繰り返し再利用できるなど、長期・積立・分散投資に有利な改良が多数導入されました。旧NISA口座も非課税期間終了まで保有できるため、新旧を併用しながら柔軟に運用方針を調整できます。
つまりジュニアNISA終了や一部商品の取扱停止は「選択肢が整理された」程度であり、制度本来の目的である長期資産形成を後押しする点では新NISAはむしろ強化されたと評価できます。「改悪」ではなく、投資初心者にも使いやすい形にブラッシュアップされたと捉えるのが妥当でしょう。
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NISA
NISAとは、「少額投資非課税制度(Nippon Individual Saving Account)」の略称で、日本に住む個人が一定額までの投資について、配当金や売却益などにかかる税金が非課税になる制度です。通常、株式や投資信託などで得られる利益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座を使えばその税金がかからず、効率的に資産形成を行うことができます。2024年からは新しいNISA制度が始まり、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つを併用できる仕組みとなり、非課税期間も無期限化されました。年間の投資枠や口座の開設先は決められており、原則として1人1口座しか持てません。NISAは投資初心者にも利用しやすい制度として広く普及しており、長期的な資産形成を支援する国の税制優遇措置のひとつです。
ジュニアNISA
ジュニアNISAとは、2023年で新規口座開設が終了した未成年者向けの非課税投資制度で、子ども名義の口座に年間80万円まで株式や投資信託を購入し、運用益や配当にかかる約20%の税金を非課税にできる仕組みです。 正式名称は「未成年者少額投資非課税制度」で、2016年に導入されました。親や祖父母が子どもの将来資金を準備する手段として利用されてきましたが、2024年以降は新NISAへ一本化されています。既存口座は当面非課税運用を継続できますが、追加買付には制限がある点に注意が必要です。
ロールオーバー
ロールオーバーとは、ある金融取引や契約の期限が到来したときに、それを終了させずに、同じ条件または新しい条件で継続することを指します。資産運用の分野では、特にFXや先物取引、投資信託、債券などでよく使われる言葉です。 たとえば、FXではポジションを翌日に持ち越すことで金利差調整額(スワップポイント)が発生することがあり、これもロールオーバーに含まれます。また、確定拠出年金などでは、満期になった資産を再び同じような運用先に自動的に移す場合にもこの用語が使われます。ロールオーバーは、資産運用を長期で続ける際に知っておくべき重要な仕組みのひとつです。
成長投資枠
新NISAにおける成長投資枠とは、個別株や投資信託などの成長性の高い投資商品を購入できる非課税枠のことです。2024年に始まった新NISA制度では、年間最大240万円、累計1,200万円まで投資が可能で、売却しても枠が復活しない「一生涯の上限額」が設定されています。 成長投資枠では、主に上場株式やETF、アクティブ型の投資信託などが対象となり、比較的リスクを取りながら資産を増やしたい投資家向けの仕組みになっています。一方で、レバレッジ型や一部の毎月分配型投資信託など、一部のリスクが高い商品は対象外となるため注意が必要です。 つみたて投資枠と併用でき、両方を活用すれば年間最大360万円の投資が可能です。成長投資枠を活用することで、中長期的な資産形成を非課税で行うことができ、売却益や配当金に税金がかからないため、資産を効率的に増やす手段となります。
分散投資
分散投資とは、資産を安全に増やすための代表的な方法で、株式や債券、不動産、コモディティ(原油や金など)、さらには地域や業種など、複数の異なる投資先に資金を分けて投資する戦略です。 例えば、特定の国の株式市場が大きく下落した場合でも、債券や他の地域の資産が値上がりする可能性があれば、全体としての損失を軽減できます。このように、資金を一カ所に集中させるよりも値動きの影響が分散されるため、長期的にはより安定したリターンが期待できます。 ただし、あらゆるリスクが消えるわけではなく、世界全体の経済状況が悪化すれば同時に下落するケースもあるため、投資を行う際は目標や投資期間、リスク許容度を考慮したうえで、計画的に実行することが大切です。

