国債でも元本割れするケースがあると聞きましたが、どういうときですか?
国債でも元本割れするケースがあると聞きましたが、どういうときですか?
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2024/10/18 00:37
男性
60代
現在退職金の運用先として、国債の購入を検討しています。話を聞いたところ、国債は基本的には元本割れしない安定資産だということなのですが、元本割れをするケースもある、ということを聞きました。<br>国債が元本割れするケースというのはどのような場合でしょうか?ご教授いただけますと幸いです。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
国債で元本割れが起こり得る場面は、大きく分けて二つしかありません。第一に、個人向け国債を発行から1年未満で中途換金する場合です。個人向け国債には国の買い取り制度があり、1年以上保有すれば額面で買い取られますが、1年未満で換金すると直近2回分(半年分)の利子相当額が差し引かれ、受取額が投資元本をわずかに下回る可能性があります。第二に、新窓販国債(店頭で購入する新発国債)を満期前に市場で売却する場合です。新窓販国債には国の買い取り制度がなく、市場価格で売るしかないため、金利上昇局面などで債券価格が購入時より下がっていれば元本割れします。逆に言えば、個人向け国債を1年以上持ち続ける、または新窓販国債を満期まで保有する限り、額面どおり償還されるため元本割れはありません。したがって「途中で解約する可能性があるか」「金利変動による価格リスクを許容できるか」が分岐点になります。生活費など流動性を重視する資金は個人向け国債を1年以上保有、利回りを優先し途中換金の予定がない資金は新窓販国債を満期保有、と使い分けるとよいでしょう。途中換金が避けられない場合でも、売却タイミングによって損失幅は変わるため、迷ったときは早めに専門家へご相談ください。
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個人向け国債
個人向け国債とは、日本政府が個人投資家向けに発行する債券で、安全性が高く元本保証が特徴です。最低1万円から購入可能で、3年・5年の固定金利型と10年の変動金利型があります。変動金利型は半年ごとに金利が見直され、市場金利の上昇に伴い受取利息が増加するメリットがあります。 一方、株式投資ほどの高いリターンは期待できず、インフレ時には実質的な資産価値が目減りする可能性があります。また、購入後1年間は中途換金ができず、その後の換金時には直前2回分の利子相当額が差し引かれる点に注意が必要です。銀行預金より高い金利を求めるが、リスクを避けたい投資初心者や安全資産を確保したい方に適した商品です。
新窓販国債
新窓販国債とは、個人投資家向けに販売される日本国債の一種で、正式には「新窓口販売方式による国債」のことを指します。従来の国債に比べて、比較的少額から購入できるように設計されており、銀行や証券会社の窓口で簡単に申し込めるのが特徴です。固定金利型や変動金利型など種類があり、安全性が高く、元本が保証されるため、資産運用初心者にも人気があります。資産運用の場面では、リスクを抑えたい場合の運用先として、新窓販国債が選ばれることが多いです。
償還
償還とは、金融商品に投資した元本が、発行体や運用会社から投資家に返還されることを指します。利息や分配金といった収益の分配とは異なり、投じた資金そのものが返ってくる行為です。多くはあらかじめ定められた満期日に行われますが、条件によっては予定より早く行われる場合もあります。 債券では、満期時に額面金額で元本が返却されるのが一般的です。保有中は利息を受け取り、満期に元本が戻る仕組みとなっています。ただし、途中で売却した場合は市場価格での取引になり、償還は受けられません。コーラブル債のように発行体に早期償還の権利がある場合は、投資家の予想より早く元本が返却されることもあります。 投資信託の場合、信託期間が満了したときに残存資産が投資家に償還されます。また、運用資産が小さくなったり、継続が難しいと判断された場合には、満期前に「繰上償還」が行われることがあります。その際、保有口数に応じて償還金が口座に入金されます。 外貨建ての金融商品では、償還時の受取額は為替の水準に左右されます。契約条件によっては償還価格が額面と異なる場合もあり、仕組債や証券化商品のように複雑な償還条項が組み込まれているケースもあります。 税制上の扱いも重要です。債券の償還差益(額面より安く買って満期に額面で返ってくる利益)は、株式などと同様に譲渡所得として課税対象になります。投資信託の償還金も分配金とは異なり、売却と同じく譲渡損益の扱いとなります。 投資家にとっての注意点は、早期償還による再投資リスクや、発行体の信用不安による償還不能リスクです。特に利回りの高い環境で購入した商品が、金利低下局面で早期償還されると、期待した利回りを得られないまま再投資を強いられることになります。 初心者の方は、商品を選ぶ際に「いつ」「いくら」償還されるのか、繰上償還や早期償還の可能性があるのかを必ず確認しておくことが大切です。償還は投資商品の出口であり、資産運用の成果を決める重要な要素です。理解しておくことで、利息や配当とあわせた総合的なリターンのイメージを正しく持つことができます。
流動性
流動性とは、資産を「現金に変えやすいかどうか」を表す指標です。流動性が高い資産は、短時間で簡単に売買でき、現金化しやすいという特徴があります。例えば、上場株式や国債は市場で取引量が多く、いつでも売買できるため、流動性が高い資産とされています。 一方、不動産や未上場株式のように、売買相手を見つけるのが難しかったり、取引に時間がかかったりする資産は、流動性が低いといえます。 投資をする際には、自分が必要なときに資金を取り出せるかを考えることが重要です。特に初心者は、流動性が高い資産を選ぶことで、急な資金需要にも対応しやすく、リスクを抑えることができます。
元本
元本とは、投資や預金を始めるときに最初に出すお金、つまり「もともとのお金」のことを指します。たとえば、投資信託に10万円を入れた場合、その10万円が元本になります。 運用によって利益が出れば、元本に運用益が加わって資産は増えますが、損失が出れば元本を下回る「元本割れ」の状態になることもあります。 元本が保証されている商品(例:定期預金、個人向け国債など)もありますが、多くの投資商品では元本保証がないため、どれくらいのリスクを取るかを理解しておくことが大切です。



