国債の利回りはどう決まる?メリット・デメリットや買い方、知っておくべきリスクも解説

国債の利回りはどう決まる?メリット・デメリットや買い方、知っておくべきリスクも解説
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公開:
2025.02.10
更新:
2026.01.28
預金金利が上がりにくい一方で、債券利回りは局面で変動し、「安全に増やす」選択肢として国債を検討する人が増えています。ただ、国債は種類や買い方で元本の扱いが変わり、金利・利回りの見方や税金を誤ると「思ったより増えない」「途中換金で損をした」となりかねません。この記事では国債の仕組みから種類、利回りと金利の違い、税金、購入先と手続き、買ってはいけないケースまでを具体的に解説します。
目次
個人が購入できる国債の種類と比較(個人向け国債と新窓販国債)
国債の買い方は?個人向け国債・市場公募国債それぞれのステップを解説
初めてで不安な方は対面窓口、コストを抑えたい方や自分で判断できる方はネット証券など、ご自身の状況に合わせて選びましょう。国債とは何か?政府が資金調達のために発行する債券
国債とは、国が資金調達のために発行する債券です。日本政府が発行する国債が日本国債、米国政府であれば米国債、というように呼ばれます。国債を購入するということは、国にお金を貸し出し、その見返りとして定期的に利子を受け取り、満期(償還期限)には貸したお金(元本)が戻ってくるということになります。
民間企業が発行する「社債」と比較して、発行体が国家であるため信用度が非常に高く、一般的に安全性が高い投資先とされています。特に日本国債は、過去に債務不履行(デフォルト)を起こしたことがなく、銀行の自己資本規制においても「自国通貨建ての国債は信用リスク0%」と評価されるほどです。このため、「元本保証に近い」という安心感から、預金よりも有利な利回りを求める資産運用初心者にとって、魅力的な選択肢の一つとなっています。
しかし、「安全=ノーリスク」ではありません。国債の金利は固定されているため、物価上昇によって実質的な価値が減少するインフレリスクが存在します。また、市場で売買される国債には、金利の変動に伴う価格変動リスクもあります。
国債の基本的な分類
国債は、様々な観点から分類することができます。主な分類軸は以下の通りです。
償還期限(満期)による分類
国債は、満期までの期間によって「短期国債」「中期国債」「長期国債」「超長期国債」に分けられます。
| 国債の分類 | 主な償還期限 |
|---|---|
| 短期国債 | 1年以内 |
| 中期国債 | 2年・5年 |
| 長期国債 | 10年(一般的に「長期金利」の指標とされる) |
| 超長期国債 | 20年・30年・40年 |
一般的に、償還期間が長いほど利率は高めに設定される傾向がありますが、金利変動による価格変動リスクも大きくなります。
利息のタイプによる分類
支払われる利息が固定されているか、変動するかによっても分類されます。
| 国債タイプ | 利率・元本の特徴 | 主な代表例・補足 |
|---|---|---|
| 固定利付債 | 発行時にクーポンレートが決定され、満期まで変動しない | 市場で発行される日本国債の大半が該当 |
| 変動利付債 | 市場金利の動向に応じて、所定のタイミングで利率が見直される | 個人向け国債「変動10年」など |
| 物価連動国債 | 物価変動に連動して元本・利息が増減し、インフレリスクに対応 | 日本の物価連動国債(新発・既発) |
物価連動国債については以下の記事で詳しく解説しています。
固定金利と変動金利の選び方については以下FAQもご参照ください。
投資家層・発行形態による分類
誰を対象に、どのように発行されるかによっても分けられます。
| 国債の分類 | 発行対象・形態 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 市場公募債 | 金融市場で広く募集(機関投資家が中心、個人も証券会社経由で購入可) | 多様な投資家に販売され、市場流動性が高い |
| 個人向け国債 | 個人投資家限定(1万円から購入可) | 中途換金でも元本割れしない仕組みがある |
これら以外にも、「円建てか外貨建てか」といった通貨による分類や、「建設国債か赤字国債か」といった発行目的による分類がありますが、個人投資家が主に接するのは上記の分類で理解しておけば十分でしょう。
個人が購入できる国債の種類と比較(個人向け国債と新窓販国債)
個人投資家が購入できる国債には、大きく分けて「個人向け国債」と「新窓販国債」があります。どちらも金融機関の窓口やネット証券で購入できますが、商品設計やリスクの性質が異なるため、目的に応じた選択が重要です。
| 項目 | 個人向け国債 | 新窓販国債 |
|---|---|---|
| 対象 | 個人投資家専用 | 個人・法人向け(2年・5年・10年債) |
| 発行形態 | 個人専用に特別設計 | 市場発行された一般国債を個人向けに分割・額面販売 |
| 購入単位 | 1万円から(1万円単位) | 一般に5万円単位など(銘柄ごとに異なる) |
| 金利タイプ | 固定3年・5年/変動10年(金利下限あり) | 固定金利(最低保証なし) |
| 利払い | 年2回 | 年2回 |
| 中途解約 | 1年経過後に額面で換金可能(調整金あり) | 市場で売却(価格変動あり) |
| 元本保証 | あり | 額面償還だが購入価格と異なる可能性あり |
| 主な販売チャネル | 銀行・郵便局・証券会社(対面・ネット) | 証券会社など(対面・ネット) |
- 元本保証と最低金利保証を重視するなら個人向け国債
- 利回りや金利水準によって選びたい人は新窓販国債も選択肢に
個人向け国債の特徴や個人向けと新窓販の違いは、以下の記事やQ&Aもご覧ください。
国債の買い方は?個人向け国債・市場公募国債それぞれのステップを解説
国債を購入するには、主に銀行や証券会社を利用します。ここでは、具体的な購入手順を解説します。
国債の買い方
- 証券会社(対面型):担当者からアドバイスを受けながら、個人向け国債や市場公募債を購入できます。
- ネット証券:手数料が比較的安く、オンラインで手軽に個人向け国債や一部の市場公募債を購入できます。
- 銀行・ゆうちょ銀行:馴染みのある窓口で相談しながら購入できます。特に個人向け国債の取り扱いが多いです。
個人向け国債の購入ステップ
個人向け国債は、毎月発行される募集に合わせて購入します。
Step1:金融機関を選び、口座を開設する
国債取引ができる口座(証券総合口座など)が必要です。未開設の場合は、本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)と印鑑(必要な場合)を用意して口座開設手続きを行います。マイナンバーの届け出も必須です。
Step2:募集中の個人向け国債を選ぶ
金融機関の窓口やウェブサイトで、現在募集中の個人向け国債(固定3年、固定5年、変動10年)の条件(利率など)を確認し、購入したい種類と金額を決めます。
Step3:購入の申し込み
募集期間中に、窓口やオンラインで申し込み手続きを行います。申込書や契約締結前交付書面(目論見書)の内容をよく確認しましょう。
Step4:購入代金の支払い
発行日(購入日)に、指定した口座から購入代金が引き落とされます。個人向け国債は額面100円あたり100円で購入できます。
Step5:購入後の確認
購入後、取引報告書などが交付(郵送または電子交付)されるので、内容を確認し保管します。利子は半年ごとに支払われ、指定口座に自動的に入金されます。
市場公募債の購入ステップ
市場で取引される国債の購入は、個人向け国債よりも少し専門的になります。
Step1:証券会社で口座を開設する
市場公募債の取引は、主に証券会社で行います。そのため、証券会社の口座が必要になりますので、お持ちでない場合は開設する必要があります。
Step2:購入したい国債を選び、価格・利率・利回りを確認
新発債なのか、既発債なのか、どの種類の国債を購入するのかを選定し、価格・利回りを確認します。
新たに発行される国債「新発債」の場合は、発行条件(利率、発行価格など)を確認して申し込みます。
既に発行され、市場で流通している国債「既発債」の場合は、証券会社に希望する銘柄(償還期間、利回りなど)を伝え、現在の市場価格や利回りを確認します。既発債の価格は日々変動します。額面100円あたりの価格と、その時点での利回りを確認します。購入時には、経過利子(前回利払日の翌日から受渡日までの利子相当額)を買い手が売り手に支払うのが一般的です。
Step3:注文と約定
購入する銘柄、金額、価格に同意したら、注文を出します。注文が成立(約定)すると、購入代金(+経過利子+手数料がかかる場合も)を支払います。
Step4:購入後の確認
取引報告書で内容を確認します。利払いや償還は、個人向け国債と同様に指定口座で行われます。
国債の信用リスクと「元本保証」の実態
国債の魅力として「安全性の高さ」がよく挙げられますが、その実態を正確に理解することが重要です。
信用リスクは極めて低く安全性が高い
信用リスクとは、発行体が財政難などで利払いや元本返済ができなくなる(デフォルトする)可能性を指します。
日本国債の発行体は日本政府です。日本政府は自国通貨(円)を発行する能力を持ち、理論上は日本銀行を通じて資金を調達することも可能です。そのため、自国通貨建てである日本国債のデフォルトリスクは極めて低いとされています。
- 実際に、国際的な格付け会社(例:フィッチ・レーティングス)による日本の長期国債の格付けは、信用リスクが低いとされる「A」レベル(2025年12月時点)です。銀行の自己資本比率規制においても、日本国債はリスクウェイト0%と見なされています。歴史的にも、戦後の特殊な事例を除き、日本国債が元本削減された例はありません。
これらの事実から、日本国債の信用リスクは、個人投資家が懸念する必要はほとんどないレベルと言えるでしょう。なお、日本国債の格付けに関しては、以下のQ&Aも参考にしてみてください。
「元本保証」は満期まで保有するという条件付き
「元本保証」という言葉は魅力的ですが、国債におけるその意味合いは、種類や保有期間によって異なります。
満期まで保有する場合、国がデフォルトしない限り、どの種類の国債も満期時には額面金額で償還されます。この意味では、満期保有を前提とすれば実質的に元本は保証されていると言えます。
一方、途中で売却・換金する場合は事情が異なります。
市場公募債であれば、市場価格で売却するため、購入時よりも価格が下落していれば元本割れする可能性があります。逆に価格が上昇していれば売却益を得られます。
個人向け国債の場合、発行後1年経過すれば、国が額面金額で買い取ってくれます。ただし、直近2回分の利子に相当する調整額が差し引かれるため、受け取り総額が購入金額をわずかに下回ることはありますが、元本部分の価格変動リスクはありません。
- したがって、市場公募債の場合、「元本保証」は満期保有が前提です。一方、個人向け国債は、1年経過後の途中換金でも元本相当額は守られる設計になっています。特に中途売買や換金する場合は元本保証されない場合もあるので注意しましょう。
「元本割れ」の具体例はこちらのFAQもご参照ください。
国債の金利と利回り:リターンを理解する
国債投資で得られる収益を考える上で、「金利」と「利回り」の違いを理解することは非常に重要です。
「金利(利率)」と「利回り」の違いとは?
金利(利率)とは、国債の額面金額に対して、1年間に支払われる利子の割合です。表面利率やクーポンレートとも呼ばれます。固定金利型の場合、発行時に決定された利率が満期まで変わりません。
例えば、額面100万円、利率1.0%の国債なら、年間1万円(税引前)の利子が支払われます。
利回りとは投資した金額に対して、1年あたりどれくらいの収益が得られるかを示す割合です。利子収入だけでなく、購入価格と償還価格(または売却価格)との差額(償還差損益・売買差損益)も考慮に入れた総合的な収益率です。
新発債を額面で購入し満期まで保有する場合: 購入価格=償還価格(額面)なので、このケースでは「利回り=金利(利率)」となります。
既発債を購入・売却する場合や、額面以外の価格で購入した場合
- 額面より安く購入(アンダーパー発行・購入)した場合:利回り>金利
- 額面より高く購入(オーバーパー発行・購入)した場合:利回り<金利
投資判断においては、表面的な「金利」だけでなく、実際の投資効率を示す「利回り」を見ることが重要です。
債券の利率と利回りの違いについては、以下記事でも詳しく解説しています。
名目金利と実質金利の違いとは?
金利を語る上でもう一つ重要な概念が、名目金利と実質金利の違いです。簡単に言えば、名目金利とは額面通りの数字上の金利であり、実質金利とはそこからインフレ率を差し引いた実質的な利回りのことです。
名目金利(Nominal Interest Rate)とは?
銀行の預金金利や国債の表面利率など、物価変動を考慮しない「見かけの金利」です。たとえば「年利1%」という表示は名目金利です。名目金利はその時点での利息の増加分を示すに過ぎず、お金の購買力までは考えていません。
実質金利(Real Interest Rate)
名目金利から予想インフレ率を控除したものを実質金利と呼びます。言い換えると、物価変動を加味したお金の増減率です。実質金利 = 名目金利 - インフレ率という単純な近似式で理解できます(正確には「(1+名目金利)/(1+インフレ率)-1」です)。例えば名目金利が2%でも、その間に物価が2%上昇していれば実質金利はおおよそ0%となり、お金の購買力は増えていないことになります。一方、名目金利1%でも物価が-1%下落(デフレ)していれば実質金利は約2%となり、購買力は増える計算です。
このように、投資の成果を見るには実質的な利回りを見る必要があります。特にインフレ局面では、名目上プラスの利息を得ていても実質では目減りしているケースがあるので注意が必要です。
国債は本当に「儲かる」のか?
「国債は安全だけど、儲からない」というイメージを持つ方もいるかもしれません。ここでは「儲かる」とはどういうことか、国債投資の収益性について掘り下げてみましょう。
国債投資の収益源は利子と売却益の2種類
国債投資で得られる「儲け」には、主に以下の2つがあります。
- インカムゲイン(利子収入):定期的に支払われる利子です。満期まで保有し続けることで、安定的に利子収入を積み重ねることができます。
- キャピタルゲイン(売買差益):国債を市場で購入価格よりも高い価格で売却できた場合に得られる利益です。金利が低下すると債券価格は上昇する傾向があるため、そのタイミングで売却すれば利益が期待できます。ただし、逆に金利が上昇すれば債券価格は下落し、売買差損が生じる可能性もあります。
初心者の場合、主にインカムゲインを目的とした長期保有が一般的です。
国債が「儲からない」と言われる理由
「国債は儲からない」と言われるのには、主に以下3つのような理由があります。
- インフレに弱い
- 金利が低い
- 元本保証はあるがリターンは限定的
以下で詳しく説明します。
1.インフレに弱い
国債の利回りはインフレ率を上回らない場合が多いため、実質的な購買力が低下する可能性があります。
2.金利が低い
日本の金利は歴史的に低く、国債の利回りも低水準にとどまっています。特に個人向け国債の最低金利は0.05%で、超低金利環境ではほとんどリターンが期待できません。
3.元本保証はあるがリターンは限定的
国債は元本保証という大きなメリットがありますが、その分リターンも制限されており、大きな資産成長を狙うには不向きです。
国債の収益性を他の投資と比較
国債のリターンは、他の投資手段と比べてどうなのでしょうか?いくつかの代表的な資産クラスと比較してみましょう。
資産クラスの意味や種類については以下記事で詳しく解説しています。
国債と株式投資の収益性比較
| 比較項目 | 国債 | 株式投資 |
|---|---|---|
| 収益性 | 低い(0.3~1.0%程度) | 高い(年率5~7%以上も可能) |
| リスク | 低い(元本保証) | 高い(価格変動が大きい) |
| 流動性 | 低い(満期まで保有が基本) | 高い(いつでも売買可能) |
国債は低リスク・低リターン、株式は高リスク・高リターンという対照的な性質を持っています。
国債と債券ETFの収益性比較
| 比較項目 | 国債 | 債券ETF |
|---|---|---|
| 収益性 | 固定された利回り | 市場の金利や価格変動の影響を受ける |
| リスク | 低い | やや高い(価格が変動) |
| 流動性 | 低い | 高い(市場で売買可能) |
債券ETFは分散投資が可能で、国債よりも流動性が高いですが、市場変動の影響を受けやすい点に注意が必要です。
債券ETFの仕組みやメリットについては以下記事で詳しく解説しています。
国債と銀行定期預金の収益性比較
| 比較項目 | 国債 | 銀行定期預金 |
|---|---|---|
| 収益性 | やや高い(0.3~1.0%) | 非常に低い(0.002~0.2%) |
| リスク | 低い(国の保証) | 低い(銀行の保証) |
| 流動性 | 低い | 低い(満期前解約のペナルティあり) |
銀行定期預金よりも国債の方が利回りは高い傾向にあります。
国債投資のリスクと注意点
国債は安全性が高いとされますが、投資である以上、いくつかのリスクや注意点が存在します。
インフレリスク
既に触れた通り、固定金利の国債は、インフレによって実質的な価値が目減りするリスクがあります。満期時に受け取る元本や利子の購買力が、購入時よりも低下している可能性があるのです。特に長期間の国債を保有する場合、このリスクは大きくなります。
金利変動リスク(価格変動リスク)
市場で売買される国債(市場公募債)は、市場金利の変動に応じて価格が変動します。
- 市場金利が上昇すると、債券価格は下落します。
- 市場金利が低下すると、債券価格は上昇します。
これは、既に発行されている固定金利の国債の魅力が、新しい金利水準と比較して相対的に変化するためです。満期まで保有すれば額面で償還されますが、途中で売却する場合は、購入時よりも価格が下落していて元本割れする可能性があります。特に、償還期間が長い国債ほど、金利変動による価格の変動幅は大きくなる傾向があります。
個人向け国債は、発行1年経過後であれば国が額面で買い取ってくれるため、この市場価格の変動リスクは直接的には影響しません(ただし、中途換金調整額は考慮が必要です)。
流動性リスクと中途換金
流動性リスクとは、売りたいときにすぐに売れない、または不利な価格でしか売れない可能性を指します。
市場公募債の流動性リスク
日本国債の市場は非常に大きく流動性は高いですが、個人が売買する際には、銘柄や取引量によっては希望通りの価格やタイミングで取引できない可能性が皆無ではありません。
個人向け国債の流動性リスク
発行後1年間は原則として中途換金できません。この期間内に現金が必要になっても換金できないという制約があります。1年経過後は国が買い取ってくれるため換金は容易ですが、急な資金ニーズには対応できない期間があることを理解しておく必要があります。
デュレーションと価格変動の感応度
デュレーションとは、債券投資の平均回収期間を示すとともに、金利変動に対する債券価格の感応度(どれくらい価格が変動するか)を示す指標です。
- デュレーションが長いほど、金利が1%変動したときの価格変動幅が大きくなります。
- 一般的に、償還までの期間が長い債券や、表面利率(クーポンレート)が低い債券ほど、デュレーションは長くなる傾向があります。
例えば、デュレーションが「9」の10年物国債があった場合、金利が1%上昇すると、理論上、債券価格は約9%下落することを示唆します。金利上昇局面では、デュレーションの長い国債を保有していると、価格下落リスクが大きくなるため注意が必要です。
価格変動リスクを抑えたい場合は、デュレーションの短い国債(償還期間の短い国債など)を選ぶか、個人向け国債のように価格変動リスクが直接影響しにくい商品を選ぶことが考えられます。
国債以外の投資の種類について知りたい方は、こちらの記事もあわせて参考にしてみてください。
国債の利子や売買益にかかる税金
国債の利子や売却益には税金がかかります。
国債の利子は利子所得として総合課税
国債の利子は「利子所得」として、原則として20.315%(所得税15.315%、住民税5%)が源泉徴収されます。つまり、利子が支払われる際に税金が天引きされるため、基本的に確定申告は不要です。
国債の売買益は譲渡所得として分離課税
市場公募債を売却して得た利益(売却益)は「譲渡所得」として、同じく20.315%の申告分離課税の対象となります。特定口座で取引していれば、証券会社が損益計算や納税を代行してくれる場合が多いですが、一般口座の場合は原則として確定申告が必要です。売却損が出た場合は、他の上場株式等の譲渡益と損益通算できる場合があります。
国債が向いている人、向いていない人はどんな人?
国債は優れた金融商品ですが、全ての人にとって最適とは限りません。国債が適している人と、国債では物足りない可能性のある人を簡単にまとめました。
国債が適している人
- 元本安全性を最優先する人:リスクを極力抑えたい、元本割れは避けたいと考える人
- 安定した利子収入を求める人:定期的なインカムゲインを重視する人
- 投資初心者:まずは安全性の高い商品から資産運用を始めたい人
- 預金より有利な運用をしたい人:現在の低金利な預金からのステップアップを考えている人
- 長期的な視点で資産を守りたい人:短期的な値動きに一喜一憂せず、じっくり資産を保全・育成したい人
- ポートフォリオの一部として安定資産を組み入れたい人:株式などリスクの高い資産と組み合わせて、全体のバランスを取りたい人
国債では物足りない可能性のある人
- 高いリターンを積極的に狙いたい人:年数%以上の大きな収益を目指す人。
- インフレに強い資産を求める人:インフレ率が高い状況下で、実質的な資産価値の維持・向上を重視する人(物価連動国債は除く)
- 短期で資産を大きく増やしたい人:短期間でのキャピタルゲインを期待する人。
- 投資の刺激や面白さを求める人:値動きの大きい商品でアクティブに取引したい人。
国債は資産運用において安定性を高める守りの資産
国債は、資産ポートフォリオの中で「守り」の役割を担うコア資産として活用できます。株式や投資信託といった相対的にリスクの高い資産と組み合わせることで、ポートフォリオ全体のリスクを分散し、安定性を高める効果が期待できます。
例えば、資産の一部を国債で堅実に運用しつつ、残りの部分でより高いリターンを目指すといったバランスの取れた運用が考えられます。ご自身の年齢、リスク許容度、投資目的、運用期間などを総合的に考慮して、国債をどの程度組み入れるかを判断することが大切です。
特に、個人向け国債は生活防衛資金の置き場所としても活用できます。詳しくは、こちらの記事を参考にしてみてください。
国債を買ってはいけないケース
国債は「安全性が高い」資産として有力ですが、状況によってはミスマッチになり、期待した安心感やリターンを得られないことがあります。まず避けたいのは、近い将来に使う予定の資金を国債に回すケースです。
特に個人向け国債は発行後1年間は原則中途換金できないため、急な出費に備えるお金(生活防衛資金や直近の教育費・住宅費など)を入れてしまうと、必要なタイミングで現金化できず資金繰りを悪化させかねません。
次に、価格変動が怖いのに市場公募債(新窓販国債を含む)を短期で売買しようとするケースです。市場で取引される国債は金利変動に応じて価格が上下するため、満期まで保有せず途中売却すると元本割れする可能性があります。
「安全=いつでも額面で戻る」と誤解したまま、数カ月〜1年程度で換金する前提で買うと、金利上昇局面では損失が出やすく、初心者ほど精神的な負担も大きくなります。価格変動を許容できない場合は、満期まで保有できる資金だけに限定するか、途中換金の仕組みがある個人向け国債を優先した方が合理的です。
さらに、インフレ局面で固定金利の国債だけに偏るのも注意が必要です。国債は名目上の利子は受け取れても、物価上昇がそれを上回ると実質的な購買力は目減りします。特に運用期間が長いほど、インフレによる実質価値の低下が効いてくるため、「元本は戻るが実質的には損をしている」状態になり得ます。
インフレが気になるときは、固定金利だけで完結させず、資産全体でインフレ耐性(物価連動国債を含む債券の選択肢、株式など成長資産とのバランス)を意識して組み立てることが重要です。
よくある質問(FAQ)
2026.02.13
男性60代
“国債が暴落するのは、どのような局面でしょうか?”
A. 国債は元利払いの安心感がある一方、金利上昇やインフレ、需給悪化で価格は下落します。特に長期債は値動きが大きく、資金の使途に合わせた期間選びが重要です。
2025.11.23
男性60代
“国債について、ご相談させて頂きたいです! 今月すべきか?来月にするべきか? NESAにすべきか?”
A. 変動10年国債は「基準金利×0.66」で利率が決まり、基準金利が市場より高めに設定されるため実質利率は魅力的です。金利予測は難しいため、迷う場合は今月の募集で一部購入し、来月に分散するのが合理的です。
2025.06.07
男性60代
“個別債券投資の長所と短所を教えてください”
A. 確定利回りで資金計画が立てやすく売却益も狙えますが、最低投資額が大きく分散困難で信用・流動性リスク管理が必須です。

MONO Investment
投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。
投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。
関連する専門用語
国債
発行体が各国中央政府の債券を国債といいます。発行目的や利払い方式などで種類が分別されます。中央政府に資金需要が発生した際に、国債を発行して資金の調達を行うことがあります。 投資家は国債を購入することで、発行体である中央政府へ資金を提供し、その見返りとして半年に1回などのペースで、中央政府から利子を受け取ります。償還期限までに中央政府の財政が悪化するなど、債務が履行されない状況に陥らなければ、満期には額面どおりの金額が投資家へ償還される仕組みです。 国債には、固定利付国債、変動利付国債、物価連動国債などがあります。
債券
債券(サイケン、英語表記:Bond)とは、発行者が投資家に対して将来一定の金額を支払うことを約束する金融商品です。 国や地方自治体、企業などが資金を調達する目的で発行し、投資家はこれを購入することで、定期的に利息(クーポン)を受け取ります。満期が来ると、投資した本金が返済されます。 債券はリスクが比較的低く、安定した収入を求める投資家に選ばれることが多いです。 また、市場で自由に売買が可能であるため、流動性も確保されています。債券市場は世界的にも広がりを見せており、多様な投資戦略に利用されています。
社債
社債とは、企業が事業資金を調達するために発行する「借金の証書」のようなものです。投資家は社債を購入することで企業にお金を貸し、その見返りとして、あらかじめ決められた利息(クーポン)を一定期間ごとに受け取ることができます。満期が来れば、企業は投資家に元本を返済します。 銀行からの融資とは異なり、社債は不特定多数の投資家から直接資金を集める方法であり、企業にとっては柔軟かつ効率的な資金調達手段です。 投資家にとって社債の魅力は、株式に比べて価格の変動が小さく、定期的な利息収入が得られる点にあります。一方で、発行体である企業が経営破綻した場合、元本が戻らないリスクがあるため、信用格付けや業績などを十分に確認することが重要です。 安定的な収益を目指しつつ、リスク管理も重視する投資家にとって、社債はポートフォリオの中核を担いうる資産クラスのひとつです。
元本
元本とは、投資や預金を始めるときに最初に出すお金、つまり「もともとのお金」のことを指します。たとえば、投資信託に10万円を入れた場合、その10万円が元本になります。 運用によって利益が出れば、元本に運用益が加わって資産は増えますが、損失が出れば元本を下回る「元本割れ」の状態になることもあります。 元本が保証されている商品(例:定期預金、個人向け国債など)もありますが、多くの投資商品では元本保証がないため、どれくらいのリスクを取るかを理解しておくことが大切です。
償還
償還とは、金融商品に投資した元本が、発行体や運用会社から投資家に返還されることを指します。利息や分配金といった収益の分配とは異なり、投じた資金そのものが返ってくる行為です。多くはあらかじめ定められた満期日に行われますが、条件によっては予定より早く行われる場合もあります。 債券では、満期時に額面金額で元本が返却されるのが一般的です。保有中は利息を受け取り、満期に元本が戻る仕組みとなっています。ただし、途中で売却した場合は市場価格での取引になり、償還は受けられません。コーラブル債のように発行体に早期償還の権利がある場合は、投資家の予想より早く元本が返却されることもあります。 投資信託の場合、信託期間が満了したときに残存資産が投資家に償還されます。また、運用資産が小さくなったり、継続が難しいと判断された場合には、満期前に「繰上償還」が行われることがあります。その際、保有口数に応じて償還金が口座に入金されます。 外貨建ての金融商品では、償還時の受取額は為替の水準に左右されます。契約条件によっては償還価格が額面と異なる場合もあり、仕組債や証券化商品のように複雑な償還条項が組み込まれているケースもあります。 税制上の扱いも重要です。債券の償還差益(額面より安く買って満期に額面で返ってくる利益)は、株式などと同様に譲渡所得として課税対象になります。投資信託の償還金も分配金とは異なり、売却と同じく譲渡損益の扱いとなります。 投資家にとっての注意点は、早期償還による再投資リスクや、発行体の信用不安による償還不能リスクです。特に利回りの高い環境で購入した商品が、金利低下局面で早期償還されると、期待した利回りを得られないまま再投資を強いられることになります。 初心者の方は、商品を選ぶ際に「いつ」「いくら」償還されるのか、繰上償還や早期償還の可能性があるのかを必ず確認しておくことが大切です。償還は投資商品の出口であり、資産運用の成果を決める重要な要素です。理解しておくことで、利息や配当とあわせた総合的なリターンのイメージを正しく持つことができます。
債務不履行(デフォルト)
債務不履行(デフォルト)とは、企業や国などの債務者が、借入金や債券などの元本や利息の支払いを、契約どおりに履行できなくなる状態を指します。利払いの遅延や元本返済の停止が発生した時点で、デフォルトとみなされます。 債務不履行が発生すると、債券を保有している投資家は、予定されていた利息や元本の一部または全額を受け取れないリスクに直面し、損失を被る可能性があります。特に、国による債務不履行(ソブリン・デフォルト)は、為替市場や株式市場にも連鎖的な影響を与え、国際的な金融不安を引き起こす要因となることがあります。 また、支払いの一時的な遅延や手続上の不備によって形式的に契約違反が生じる「テクニカル・デフォルト」というケースも存在します。これは即時の経済的破綻を意味するわけではありませんが、発行体の信用力に対する警戒が強まるきっかけとなり得ます。 投資においては、こうしたデフォルトの可能性(デフォルトリスク)をあらかじめ評価し、債券の発行体の財務状況や格付、市場環境を踏まえてリスク管理を行うことが重要です。







