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空売りをして買い戻しができない場合とはどんな状態が考えられますか?

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2025/08/18 07:40

株式
株式

男性

30代

question

決算後に株価が下がることが予想される銘柄があるため、空売りを検討しています。ただ、空売りをして買い戻しできない場合があると聞きました。具体的にどんな場合が考えられますか?


回答

佐々木 辰

株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長

空売りをして買い戻しができない状況は、大きく分けて「売買が成立しない場合」「流動性や需給が逼迫している場合」「制度や期限・借株の制約で詰む場合」の3パターンがあります。

まず、物理的に売買が成立しないケースです。決算発表などの好材料で買いが殺到し、売り注文が出ずに連続ストップ高や特別買気配のまま推移すると、買い戻し注文を出しても約定しません。小型株や流通株の少ない銘柄で起きやすく、数日続くこともあります。また、不正疑義や重要開示などで取引所が売買停止(ハルト)をかけた場合も、再開まで返済はできません。海外時間やPTSで材料が出て翌日の寄り付きまで何もできず、そのまま寄らず高となることもあります。

次に、流動性や需給の逼迫によるケースです。出来高が極端に少ない銘柄や板が薄い場合、見た目に価格があっても必要数量が取れず、成行で取りに行けば価格が跳ね上がります。また、空売り残が多い銘柄で好材料が出ると、借株不足や逆日歩急騰が重なり売り方が一斉に買い戻す「踏み上げ」が発生し、価格は付いていても実際に買えない状態になります。さらに、TOB(株式公開買付)や大規模な自社株買いで流通株が急減すると、売り手がほぼ消え、比例配分頼みになることもあります。

最後に、制度や期限・借株の事情によるケースです。配当や優待の権利付最終日前後は借株が枯渇しやすく、逆日歩が急騰したり証券会社から強制返済指示が出たりしますが、株価がストップ高のままでは返済注文が未約定のまま残ります。制度信用取引(6か月)や一般信用の短期取引では、期限到来時に返済が必要でも板が立たないと返済不能になります。また、ボラティリティ急騰時には証券会社が成行注文を禁止したり、発注方法を制限することがあり、希望どおりに返済できないこともあります。

このようなリスクを避けるためには、銘柄の出来高や板の厚さ、貸借残高や逆日歩の履歴、イベント日程(決算・権利日など)を事前に確認することが重要です。さらに、ポジションサイズを小さく抑え、期限や借株コストをカレンダー管理し、踏み上げに備えてプットオプションや指数先物などでヘッジすることが望まれます。空売りは理論上損失が無限に膨らむ取引であるため、「買い戻したくても買えない」状況が起こり得る前提で戦略を組む必要があります。

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関連する専門用語

空売り

空売りとは、信用取引の1つで、株を借りて行う取引手法のこと。借りた株式を売却し、売却額より低い価格で買い戻すことにより利益を狙う手法である。 現物取引とは異なり、株価の下落局面で利益を狙うことができる。他にもすでに所有している現物株式のリスクヘッジになる点もメリットとして挙げられる。 デメリットとしては株価の上昇幅には上限がないことから損失が無限に膨らむ可能性がある、手数料をはじめとした費用がかかる点が挙げられる。

ストップ高

ストップ高とは、株式市場において、ある銘柄の株価がその日に上昇できる最大限の価格まで達し、それ以上は取引されなくなる状態のことを指します。これは、急激な株価の変動を抑えるために証券取引所が設定している「値幅制限」によって決まる仕組みです。 ストップ高になると、それ以上の価格で売買することができなくなりますが、買い注文は入り続けるため、板情報では「買い気配」のまま取引が成立しない場合もあります。初心者の方にとっては、ストップ高は「その銘柄に非常に強い買い需要があるサイン」として捉えることが多いですが、その理由が一時的なニュースや思惑である場合もあるため、冷静な判断が重要です。

特別買気配(特買い)

特別買気配(特買い)とは、株式市場で寄付き前や取引中に買い注文が売り注文を大きく上回り、通常の値幅で取引を開始できない場合に、取引所が一時的に売買を停止して新しい基準値段を提示する状態のことです。 この措置は、急激な価格変動を抑えつつ需給のバランスを取るために行われます。特買いの状態では「特別気配」として板情報に表示され、指定された基準値段より高い価格で買いたい注文が多く集まっていることを意味します。好材料の発表や需給の急変が原因となることが多く、寄付き後に大きく株価が動く可能性があります。

PTS(私設取引システム)

PTS(私設取引システム)とは、証券取引所を介さずに株式などを売買できる、民間事業者が運営する電子取引市場のことです。日本語では「私設取引システム」と呼ばれ、東京証券取引所のような公設取引所とは異なる仕組みとして位置付けられています。金融商品取引法に基づく登録を受けた業者が運営しており、上場企業の株式などを東証と並行して取引することができます。 現在、国内で代表的なPTSには「SBIジャパンネクストPTS(J-Market)」と「Cboe Japan PTS(旧Chi-X Japan)」の2つがあります。これらのPTSは、個人投資家と証券会社をつなぎ、主に上場株式やETF、REITなどの売買を可能にしています。取引方式はいずれも連続約定型で、買い注文や売り注文の価格・数量がリアルタイムで公開される「リット市場(注文情報が可視化された市場)」として運営されています。つまり、取引の透明性が高く、東証と同様に板情報を見ながら売買判断ができる仕組みです。 PTSの大きな特徴は、東京証券取引所の取引時間外にも売買ができる点です。たとえばSBIジャパンネクストPTSでは、午前8時20分から午後4時までの「デイセッション」に加えて、午後5時から深夜11時59分までの「ナイトセッション」も開設されており、東証が閉まった後でも株式の売買が可能です。このような柔軟な取引時間は、仕事帰りなどに投資判断を行いたい個人投資家にとって大きな利便性となっています。 また、PTSでは東証よりも有利な価格で約定できる可能性があることや、証券会社によっては取引手数料が無料または低水準に抑えられていることも魅力です。特に、市場の急変時や企業のIR発表直後など、夜間でも即座に売買を行いたい場合に重宝されます。 一方で、PTSは東証と比べると流動性が限定的で、すべての上場銘柄を網羅しているわけではありません。取引量が少ない時間帯ではスプレッドが広がりやすく、成行注文では想定外の価格で約定してしまうリスクもあります。また、PTSの取引には証券会社ごとの接続可否が影響するため、自身が利用している証券会社がどのPTSに対応しているかを事前に確認しておく必要があります。 このようにPTSは、取引機会の拡大やコスト面でのメリットを享受できる一方で、流動性や銘柄カバレッジの面では東証に比べて制約があります。東証の補完的な市場として活用するという位置づけで、取引時間や価格動向を見極めながら慎重に使いこなすことが重要です。

逆日歩(ぎゃくひぶ)

逆日歩(ぎゃくひぶ)とは、信用取引における「空売り(信用売り)」を行う際に、証券会社などの貸株元から株式を借りるための追加的な費用のことです。正式には「品貸料(しながしりょう)」と呼ばれます。信用売りが多く、貸株の需要が供給を上回ると、株式を借りるためのコストが発生し、これが逆日歩として空売りを行っている投資家に課されます。 逆日歩は毎日変動する可能性があり、銘柄によっては非常に高額になることもあるため、空売りを行う際のリスク要因として特に注目されます。また、逆日歩が発生している銘柄は、信用売り残が多い=投資家の弱気が集まっているとも読み取れるため、踏み上げ(ショートスクイーズ)による急騰の前兆とされることもあります。 短期売買や信用取引を活用する資産運用において、逆日歩はコスト管理とリスク管理の両面で重要な概念です。

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