専門用語解説
特別分配金
特別分配金とは、投資信託が支払う分配金のうち、運用収益ではなく投資元本を取り崩して支払われる部分です。元本払い戻しに該当するため受取時に課税されませんが、その分だけ基準価額(1万口当たりの純資産価値)が同額下がるため、受け取った現金のぶんだけ資産が増えたわけではない点に注意が必要です。
特別分配金は、基準価額が取得価額を下回っているとき以外にも、次のようなケースで発生します。
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定額・高水準の分配を維持している場合
毎月一定額を分配するファンドが運用収益を上回る金額を支払うと、不足分が元本の取り崩しとなり特別分配金になります。
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大口解約や急落で分配原資が急減した場合
解約損や評価損で内部留保が減少した状態で予定額を分配すると、超過分が特別分配金に振り替わります。
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為替ヘッジコスト・信託報酬などのコスト負担が膨らんだ場合
想定外のコスト増により実質収益が目減りし、分配ポリシーを据え置くと元本を取り崩すことになります。
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配当・利息の入金時期がずれた場合
決算期直前に配当やクーポンが未入金のまま分配を行うと、その不足分が元本扱いとなり特別分配金が発生します。
分配利回りが高く見えるファンドでも、特別分配金の比率が大きいと実質リターンは伸びにくい傾向があります。投資信託を選ぶ際は、交付運用報告書で普通分配金と特別分配金の内訳を確認し、基準価額の推移と合わせたトータルリターンが安定してプラスかどうかを重視することが重要です。また、長期運用を目指す場合は、特別分配金の再投資や普通分配金比率の高い商品を検討し、複利効果を高める運用を心掛けるとよいでしょう。