
出産費用はいくら?平均・保険適用・補助金・医療費控除まで徹底ガイド
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公開:
2025.05.19
更新:
2025.05.19
妊娠・出産は、人生における大きな喜びであると同時に、多くの準備と費用が伴うイベントでもあります。「出産までにいくら必要?」「育児用品ってどこまで買えばいいの?」そんな不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、妊婦健診から出産、赤ちゃんを迎える準備にかかる主な費用とその目安を具体的に紹介します。出産に向けて、無理のない資金計画を立てるためのヒントをお届けします。
サクッとわかる!簡単要約
この記事を読み終えると、出産に備えてどの程度の費用がかかるのか、その調査方針を立てるとともに概算を知ることができます。また、給付金や控除を活用してどのように手出しを抑えるか、その方法についてもわかります。妊娠出産に関連する費用の全体像を捉え、必要な情報のチェックリストを作ると、安心して出産に備えられるようになります。また、必要に応じて専門家とも連携しやすくなり、不安も大幅に解消できるでしょう。
妊娠・出産にかかる費用の全体像と平均相場
出産費用の概要を知って、事前に備えることが大切です。妊娠が判明してから出産までの期間には、さまざまな費用がかかります。具体的な金額を把握しておくことで、計画的な資金準備が可能になります。妊娠・出産に関わる主な費用を見ていきましょう。
妊婦健診・定期健診・検査費用の目安と費用一覧
妊婦健診は妊娠期間中の母子の健康を守るために欠かせない検査です。一般的に妊娠期間中には14回程度の定期健診が推奨されています。1回あたりの健診費用は医療機関によって異なりますが、約3,000〜7,000円が目安となります。全期間を通じての合計額は、おおよそ10万〜14万円程度です。
市区町村によっては妊婦健診の費用助成制度があり、妊娠届出時に「妊婦健康診査受診票」が交付されます。これを利用することで、基本的な健診項目については費用負担が軽減されますが、多くの医療機関では、受診票を使っても1回あたり4,000〜6,000円程度の自己負担が必要です。たとえば、東京都杉並区の場合、妊婦健診の費用は初診時が約6,300〜7,800円(初診料、超音波検査を含む)、再診時が約4,200円(再診料、超音波検査を含む)となっています。
また、初回の血液検査や超音波検査など、受診票の助成上限を超える部分や追加検査がある場合は、さらに費用がかかることもあります。助成内容は自治体によって異なるため、お住まいの自治体の制度を確認しておきましょう。
また、基本健診とは別に希望する追加検査がある場合は、別途費用がかかります。たとえば、胎児の染色体異常をスクリーニングするNT検査は約2万円、NIPT(新型出生前診断)は15万~20万円程度、無痛分娩の事前検査は約3万円などです。これらの検査は任意ですので、必要性や費用対効果を医師と相談した上で検討するとよいでしょう。
妊婦健診にかかる費用の目安は、以下の通りです。
項目 | 費用の目安 (1回あたり) | 回数目安 | 合計費用の目安 | 備考 |
---|---|---|---|---|
基本的な妊婦健診費用 | 3,000~7,000円 | 約14回 | 10万~14万円 | 医療機関や地域によって異なる |
助成券利用時の自己負担 | 4,000~6,000円 | 各回 | 5万~7万円程度 | 医療機関や地域によって異なる |
特別な検査を含む場合 | 1万~2万円 | 必要時 | 検査内容による | 特別な検査(超音波・血液検査等) |
NT検査(染色体スクリーニング) | 約2万円 | 任意 | 約2万円 | 任意検査 |
NIPT(新型出生前診断) | 15万~20万円 | 任意 | 15万~20万円 | 任意検査 |
無痛分娩の事前検査 | 約3万円 | 任意 | 約3万円 | 任意検査 |
出産費用(自然分娩・帝王切開・無痛分娩)と出産時の入院費用と個室利用
出産時の入院費用は、分娩方法や入院期間、部屋のタイプ、また地域によって大きく変わります。出産費用の全国平均は約51.8万円ですが、都道府県別に見ると正常分娩(自然分娩)の場合の費用は40万〜60万円程度です。
帝王切開の場合は、手術費用が加わるため60万~80万円程度になることが多いです。ただし、健康保険が適用されるケースもありますので、事前に産院に確認しておくとよいでしょう。健康保険が適用される場合は高額療養費制度の対象になるので、自己負担は3割負担からさらに低くなります。
個室を希望する場合は、追加料金が発生します。個室利用料は施設によって差がありますが、一般的に1日あたり5,000〜20,000円程度です。平均的な入院期間は5日間程度ですので、個室を利用する場合は2万5千〜10万円程度の追加費用を見込んでおく必要があります。
また、無痛分娩を希望する場合は、麻酔科医の費用や薬剤費として10万〜20万円程度の追加費用がかかることも覚えておきましょう。
個室対応や分娩方法の選択など、追加費用を支払っても何らかのサービスを受けたいと要望している人は全体の7割いるといわれています。これらの追加費用も出産に伴う支出として、あらかじめ想定しておくことが大切です。
出典:一般社団法人マザーアンドチャイルド協会「出産費用公的保険適用に関する調査結果」
出産準備品・ベビー用品の費用はいくら?
赤ちゃんを迎えるためには、さまざまな準備品やベビー用品が必要になります。子どもの成長によって、買い替えが必要なものもあるので確認しましょう。主な高額アイテムとしては以下のようなものがあります。
項目 | 価格帯 | 補足 |
---|---|---|
ベビーベッド | 1.5万~5万円 | 折りたたみ式や多機能モデルで高額化 |
チャイルドシート(乳児用) | 1.5万~5万円 | 新生児~15か月頃に使用 |
チャイルドシート(幼児用) | 1.5万~5万円 | 12か月頃~4才頃に使用 |
チャイルドシート(学童用) | 1.5万~5万円 | 4才頃~10才頃に使用 |
ベビーカー | 1万~10万円 | 軽量型3万円台、多機能型10万円超 |
授乳クッション | 3千~1万円 | 人気ブランド品で高価 |
抱っこひも | 5千~2万円 | ベビービョルン等高級品は2万円超 |
さらに日常的に使用する細々としたアイテムも必要です。
カテゴリ | 詳細項目 | 価格帯 |
---|---|---|
哺乳関連 | 哺乳瓶セット 消毒用品 | 3千~1万円 3千~1.5万円 |
おむつ | 1か月分(紙おむつ) | 5千円前後 |
衣類 | 肌着・外出着 | 1万~3万円 |
衛生用品 | ベビーバス おくるみ | 3千~1万円 3千~1万円 |
これらの日用品だけでも、初期費用として約5万〜10万円程度が必要です。衣類はすぐにサイズアウトするので、頻繁に買い替えなければなりません。また、おむつなどの消耗品は継続的に費用がかかることも考慮しておきましょう。
すべてを新品で揃えると、合計で20万〜30万円程度の費用がかかると想定しておくと安心です。ただし、後述する節約方法を活用することで、この金額を抑えることも可能です。
産休や育休に関する手当・給付金については、以下記事をご参照ください。
出産費用を節約する補助金・工夫と考え方
出産・育児にかかる費用は決して少なくありませんが、工夫次第で負担を軽減することができます。ここでは、賢く費用を抑えるためのポイントを紹介します。
ベビー用品を賢くそろえる
すべてのベビー用品を新品で揃える必要はありません。中古品・レンタル・おさがりを活用することで、費用を大幅に抑えることができます。
ベビーベッドやベビーカーといった大型アイテムは、使用期間が限られていることが多いため、状態の良い中古品を探してみましょう。フリマアプリやリサイクルショップ、子育て専門の中古品店などで、新品の半額以下で購入できることもあります。購入前には、安全性に問題がないか必ず確認しましょう。
ベビーベッドやベビーカー、チャイルドシートなどは、使用期間が限られているため、レンタルが経済的な場合も多いです。月額1,000〜5,000円程度でレンタルできるサービスが各地にあり、使用後の保管や処分の手間も省けます。成長に合わせて適切なサイズや機能の製品に切り替えられるのも利点です。
親族や友人で子育てを終えた方からのおさがり品も積極的に活用しましょう。とくにベビー服は成長が早いため、ほとんど使用感のないものも多く、おさがりとして利用すれば大幅な節約になります。
費用を抑えられる産院選びと出産費用はいつ払う?
出産費用は産院によって大きく異なります。出産育児一時金(50万円)の「直接支払制度」を利用できる施設を選ぶと、窓口での多額の現金準備が不要になります。また、「受取代理制度」を利用すれば、出産後に加入している健康保険組合等が出産費用を産院に支払うため、同様に窓口負担を軽減できます。ただし小規模クリニックや助産院では対応していない場合もあるため、事前確認が必要です。
チェックポイント | 節約メリット | 支払い時期の目安 |
---|---|---|
出産育児一時金の「直接支払制度」対応病院 | 50万円分を産院へ直接送金のため、現金準備が不要 | 入院時に預り金不要、退院時に超過分のみ精算 |
「受取代理制度」対応病院 | 健康保険組合が産院へ直接支払いのため、現金準備が不要 | 退院後に請求書が届く場合もあるので要確認 |
公立病院・助産院を検討 | 私立より10万〜20万円安いケースも | 予約金0〜3万円前後/退院時に全額精算 |
大部屋(4人部屋など)を選択 | 個室より1日5千〜2万円節約 | 入院費と同時にまとめて精算 |
妊婦健診〜分娩までのパッケージプラン | トータルで5〜10万円と割安なことも。費用予測もしやすい | 予約時に一部前払い/退院時に残額精算 |
カード・分割払い対応の確認 | 現金持ち出しを抑え、家計管理がラク | 退院時・請求書到着時に支払い |
個室利用料や無痛分娩オプションは「保険適用外」のため、追加料金が日毎・施術毎に発生します。反対に、個室を利用せず大部屋を選択したり、妊婦健診から出産までのパッケージプランを活用したりすることでも費用を抑えられます。見積書で詳細を把握し、必要に応じて削ることで出費をコントロールできます。
また、設備やサービス内容には違いがありますが、一般的に公立病院や助産院は私立病院より費用が抑えられる傾向があります。どのようなプランがあるかは、個々の病院や助産院によって異なることから、事前の確認を必ず行いましょう。
出産費用確認のタイミングとポイント
- 予約金(妊娠中期):分娩予約時に支払い。キャンセル時の返金条件を要チェック。
- 入院保証金(入院当日):直接支払制度利用なら免除されることが多い。
- 退院精算(退院日〜退院後1週間):予約金・保証金を差し引き、食事や個室料金などの実費をまとめて支払う。カード可否を事前確認。
妊娠出産や育児に関するスケジュール管理のコツについては、以下をご参照ください。
出産費用と育休に備える家計見直しポイント
出産直前・直後のライフスタイルと収入変化をふまえて、支出を管理しましょう。妊娠がわかったら、出産後の生活を見据えた家計の見直しが必要です。とくに、育児休業中は収入が変わるため、事前に計画を立てておくことが大切です。
育休中の収支シミュレーション
育児休業中は収入構造が変わるため、事前に収支計画を立てておくことが重要です。育休中は、育児休業給付金が、原則として休業前賃金の67%(180日目まで)または50%支給されます。ただし、給付金の計算基準となる「休業開始時賃金日額」には上限(15,690円/日)と下限があり、高所得者は上限額が適用されます。
また、2025年4月から新設される「出生後休業支援給付金」は、両親が子の出生後8週間以内に計14日以上の育児休業を取得した場合、最大28日間で休業前賃金の13%が追加支給され、合計で手取り10割相当(賃金面80%)となります。
支出面では、在宅時間増加による光熱費上昇がある一方、通勤費や外食費は削減できます。育休前に貯蓄を増やし、サブスクリプションなどの固定費を見直すことで、収支バランスの調整が可能です。
出産費用保険活用と必要保障の見直し
出産を控えた時期は保険の見直しが重要です。医療保険は妊活開始前の加入が適しています。妊娠判明後は異常分娩(帝王切開・切迫流産など)が保障対象外となる場合が多く、加入できても「子宮関連部位の不担保」や「免責期間」が適用されることがあるからです。
生命保険は、主たる収入者の保障強化が重要ですが、育児・教育費を考慮した貯蓄型保険(低解約返戻金型終身保険など)との組み合わせが現実的です。出産育児一時金や高額療養費制度などの公的保障も考慮し、必要に応じてファイナンシャルプランナーなど専門家に相談しましょう。
なお、家計や保険内容を相談する際にどの専門家を選ぶべきかは以下の記事で解説しています。
出産費用をカバーする貯蓄・補助金・医療費控除の備え
出産費用は決して少なくありませんが、妊娠前からの貯蓄や公的制度を活用することで経済的な負担を軽減することができます。
妊娠前に準備しておくべき貯蓄額の目安
妊娠・出産にかかる主な費用は、以下の通りです。
費用項目 | 費用目安 | 補助・一時金利用後の実質負担 | 備考 |
---|---|---|---|
妊娠・出産(正常分娩) | 40~60万円 | 0~18万円(出産育児一時金50万円利用時) | 帝王切開は追加20~40万円 |
妊婦健診 | 10~14万円 | 5~10万円(自治体補助利用時) | 補助内容は自治体で異なる |
ベビー用品 | 20~30万円 | 20~30万円 | 必須用品・消耗品など |
予備費 | 5~10万円 | 5~10万円 | 緊急時や想定外の出費に備えて |
合計目安 | 70~114万円 | 25~45万円 | 一時金・補助制度活用後の目安 |
万が一の入院や産後ケア利用も考慮すると、少なくとも50万円程度の貯蓄は必要でしょう。さらに、出産後の内祝いやお七夜、お宮参りなどの行事にかかる費用を考えると、100万円程度の貯蓄があると安心といえます。
出産費用に対する医療費控除の活用
妊娠・出産関連の医療費は医療費控除の対象となる場合があります。所得が200万円以上の場合は年間医療費が10万円を超えた分、200万円未満なら総所得の5%を超えた分が控除対象です。
妊婦健診費用や分娩費用(正常分娩、帝王切開等異常分娩含む)、不妊治療費は基本的に対象です。通院交通費(公共交通機関)も含められますが、タクシー代は対象となる一方(公共交通機関の利用が困難な場合の利用のみ)、自家用車のガソリン代や駐車場代は対象外です。また、出産育児一時金(50万円)は差し引く必要があります。
控除対象となる主な費用
- 妊婦健診費用
- 分娩費用(正常分娩・帝王切開など異常分娩を含む)
- 不妊治療費・検査費
- 通院にかかった交通費(公共交通機関/やむを得ずタクシーを利用した場合)
控除対象外になる費用の例
- 自家用車のガソリン代や駐車場代
- 差額ベッド代・お祝い膳など医療行為以外のサービス費用
この記事のまとめ
出産費用は分娩・入院で平均50〜60万円ですが、出産育児一時金や自治体助成を組み合わせれば自己負担を大幅に抑えることが可能です。また、出産育児一時金の支給方式によっては手出しも手続きも最小限に抑えられますし、医療費控除も活用すればさらに負担軽減可能です。事前の調査や計画が重要です。また、不足分は先取り貯蓄で計画的に積み立て、申請期限はカレンダーに登録して抜けもれを防ぎましょう。制度や資金計画に不安がある場合は専門家に相談し、最新情報を踏まえて家計に最適な対策を整えましょう。

MONO Investment
投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。
投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。
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高額医療費制度
高額療養費制度とは、1ヶ月間に医療機関で支払った自己負担額が一定の上限額を超えた場合、その超過分については後から払い戻しを受けられる公的な医療費助成制度です。日本の公的医療保険制度では、治療費の自己負担割合は原則3割(高齢者等は1〜2割)とされていますが、重い病気や手術、長期入院などで医療費がかさむと、家計への影響が大きくなります。高額療養費制度は、そうした経済的負担を軽減するために設けられており、「所得区分に応じた月ごとの上限額」を超える分について、申請によって払い戻しを受けることができます。 さらに、事前に健康保険の窓口で「限度額適用認定証」を取得して医療機関に提示すれば、病院の窓口で支払う額自体を、最初から自己負担限度額までに抑えることも可能です。これにより、退院後の申請を待たずに、現金の一時的な負担を大きく減らすことができます。 この制度の上限額は、70歳未満・70歳以上で異なり、さらに被保険者の所得区分(年収目安)に応じて細かく設定されています。例えば、年収約370万〜770万円程度の方(一般的な所得区分)であれば、1ヶ月あたりの自己負担限度額は「約8万円+(総医療費−26.7万円)×1%」となり、想定以上の医療費負担が発生しても、上限を超えた分は保険者から還付されます。 資産運用の観点では、この制度の存在によって、突発的な医療費リスクの一部を公的にカバーできるため、「民間医療保険や緊急時資金の準備」を過度に厚くする必要がない可能性があります。 つまり、医療費リスクへの備えを公的制度・民間保険・現金準備のバランスで考える際、この制度の適用範囲を正しく理解しておくことが、保険の選択や生活防衛資金の適切な設定に役立ちます。特に、高所得者層や自営業者は制度上の上限額が比較的高めに設定されている点や、支給までにタイムラグがあることも踏まえ、制度と現金の備えの両面から検討することが重要です。
出産育児一時金
出産育児一時金とは、健康保険に加入している人が出産したときに、出産にかかる経済的負担を軽減するために支給されるお金のことです。出産に直接かかる費用は高額になることがあるため、国の制度として一定額が支給される仕組みになっています。原則として、1児につき一律の金額が支給され、双子や三つ子の場合は人数分が加算されます。 この制度は公的医療保険に加入していれば、被保険者本人でなくても、たとえば扶養されている配偶者が出産した場合でも受け取ることができます。手続きは加入している健康保険組合を通じて行い、多くの場合は医療機関との直接支払い制度により、実際に自分でお金を立て替えずに利用できる仕組みになっています。
直接支払制度
直接支払制度とは、出産育児一時金を医療機関が直接健康保険に請求し、本人が出産費用を一時的に立て替える必要がなくなる仕組みのことです。従来は、出産費用を本人が一度全額支払い、その後に保険から一時金を受け取る方法が一般的でしたが、出産は高額な費用がかかるため、経済的な負担を減らす目的でこの制度が導入されました。 現在では多くの医療機関がこの制度を採用しており、分娩費用が出産育児一時金の範囲内であれば、実質的に自己負担なしで出産できることもあります。ただし、医療機関が制度に対応しているかどうかは事前に確認する必要があります。利用の際は、事前に同意書を提出することで手続きが進みます。経済的な不安を減らし、安心して出産に臨めるよう支援する制度です。
受取代理制度
受取代理制度とは、出産育児一時金を本人が受け取る代わりに、医療機関がそのお金を代理で受け取り、出産費用に充てることができる仕組みのことです。この制度は、直接支払制度と似ていますが、医療機関が健康保険に請求するのではなく、本人があらかじめ医療機関に「代理受け取り」を委任する形をとります。 たとえば、出産する医療機関が直接支払制度に対応していない場合でも、この制度を使えば本人が高額な費用を一時的に立て替える必要がなくなります。利用するには、事前に健康保険に申請し、医療機関と必要な書類を交わす必要があります。経済的な負担を軽減するための選択肢の一つとして、出産費用の支払い方法に柔軟性をもたせる役割を果たしています。
育児休業給付金
育児休業給付金とは、赤ちゃんが生まれたあとに育児のために仕事を休む人に対して、雇用保険から支給されるお金のことです。この制度は、子どもが1歳になるまで(一定条件を満たせば最長2歳まで)育児に専念できるよう、収入を一部補うことを目的としています。対象となるのは雇用保険に加入していて、一定期間働いていた労働者で、男女問わず利用できます。 支給額は、休業前の給与の67%(一定期間以降は50%)で、会社から給与が出ていないことが条件となります。出産手当金が終わったあとに引き続き申請されるケースが多く、家計を支える大切な制度の一つです。手続きは会社を通して行うのが一般的です。
休業開始時賃金日額
休業開始時賃金日額とは、労働者が病気やけがなどで働けなくなり休業する際に、その休業が始まる前の時点での1日あたりの平均的な賃金のことをいいます。これは雇用保険や労災保険などで支給される休業補償金や給付金の計算基準として使われます。具体的には、通常その人が直前の一定期間に受け取っていた給与の合計を、その期間の日数で割って算出されます。この金額が基準になることで、公平で現実的な補償が行われる仕組みになっています。
出生後休業支援給付金
出生後休業支援給付金とは、主に父親が子どもが生まれた後に一定期間育児のために休業を取った場合、その期間の収入減少を補う目的で支給される給付金です。いわゆる「産後パパ育休」(出生時育児休業)と呼ばれる制度の利用を後押しするために設けられた新しい支援制度で、雇用保険に加入している労働者が対象です。 通常の育児休業給付金とは異なり、子どもの出生直後という限られたタイミングで取得した休業に対して支給され、柔軟な取得(分割や短期取得)ができるのが特徴です。支給額は休業前の賃金の一定割合で、育児と仕事の両立を促進し、特に男性の育児参加を進めるために制度化されました。申請は勤務先とハローワークを通じて行われ、手続きや取得時期をあらかじめ計画することが重要です。
医療費控除
医療費控除とは、納税者が1年間に支払った医療費の一部を所得から控除できる税制上の制度を指す。自己や家族のために支払った医療費が一定額を超える場合に適用され、所得税や住民税の負担を軽減できる。対象となる費用には、病院での診療費や処方薬の費用のほか、一定の条件を満たす介護費用なども含まれる。確定申告が必要であり、領収書の保管が重要となる。
貯蓄型保険商品
貯蓄型保険商品とは、万が一に備える保障機能に加えて、お金を貯める機能もあわせ持つ保険のことを指します。契約期間中に死亡や病気などの保険事故が起きなければ、満期時に一定の金額が戻ってくる仕組みになっているのが特徴です。たとえば、終身保険や学資保険、個人年金保険などがこれに該当します。毎月保険料を支払うことで、将来の資金準備をしながら保障も受けられるというメリットがありますが、途中で解約すると元本割れすることもあるため注意が必要です。投資初心者の方にとっては、リスクを抑えながら長期的に資産を形成できる手段として選ばれることが多いですが、商品内容をしっかり理解した上で契約することが大切です。
低解約返戻金型終身保険
低解約返戻金型終身保険とは、保険期間が一生涯続く終身保険の一種で、一定期間内に解約した場合の返戻金(契約を途中でやめた際に受け取れるお金)が通常の終身保険よりも低く設定されている保険です。主に保険料を安く抑えるための仕組みで、長期間継続することを前提に作られています。 保険会社にとっては途中解約による支出が少ないため、その分保険料を割安にすることができるというメリットがあります。短期間で解約すると大きく元本割れしてしまうため、長期的な保障や資産形成を目的とした人向けの商品です。終身保障がありながら、支払い負担を抑えたいという人に選ばれることがあります。