Loading...

MENU

記事>

クラウドファンディングの税金はどうなる?方式別の課税・確定申告・支払いまで徹底解説

クラウドファンディングの税金はどうなる?方式別の課税・確定申告・支払いまで徹底解説

クラウドファンディングの税金はどうなる?方式別の課税・確定申告・支払いまで徹底解説

難易度:

執筆者:

公開:

2026.01.29

更新:

2026.01.29

クラウドファンディングは、個人でも資金調達や支援に参加できる身近な手段になりました。しかし、集まったお金や受け取ったリターンに税金がかかるのか、確定申告や納税が必要なのかについては、正確に理解されていないケースが少なくありません。購入型なら売上扱いになるのか、寄付型なら控除できるのか、投資型の分配はどう申告するのかといった判断を誤ると、申告漏れや想定外の税負担につながる可能性があります。この記事では、クラウドファンディングの税務を方式別・立場別に整理し、税金の考え方から支払いまでを具体的に解説します。

サクッとわかる!簡単要約

この記事では、クラウドファンディングに関わったときの税金の考え方を、購入型・寄付型・投資型といった方式別と、起案者・支援者という立場別に体系的に理解できます。課税対象になる収入や分配の判断軸、寄付金控除の可否、利益ベースでの税額の考え方、確定申告から納税までの流れを把握することで、自分のケースで何を確認し、どんな準備をすればよいかが明確になります。読み進めることで、税務の不安を具体的な行動に落とし込み、申告漏れや想定外の税負担を避けられるようになります。

目次

クラウドファンディングに税金はかかる?立場と方式で決まる4分類

税金がかかるかの判定フロー|集めたお金・受け取ったほうの課税ルール

クラウドファンディングで「集めたお金」に税金はかかるの?(起案者の視点)

購入型クラウドファンディングの税金|起案者は「売上」、支援者は「買い物」

起案者:購入型で集めた資金は「売上」計上し、経費を引いて課税される

支援者:原則は税金なしだが「リターン」の内容に注意

注意点:購入型クラウドファンディングで「寄附金控除」は受けられない

寄付型クラウドファンディングの税金|贈与税や寄附金控除の仕組み

起案者が個人の場合「贈与税」

起案者が法人なら「受贈益」として課税される

支援者:クラウドファンディングで寄付した場合の税金と「寄附金控除」

ふるさと納税型・ガバメントクラファンとの違い

投資型・融資型・出資型の税金|分配金・利息への課税

株式投資型:配当金や売却益(キャピタルゲイン)への課税

融資型(ソーシャルレンディング):利息は「雑所得」で総合課税の対象

出資の注意点:分配金の源泉徴収と確定申告の要否

起案者の属性別チェック|個人・団体・非営利法人ごとの注意点

個人で起案する場合:副業(雑所得)か事業(事業所得)かの区分

任意団体で起案する場合:代表者個人への課税リスクに注意

非営利法人(NPO等)の場合:収益事業か否かで課税が変わる

企業が支援(寄付)する場合:損金算入できる範囲と税金控除

「利益」と税金の計算方法|集めた総額ではなく「所得」にかかる

利益の出し方:入金額から手数料・制作費などの「必要経費」を引く

所得税の仕組み:課税所得×税率で納税額が決まる

シミュレーション:600万集まったら税金はいくら?(概算の考え方)

確定申告と納税の実務|いつ、どうやって支払うか

準備物:申告に必要な明細・領収書・リターン原価の計算

納付期限:申告時期(2/16〜3/15)と納税のタイミング

支払い方法:振替納税・e-Tax・コンビニ納付の選択肢

資金対策:納税資金が足りない事態を防ぐための事前準備

税金対策とよくある誤解|「半額になる」「バレない」は本当か

「税金が半額になる」情報の真偽と正しい節税策

申告漏れ防止チェック:手数料や未提供リターンの計上ミス

対策:青色申告特別控除などを活用して手取りを残す

海外クラウドファンディングの税金|プラットフォームやリターンの扱い

海外サイト利用時の入金記録・為替レートの証憑保存

海外リターン(輸入)にかかる関税・消費税の注意点

クラウドファンディングに税金はかかる?立場と方式で決まる4分類

クラウドファンディングで調達した資金は、方式によって課税関係が生じます。購入型や寄付型では課税対象となるケースが多い一方、投資型・融資型のように調達時点では課税されない類型もあります。「支援金だから税金はかからない」という認識は誤りであり、申告漏れは追徴課税やペナルティのリスクを招きます。

ただし、具体的に「どの税金」が「いくら」かかるかは一律ではありません。プロジェクトの方式(購入型・寄付型など)や、関わる人(起案者・支援者)の立場によって適用される税法が異なります。トラブルを避けるためにも、資金が動く仕組みと税務ルールを事前に把握しておくことが重要です。

税金がかかるかの判定フロー|集めたお金・受け取ったほうの課税ルール

税金のルールを正しく判断するためには、まず自身のプロジェクトがどのタイプに該当するかを確認する必要があります。クラウドファンディングは大きく以下の4つに分類されます。

まずは、リターンに対価性があるか、金銭リターン(配当・利息)があるかを確認し、該当する方式を特定します。

・購入型:リターンとして商品やサービスを提供する

・寄付型:対価を求めず純粋に寄付を募る

・投資型:株式などへの出資を募る

・融資型:資金を貸し付ける(ソーシャルレンディング)

これらは資金の法的性質が異なるため、それぞれ全く別の税務処理が求められます。

クラウドファンディングで「集めたお金」に税金はかかるの?(起案者の視点)

起案者が資金を受け取った際の課税関係は、方式によって次のように分かれます。

購入型で集めた資金は「売上」とみなされるため、所得税や法人税の対象です。寄付型の場合、個人からの支援なら「贈与税」、法人からの支援なら「一時所得」として扱われるのが一般的です。ただし、寄付型でも、返礼や広報協力など実質的な対価がある場合は、贈与・一時所得ではなく事業収入等として課税されることがあります。

一方、投資型や融資型の場合、集めた資金は出資金や借入金という扱いになるため、調達した時点では課税されません。ただし、将来的に出資者へ支払う配当金や利息に対しては税金が発生します。

購入型クラウドファンディングの税金|起案者は「売上」、支援者は「買い物」

購入型クラウドファンディングは、資金提供の見返りとして商品やサービスを受け取る仕組みです。税務上は通常の「商品の売買」と同じ扱いになるため、起案者が調達した資金は基本的に課税対象となります。

起案者は事業の売上として計上して税金を計算する必要がある一方、支援者にとっては単なる「買い物」であるため、原則として特別な税務申告は発生しません。双方の立場でどのような処理が必要か解説します。

起案者:購入型で集めた資金は「売上」計上し、経費を引いて課税される

起案者が受け取った資金は「売上収入」とみなされます。法人税や所得税は、この売上からプラットフォーム手数料、原材料費、外注費、発送費などの必要経費を差し引いた「利益」に対して課されます。

資金調達額が大きい場合は、消費税にも注意が必要です。購入型は対価を伴う取引なので、消費税の課税対象となります。調達額を含めた課税売上高が1,000万円を超えると、翌々年度から消費税の納税義務が発生する可能性があります。

消費税は原則として2年前の課税売上高(基準期間)で判定しますが、特定期間やインボイス登録により納税義務の扱いが変わる場合があります。免税事業者であっても、大規模なプロジェクトを行う際は納税義務が生じるリスクを考慮しておきましょう。

会計処理においては、資金を受け取った時点では前受金(負債)として処理し、実際にリターン品を発送・提供したタイミングで売上に振り替えるのが一般的です。なお、収益の計上時期は取引条件や提供時期によって整理が異なるため、契約内容と処理方針を統一し、必要に応じて専門家に確認してください。

支援者:原則は税金なしだが「リターン」の内容に注意

個人の支援者にとって、購入型クラウドファンディングはネットショッピングと同じです。消費税込みの金額を支払って商品を受け取るだけなので、基本的に税金の申告義務はありません。高額なリターンであっても、対価を払って購入しているため贈与税の対象外です。

ただし、個人事業主が事業に使う目的で支援し、パソコンや機械など高額な資産をリターンとして受け取った場合は注意が必要です。この場合、単なる消耗品費ではなく、減価償却資産として数年にわたり経費計上する処理が求められることがあります。

注意点:購入型クラウドファンディングで「寄附金控除」は受けられない

購入型は「寄付」ではなく「購入」にあたるため、ふるさと納税のような「寄附金控除」は受けられません。

支援者が法人の場合、リターンの内容によって経理処理が異なります。リターンが自社の商品開発や宣伝に役立つものであれば「広告宣伝費」や「販売促進費」として全額経費にできる可能性があります。

一方で、リターンに対価性が乏しい場合(例:お礼のメールのみなど)は、実質的な寄付とみなされ「寄付金」として処理されることがあります。寄付金扱いになると、税務上の経費(損金)に算入できる金額に上限があるため、事前にリターンの内容を確認することが重要です。

寄付型クラウドファンディングの税金|贈与税や寄附金控除の仕組み

寄付型クラウドファンディングは、商品やサービスの見返りを求めず、純粋な支援として金銭を寄付する仕組みです。お礼の手紙や活動報告など、資産価値のない返礼のみが発生します。

対価を伴う売買ではないため、集まった資金は「売上」ではなく「贈与」や「寄付金」として扱われます。起案者と支援者の属性によって適用される税金が異なるため、それぞれの組み合わせを理解しておくことが重要です。

起案者が個人の場合「贈与税」

個人が起案者として寄付を集めた場合、その資金は「誰から受け取ったか」によって税金の種類が変わります。個人からの支援は贈与税の対象となるのが一般的です。法人からの支援は一時所得として扱われることがありますが、実態として対価性(広告・役務提供等)がある場合は、事業収入等として整理されることもあるため注意が必要です。それぞれの計算方法と非課税ラインを確認しましょう。

支援者が個人の場合(贈与税)

個人から受け取った寄付は「贈与税」の対象です。贈与税には年間110万円の基礎控除があり、1月1日から12月31日までに受け取った贈与の合計額が110万円以下であれば税金はかかりませんし、申告も不要です。

注意が必要なのは、この110万円という枠は「もらった人(起案者)」単位で計算する点です。「支援者1人につき110万円」ではありません。例えば、多くの人から少しずつ寄付を集め、年間の受取総額が200万円になった場合、基礎控除を超えた90万円部分に対して贈与税がかかります。

贈与税の税率や基礎控除などの仕組みについては以下記事で詳しく解説しています。

支援者が法人の場合(一時所得)

企業などの法人からの支援は、一時所得として整理されることがあります。

ただし、実態として対価性(広告・役務提供等)がある場合は、事業収入等として扱われることもあるため、支援の趣旨や返礼の内容を踏まえて判断します。

一時所得には最大50万円の特別控除があります。受け取った寄付額から50万円を差し引き、その残額のさらに2分の1が課税対象となります。つまり、法人からの寄付等の合計が年間50万円以下であれば、税金は発生しません。

一時所得の税率や雑所得との扱いの違いについては以下記事で詳しく解説しています。

起案者が法人なら「受贈益」として課税される

営利企業(株式会社など)が寄付型で資金を集めるケースは稀ですが、もし実施した場合は「受贈益」として扱われます。

対価を伴わない収入であっても、法人税法上は収益(益金)に計上する必要があります。購入型のように原価などの対応する経費が発生しにくいため、受け取った金額がそのまま利益となり、法人税の課税対象になる可能性が高い点に注意が必要です。

支援者:クラウドファンディングで寄付した場合の税金と「寄附金控除」

支援者側には、基本的にお金を出すことによる税金は発生しません。論点となるのは、出したお金が税金計算上の「控除」や「経費」として認められるかどうかです。これは支援先の団体が「税制優遇のある団体かどうか」で決まります。

寄付金控除については以下記事で詳しく解説しています。

個人の支援者

支援先が「認定NPO法人」「公益社団・財団法人」「国・自治体」などの場合、確定申告を行うことで「寄附金控除」を受けられ、所得税や住民税が安くなる可能性があります。控除を受けるには、支援先が発行する「寄付金受領証明書」が必要です。

一方、支援先が一般の個人や任意団体、通常の株式会社などの場合は、原則として寄附金控除の対象にはなりません。単なる私的な寄付として扱われ、税制上のメリットはないことを理解しておきましょう。

法人の支援者

法人が支援した場合、その支出は会計上の「寄付金」として処理します。全額を経費(損金)にできるわけではなく、資本金や所得の金額に応じた「損金算入限度額」の範囲内でのみ経費計上が可能です。

ただし、支援先が国や指定の公益法人等の場合は、限度額が拡大されたり、全額損金算入が認められたりする特例があります。

ふるさと納税型・ガバメントクラファンとの違い

自治体が起案者となる「ガバメントクラウドファンディング」は、ふるさと納税制度を活用した寄付型クラウドファンディングの一種です。

この場合、寄付先は自治体となるため、支援者は「寄附金控除(ふるさと納税)」の対象となります。自己負担2,000円を除いた全額が控除されるメリットがあり、確定申告が不要になる「ワンストップ特例制度」も利用可能です。一般的な寄付型とは税制優遇の厚さが異なるため、区別して考える必要があります。

投資型・融資型・出資型の税金|分配金・利息への課税

「投資型」「融資型」「出資型」は、支援者がリターンとして金銭(配当や利息)を受け取ることを目的としたクラウドファンディングです。

購入型や寄付型とは異なり、起案者が資金を受け取った時点では「資本金」や「借入金」として扱われるため、原則として課税されません。一方で、支援者が受け取る分配金や利益に対しては、その所得区分(配当所得、雑所得など)に応じた課税が発生します。それぞれの仕組みと税務処理を解説します。

株式投資型:配当金や売却益(キャピタルゲイン)への課税

起案者(資金調達企業)側

調達した資金は、法律上の「新株発行」による払込金です。会計上は「資本金」や「資本準備金」として計上されるため、会社の収益(益金)にはならず、資金調達の時点で法人税はかかりません。

支援者(投資家)側

出資時点では株式という資産を取得しただけなので税金はかかりませんが、その後の「配当」と「売却」のタイミングで課税されます。

配当金を受け取った場合は「配当所得」となります。未上場株式の配当は、支払いの際に所定の税率で源泉徴収されます(例:20.315%等)。実際の税率や取り扱いは支払通知や年間の明細で確認してください。確定申告の要否や課税方式は、受取形態や他の所得状況等で変わることがあります。支払通知や年間の明細を確認し、必要に応じて確定申告で整理します。

将来的に株式を売却して利益が出た場合は「譲渡所得」となり、利益に対して20.315%(所得税・住民税等)の申告分離課税が適用されます。

融資型(ソーシャルレンディング):利息は「雑所得」で総合課税の対象

融資型クラウドファンディングは、投資家から集めた小口資金を企業などに貸し付ける仕組みです。

起案者(借り手)側

受け取った資金は「借入金(負債)」として処理するため、課税対象にはなりません。投資家へ支払う利息は、経費(支払利息)として計上できます。

注意点は源泉徴収です。匿名の個人投資家(またはプラットフォーム経由)へ利息を支払う際、所定の税率で源泉徴収が行われるのが一般的です(例:20.315%等)。実務上はプラットフォーム事業者が源泉徴収・納付等を代行するケースが多いため、各サービスの案内や支払通知で確認してください。

支援者(貸し手)側

投資家が受け取る分配金(利息相当額)は、税務上「雑所得」に分類されるのが一般的です。

分配時には所定の税率で源泉徴収が行われますが、これで課税関係が完了しないケースもあります。雑所得は「総合課税」の対象であるため、給与所得など他の所得と合算して税額を計算し、確定申告で精算する必要があります(年間の雑所得が20万円以下の会社員などを除く)。

出資の注意点:分配金の源泉徴収と確定申告の要否

「出資型(ファンド型)」と呼ばれるクラウドファンディングは、特定の事業(不動産開発や映画製作など)に対して匿名組合契約などで出資を行い、その事業成果に応じて分配金を受け取る仕組みです。投資型や融資型と同様に、分配金の所得区分や損失が出た場合の取り扱いに特徴があります。支援者側で特に注意すべきポイントを解説します。

支援者(出資者)側

ファンド型クラウドファンディングの分配金は、通常「雑所得」として扱われます。受け取り時に所定の税率で源泉徴収が行われることがありますが、最終的な税額を確定させるために確定申告が必要になるケースがあります。申告要否は年間取引報告書や支払通知で確認してください。

特に注意が必要なのが「損失」の扱いです。事業が失敗して元本割れした場合、その損失は「雑所得」の範囲内でしか相殺できません。給与所得や事業所得など、他の区分の所得から赤字分を差し引く(損益通算する)ことは原則としてできないため、節税効果は限定的であることを理解しておきましょう。

起案者の属性別チェック|個人・団体・非営利法人ごとの注意点

税金のルールは、プロジェクトの内容だけでなく「誰が起案者か」という属性によっても変わります。個人事業主、サラリーマン、任意団体、NPO法人など、それぞれの立場で適用される税法や注意すべきポイントが異なるため、自身の属性に合わせた確認が必要です。ここでは属性ごとの主な判断基準と注意点を解説します。

個人で起案する場合:副業(雑所得)か事業(事業所得)かの区分

個人(法人格を持たない個人事業主や副業レベルの個人)が起案者の場合、集めた資金が「事業に関連するものか」によって所得の区分が変わります。

事業所得

普段から事業を営んでいる個人事業主が、そのビジネスに関連するプロジェクトで資金調達をした場合は「事業所得」として計上します。この場合、クラウドファンディングの収入と本業の収入を合算して申告します。青色申告を行っていれば、最大65万円の特別控除を受けられるメリットがあります。

雑所得・一時所得

会社員や学生などが副業や単発のプロジェクトとして行った場合は、事業所得ではなく「雑所得」になるのが一般的です。購入型でリターンを提供した場合は雑所得、寄付型で個人から支援を受けた場合は贈与税、法人から支援を受けた場合は一時所得として扱われます。

会社員などの給与所得者は、これらの副業所得(利益)が年間20万円を超えると確定申告が必要です。また、給与がない人でも、所得の合計が基礎控除額(48万円)を超えれば申告義務が生じます。

副業における収入の申告については以下Q&Aでも説明しています。

任意団体で起案する場合:代表者個人への課税リスクに注意

サークル、実行委員会、ボランティア団体など、法人格を持たない「任意団体」も、税法上は課税対象になることがあります。

購入型で資金を集め、かつ継続的に物品販売などの収益事業(法人税法上の34業種)を行う場合は、法人税の申告が必要です。単発のイベントなど収益事業に該当しない活動であれば、法人税はかかりません。

注意が必要なのは寄付型です。任意団体が個人から寄付を受けた場合、その団体は「一人の個人」とみなされて贈与税の対象になります。贈与税の基礎控除(年間110万円)は「団体全体」で判定されるため、多くの人から寄付を集めて合計が110万円を超えると、代表者個人などに贈与税が課されるリスクがあります。

非営利法人(NPO等)の場合:収益事業か否かで課税が変わる

NPO法人や一般社団法人などの非営利法人が起案者の場合、「収益事業」に該当するかどうかが判断の分かれ目です。

購入型クラウドファンディングでオリジナルグッズを販売するなど、収益事業(物品販売業など)に該当する活動で得た利益には、営利企業と同様に法人税が課されます。一方、寄付型で集めた資金は、収益事業の売上には含まれないため、原則として法人税はかかりません。

また、起案者が「認定NPO法人」や「公益社団・財団法人」などの特定団体であれば、支援者は寄附金控除を受けられます。支援者メリットを訴求できるため、自身の法人が対象になるか確認しておきましょう。

企業が支援(寄付)する場合:損金算入できる範囲と税金控除

法人が支援者として資金を出す場合、その支出を「経費(損金)」にできるかどうかがポイントです。勘定科目は主に「広告宣伝費」か「寄付金」になります。

購入型でリターンとして自社の宣伝効果が得られる場合は、広告宣伝費として全額経費にできる可能性があります。しかし、リターンに実質的な価値がない場合や、寄付型で支援した場合は「寄付金」として処理されます。

寄付金扱いになると、税法上の経費(損金)にできる金額に上限が設けられています。ただし、国や指定の公益増進法人への寄付であれば枠が拡大されるため、支援先の属性を確認することが重要です。

「利益」と税金の計算方法|集めた総額ではなく「所得」にかかる

クラウドファンディングの税金は、集まった「総額」ではなく、そこから経費を差し引いた「利益(所得)」に対してかかります。

調達した金額がそのまま税金等の計算対象になるわけではありません。手元にいくら残るかを把握するためには、収入から差し引ける「経費」と、最終的な「利益」を正しく算出する必要があります。

利益の出し方:入金額から手数料・制作費などの「必要経費」を引く

購入型の場合、支援総額(売上)からプロジェクトにかかった費用を差し引いて「利益」を計算します。経費として計上できるのは、リターン品の原価、外注費、送料、プラットフォーム手数料などです。

例えば、支援金100万円を集めても、制作費や手数料で80万円かかった場合、課税対象となる利益は残りの20万円(事業所得または雑所得)となります。

所得税の仕組み:課税所得×税率で納税額が決まる

算出した利益に対して、所定の税率をかけて税額が決まります。

個人の場合、所得税は利益(課税所得)が増えるほど税率が上がる累進課税(5%~45%)で、これに一律10%の住民税が加わります。法人の場合は、法人税や事業税などを合わせた実効税率(約30%〜)が利益に対して適用されます。

シミュレーション:600万集まったら税金はいくら?(概算の考え方)

600万円を調達した場合の税負担は、所得区分、他の所得、控除、経費、居住地等で大きく変わります。ここでは、方式別に概算の考え方を示します。

購入型の場合(経費次第)

税額は経費の額で大きく変わります。600万円集めても、開発費やリターン制作費等で600万円使い切れば利益はゼロになり、税金は発生しません。逆に、経費をほとんどかけずに600万円が手元に残った場合は、その全額が課税対象となり、高額な税金がかかります。

寄付型の場合(個人対個人)

個人から600万円の寄付を集めた場合、基礎控除110万円を引いた「490万円」が贈与税の対象です。

一般贈与(他人からの寄付)の税率で計算すると、税額は約82万円(490万円×30%-控除額65万円)となります。寄付型は経費を引く概念がほぼないため、金額が大きくなると税負担も重くなる点に注意が必要です。

確定申告と納税の実務|いつ、どうやって支払うか

クラウドファンディングで課税対象となる利益が出た場合、起案者・支援者ともに期限内に確定申告と納税を行う義務があります。

「いつまでに」「何を準備して」「どう払うか」を知らないと、直前になって慌てたり、納税資金が不足したりするリスクがあります。スムーズに手続きを進めるための実務フローを解説します。

準備物:申告に必要な明細・領収書・リターン原価の計算

申告書を作成するための根拠資料を揃えます。

起案者は、プロジェクトの入金額がわかる明細と、経費(手数料、制作費、送料など)の領収書や請求書をすべて整理しておきましょう。これらを集計して利益を計算します。

支援者が寄附金控除を受ける場合は、支援先の自治体や団体から送られてくる「寄付金受領証明書」が必須です。また、投資型・融資型で分配金を得た場合は、プラットフォームから発行される「年間取引報告書」や「支払調書」を用意してください。

納付期限:申告時期(2/16〜3/15)と納税のタイミング

個人の所得税の確定申告期間は、原則として翌年の2月16日から3月15日までです。この期間内に申告書を提出し、あわせて納税も行います。贈与税の申告期間は少し早く、翌年2月1日から3月15日までとなります。

法人の場合は、事業年度終了の日の翌日から2ヶ月以内が申告・納付の期限です。

消費税の納税義務がある場合、個人事業主は翌年3月31日まで、法人は決算後2ヶ月以内に納付する必要があります。税金の種類によって期限が異なるため、カレンダーで確認しておきましょう。

支払い方法:振替納税・e-Tax・コンビニ納付の選択肢

国税(所得税・法人税・贈与税など)の納付方法は多様化しています。

金融機関の窓口だけでなく、指定口座から引き落とす「振替納税」、インターネットバンキングやクレジットカードを使う「e-Tax(電子納税)」、コンビニエンスストアでの納付、スマホアプリ決済などが選べます。

なお、住民税は納付の仕組みが異なります。確定申告の内容に基づき、翌年6月頃に自治体から通知が届きます。会社員なら給与天引き(特別徴収)、個人事業主なら納付書による支払い(普通徴収)で納めます。

資金対策:納税資金が足りない事態を防ぐための事前準備

もっとも注意すべきなのは「黒字なのに現金がない」という事態です。

クラウドファンディングで集めた資金をプロジェクトですべて使い切ってしまうと、後から発生する税金を支払えなくなる恐れがあります。特に購入型で利益が出た場合や、寄付型で高額な贈与税が発生する場合は要注意です。

調達した資金全額を使えるわけではないと認識し、概算の税金額をあらかじめ別口座に取り分けておくなどの資金対策を行いましょう。

税金対策とよくある誤解|「半額になる」「バレない」は本当か

クラウドファンディングには「税金が安くなる」「ネット上のやり取りだからバレない」といった噂や誤解が存在します。

しかし、誤った知識で安易な節税を行ったり申告を怠ったりすると、逆にペナルティを受けることになりかねません。ここでは、よくある誤解の真偽と、法的に認められた正しい節税テクニック(青色申告など)について解説します。

「税金が半額になる」情報の真偽と正しい節税策

「クラウドファンディングをすると税金が戻ってくる(安くなる)」という話は、条件付きで事実ですが、万人に当てはまるわけではありません。

購入型クラウドファンディングを行い、経費がかさんで赤字になった場合でも、税金が必ず安くなるわけではありません。所得区分が事業所得として整理され、かつ要件を満たす場合に限り、給与所得など他の所得と損益通算でき、結果として全体の税負担が下がる可能性があります。

しかし、会社員の副業などで「雑所得」とみなされる場合や、投資型クラウドファンディングの損失の場合は、他の所得との損益通算が認められていません。どんな赤字でも税金が減るわけではないため、安易な節税目的での利用は避けましょう。

申告漏れ防止チェック:手数料や未提供リターンの計上ミス

「個人間のやり取りだからバレない」「少額だから大丈夫」と考えるのは危険です。税務署はインターネット上の情報を日常的に収集しており、プロジェクトの調達金額は誰でも閲覧できる公開情報です。

銀行口座の入出金記録も残るため、申告漏れが判明した場合は、後日指摘を受ける可能性があります。後日、税務調査で指摘されると、本来の税金に加えて無申告加算税や延滞税などのペナルティが科されます。金額の大小にかかわらず、適正に申告することが自身を守る最善策です。

対策:青色申告特別控除などを活用して手取りを残す

合法的に税負担を減らすなら、控除制度をフル活用しましょう。

個人事業主(事業所得)として開業届を出し、青色申告を選択すれば、最大65万円の「青色申告特別控除」を受けられます。これに誰でも使える「基礎控除(最大48万円)」を合わせれば、約113万円までの利益なら所得税がかからない計算になります。

副業レベルの利益であっても、要件を満たして青色申告ができれば大きな節税効果があります。手元に残るお金を増やすために、正しい申告方法を選ぶことが重要です。

海外クラウドファンディングの税金|プラットフォームやリターンの扱い

KickstarterやIndiegogoなど、海外のプラットフォームを利用する場合でも、日本に住んでいる限り日本の税金ルールが適用されます。

「海外のサイトだからバレない」「日本の税金は関係ない」ということはありません。起案者には海外での所得に対する申告義務が、支援者にはリターン(商品)を受け取る際の関税や消費税の負担が発生します。国内とは異なる注意点を整理しました。

海外サイト利用時の入金記録・為替レートの証憑保存

日本居住者は、海外で得た利益についても日本で確定申告を行う義務があります。

海外プラットフォームから外貨で入金があった場合は、その入金日の為替レート(原則として仲値)で日本円に換算して売上を計上します。円安・円高の影響で為替差益が出た場合も所得に含まれるため、入金時のレートがわかる記録を必ず残しておきましょう。

なお、プラットフォームに差し引かれた海外送金手数料やシステム利用料も、国内同様に経費として計上可能です。

海外リターン(輸入)にかかる関税・消費税の注意点

海外プロジェクトを支援してリターンを受け取る場合、日本の所得税はかかりませんが、「輸入」に伴う税金が発生することがあります。

リターン品が日本に届く際、商品代金や送料に対して「関税」や「輸入消費税」が課される場合があります。これらは支援金額には含まれておらず、荷物の受け取り時や後日、配送業者から別途請求されるのが一般的です。

すべての品物にかかるわけではありませんが、革製品や衣類などは関税が高くなる傾向があります。支援する際は、表示価格とは別に追加コストがかかる可能性を見込んでおきましょう。

この記事のまとめ

この記事では、クラウドファンディングの税金は「集まった金額」ではなく、購入型・寄付型・投資型といった方式や、起案者か支援者かという立場によって判断が分かれることを整理しました。売上や分配が課税対象になるケース、寄付金控除が使える条件、利益ベースで税額を考える重要性、そして確定申告から納税までの流れを理解できたはずです。次のステップとして、自分が関わったクラファンの方式と立場を確認し、収入や分配がある場合は記録を整理しておきましょう。判断に迷う場合や金額が大きい場合は、投資のコンシェルジュの無料相談を活用することで、安心して次の行動に進めます。

投資のコンシェルジュを使ってみませんか?

コンシェルジュ編集部に相談CTA
投資のコンシェルジュ画像
投資のコンシェルジュ編集部

MONO Investment

投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。

投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。

関連する専門用語

課税対象

課税対象とは、税法において課税の有無や内容を判断する際に、税をかける基準として位置づけられる行為・取引・所得・資産などの範囲を指す概念です。 この用語は、所得税や住民税、消費税、相続税、不動産に関する税など、あらゆる税制の入口として登場します。何かの収入や取引があったとき、それが「いくら課税されるか」以前に、「そもそも税の対象になるのか」を判断する場面で使われます。投資や資産運用の文脈でも、利益や分配、売却といった出来事が課税対象に含まれるかどうかが、判断の前提になります。 課税対象が問題になりやすいのは、金銭の受け取りや価値の移転があった場合に、それが自動的に課税されると考えてしまう点です。実際には、税法ごとに課税対象の範囲は異なり、同じように見える取引であっても、税の種類によって扱いが分かれます。この整理をせずに話を進めると、「課税されるはず」「非課税だと思っていた」といった認識のずれが生じやすくなります。 誤解されやすい点として、課税対象であることと、実際に税金を支払う義務が生じることが同一だという思い込みがあります。課税対象に該当しても、控除や非課税規定、計算上の調整によって、結果として税額が発生しないこともあります。課税対象はあくまで判断の出発点であり、最終的な負担を直接示すものではありません。 また、課税対象は金銭的な利益に限られるものではなく、資産の保有や移転、特定の行為そのものが基準とされる場合もあります。この点を理解していないと、「現金を受け取っていないから関係ない」といった判断ミスにつながります。 課税対象という用語を正しく捉えることは、税制を個別の計算問題としてではなく、制度として整理するための基礎になります。この概念を押さえることで、税に関する判断の前提条件を冷静に切り分けることが可能になります。

確定申告

確定申告とは、1月1日から12月31日までの所得を計算して翌年の2月16日から3月15日に申告し、納税する手続き。多くの会社では年末調整を経理部がしてくれるが、確定申告をすると年末調整では受けられない控除を受けることができる場合もある。確定申告をする必要がある人が確定申告をしないと加算税や延滞税が発生する。

所得区分

所得区分とは、個人が得る収入をその性質ごとに分類したものを指します。日本の税制では、どこからどのように得た収入かによって課税の方法が異なるため、所得をいくつかの区分に分けて扱う必要があります。主な所得区分には、給与所得、事業所得、不動産所得、配当所得、譲渡所得などがあり、それぞれで計算方法や控除、税率が異なります。資産運用においては、配当金や売買益がどの所得区分に当たるかを理解しておくことで、適切な税金対策や申告ができるようになります。

所得税

所得税は、個人が1年間に得た所得に対して課される税金です。給与所得や事業所得、不動産所得、投資による利益などが対象となります。日本では累進課税制度が採用されており、所得が高いほど税率が上がります。給与所得者は源泉徴収により毎月の給与から所得税が差し引かれ、年末調整や確定申告で精算されます。控除制度もあり、基礎控除や扶養控除、医療費控除などを活用することで課税所得を減らし、税負担を軽減できます。

法人税

法人税とは、会社などの法人が事業を通じて得た利益に対してかかる税金で、国に納める国税のひとつです。個人にとっての所得税と同じように、会社の「もうけ」に対して課税されます。会社は1年間の売上から経費や人件費などを差し引き、最終的に残った利益、つまり「課税所得」を計算します。そして、その金額に応じて法人税が発生します。 法人税は、自分で税額を計算し、決算後に確定申告をして納める「申告納税方式」です。利益が出ていない赤字の年でも、申告手続きは必要です。税率は利益の大きさによって異なり、たとえば中小企業の場合、課税所得800万円までは軽減税率が適用され、法人税率は15%になります。それを超える部分には23.2%の税率がかかります。ただし、実際に会社が負担するのは法人税だけでなく、法人住民税や法人事業税なども含まれるため、すべてを合わせた負担割合、いわゆる「実効税率」はおおよそ20%〜35%ほどになることが一般的です。会社の所在地や規模によってこの数字は変動します。 また、日本では中小企業に対していくつかの税制上の優遇措置が設けられています。たとえば、軽減税率のほかにも、赤字となった年の損失を翌年以降の黒字と相殺できる「欠損金の繰越控除」や、一定の条件を満たした設備投資を行った場合に税金の一部が軽減される制度などがあります。こうした制度を活用することで、税負担を軽くしながら事業の資金を有効に活用することが可能になります。 このように、法人税は会社にとって基本的かつ重要な税金であり、利益が出たときにはもちろん、出なかったときにも申告義務があるという点を理解した上で、日々の経理や資金管理に取り組むことが大切です。

必要経費

必要経費とは、収入を得るために直接かかった費用のことを指し、確定申告などで所得から差し引くことができる支出です。たとえば、フリーランスや自営業者が事業を行う際に使った交通費、通信費、仕入れ代、人件費、事務所の家賃などが該当します。 これらは税務上、所得を正しく計算するために必要な項目とされており、収入から必要経費を差し引いた残りが「課税所得」となります。必要経費として認められるには、「収入を得るために必要だった」という合理的な理由があり、領収書や記録で裏付けられることが求められます。 正しく計上することで税負担を適正化でき、節税にもつながるため、特に個人事業主や副業をしている人にとっては重要な考え方です。

資産運用に役立つ情報をいち早くGET!

無料LINE登録

LINE登録はこちらから

資産運用について気軽にご相談したい方

プロへ相談する

当メディアで提供するコンテンツは、情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。 銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。 本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。 また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。

投資のコンシェルジュ

運営会社: 株式会社MONO Investment

Email:

運営会社利用規約各種お問い合わせプライバシーポリシーコンテンツの二次利用について

「投資のコンシェルジュ」はMONO Investmentの登録商標です(登録商標第6527070号)。

Copyright © 2022 株式会社MONO Investment All rights reserved.

「投資のコンシェルジュ」はMONO Investmentの登録商標です(登録商標第6527070号)。

Copyright © 2022 株式会社MONO Investment All rights reserved.