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日本と米国の高配当ETFは何が違うのか?

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2025/06/17 14:22


男性

60代

question

配当収入に興味があり、高配当ETFを調べています。投資するなら、日本か米国のETFかと思って、両者の高配当ETFを検討中です。しかし、日本と米国では代表的な高配当ETFも多様で、よくわからなくなってきてしまいました。具体的にどの点を比較すれば、両市場の高配当ETFの特徴を正しく理解できるのでしょうか?


回答

佐々木 辰

株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長

高配当ETFは、相対的に高い配当利回りをもつ株式群で構成され、インカム収入を重視する投資家に人気のある商品です。日本と米国の高配当ETFを比較する際には、次の3つの観点から整理すると、それぞれの特徴を的確に把握できます。

① 利回り水準と金利環境の比較

2025年現在、日本もマイナス金利政策を解除し、長期金利は1%台で推移するなど、かつての「超低金利」環境から変化しつつあります。それでも、高配当ETFの配当利回り(概ね3〜5%)はなお魅力的で、債券や預金と比較したインカム収益の優位性は維持されています。一方、米国では政策金利が依然として5%近くにあり、MMFやTビルといった超短期資産でも高い利回りが得られるため、ETFの相対的な配当魅力は一部競合しています。ただし、ETFは株価上昇によるキャピタルゲインの可能性もあるため、単純な利回り比較だけでは判断できません。

② 銘柄選定基準とセクター構成の違い

米国ETFはそれぞれ明確な選定方針があります。例として、HDVは財務の健全性と持続的収益力を重視し、ヘルスケア・エネルギー・生活必需品などの比率が高めです。一方、SPYDはS&P500構成銘柄のうち配当利回り上位80社を均等配分し、不動産・金融など利回りが高い業種の比重が相対的に大きくなりがちです。日本の代表的ETFには、NEXT FUNDS 野村日本株高配当70(予想利回り重視)、One ETF 高配当日本株(10年以上の連続増配銘柄を選定)などがあり、安定性や成長性に着目した設計になっています。構成セクターの偏りとその影響を理解することは、リスク管理のうえで非常に重要です。

③ 為替リスクと税制対応

米国ETFはドル建てで運用されるため、為替の変動(円高・円安)の影響を直接受けます。分配金には米国の源泉税(通常10%)がかかり、日本でも20.315%の課税対象となるため、二重課税調整として外国税額控除の申告が必要です。外貨資産を持つ意味では有用ですが、為替リスクと税務の手間は無視できません。対して、日本ETFは円建てで運用・分配され、管理や課税処理も比較的シンプルです。ただし、通貨分散の観点では限定的となります。

これら3点を踏まえ、「安定的な国内インカム収入を重視するのか」「外貨資産を取り入れたグローバル分散を狙うのか」「銘柄の選定方針や構成セクターに納得できるか」といった投資目的とリスク許容度を明確にしながら選ぶことが重要です。複数のETFを組み合わせて、為替・セクター・タイミングの偏りを分散する戦略も有効です。

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配当利回り

配当利回りは、株式を1株保有したときに1年間で受け取れる配当金が株価の何%に当たるかを示す指標です。計算式は「年間配当金÷株価×100」で、株価1,000円・配当40円なら4%になります。 指標には、実際に支払われた金額で計算する実績利回りと、会社予想やアナリスト予想を用いる予想利回りの2種類があります。株価が下がれば利回りは見かけ上上昇するため、高利回りが必ずしも割安や安全を意味するわけではありません。 安定配当の見極めには、配当性向が30~50%程度であること、フリーキャッシュフローに余裕があることが重要です。また、権利付き最終日の翌営業日には理論上配当金相当分だけ株価が下がる「配当落ち」が起こります。 日本株の配当は通常20.315%課税されますが、新NISA口座内で受け取る配当は非課税です。配当利回りは預金金利や債券利回りと比較でき、インカム収益を重視する長期投資家が銘柄や高配当ETFを選ぶ際の判断材料となります。

政策金利

政策金利とは、中央銀行が民間の金融機関に資金を貸し出す際の基準となる金利のことで、金融政策の中核をなすツールです。 中央銀行はこの金利を操作することで、経済全体の金利水準や通貨の流れを調整し、景気や物価の安定を図ります。たとえば、景気が冷え込んでいるときには政策金利を引き下げて(利下げ)お金を借りやすくし、消費や投資を促進します。逆に、インフレが進みすぎているときには政策金利を引き上げて(利上げ)需要を抑え、物価の上昇をコントロールしようとします。 政策金利の変更は、住宅ローンや企業の融資金利、預金金利など、私たちの生活に関わる金利にも波及します。また、株式市場・債券市場・為替市場にも大きな影響を与えるため、投資家にとっては極めて重要な経済指標です。 たとえば、中央銀行が予想以上に利上げを行った場合は、株式市場が下落し、通貨が上昇する可能性があります。逆に利下げが行われれば、株高・通貨安につながることが一般的です。 各国の中央銀行(例:日本銀行、FRB、ECBなど)は、定期的に会合を開き、経済情勢や物価の動向を見ながら政策金利を調整しています。

セクター分散

セクター分散とは、資産運用において特定の業種や産業(セクター)に偏らず、複数の分野にわたって投資先を分けることで、リスクを軽減する投資手法のことです。たとえば、情報技術、医療、金融、消費財といった異なるセクターに株式を分散させることで、ある業種に不測の事態が起きた場合でも、他のセクターで損失をカバーできる可能性があります。 これは、値動きの傾向が異なる業種を組み合わせることで、全体のポートフォリオの安定性を高めるための戦略です。資産運用の基本である「分散投資」の中でも、地域や資産クラスの分散と並んで重要な考え方の一つです。特に株式投資においては、セクターごとの経済環境の影響が大きいため、この分散の工夫が成果に直結します。

ETF(上場投資信託)

ETF(上場投資信託)とは、証券取引所で株式のように売買できる投資信託のことです。日経平均やS&P500といった株価指数、コモディティ(原油や金など)に連動するものが多く、1つのETFを買うだけで幅広い銘柄に分散投資できるのが特徴です。通常の投資信託に比べて手数料が低く、価格がリアルタイムで変動するため、売買のタイミングを柔軟に選べます。コストを抑えながら分散投資をしたい人や、長期運用を考えている投資家にとって便利な選択肢です。

為替リスク

為替リスクとは、異なる通貨間での為替レートの変動により、外貨建て資産の価値が変動し、損失が生じる可能性のあるリスクを指します。 たとえば、日本円で生活している投資家が米ドル建ての株式や債券に投資した場合、最終的なリターンは円とドルの為替レートに大きく左右されます。仮に投資先の価格が変わらなくても、円高が進むと、日本円に換算した際の資産価値が目減りしてしまうことがあります。反対に、円安が進めば、為替差益によって収益が増える場合もあります。 為替リスクは、外国株式、外貨建て債券、海外不動産、グローバルファンドなど、外貨に関わるすべての資産に存在する基本的なリスクです。 対策としては、為替ヘッジ付きの商品を選ぶ、複数の通貨や地域に分散して投資する、長期的な視点で資産を保有するなどの方法があります。海外資産に投資する際は、リターンだけでなく、為替リスクの存在も十分に理解しておくことが大切です。

二重課税

二重課税とは、同じ所得や資産に対して、二つ以上の国や課税主体から重ねて税金が課されることを指します。たとえば、外国の株式や債券に投資して得た利息や配当金に対して、まず現地の国で源泉徴収され、その後に日本でも課税されるというケースがあります。このような状況では、同じ収益に対して二重に税金がかかってしまい、実質的な手取りが減ることになります。ただし、日本では外国で課税された分を日本の税額から差し引く「外国税額控除」という制度があり、一定の条件を満たせば二重課税の負担を軽減することができます。海外投資を行う際は、このような税制のしくみにも目を向けることが重要です。

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