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遺留分請求された場合の、現物返還と金銭補填の違いは?

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2025/04/04 14:44


男性

50代

question

遺留分侵害額請求を受けた場合、遺産そのものを現物で返す必要があるのか、それとも金銭で補填すればよいのか知りたいです。また、どのような場合に金銭補填が必要になるのか、具体的な流れも教えてください。


回答

佐々木 辰

株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長

2019年の民法改正によって、遺留分侵害額請求は原則として金銭で補填する形になりました。つまり、請求を受けた側は不動産や株式などの遺産をそのまま返還する必要はなく、評価額に見合う金銭を支払うことで対応することができます。この改正により、遺産の分割を巡るトラブルや現物返還の煩雑さが緩和され、より現実的な対応が可能になっています。

遺留分侵害額請求が行われる際は、まず請求者から内容証明郵便などで正式な通知が届くところから始まります。その後、相続された財産について、不動産・株式・預貯金などの種類ごとに適切な評価を行い、どの程度の金額が遺留分として侵害されているのかを計算する必要があります。特に不動産や株式の評価は専門的な知識が求められるため、公平な基準で判断するには税理士や不動産鑑定士などの専門家に依頼するのが望ましいでしょう。

金額が確定したら、請求者との間で補填方法や支払い期限について協議し、合意に至れば金銭で補填する形で解決します。ただし、話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所での調停や審判に進むこともあります。また、補填に必要な現金が手元にない場合、不動産や株式を売却して資金を調達しなければならないケースもあります。こうした事態に備えるためにも、生前の段階から資産の種類や流動性について見直しておくことが大切です。

加えて、遺留分侵害額請求には時効があります。請求者が遺留分を侵害されたことを知ってから1年以内、または相続開始から10年以内に請求しなければ、その権利は消滅してしまいます。対応が遅れると法的な保護が受けられなくなるため、請求を受けた側も、請求を検討する側も、迅速に行動することが重要です。

実際に遺留分侵害額請求を受けた場合は、感情的な対応を避け、相続財産の内容や自身の資金状況を冷静に整理したうえで、弁護士や税理士、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。状況に応じた適切な対応策を講じることで、円満かつ現実的な解決につながります。

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遺留分侵害額請求

遺留分侵害額請求とは、相続人の最低限の取り分である「遺留分(いりゅうぶん)」を侵害された場合に、その不足分に相当する金銭の支払いを求める手続きのことを指します。たとえば、遺言によって特定の相続人だけに多くの財産が渡され、他の相続人が本来もらえるはずの遺留分を受け取れなかったときに、侵害された相続人が他の相続人や受遺者に対してその差額を金銭で請求することができます。 この制度は、相続人間の不公平を防ぎ、一定の相続権を保護するために設けられています。2019年の民法改正により、かつては「遺留分減殺請求」として行われていたものが、現在は金銭による支払いを求める「遺留分侵害額請求」となりました。資産運用や相続の場面では、遺言によって財産の分け方を自由に決める一方で、遺留分という法律上の制約を理解し、トラブルを防ぐための知識として非常に重要です。

相続財産

相続財産とは、被相続人(亡くなった方)が死亡時点で保有していた財産のうち、法律上相続の対象となるものを指します。 具体的には、現金や預貯金、不動産、株式、車、貴金属などのプラスの財産だけでなく、借金やローン、保証債務といったマイナスの財産も含まれます。 相続人は、これらの財産すべてを一括して引き継ぐ「単純承認」だけでなく、財産の範囲内で債務を引き継ぐ「限定承認」や、相続自体を放棄する「相続放棄」などの選択も可能です。 なお、生命保険金や死亡退職金など、一定の財産は「相続財産」に含まれず、相続税の計算上も特別な扱いになることがあります。 相続財産を正しく把握することは、遺産分割協議や相続税申告を円滑に進めるうえで、最初の重要なステップとなります。

生前贈与

生前贈与とは、本人が亡くなる前に、自分の財産を家族や親族などに贈り与えることを指します。たとえば、子どもや孫に現金や不動産などを自分の意思で生きているうちに渡す行為がこれにあたります。生前贈与を活用することで、相続時に財産が一度に多額に移転するのを防ぎ、相続税の負担を軽減する効果が期待できます。ただし、贈与にも贈与税がかかるため、贈与額やタイミング、誰に贈るかによって課税額が大きく変わることがあります。また、一定の条件を満たせば非課税になる特例制度もあるため、計画的に行うことが重要です。資産運用や相続対策として、生前贈与は家族に財産を無理なく引き継がせるための有効な手段のひとつです。

手元資金

手元資金とは、すぐに使うことができる現金や預金などの資金のことをいいます。日常の支払いに充てやすく、急な出費や相続税の納付などにも対応できるため、相続や資産運用の場面でも重要な役割を果たします。 不動産や株式のように、売却しないと現金化できない資産とは異なり、すぐに使えるという意味で「流動性の高い資産」とも言われます。 相続では、遺産の分け方や納税資金の準備を考えるうえで、この手元資金の確保が大きなカギとなります。特に相続税の支払いは現金が必要となるため、事前に十分な資金を確保しておくことが大切です。

資産整理

資産整理とは、自分や家族が所有する財産の内容を把握し、必要に応じて見直しや整理・処分を行うことを指します。 対象となる資産は、現金や預金、不動産、株式、保険、貴金属、さらにはローンや借入などの負債も含まれます。一つひとつの資産について「何をどれだけ持っているか」「リスクやコストはどの程度か」を確認し、不要な資産の処分や保有バランスの見直しを行うことで、将来の相続や生活設計に備えた準備ができます。 特に高齢期に入ると、認知機能の低下や突然の病気・事故に備えて、家族が把握しやすい形にまとめておくことが重要です。エンディングノートや財産目録の作成を通じて、相続時のトラブルを防ぎ、円滑な資産承継への第一歩となります。 近年では、相続対策・老後資金の確保・介護への備えといった観点から、早めの資産整理が注目されています。

税理士

税理士とは、税金に関する専門的な知識と国家資格を持ち、税務申告や相談、書類作成などを行うことができる税務のプロフェッショナルです。 税理士には、税金の計算・申告を代理する「申告代理」、税務書類を作成する「書類作成」、税務に関する相談を受ける「税務相談」といった独占業務があります。 相続の場面では、相続税の申告や節税対策、複雑な財産評価、各種税務特例の適用などをサポートしてくれる、心強い存在です。さらに、税務署とのやりとりや税務調査への対応も税理士の重要な役割の一つです。 また、生前贈与や不動産の活用、法人化などを含む将来を見据えた資産設計についても、税務の観点からアドバイスを受けることができます。 税理士は弁護士や司法書士などと連携しながら、税金という専門領域を通じて、円滑で安心な相続手続きを支えてくれる存在です。

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