個人向け国債を買うべきか迷っています
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2025/03/08 23:00
男性
40代
投資初心者で、安全に資産運用を始めたいと考えています。個人向け国債は元本保証があり魅力的に感じますが、「やめとけ」との意見もあり迷っています。リターンの低さやインフレリスク、解約の手間などのデメリットを考えると、本当に購入するべきなのか不安です。特に、定期預金や他の債券投資と比べた際のメリット・デメリットを知りたいです。初心者が資産運用を始めるうえで、個人向け国債は適した選択でしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
個人向け国債(変動10年・第182回債)の初回利率は年0.84%(税引後約0.67%、2025年5月募集分)と、メガバンクの1年定期預金(年0.275%前後)より高く、最低金利0.05%も保証されるため「元本割れを避けつつ預金より少しでも増やしたい」初心者には堅実な選択肢です。購入単価は1万円からで手続きは証券会社や銀行の窓口・ネット取引で完結し、利払いは半年ごとに自動入金されるため運用管理の手間もほとんどかかりません。
ただしリターンは物価上昇に追いつかない恐れがあります。インフレ率が年2〜3%に達すると実質利回りはマイナスとなり、長期保有だけでは購買力が目減りする点が最大のデメリットです。また発行後1年間は中途換金不可、その後は直近2回分利息(税引前0.796%相当)が差し引かれるペナルティがあるため、急に使う可能性のある資金は定期預金や普通預金に残すなど流動性を確保しておく必要があります。
結論として、個人向け国債は「生活防衛資金+低リスク運用枠」のコアとしては優秀ですが、資産全体の成長を担う商品ではありません。購入比率は3〜6か月分の生活費を上限目安にとどめ、余裕資金はつみたてNISA経由の世界株インデックスファンドや、社債・債券ETFなどリスク・リターンの異なる資産と組み合わせて分散運用することで、インフレ耐性と長期的な資産形成力を高めることが最適解となります。
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個人向け国債
個人向け国債とは、日本政府が個人投資家向けに発行する債券で、安全性が高く元本保証が特徴です。最低1万円から購入可能で、3年・5年の固定金利型と10年の変動金利型があります。変動金利型は半年ごとに金利が見直され、市場金利の上昇に伴い受取利息が増加するメリットがあります。 一方、株式投資ほどの高いリターンは期待できず、インフレ時には実質的な資産価値が目減りする可能性があります。また、購入後1年間は中途換金ができず、その後の換金時には直前2回分の利子相当額が差し引かれる点に注意が必要です。銀行預金より高い金利を求めるが、リスクを避けたい投資初心者や安全資産を確保したい方に適した商品です。
元本保証
元本保証とは、投資や預金において、満期まで保有すれば最低でも投資した元本が保証される仕組みを指します。銀行預金や一部の保険商品などが該当し、元本が減るリスクを抑えられるため、安全性を重視する人に向いています。しかし、元本保証がある商品は一般的に利回りが低く、インフレによる実質的な購買力の低下を考慮する必要があります。
インフレリスク
インフレリスクとは、物価の上昇が投資の実質的な価値や収益を減少させるリスクを指します。インフレが進行すると、通貨の購買力が低下し、同じ金額で以前よりも少ない商品やサービスしか購入できなくなります。このリスクは特に固定収益をもたらす投資、例えば債券や定期預金に顕著に現れます。債券のクーポン支払いや元本返済の実質的価値が、インフレによって目減りするためです。 投資家はインフレリスクを考慮に入れてポートフォリオを構築する必要があります。たとえば、インフレに対抗するために不動産や株式などのリアルアセットに投資する方法があります。これらの資産は、インフレの環境下で価値が上昇する傾向にあるため、インフレリスクから保護する効果が期待できます。また、インフレに連動する形で利息が上昇するインフレ連動債(TIPSなど)に投資することも、インフレリスクを管理する一つの手段です。 インフレリスクは、特に長期投資の計画において重要であり、経済全体の物価水準の変動を考慮に入れながら、資産を適切に配置し、リバランスを行うことが必要です。 さらに、異なる国や地域でのインフレ率の違いにも注意を払い、グローバルな視点からポートフォリオを見直すことも有効です。このように、インフレリスクを適切に理解し、対策を講じることで、投資の目標達成に向けた戦略的な判断が可能となります。
利回り
利回りとは、投資で得られた収益を投下元本に対する割合で示し、異なる商品や期間を比較するときの共通尺度になります。 計算式は「(期末評価額+分配金等-期首元本)÷期首元本」で、原則として年率に換算して示します。この“年率”をどの期間で切り取るかによって、利回りは年間リターンとトータルリターンの二つに大別されます。 年間リターンは「ある1年間だけの利回り」を示す瞬間値で、直近の運用成績や市場の勢いを把握するのに適しています。トータルリターンは「保有開始から売却・償還までの累積リターン」を示し、長期投資の成果を測る指標です。保有期間が異なる商品どうしを比べるときは、トータルリターンを年平均成長率(CAGR)に換算して年率をそろすことで、複利効果を含めた公平な比較ができます。 債券なら市場価格を反映した現在利回りや償還までの総収益を年率化した最終利回り(YTM)、株式なら株価に対する年間配当の割合である配当利回り、不動産投資なら純賃料収入を物件価格で割ったネット利回りと、対象資産ごとに計算対象は変わります。 また、名目利回りだけでは購買力の変化や税・手数料の影響を見落としやすいため、インフレ調整後や税控除後のネット利回りも確認することが重要です。複利運用では得た収益を再投資することでリターンが雪だるま式に増えますから、年間リターンとトータルリターンを意識しながら、複利効果・インフレ・コストを総合的に考慮すると、より適切なリスクとリターンのバランスを見極められます。