高配当ETF投資で安定したリターンを得るためにはどうすればいいですか?
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2025/06/17 14:06
男性
60代
配当利回りの高さが魅力的なので、高配当ETFへの投資を検討しています。ただし、景気後退時の減配や為替変動による受取額の目減りなど、注意点もあるということを知りました。なるべく安定したリターンを得たいのですが、どのようにすると良いのでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
高配当ETFは、配当利回りの高い企業群にまとめて投資できる上場投資信託で、分配金と株価上昇の両面から収益を狙える点が魅力です。一方で、景気後退局面では減配や株価下落のリスクがあり、外貨建てETFでは為替変動による実質利回りの低下にも注意が必要です。
安定的なリターンを目指すためには、以下の5つの視点から戦略的に選定・運用していくことが重要です。
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減配リスクに強いETFを選ぶ
連続増配企業を中心に構成されたETF(例:VIGなど)や、分配方針が安定志向の指数に連動する商品は、景気後退時でも分配水準が比較的安定しやすい傾向にあります。選ぶ際は、基準指数の設計方針、構成銘柄の配当実績、過去の分配履歴を確認し、減配耐性を見極めましょう。
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セクター偏重を避け、分散を確保する
高配当ETFは金融・エネルギーセクターに偏りがちです。異なるセクター構成を持つETFを複数組み合わせることで、特定業種の影響を和らげることができます。
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為替リスクをコントロールする
為替変動は外貨建てETFの配当受取額に直結します。円建てETFや為替ヘッジ付き商品の活用により、為替リスクの抑制が可能です。分散の一環として、円建て・外貨建てを組み合わせることも検討しましょう。
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運用コストを抑える
信託報酬などのコストは長期リターンに大きな影響を与えます。内容が類似するETF同士では、コスト水準が低いものを優先することで、複利効果を最大化できます。
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積立とリバランスを継続する
定額での積立により取得価格を平準化し、定期的にポートフォリオを見直すことで、セクター偏りやパフォーマンスの偏差を調整できます。
これらの手法を段階的かつ継続的に実践することで、短期的な変動に左右されにくい、安定した配当収入の基盤を構築できます。ただし、投資戦略はご自身のリスク許容度や資産状況に応じて最適化が必要です。迷う場合は、ETFの特性やポートフォリオ全体の設計に詳しい専門家へ相談することで、より納得感のある判断がしやすくなります。
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配当利回り
配当利回りは、株式を1株保有したときに1年間で受け取れる配当金が株価の何%に当たるかを示す指標です。計算式は「年間配当金÷株価×100」で、株価1,000円・配当40円なら4%になります。 指標には、実際に支払われた金額で計算する実績利回りと、会社予想やアナリスト予想を用いる予想利回りの2種類があります。株価が下がれば利回りは見かけ上上昇するため、高利回りが必ずしも割安や安全を意味するわけではありません。 安定配当の見極めには、配当性向が30~50%程度であること、フリーキャッシュフローに余裕があることが重要です。また、権利付き最終日の翌営業日には理論上配当金相当分だけ株価が下がる「配当落ち」が起こります。 日本株の配当は通常20.315%課税されますが、新NISA口座内で受け取る配当は非課税です。配当利回りは預金金利や債券利回りと比較でき、インカム収益を重視する長期投資家が銘柄や高配当ETFを選ぶ際の判断材料となります。
減配
減配とは、企業が前期より一株当たりの年間配当金を減額することで、主に業績悪化や設備投資・借入返済など資金需要の高まりを背景に、株主還元を抑制する方針を示すものです。 配当が減ると配当利回りは一時的に低下しがちで、市場では経営の先行きに対する警戒感から株価が下落するケースも少なくありません。もっとも、減配は必ずしも財務悪化だけを意味するわけではなく、大型M&Aや研究開発など長期的な成長投資を優先する際に選択されることもあります。 このため投資家は、削減後の配当額と利益水準との関係を示す配当性向やキャッシュフロー計画を確認し、減配が一時的な施策なのか、配当方針そのものの見直しなのかを見極める必要があります。また、無配転落や配当据え置きへの移行リスクも念頭に置きつつ、連続減配年数や将来の増配回復余地を企業の事業構造と資本政策の観点から総合的に判断することが重要です。
セクター
セクターとは、経済活動の範疇や分野を指す用語で、同様の商品やサービスを提供する企業群を分類したものです。各セクターは、特定の市場ニーズや消費者グループに対応するための業界や市場を形成しています。一般的に、セクターは金融、ヘルスケア、テクノロジー、エネルギー、消費財、公益事業など、広範な範囲にわたります。これらのセクターは経済の異なる側面を代表し、それぞれが経済全体の動向や健康に影響を与えます。 セクターの分析は、投資家が市場のトレンドを理解し、潜在的な投資機会を特定する際に重要です。例えば、テクノロジーセクターは革新的な企業や高成長が見込まれる市場を含むため、リスクをとる意欲のある投資家に適しているかもしれません。一方、公益事業や消費必需品セクターは安定した収益が期待され、安全志向の投資家に適しています。 さらに、セクターの動向は経済状況の変化に敏感であり、政策変更や技術進歩、消費者の嗜好の変化などが直接的な影響を及ぼすことがあります。これらの理由から、投資戦略を立てる際には、個々のセクターが直面している特定のリスクや機会を理解し、適切に対応することが重要です。
為替ヘッジ
為替ヘッジとは、為替取引をする際に、将来交換する為替レートをあらかじめ予約しておくことによって、為替変動のリスクを抑える仕組み。海外の株や債券に投資する際は、その株や債券の価値が下がるリスクだけでなく、為替の変動により円に換算した時の価値が下がるリスクも負うことになるので、後者のリスクを抑えるために為替ヘッジが行われる。
信託報酬
信託報酬とは、投資信託やETFの運用・管理にかかる費用として投資家が間接的に負担する手数料であり、運用会社・販売会社・受託銀行の三者に配分されます。 通常は年率〇%と表示され、その割合を基準価額にあたるNAV(Net Asset Value)に日割りで乗じる形で毎日控除されるため、投資家が口座から現金で支払う場面はありません。 したがって運用成績がマイナスでも信託報酬は必ず差し引かれ、長期にわたる複利効果を目減りさせる“見えないコスト”として意識されます。 販売時に一度だけ負担する販売手数料や、法定監査報酬などと異なり、信託報酬は保有期間中ずっと発生するランニングコストです。 実際には運用会社が3〜6割、販売会社が3〜5割、受託銀行が1〜2割前後を受け取る設計が一般的で、アクティブ型ファンドでは1%超、インデックス型では0.1%台まで低下するケースもあります。 同じファンドタイプなら総経費率 TER(Total Expense Ratio)や実質コストを比較し、長期保有ほど差が拡大する点に留意して商品選択を行うことが重要です。
ドルコスト平均法
ドルコスト平均法とは、一定の金額を定期的に投資する方法です。価格が高いときは少なく、価格が低いときは多く買えるため、購入価格が平均化され、リスクを分散できます。市場のタイミングを読む必要がないため、初心者に最適な方法とされています。長期投資で効果を発揮し、特に投資信託やETFで利用されることが多い手法です。