家族信託はなぜ認知症対策や相続対策になるのでしょうか?
回答受付中
0
2024/11/12 21:20
男性
50代
父が不動産経営をしています。認知症などが発症する前に、相続関係を整理しておきたい、という意向から、家族信託について検討を始めました。家族信託はなぜ相続対策や、認知症対策になるのでしょうか?初歩的な質問で恐縮ですが理由を教えて下さい。よろしくお願いいたします。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
家族信託が認知症対策として機能する最大の理由は、委託者の判断能力が低下しても、あらかじめ指名した受託者が銀行口座の管理や不動産の売却・賃貸などを継続できる点にあります。成年後見制度のように裁判所の監督下で都度手続きを行う必要がなく、医療費や介護費の支払い、不動産経営の意思決定を家族だけで迅速かつ柔軟に進められるため、資産凍結のリスクを回避できます。
相続対策としては、一次相続だけでなく二次相続以降の承継先や分配方法を契約段階で細かくデザインできるため、遺言書よりも自由度が高く多世代にわたる財産承継を一度で確定できます。受託者が運用や修繕、資産組換えを続けられることで、相続税評価の引き下げや納税資金の確保、生前贈与の計画的実行なども可能となり、結果として争族リスクを大幅に低減します。
ただし、家族信託契約は委託者に十分な意思能力がある段階でしか締結できません。契約内容の設計には法律・税務・不動産の総合的な検討と家族全員の合意が欠かせず、準備には想像以上に時間を要します。認知症の兆候が出る前に専門家へ相談し、早期に枠組みを整えることが成功の鍵となります。