執行役員の報酬は取締役と比べてどの程度の違いがありますか?
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2025/03/24 16:29
男性
60代
執行役員と取締役では給与や賞与などの報酬にどのような違いがありますか?また、業績連動の仕組みなどはどうなっているのでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
取締役の報酬は株主総会で上限額が決議され、報酬委員会などが個別額を配分するため「社外への説明責任」と「株主価値との連動」を強く求められます。2024年に有価証券報告書を提出した上場企業3,195社では、業績連動報酬を導入している企業が約51%、株式(RS/RSU・ストックオプション等)報酬を導入している企業が約54%に達し、社内取締役1人当たりの平均総報酬は約3,030万円でした。
一方、執行役員は会社法上の「機関」ではなく上級社員に位置づけられるため、報酬は就業規則や役員規程で決まる年俸+賞与が中心です。労務行政研究所の2023年調査によれば、非役位付執行役員の平均年収は約1,593万円、常務執行役員は約2,246万円、専務執行役員は約3,058万円と報告されています。
このように「ガバナンス上の承認プロセス」「インセンティブ設計」「開示義務」の3点が両者の本質的な違いです。もっとも、大企業では執行役員にもKPI連動賞与やRSUを付与するケースが増えつつあり、専務・常務クラスでは取締役と遜色ない水準に並ぶこともあります。したがって目安としては、取締役が年間2,000万~1億円超まで幅広く、執行役員が1,000万~5,000万円超のレンジに収まるものの、実際の差は企業規模・役位・業績連動比率次第で大きく開くと理解しておくとよいでしょう。
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株主総会
株主総会は株式会社における最高意思決定機関である。 会社が定めた要件を満たす株主によって議決権が行使され、定款の変更や役員の選解任、配当金額の決定、計算書類の承認など、会社の基本方針や重要な事項を決定する。 株主総会には、決算期毎に開かれる定時株主総会と必要な際に開かれる臨時株主総会がある。一般的には、定時株主総会では、役員の選任や計算書類の承認などが行われることが多く、臨時株主総会では、株式・新株予約権の発行や組織再編に関する意思決定など、緊急性の高い案件が議題となることが多い。
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ストックオプションとは、企業が役員や従業員に対して、一定の価格で自社株を購入できる権利を付与する制度です。これにより、株価が上昇した場合、従業員は利益を得ることができます。インセンティブとしての効果が高く、従業員のモチベーション向上や企業価値の向上につながります。