リスクを抑える代表的な投資手法は何ですか?
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2025/06/10 13:04
男性
40代
相場変動が怖くて投資に踏み切れません。教科書には分散投資やヘッジが有効とありますが、それぞれどのような仕組みでリスクを下げるのでしょうか?また初心者が始めるならなにから始めるべきでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
リスクを抑える王道は三つあります。第一に分散投資です。株式なら業種や地域を分け、債券やREIT、金など値動きの異なる資産を加え、積立購入で時間も分散します。こうすれば一部の急落が家計全体に与える打撃を薄められます。第二にリバランスです。値上がりで膨らんだ資産を売り、比率が下がった資産を買い増して元の配分に戻すことで、過剰リスクを除きつつ自動的に高値売りと安値買いが実現できます。年一回または目標比率から五%以上離れたときが目安です。第三にヘッジです。為替変動には為替予約や為替ヘッジ型ファンド、株価急落にはプットオプションや先物売りなど逆方向に動く取引で損失を相殺します。ただし保険料や手数料がかかりリターンを削るため、目的を明確にし必要な部分だけにとどめることが賢明です。初心者はまず低コストの国際分散型ファンドと定期リバランスで土台を固め、資産規模が大きくなってからヘッジを部分的に取り入れると安心して長期運用を続けられます。
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分散投資
分散投資とは、資産を安全に増やすための代表的な方法で、株式や債券、不動産、コモディティ(原油や金など)、さらには地域や業種など、複数の異なる投資先に資金を分けて投資する戦略です。 例えば、特定の国の株式市場が大きく下落した場合でも、債券や他の地域の資産が値上がりする可能性があれば、全体としての損失を軽減できます。このように、資金を一カ所に集中させるよりも値動きの影響が分散されるため、長期的にはより安定したリターンが期待できます。 ただし、あらゆるリスクが消えるわけではなく、世界全体の経済状況が悪化すれば同時に下落するケースもあるため、投資を行う際は目標や投資期間、リスク許容度を考慮したうえで、計画的に実行することが大切です。
リバランス
リバランスとは、ポートフォリオを構築した後、市場の変動によって変化した資産配分比率を当初設定した目標比率に戻す投資手法です。 具体的には、値上がりした資産や銘柄を売却し、値下がりした資産や銘柄を買い増すことで、ポートフォリオ全体の資産構成比率を維持します。これは過剰なリスクを回避し、ポートフォリオの安定性を保つためのリスク管理手法として、定期的に実施されます。 例えば、株式が上昇して目標比率を超えた場合、その一部を売却して債券や現金に再配分するといった調整を行います。なお、近年では自動リバランス機能を提供する投資サービスも登場しています。
ヘッジ
ヘッジとは、価格変動や為替変動などのリスク(不確実性)から資産を守るために、あらかじめ対策を講じることを意味します。資産運用の分野では、将来起こりうる損失を緩和または回避するために、別の取引や金融商品を利用してリスクを相殺する行為を指します。 たとえば、外貨建て資産を保有している場合、円高が進むとその価値が目減りするリスクがあります。このとき、為替予約や為替先物といったヘッジ手段を使えば、円高による損失を一定程度防ぐことができます。また、株式市場の下落に備えて、先物取引やプットオプションを利用することも、価格下落に対するヘッジになります。 ヘッジは、利益を狙うための手段というよりも、損失を限定し、安定した運用成果を得るためのリスク管理策として使われます。完全にリスクをゼロにすることはできませんが、価格変動による影響を抑えたい場合には非常に有効です。ただし、ヘッジにはコストがかかることも多く、その効果と費用のバランスをよく見極めて判断することが重要です。
相関係数
相関係数とは、2つの資産の値動きがどれくらい似ているか、つまりどれだけ「連動しているか」を数値で示したものです。この数値は−1から+1までの範囲で表され、+1に近いほど同じ方向に動きやすく、−1に近いほど逆の方向に動きやすいことを意味します。 たとえば、株式と債券の相関係数が低い、あるいはマイナスであれば、片方が下がってももう片方が上がる可能性があるため、一緒に保有することで全体のリスクを下げる効果が期待できます。相関係数は、ポートフォリオの分散効果を考えるうえで非常に重要な指標であり、資産運用の戦略を立てる際に欠かせない概念です。数字自体は統計的なものですが、実際の投資では「組み合わせの妙」を判断するための実用的なツールとなります。
プットオプション
プットオプションとは、ある資産を将来の決められた価格で売ることができる「権利」のことです。 株などの資産が値下がりしたときに、その値下がりによる損失を抑えるための「保険」のような役割を果たします。 たとえば、ある株が今100円で取引されていて、将来値下がりしそうだと考えたとします。ここで「1か月後に100円で売れるプットオプション」を買っておけば、仮に1か月後に株価が80円に下がっていても、100円で売ることができます。市場価格より高く売れるため、その差額で利益が出ます。 逆に、株価が120円に上がった場合は、わざわざ100円で売る必要がなくなるので、そのプットオプションは使いません。損失は最初に払った「プレミアム(オプション料)」だけです。このように、損失は限定的で、下落時には利益が出せるのがプットオプションの大きな特徴です。 また、プットオプションは投資家が保有している株の値下がりに備える手段としても使われます。たとえば、大きなイベントや相場の不安定な局面で、一時的にリスクを避ける目的で活用されることがあります。 ただし、プットオプションには「時間が経つだけで価値が減っていく」という特性があります。これは「時間的価値の減少(タイムディケイ)」と呼ばれる現象です。オプションには有効期限があるため、満期までの期間が短くなるほど、「この先相場が動く可能性が小さくなった」と見なされ、オプションの価値は自然と下がっていきます。つまり、何もしなくても時間が経つだけで価値が目減りしてしまうのです。 そのため、プットオプションを使う場合は「いつ下がるか」というタイミングも重要になります。あまりに早く買ってしまうと、思ったより相場が動かずに価値だけが減っていく、ということも起こり得ます。
為替予約(フォワード契約)
為替予約(フォワード契約)とは、将来の特定の日に、あらかじめ取り決めた為替レートで外貨を売買することを約束する契約のことをいいます。主に企業が海外との取引に伴う為替変動リスクを避けるために利用する手段で、たとえば半年後に100万ドルの支払いがある場合、今のレートでその取引を予約しておくことで、将来の円安・円高にかかわらず、支払い額を固定することができます。このように、為替予約は外貨建て取引の金額をあらかじめ確定させることで、収支やコストの見通しを安定させる効果があります。一方で、為替の変動によって有利になる可能性も同時に放棄するため、リスク回避を重視する際に選ばれる手法です。資産運用や国際ビジネスにおける重要なリスク管理の一環として広く利用されています。