40歳で貯金1000万円は少ないでしょうか?平均や中央値など目安を教えて下さい。
40歳で貯金1000万円は少ないでしょうか?平均や中央値など目安を教えて下さい。
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2025/10/29 09:06
男性
40代
私は40歳の会社員で、これまでコツコツと貯金を続けてきましたが、現在の貯金額は1000万円ほどです。最近、同年代の人たちの資産額や老後資金の話題をよく耳にするようになり、自分の貯金が十分なのか、少ないのか不安になってきました。平均や中央値と比べてどの程度の位置にあるのか、また今後どのように資産運用や貯蓄を進めていくべきかの目安を知りたいです。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
40歳で貯金1,000万円は、同世代の中では十分に健闘している水準です。公的な調査によると、40代世帯の金融資産中央値は数百万円にとどまり、1,000万円は中央値を大きく上回っています。特に「金融資産を保有している世帯」だけで見ても中央値はおおむね500万円前後であり、平均的な層より上位に位置します。このため、ご自身の努力は明確に成果として表れています。
ただし、平均値と中央値では意味が異なります。平均値は一部の高資産層に引っ張られやすく、実感に近いのは中央値です。統計を参考にする際は、対象が全世帯か保有世帯か、単身か世帯かを確認したうえで比較することが大切です。こうした点を踏まえると、1,000万円という水準は同年代の中でも安心できる位置にあります。
今後は「守り」と「攻め」を分けて考えることが重要です。まず、生活防衛資金として生活費の6〜12か月分を現預金で確保し、残りを投資に回すとバランスが取りやすくなります。共働きや雇用の安定性がある場合は6か月分、単独収入や不安定な職業の場合は12か月分を目安にしましょう。
そのうえで、新しいNISA制度を最大限に活用することが効果的です。2024年以降の新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠を合わせて年間360万円、累計で1,800万円まで非課税で運用できます。つみたて投資枠をベースに、余裕があれば成長投資枠も利用することで、長期的な資産形成を効率化できます。
さらに、iDeCo(個人型確定拠出年金)の活用も検討すべきです。掛金が全額所得控除され、運用益も非課税になるため、節税効果が大きいのが特徴です。60歳まで引き出せない制約はありますが、老後資金の確実な積み立て手段として有効です。勤務先の企業年金制度によって掛金上限が異なるため、まずは自社制度を確認しましょう。
投資の基本方針としては、長期・分散・低コストを軸に、全世界株式や先進国株式などを中心としたインデックス運用が現実的です。標準的なリスク許容度なら株式60〜70%、債券30〜40%を目安にし、為替リスクを一部ヘッジしておくと安定します。定期的にリバランスを行い、信託報酬や為替コストを見直すことで効率的な運用が可能になります。
将来の資産見通しを具体的に試算すると、いまの1,000万円を年率3%で25年間運用すれば約2,100万円になります。さらに毎月10万円を積み立てれば約6,500万円、20万円なら約1.1億円、30万円なら約1.5億円が期待できます。老後に年3%の取り崩し率で換算すれば、それぞれ年間195万円、330万円、450万円ほどが生活資金として確保できる計算です。もちろん市場変動や税制改正で変わる可能性はありますが、方向性を把握するには有効な目安です。
現時点での行動指針としては、まず生活防衛資金を確保し、新NISAのつみたて枠を最大限活用すること。iDeCoも上限の範囲で活用し、年1回は資産配分を見直してリスクを調整すること。そして、保険は最低限の保障に絞り、余計な支出を減らすことです。
総じて、40歳で1,000万円の貯金を持つあなたはすでに堅実な財務基盤を築いています。今後は「いくら持っているか」よりも、「どんな仕組みで資産を育てているか」が重要です。非課税口座の活用、積立の継続、コスト管理を徹底すれば、老後への不安を確実に減らしていけるでしょう。
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金融資産
金融資産とは、現金や預金、株式、債券、投資信託など、金融市場で取引可能な資産のことを指します。不動産や貴金属のような実物資産とは異なり、換金性が高く、運用によって価値が変動する特徴があります。個人の資産運用においては、金融資産を適切に分散し、リスクとリターンのバランスを取ることが重要とされます。企業の財務管理においても、金融資産の保有状況は流動性や資金繰りに影響を与えるため、戦略的な管理が求められます。
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生活防衛資金とは、万が一の病気や失業、災害などで収入が途絶えた場合でも、一定期間は生活を維持できるように、あらかじめ確保しておく現金のことです。投資を始める前にまず準備しておくべきお金で、一般的には生活費の3か月から6か月分を目安にするとされています。 この資金は、株や投資信託のように価格が変動する商品ではなく、すぐに引き出せる預金などで保管するのが望ましいとされています。生活防衛資金がしっかりと確保されていれば、投資のリスクを過度に恐れずに冷静な判断がしやすくなり、精神的な安心感にもつながります。
新NISA
新NISAとは、2024年からスタートした日本の新しい少額投資非課税制度のことで、従来のNISA制度を見直して、より長期的で柔軟な資産形成を支援する目的で導入されました。この制度では、投資で得られた利益(配当や売却益)が一定の条件のもとで非課税になるため、税負担を気にせずに投資ができます。新NISAでは「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの枠が用意されており、年間の投資可能額や総額の上限も大幅に引き上げられました。 また、非課税期間が無期限となったことで、より長期的な運用が可能となっています。投資初心者にも利用しやすい仕組みとなっており、老後資金や将来の資産形成の手段として注目されています。
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iDeCo(イデコ)とは、個人型確定拠出年金の愛称で、老後の資金を作るための私的年金制度です。20歳以上65歳未満の人が加入でき、掛け金は65歳まで拠出可能。60歳まで原則引き出せません。 加入者は毎月の掛け金を決めて積み立て、選んだ金融商品で長期運用し、60歳以降に年金または一時金として受け取ります。加入には金融機関選択、口座開設、申込書類提出などの手続きが必要です。 投資信託や定期預金、生命保険などの金融商品で運用し、税制優遇を受けられます。積立時は掛金が全額所得控除の対象となり、運用時は運用益が非課税、受取時も一定額が非課税になるなどのメリットがあります。 一方で、証券口座と異なり各種手数料がかかること、途中引き出しが原則できない、というデメリットもあります。
インデックス運用
インデックス運用は、市場全体の動きを示す指標(インデックス)に連動するように設計された運用手法です。例えば、日経平均株価やS&P500などのインデックスに基づき、同様の構成比率で資産を運用します。 市場全体に投資するためリスク分散が図りやすく、運用コストが低いのが特徴です。一方で、大きな利益を狙うというよりも、市場平均と同程度のリターンを目指す保守的な運用スタイルです。





