Loading...

MENU

記事>

1000万円の貯金を超えたら始めたい投資・資産運用|リスク許容度と年代別に最適戦略を解説

1000万円の貯金を超えたら始めたい投資・資産運用|リスク許容度と年代別に最適戦略を解説 (1)

1000万円の貯金を超えたら始めたい投資・資産運用|リスク許容度と年代別に最適戦略を解説

難易度:

執筆者:

公開:

2025.11.18

更新:

2025.11.18

入門編基礎知識

貯金が1000万円を超えた時点は、資産運用を本格的に始める好機です。預金のままではインフレによる実質価値の目減りが進む恐れがあるため、運用を通じて資産の実質的な価値を維持する必要があります。生活防衛資金を別途確保したうえで、あなたのリスク許容度の範囲内で資産運用を実践していきましょう。

サクッとわかる!簡単要約

この記事では、貯金1000万円を超えた人がどのように投資・運用を始めるべきかを、リスク許容度と年代別の観点から具体的に解説。リスクを抑える資産配分や生活防衛資金の確保、分散・積立・長期投資の原則を学べます。さらに、新NISAやiDeCoを活用した非課税運用の仕組みも紹介し、1000万円を次のステージへ成長させる実践的な方法を理解できます。

目次

貯金が1000万円を超えたら投資を始めるべき理由

預貯金だけでは資産が増えないから

インフレで価値が目減りするから

【リスク許容度別】1000万円の運用戦略

リスク許容度が低い人向けのポートフォリオ

リスク許容度が中程度の人向けのポートフォリオ

リスク許容度が高い人向けのポートフォリオ

【年齢別】1000万円の運用戦略

20代の運用戦略:株式を軸に積極運用する

30代の運用戦略:ライフイベントを意識しつつ資産を増やす

40代の運用戦略:収支状況を見ながら無理なく運用を継続する

50代の運用戦略:老後資金を作る最後のチャンス

60代以降の運用戦略:リスクを抑えながらインフレに負けない運用を意識する

1000万円を運用する前に必ずやるべき資金の分別

生活防衛資金:生活費の3カ月〜12カ月分

近い将来に使途が決まっている資金

余剰資金:投資に回すお金

1000万円を運用したときのシミュレーション

年利3%で運用した場合

年利5%で運用した場合

年利7%で運用した場合

投資初心者が意識すべきポイント

分散投資(資産・地域・時間)

長期投資(10年以上の期間を想定する)

積立投資(相場の動きに左右されず淡々と継続する)

手数料の安さ(コストを抑えるのが合理的)

リスク許容度の理解(無理はしない)

新NISA・iDeCoで税制優遇を受ければ運用効率が高まる

つみたて投資枠の使い方

成長投資枠の使い方

iDeCoで節税しながら運用

1000万円を運用するときに避けるべき失敗パターン

失敗①全額を一括投資する

失敗②短期売買を繰り返す

失敗③過度な集中投資をする

失敗④生活防衛資金まで投資に回す

失敗⑤感情に流される

貯金が1000万円を超えたら投資を始めるべき理由

貯金が1000万円を超えたタイミングは、資産運用を始める絶好の機会です。生活防衛資金として一定額を確保できる段階であり、余剰資金を長期的な資産形成に回せる状況が整っているからです。

まずは、1000万円を超えたら投資を検討すべき2つの重要な理由を解説します。

預貯金だけでは資産が増えないから

現在の日本の預金金利は歴史的な低水準にあり、銀行にお金を預けていても資産はほとんど増えません。2025年10月時点で、メガバンクの普通預金金利は年0.2%、定期預金でも年0.2~0.5%程度です。

仮に1000万円を普通預金に預けた場合、1年間で得られる利息は2万円程度にすぎません。さらに、この利息には20.315%の税金がかかるため、実際の手取りは15,937円となります。

  1. 一方、投資信託などで年率3%〜5%程度の運用ができれば、1000万円は10年後には1344万円〜1629万円に成長する可能性があります。

日本銀行の「資金循環統計」によると、日本の家計金融資産のうち現金・預金の割合は約54%と、欧米諸国と比較して極めて高い水準です。この傾向は、預金金利が低い環境下では資産形成の機会損失につながっています。

インフレで価値が目減りするから

インフレ(物価上昇)が進むと、同じ金額のお金で購入できるモノやサービスの量が減少します。つまり、お金の実質的な価値が目減りしてしまうのです。

総務省統計局の「消費者物価指数」によると、2022年以降、日本でも物価上昇が顕著になっています。仮に年率2%のインフレが続いた場合、1000万円の実質的な購買力は10年後には約820万円、20年後には約673万円まで低下する計算になります。

預金金利がほぼゼロの状況では、インフレ率がそのまま資産の実質的な目減り率となってしまいます。この問題を解決するには、インフレ率を上回るリターンが期待できる投資商品で運用する必要があります。

株式や投資信託などの金融商品は、企業の成長や経済発展とともに価値が上昇する傾向があり、長期的にはインフレ率を上回るリターンが期待できます。金融庁のデータによると、国内外の株式・債券に分散投資した場合、過去20年間の平均リターンは年率4%〜6%程度です。

資産の実質的な価値を守り、将来に向けて着実に増やしていくためには、適切なリスクを取りながら運用することが重要です。1000万円という金額は、分散投資によってリスクを抑えながら運用できる十分な規模といえます。

【リスク許容度別】1000万円の運用戦略

リスク許容度とは、投資による損失をどこまで受け入れられるかを示す指標です。年齢や収入の安定性、家族構成、性格などによって、一人ひとりのリスク許容度は異なります。

1000万円の運用では、自分のリスク許容度に合わせたポートフォリオ(資産配分)を組むことが重要です。

リスク許容度が低い人向けのポートフォリオ

リスク許容度が低い人は、元本割れの可能性を抑えることを優先します。退職が近い50代後半以降の方や、収入が不安定な方、投資経験がほとんどない方などが該当します。

推奨する資産配分は、現金・預金50%、債券30%、株式20%程度です。この配分であれば、株式市場が大きく下落した場合でも、ポートフォリオ全体への影響は限定的になります。

株式部分は、全世界株式インデックスファンドやバランス型ファンド(株式と債券が組み合わさった投資信託)を活用します。つみたてNISAの非課税枠を使って、毎月少額ずつ積立投資をすることで、時間分散によるリスク低減効果が期待できます。

  1. このポートフォリオの期待リターンは年率2%〜3%程度ですが、価格変動が小さく、安心して長期保有できる点がメリットです。インフレ率を上回るリターンを確保しつつ、元本の大幅な減少を避けたい方に適しています。

リスク許容度が中程度の人向けのポートフォリオ

リスク許容度が中程度の人は、一定のリスクを取りながらも、バランスの取れた運用を目指します。30代〜40代の働き盛りで収入が安定している方や、ある程度の投資経験がある方が該当します。

推奨する資産配分は、現金・預金30%、債券20%、株式50%程度です。株式の割合を高めることで、より高いリターンを狙いつつ、債券と現金で下落リスクに備える構成になっています。

株式部分は、国内株式と海外株式に分散投資します。具体的には、全世界株式インデックスファンド30%、先進国株式インデックスファンド10%、国内株式インデックスファンド10%といった配分が考えられます。

全世界株式に分散投資した場合、過去20年間の平均リターンは年率5%〜7%程度となっています。短期的には価格変動がありますが、長期保有することで安定したリターンが期待できます。

  1. このポートフォリオの期待リターンは年率4%〜5%程度で、10年後には1000万円が約1480万円〜1629万円に成長する可能性があります。リスクとリターンのバランスが取れた、多くの人に適した運用方法です。

リスク許容度が高い人向けのポートフォリオ

リスク許容度が高い人は、短期的な価格変動を気にせず、長期的な資産成長を最優先します。20代〜30代前半で運用期間が長く取れる方や、十分な収入があり投資経験も豊富な方が該当します。

推奨する資産配分は、現金・預金20%、株式80%程度です。債券を組み入れず、株式中心のポートフォリオとすることで、最大限のリターンを追求します。

株式部分は、全世界株式インデックスファンド50%、米国株式インデックスファンド20%、新興国株式インデックスファンド10%といった配分が考えられます。成長性の高い市場に積極的に投資することで、高いリターンが期待できます。

米国の代表的な株価指数であるS&P500は、過去30年間で年平均約10%のリターンを記録しています。短期的には30%以上下落する局面もありますが、長期保有することで高いリターンを実現できる可能性があります。

さらに、個別株投資やアクティブファンド(運用のプロが銘柄選択を行う投資信託)を一部組み入れることも検討できます。ただし、個別株は企業の倒産リスクがあるため、ポートフォリオ全体の10%〜20%程度にとどめることが重要です。

  1. このポートフォリオの期待リターンは年率6%〜8%程度で、10年後には1000万円が約1791万円〜2159万円に成長する可能性があります。ただし、リーマンショックのような金融危機時には一時的に40%〜50%下落するリスクもあるため、長期保有の覚悟が必要です。

なお、リスク許容度の決め方に関しては、こちらの記事で解説しています。

【年齢別】1000万円の運用戦略

年齢によって、運用できる期間や収入状況、ライフイベントの予定が大きく異なります。そのため、1000万円の運用戦略も年代ごとに最適化する必要があります。

一般的に、若い世代ほど運用期間が長く取れるため、積極的にリスクを取って高いリターンを狙えます。一方、退職が近づくにつれて、資産を守ることに重点を移していくべきです。

20代の運用戦略:株式を軸に積極運用する

20代は運用期間が30年〜40年以上と非常に長く取れるため、積極的な運用が可能な年代です。短期的な価格変動を気にせず、長期的な資産成長を最優先に考えられます。成長性の高い株式をポートフォリオの中心にすることで、複利効果を最大限に活用できます。

大雑把なイメージとしては、投資に回す資産のうち、株式の保有割合が75%以上でも問題ないでしょう。

  1. 具体的には、全世界株式インデックスファンドや米国株式インデックスファンドを中心に、新興国株式ファンドも組み入れます。新NISAのつみたて投資枠を活用し、毎月10万円ずつ積立投資を続ければ、年間120万円の非課税投資が可能です。

ただし、20代は結婚や住宅購入といったライフイベントが控えている時期でもあります。そのため、生活防衛資金として生活費の3カ月〜6カ月分は預金で確保しておくことが重要です。収入が不安定な場合は、6カ月〜1年分を目安にしましょう。

S&P500や全世界株式の特徴や違いについて知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

30代の運用戦略:ライフイベントを意識しつつ資産を増やす

30代は結婚や出産、住宅購入など、人生の大きなライフイベントが集中する時期です。そのため、運用と並行して、近い将来に必要となる資金の準備も計画的に進める必要があります。

20代と同様に運用期間が20年〜30年と長いため、株式中心のポートフォリオを維持します。

  1. 住宅購入を検討している場合は、頭金や諸費用として必要な金額を預金で確保しておきます。一般的に、住宅購入には物件価格の20%〜30%程度の頭金が必要とされています。3000万円の物件であれば、600万円〜900万円を別途用意しておく計算です。

子どもの教育資金も計画的に準備を始める時期です。文部科学省の「子供の学習費調査(令和5年度)」によると、幼稚園から高校卒業までにかかる教育費は、すべて公立でも約596万円、すべて私立では約1976万円に達します。

タイトル:公立・私立別の学習費総額(幼稚園~高校まで)

通学パターン幼稚園小学校中学校高校合計(15年間)
全て公立53.2万円201.7万円162.6万円178.7万円約596万円
幼稚園のみ私立103.8万円201.7万円162.6万円178.7万円約777万円
幼稚園・高校が私立103.8万円201.7万円162.6万円307.7万円約975万円
全て私立103.8万円1,097.4万円467.2万円307.7万円約1,976万円

大学の費用も含めると、子ども一人あたり1000万円〜2000万円以上の教育費が必要になります。教育資金は使う時期が明確なため、つみたてNISAで積立投資をしながら準備するのが効果的です。

教育費の目安に関しては、こちらの記事で解説しています。あわせて参考にしてみてください。

40代の運用戦略:収支状況を見ながら無理なく運用を継続する

40代は収入が安定し、キャリアのピークを迎える時期です。一方で、子どもの教育費負担が増加し、老後資金の準備も本格化させる必要があります。

40代後半になると、退職まで15年〜20年程度となります。この時期からは、資産を増やすことに加えて、守ることも意識する必要が出てきます。株式の割合をやや下げつつ、債券の割合を高めることで、ポートフォリオの安定性を高めることを検討しましょう。

教育費のピークは子どもが大学に進学する時期です。日本学生支援機構の調査によると、国立大学4年間の学費は約240万円、私立大学では約400万円〜500万円かかります。下宿の場合は生活費も必要となり、年間100万円〜150万円の仕送りが一般的です。

  1. 教育費の支払いが始まる前に、必要な金額を預金や債券などの安全資産に移しておくことが重要です。株式で運用していた部分が、支払い時期に大きく値下がりしているリスクを避けるためです。

50代の運用戦略:老後資金を作る最後のチャンス

50代は老後に向けた最後の資産形成期です。退職まで10年〜15年となり、運用期間が限られてくるため、リスクを徐々に抑えていく必要があります。

40代よりも株式の割合をさらに下げ、債券と預金の割合を高めることで、価格変動リスクを抑えます。あくまでも目安にはなりますが、50代前半は株式の保有割合を40%程度にして、後半になるにつれて株式の割合を30%、20%と段階的に減らしていくイメージです。

  1. 子どもが独立し、教育費の負担がなくなると、老後資金の準備に集中できるようになります。住宅ローンの返済も終わりに近づき、自由に使える資金が増える時期です。この期間を活用して、老後資金を一気に積み増しましょう。

老後資金を貯め始めるタイミングについては、こちらのQ&Aも参考にしてみてください。

60代以降の運用戦略:リスクを抑えながらインフレに負けない運用を意識する

60代以降は運用期間が限られるため、資産を守ることを最優先にします。ただし、平均寿命が延びている現代では、退職後も20年〜30年の生活が続くため、完全に運用をやめる必要はありません。

価格変動が小さい安全資産を中心としつつ、インフレ対策として10%〜20%程度の株式を保有し続けます。

退職金を受け取った直後は、まとまった資金があるため、一括投資の誘惑に駆られがちです。しかし、株式市場が高値圏にある場合、その後の下落で大きな損失を被るリスクがあります。退職金は一旦、預金や個人向け国債で保管し、時間をかけて少しずつ運用に回していくことが重要です。

  1. また、一般的に高齢になるほど医療費負担が増加します。医療費や介護費用など、予期せぬ出費に備えて、すぐに引き出せる預金を常に200万円〜300万円程度確保しておきましょう。

高額療養費制度により、自己負担額の上限を抑えられます。詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

1000万円を運用する前に必ずやるべき資金の分別

1000万円の資産があるからといって、全額を投資に回すのは危険です。投資を始める前に、保有している資金を「生活防衛資金」「近い将来に使途が決まっている資金」「余剰資金」の3つに分類する必要があります。

この分類を行わずに投資を始めると、急な出費が必要になったときに、株価が下落している局面で資産を売却せざるを得なくなります。

生活防衛資金:生活費の3カ月〜12カ月分

生活防衛資金とは、病気やケガ、失業などの緊急事態に備えて、すぐに使える状態で確保しておくお金のことです。この資金は預金で保有し、絶対に投資に回してはいけません。

必要な金額の目安は、生活費の3カ月〜6カ月分です。会社員や公務員など収入が安定している場合は3カ月分、自営業やフリーランスなど収入が不安定な場合は6カ月〜1年分を確保しましょう。

  1. 例えば、月の生活費が30万円の家庭であれば、90万円〜180万円を生活防衛資金として普通預金に置いておきます。この資金があることで、想定外の出費があっても、投資している資産を売却せずに対応できます。

生活防衛資金を確保する理由は、心理的な安心感を得るためでもあります。投資は価格変動があるため、含み損を抱える時期もあります。そのようなときでも、生活に必要な資金が別途確保されていれば、慌てて売却する必要がなく、長期保有を続けられます。

生活防衛資金に関しては、こちらの記事で詳しく解説しています。

近い将来に使途が決まっている資金

近い将来に使途が決まっている資金とは、3年〜5年以内に使う予定があるお金のことです。住宅購入の頭金、子どもの教育費、車の買い替え費用などが該当します。

この資金も基本的には投資に回さず、預金や個人向け国債など元本割れリスクがほとんどない方法で保管します。使う時期が近い資金を株式で運用していると、必要なタイミングで価格が大きく下落しているリスクがあるためです。

例えば、3年後に住宅購入を予定しており、頭金として500万円が必要な場合、この金額は預金で確保しておきます。仮に株式で運用していて、購入時期に市場が30%下落していれば、350万円まで減ってしまい、計画が大きく狂ってしまいます。

使う時期まで1年〜2年程度の余裕があれば、個人向け国債(変動10年)での運用も検討できます。最低金利保証(年率0.05%)があり、1年経過後はいつでも元本で換金できるため、預金よりもわずかに高いリターンが期待できます。

  1. 教育費については、子どもの年齢によって運用方法を変える必要があります。子どもが小学生以下であれば、大学入学まで10年以上あるため、株式中心の積立投資が可能です。一方、中学生以上であれば、使う時期が近いため、預金や債券での保管に切り替えていくべきです。

個人向け国債は、無リスク資産として人気です。詳しくは、こちらの記事を参考にしてみてください。

余剰資金:投資に回すお金

余剰資金とは、生活防衛資金と使途が決まっている資金を除いた、当面使う予定がないお金のことです。この資金こそが、投資に回すべきお金であり、長期的な資産形成の原資となります。

例えば、1000万円の貯金があり、生活防衛資金として150万円、3年後の住宅購入頭金として300万円を確保する場合、残りの550万円が余剰資金となります。この550万円を株式や投資信託で運用し、将来の資産を増やしていきます。

  1. 余剰資金の特徴は、10年以上使う予定がないため、短期的な価格変動を気にする必要がないことです。仮に投資直後に株価が30%下落しても、長期保有を続けることで回復を待てます。

余剰資金が多いほど、積極的な運用が可能になります。500万円以上の余剰資金があれば、株式の割合を高めたポートフォリオを組んでも、十分なリスク分散ができます。一方、余剰資金が100万円〜200万円程度の場合は、まずはつみたてNISAで少額から積立投資を始め、徐々に金額を増やしていくのが現実的です。

1000万円を運用したときのシミュレーション

1000万円を運用した場合、どれくらいの期間でどの程度まで資産が成長するのか、具体的なシミュレーションを見ていきましょう。運用成果は年利(リターン)によって大きく変わります。

タイトル:シミュレーション比較表

運用期間年利3%年利5%年利7%
10年後1,344万円1,629万円1,967万円
20年後1,806万円2,653万円3,870万円
30年後2,427万円4,322万円7,612万円

ここでは、年利3%、5%、7%の3つのケースについて、10年後、20年後、30年後の資産額を金融庁のシミュレーターを用いて計算します。

年利3%で運用した場合

年利3%は、比較的保守的な運用を想定した場合のリターンです。債券を多めに組み入れたバランス型ファンドや、株式の割合が30%〜40%程度のポートフォリオで、このようなリターンが期待できます。

10年後:1344万円

1000万円を年利3%で10年間運用すると、約1344万円に成長します。運用益は344万円となり、元本の約34%が増加した計算です。

この期間であれば、大きな金融危機が1回程度発生する可能性があります。しかし、債券を組み入れることで価格変動が抑えられるため、比較的安定した運用が期待できます。

20年後:1806万円

20年間運用を続けると、資産は約1806万円まで増加します。運用益は806万円となり、元本がほぼ倍増に近い状態です。

20年という長期間では、複利効果が顕著に現れ始めます。最初の10年で得られた344万円の運用益が、さらに運用されることで、後半10年の増加額は462万円(1806万円-1344万円)と、前半を上回ります。

30年後:2427万円

30年間の運用で、資産は約2427万円に達します。運用益は1427万円となり、元本の1.4倍以上の利益が生まれています。

30年という超長期の運用では、複利効果が最大限に発揮されます。20代から運用を始めた場合、50代で老後資金として十分な金額を確保できる可能性があります。

年利3%という控えめなリターンでも、長期間運用することで着実に資産を増やせることがわかります。リスクを抑えた運用を希望する方にとって、現実的な目標値といえるでしょう。

年利5%で運用した場合

年利5%は、株式の割合を50%〜60%程度に高めたバランス型ポートフォリオで期待できるリターンです。全世界株式インデックスファンドや、国内外の株式に分散投資した場合、長期的にこの程度のリターンが見込めます。

10年後:1629万円

年利5%で10年間運用すると、資産は約1629万円に成長します。運用益は629万円となり、年利3%のケースと比べて285万円も多くなります。

株式の割合が高いため、短期的には価格変動が大きくなりますが、10年という期間があれば、十分に回復が期待できます。金融危機時に一時的に30%程度下落しても、長期保有を続けることで、目標リターンの達成が可能です。

20年後:2653万円

20年間運用を続けると、資産は約2653万円まで増加します。運用益は1653万円となり、元本の1.6倍以上に成長しています。

年利3%のケースと比べると、847万円も多い金額です。この差は、リスクを取ることで得られる追加リターンであり、長期投資のメリットを示しています。

30年後:4322万円

30年間の運用で、資産は約4322万円に達します。運用益は3322万円となり、元本の3倍以上の利益が生まれています。

この金額があれば、老後の生活資金として十分な余裕が生まれます。公的年金と合わせることで、ゆとりある老後生活を送れる可能性が高まります。

年利5%は、リスクとリターンのバランスが取れた現実的な目標です。30代〜40代の方が老後資金を準備する場合、このシミュレーションを参考にするとよいでしょう。

年利7%で運用した場合

年利7%は、株式の割合を80%以上に高めた積極的なポートフォリオで期待できるリターンです。米国株式や全世界株式に集中投資した場合、長期的にこの程度のリターンが見込めます。

10年後:1967万円

年利7%で10年間運用すると、資産は約1967万円に成長します。運用益は967万円となり、年利5%のケースと比べて338万円多くなります。

ただし、株式中心のポートフォリオは価格変動が大きく、短期的には40%〜50%下落する可能性もあります。10年という期間では完全に回復しきれないリスクもあるため、リスク許容度が高い人向けの運用方法です。

20年後:3870万円

20年間運用を続けると、資産は約3870万円まで増加します。運用益は2870万円となり、元本の約3倍に成長しています。

年利5%のケースと比べると、1217万円も多い金額です。20年という長期間では、株式投資のリターンが顕著に現れ、大きな資産形成が期待できます。

米国の代表的な株価指数S&P500は、過去30年間で年平均約10%のリターンを記録しています。配当を含めた総合リターンでは、年率7%〜8%程度が現実的な目標となります。

30年後:7612万円

30年間の運用で、資産は約7612万円に達します。運用益は6612万円となり、元本の6倍以上の利益が生まれています。

この金額があれば、老後資金として十分すぎるほどの余裕が生まれます。子どもへの資産承継や、趣味・旅行などに自由に使える資金を確保できます。

ただし、年利7%を30年間継続するには、株式市場が大きく下落した局面でも売却せず、長期保有を続ける強い意志が必要です。リーマンショックのような金融危機時には、一時的に50%以上下落する可能性もあります。

年利7%は、若い世代が長期的な資産形成を目指す場合に適した目標です。ただし、短期的な価格変動に耐えられるリスク許容度が必要となります。

どの金融商品で運用するのかによって、期待リターンは異なります。投資の種類の関しては、こちらの記事で網羅的に解説しています。

投資初心者が意識すべきポイント

投資を始める際、初心者が押さえておくべき基本原則があります。これらの原則を理解せずに投資を始めると、不必要なリスクを取ったり、高い手数料を支払ったりして、本来得られるはずのリターンを逃してしまう可能性があります。

投資初心者が意識すべきポイント

  1. 分散投資
  2. 長期投資
  3. 積立投資
  4. 手数料の安さ
  5. リスク許容度の理解

初心者の方は、まずこれらのポイントをしっかり理解してから投資を始めましょう。

分散投資(資産・地域・時間)

分散投資とは、複数の資産や地域、時間に投資を分けることで、リスクを抑える投資方法です。「卵を一つのカゴに盛るな」という投資の格言が示すように、一つの投資先に集中すると、その投資先が失敗したときに大きな損失を被ります。

資産の分散では、株式だけでなく債券も組み入れることで、価格変動を抑えられます。株式市場が下落する局面では、債券が安定的に推移することが多く、ポートフォリオ全体の損失を抑える効果があります。

地域の分散も重要です。日本株だけに投資していると、日本経済が低迷したときに資産全体が減少してしまいます。一方、全世界株式インデックスファンドを選べば、米国、欧州、新興国など約50カ国の株式に自動的に分散投資できます。

時間の分散は「ドルコスト平均法」とも呼ばれます。毎月一定額ずつ投資することで、価格が高いときは少なく、安いときは多く買うことができ、平均購入単価を抑えられます。一括投資と比べて、高値づかみのリスクを減らせる点がメリットです。

長期投資(10年以上の期間を想定する)

長期投資とは、短期的な価格変動に左右されず、10年以上の期間で資産を保有し続ける投資方法です。株式市場は短期的には大きく変動しますが、長期的には右肩上がりで成長する傾向があります。

  1. 過去のデータを見ると、世界株式市場は100年以上にわたって成長を続けています。リーマンショックやコロナショックなど、一時的に大きく下落する局面はありますが、数年で回復し、さらに高値を更新してきました。

長期投資のもう一つのメリットは、複利効果を最大限に活用できることです。運用で得られた利益を再投資することで、利益が利益を生み、雪だるま式に資産が増えていきます。この効果は運用期間が長いほど大きくなります。

短期売買を繰り返すと、手数料や税金の負担が増え、実際のリターンが低下します。また、売買のタイミングを見極めるのは専門家でも難しく、多くの個人投資家が失敗しています。長期保有を前提に投資することで、これらのリスクを避けられます。

積立投資(相場の動きに左右されず淡々と継続する)

積立投資とは、毎月一定額を定期的に投資し続ける方法です。一度に大きな金額を投資するのではなく、少額から始められるため、投資初心者にとって心理的なハードルが低い点が特徴です。

  1. 新NISAのつみたて投資枠を活用すれば、月100円から積立投資を始められます。まずは無理のない金額から始め、慣れてきたら徐々に積立額を増やしていく方法が現実的です。

積立投資のメリットは、投資のタイミングを考える必要がないことです。「今は株価が高いから買うのを待とう」といった判断をする必要がなく、機械的に積立を続けることで、平均的なリターンを得られます。

また、積立投資は給与天引きや銀行口座からの自動引き落としに設定できるため、貯蓄が苦手な人でも自然と資産形成ができます。「先取り貯蓄」の仕組みを投資にも応用することで、確実に資産を増やせます。

手数料の安さ(コストを抑えるのが合理的)

投資信託を選ぶ際、手数料の安さは重要なポイントです。手数料が高いと、運用成果が同じでも、実際に受け取れる金額が大きく減ってしまいます。

投資信託の手数料には、購入時手数料、信託報酬(運用管理費用)、信託財産留保額の3種類があります。このうち、最も重要なのが信託報酬で、保有している間ずっとかかり続ける費用です。

  1. 例えば、信託報酬が年0.1%のファンドと年1.0%のファンドでは、30年間で大きな差が生まれます。1000万円を年率5%で運用した場合、信託報酬0.1%なら約4123万円になりますが、信託報酬1.0%では約3243万円となり、約880万円もの差が生じます。

インデックスファンドは、市場全体の動きに連動することを目指す投資信託で、運用の手間が少ないため信託報酬が低く設定されています。一方、アクティブファンドは運用のプロが銘柄を選ぶため、信託報酬が高くなりがちです。

初心者の方は、購入時手数料がかからない「ノーロード」のインデックスファンドを選びましょう。信託報酬は年0.1%〜0.2%程度のものが理想的です。

リスク許容度の理解(無理はしない)

リスク許容度とは、投資による損失をどこまで受け入れられるかを示す指標です。自分のリスク許容度を正しく理解せずに投資を始めると、株価が下落したときに慌てて売却してしまい、損失を確定させてしまうリスクがあります。

リスク許容度は、年齢、収入の安定性、保有資産、家族構成、性格などによって決まります。若くて収入が安定している人はリスク許容度が高く、退職が近く収入が少ない人はリスク許容度が低くなります。

  1. リスク許容度に合わないポートフォリオを組むと、精神的なストレスが大きくなります。株価が下落するたびに不安になり、結局、底値で売却してしまうケースが多く見られます。これでは、長期投資の効果を得られません。

一般社団法人全国銀行協会では、投資家向けに「リスク許容度チェックシート」を提供しています。いくつかの質問に答えることで、自分のリスク許容度を客観的に把握できます。投資を始める前に、一度チェックしてみることをおすすめします。

リスク許容度は、ライフステージの変化に応じて変わります。結婚や出産、住宅購入などのライフイベントがあると、リスク許容度は低下します。定期的に自分の状況を見直し、ポートフォリオを調整することが重要です。

新NISA・iDeCoで税制優遇を受ければ運用効率が高まる

新NISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)といった税制優遇制度を活用すれば、運用益を非課税にできます。長期投資では複利効果と税制優遇が組み合わさることで、運用効率が飛躍的に高まります。

1000万円の運用を始める際は、まず新NISAとiDeCoの活用を最優先に検討しましょう。ここでは、それぞれの制度の特徴と効果的な使い方を解説します。

つみたて投資枠の使い方

新NISAのつみたて投資枠は、年間120万円まで非課税で投資できる制度です。月10万円までの積立投資が可能で、金融庁が定めた基準を満たす投資信託のみが対象となっています。

つみたて投資枠の最大のメリットは、いつでも売却して現金化できる流動性の高さです。iDeCoのように60歳まで引き出せない制約がないため、万が一のときでも資産を活用できます。生活防衛資金を確保したうえで、余剰資金を積極的に投資できる点が特徴です。

対象商品は、販売手数料がゼロ(ノーロード)で、信託報酬が一定水準以下の投資信託に限定されています。金融庁が長期・積立・分散投資に適していると判断した商品のみが選ばれているため、初心者でも安心して選べます。

成長投資枠の使い方

新NISAの成長投資枠は、年間240万円まで非課税で投資できる制度です。つみたて投資枠と異なり、個別株やETF、REITなども投資対象となっており、より幅広い商品に投資できます。

成長投資枠の活用方法は、一括投資と積立投資の2つがあります。1000万円の余剰資金がある場合、生活防衛資金や近い将来の使途が決まっている資金を除いた金額を、計画的に投資していけます。

例えば、600万円を成長投資枠で運用する場合、初年度に240万円、2年目に240万円、3年目に120万円と分けて投資します。一度に全額を投資するよりも、時間分散によってリスクを抑えられます。

  1. 成長投資枠では、投資信託だけでなく個別株にも投資できます。ただし、初心者の方は個別株のリスクが高いため、まずは投資信託やETFから始めることをおすすめします。慣れてきたら、ポートフォリオの一部に個別株を組み入れる方法が現実的です。

NISAに関しては、こちらの記事でも解説しています。あわせて参考にしてみてください。

iDeCoで節税しながら運用

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、老後資金の準備に特化した制度で、掛金が全額所得控除の対象となる点が最大のメリットです。新NISAとは異なる税制優遇があり、併用することでさらに効率的な資産形成が可能になります。

iDeCoの掛金は、年末調整や確定申告で所得から控除されるため、所得税と住民税が軽減されます。年収500万円の会社員が月2万3000円(年間27万6000円)を拠出した場合、所得税率10%、住民税率10%として、年間約5万5000円の税金が軽減される計算です。

  1. 30年間で累計165万円の節税効果が得られるため、運用益とは別に確実なリターンを得られます。この節税効果は、元本保証型の商品を選んでも受けられるため、リスクを取りたくない人でも活用する価値があります。

iDeCoのもう一つのメリットは、運用益が非課税になることです。通常の課税口座では利益に20.315%の税金がかかりますが、iDeCoでは非課税で再投資されるため、複利効果が最大限に発揮されます。

さらに、受取時にも税制優遇があります。一時金で受け取る場合は退職所得控除、年金形式で受け取る場合は公的年金等控除が適用され、一定額まで非課税または低い税率で受け取れます。

iDeCoに関しては詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

1000万円を運用するときに避けるべき失敗パターン

1000万円という大きな金額を運用する際、初心者が陥りやすい失敗パターンがあります。これらの失敗を避けることで、不必要な損失を防ぎ、長期的な資産形成を成功させる確率が高まります。

失敗①全額を一括投資する

1000万円を一度に全額投資してしまうのは、危険な失敗パターンの一つです。投資直後に市場が大きく下落すると、含み損を抱えたまま長期間待つことになり、精神的な負担が大きくなります。長期保有すれば回復する可能性はありますが、この間の精神的ストレスは計り知れません。

時間分散による投資、いわゆる「ドルコスト平均法」を活用すれば、このリスクを抑えられます。1000万円を10カ月〜12カ月かけて、毎月80万円〜100万円ずつ投資していけば、高値づかみのリスクが分散されます。

ただし、過去のデータを見ると、長期的には一括投資のほうが積立投資よりも高いリターンを得られる傾向があります。市場は長期的に右肩上がりで成長するため、早く投資するほど複利効果を得られるからです。

とはいえ、初心者にとって精神的な負担は無視できません。投資経験が少ない場合は、時間をかけて分散投資し、市場の値動きに慣れることを優先すべきです。経験を積んでリスク許容度が高まってから、一括投資を検討しても遅くありません。

ドルコスト平均法の仕組みやメリットは、こちらの記事で詳しく解説しています。

失敗②短期売買を繰り返す

株価が上がったらすぐに売却し、下がったら買い直すという短期売買を繰り返すのも、初心者が陥りやすい失敗です。一見、利益を確定しているように見えますが、実際には手数料と税金で利益が目減りし、長期保有よりも成果が劣ることがほとんどです。

短期売買では、売買のたびに手数料がかかります。近年は手数料が安くなっていますが、頻繁に取引すれば積み重なって大きな金額になります。また、NISA口座以外で売却した場合、利益に対して20.315%の税金がかかります。

  1. さらに深刻な問題は、売買のタイミングを見極めるのが極めて難しいことです。プロの投資家でさえ、市場の短期的な動きを予測することはできません。個人投資家が短期売買で継続的に利益を上げるのは、ほぼ不可能といえます。

長期投資の基本は「バイ・アンド・ホールド」、つまり買ったら保有し続けることです。短期的な値動きに一喜一憂せず、10年〜20年先を見据えて投資を続けることが重要です。

失敗③過度な集中投資をする

特定の銘柄や業種に資金を集中させる投資も、大きなリスクを伴います。その企業が業績不振に陥ったり、業界全体が衰退したりすると、資産全体が大きく減少してしまいます。

個別株への投資は、企業分析の知識と経験が必要です。初心者が数銘柄に集中投資するのは、ギャンブルに近い行為といえます。一方、投資信託を活用すれば、数百〜数千の銘柄に自動的に分散投資でき、リスクを大幅に抑えられます。

地域の集中も避けるべきです。日本株だけに投資していると、日本経済が低迷したときに資産全体が減少します。全世界株式インデックスファンドを選べば、米国、欧州、新興国など約50カ国に分散投資できるため、一国のリスクを分散できます。

資産クラスの分散も重要です。株式だけでなく、債券や不動産(REIT)を組み入れることで、価格変動を抑えられます。株式市場が下落する局面では、債券が安定的に推移することが多く、ポートフォリオ全体の損失を抑える効果があります。

失敗④生活防衛資金まで投資に回す

保有資金のすべてを投資に回してしまうのも、危険な失敗パターンです。急な病気やケガ、失業などで現金が必要になったとき、投資資産を売却せざるを得なくなります。

特に問題なのは、売却のタイミングを選べないことです。株価が大きく下落している局面で現金が必要になれば、損失を確定させて売却することになります。本来であれば回復を待てたはずなのに、生活防衛資金がないために強制的に売却せざるを得ない状況は避けなければなりません。

生活費の3カ月〜6カ月分は、必ず普通預金で確保しておきましょう。会社員であれば3カ月分、自営業やフリーランスであれば6カ月〜1年分が目安です。月30万円の生活費であれば、90万円〜180万円を預金で保有します。

また、近い将来に使う予定がある資金も、投資に回してはいけません。3年後の住宅購入資金、子どもの大学入学資金など、使う時期が明確な資金は預金や個人向け国債で確保します。投資は「余剰資金」で行うという原則を守ることが重要です。

失敗⑤感情に流される

投資において、感情的な判断は最大の敵です。株価が上がると「もっと買いたい」と欲が出て、株価が下がると「早く売りたい」と恐怖に駆られます。この感情に従って行動すると、高値で買って安値で売るという最悪のパターンに陥ります。

たとえば、2020年3月のコロナショックでは、多くの投資家が恐怖に駆られて株式を売却しました。しかし、その後わずか半年で株価は回復し、さらに高値を更新しました。恐怖に負けて売却した人は、その後の上昇を逃してしまったのです。

SNSやメディアの情報に振り回されることも避けるべきです。「この銘柄が急騰する」「今すぐ売却すべき」といった情報は、多くの場合、根拠が不十分か、発信者の利益のために誇張されています。他人の意見に流されず、自分の投資方針を貫くことが大切です。

  1. 投資で成功するには、冷静さと忍耐力が必要です。短期的な値動きに一喜一憂せず、長期的な視点で淡々と投資を続けることが、最終的には最も高いリターンにつながります。

この記事のまとめ

貯金が1000万円を超えたタイミングは、本格的な資産運用を始める絶好の機会です。現在の低金利環境では、預金だけで資産を保有していても増えることはなく、インフレによって実質的な価値が目減りするリスクがあります。

1000万円という資産は、適切に運用することで、老後の安心や人生の選択肢を広げる大きな力となります。今日から一歩を踏み出し、長期的な資産形成を始めましょう。

不安がある場合は、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談することも有効です。自分の状況に合わせた具体的なアドバイスを受けることで、より確実な資産形成を進められます。

コンシェルジュ編集部に相談CTA
mitsuki-shibata
柴田充輝

金融系ライター

厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。

厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。

関連記事

高額療養費制度とは?仕組みや年齢・所得別の上限額から申請方法・保険見直しの考え方までわかりやすく解説

高額療養費制度とは?仕組みや年齢・所得別の上限額から申請方法・保険見直しの考え方までわかりやすく解説

2025.11.18

難易度:

相談

関連する専門用語

アクティブファンド

アクティブファンドとは、運用のプロであるファンドマネージャーが、市場の平均を上回るリターンを目指して積極的に銘柄を選んで運用するタイプの投資信託のことです。 具体的には、独自の分析や調査にもとづいて、将来性があると見込まれる企業や、割安と判断される株式などに投資を行います。こうした運用には高度な専門知識と時間が必要となるため、同じ投資信託でも市場平均への連動を目指す「パッシブファンド」より運用コスト(信託報酬など)が高めになる傾向があります。しかし、その分大きなリターンを狙える可能性もある点が魅力です。 ただし、アクティブファンドだからといって必ずしも市場平均を上回るとは限らないことに注意が必要です。投資判断がうまくいかなかった場合は、損失が出たり、パッシブファンドに劣る成績となったりすることもあります。 投資初心者の方は、ファンドマネージャーの運用実績やファンドの方針、運用コストなどをよく調べたうえで、自分の投資目的やリスク許容度に合った商品を選ぶことが大切です。購入前に「過去の運用成績」や「運用レポート」を確認し、アクティブファンドの特徴を理解してから投資を始めましょう。

インデックスファンド

インデックスファンドとは、特定の株価指数(インデックス)と同じ動きを目指して運用される投資信託のことです。たとえば「日経平均株価」や「TOPIX(東証株価指数)」などの市場全体の動きを示す指数に連動するように設計されています。この仕組みにより、個別の銘柄を選ぶ手間がなく、市場全体に分散投資ができるのが特徴です。また、運用の手間が少ないため、手数料が比較的安いことも魅力の一つです。投資初心者にとっては、安定した長期運用の第一歩として選びやすいファンドの一つです。

バランス型投資信託

バランス型投資信託とは、株式や債券、不動産投資信託(REIT)など、複数の資産に分散して投資を行うタイプの投資信託のことです。1本の商品で複数の資産に自動的に投資できるため、投資初心者でも分散投資の効果を手軽に得ることができる点が特徴です。国内外の資産を組み合わせて運用されるものも多く、経済状況に応じて資産配分を自動で調整する「バランス調整型」と、一定の配分比率を維持する「固定型」に大きく分けられます。リスクを抑えながら安定したリターンを目指す運用スタイルとして、長期的な資産形成に向いており、老後資金や教育資金など幅広い目的で利用されています。

分散投資

分散投資とは、資産を安全に増やすための代表的な方法で、株式や債券、不動産、コモディティ(原油や金など)、さらには地域や業種など、複数の異なる投資先に資金を分けて投資する戦略です。 例えば、特定の国の株式市場が大きく下落した場合でも、債券や他の地域の資産が値上がりする可能性があれば、全体としての損失を軽減できます。このように、資金を一カ所に集中させるよりも値動きの影響が分散されるため、長期的にはより安定したリターンが期待できます。 ただし、あらゆるリスクが消えるわけではなく、世界全体の経済状況が悪化すれば同時に下落するケースもあるため、投資を行う際は目標や投資期間、リスク許容度を考慮したうえで、計画的に実行することが大切です。

つみたて投資枠

つみたて投資枠とは、2024年から始まった新しいNISA制度の中で、少額から長期的に資産形成を行うことを目的として設けられた非課税投資の枠組みです。 この枠では、一定の条件を満たした投資信託などの商品に対して、年間最大120万円までの投資額が非課税の対象となります。毎月コツコツと積み立てるスタイルの投資に向いており、長期的な資産形成を支援することが狙いです。つみたて投資枠を活用することで、運用益や分配金にかかる税金がかからず、複利の効果を最大限に活かしながら資産を増やしていくことができます。特に投資初心者にとっては、少額から手軽に始められ、長く続けることで将来の資金づくりに役立つ有効な制度です。

成長投資枠

新NISAにおける成長投資枠とは、個別株や投資信託などの成長性の高い投資商品を購入できる非課税枠のことです。2024年に始まった新NISA制度では、年間最大240万円、累計1,200万円まで投資が可能で、売却しても枠が復活しない「一生涯の上限額」が設定されています。 成長投資枠では、主に上場株式やETF、アクティブ型の投資信託などが対象となり、比較的リスクを取りながら資産を増やしたい投資家向けの仕組みになっています。一方で、レバレッジ型や一部の毎月分配型投資信託など、一部のリスクが高い商品は対象外となるため注意が必要です。 つみたて投資枠と併用でき、両方を活用すれば年間最大360万円の投資が可能です。成長投資枠を活用することで、中長期的な資産形成を非課税で行うことができ、売却益や配当金に税金がかからないため、資産を効率的に増やす手段となります。

ドルコスト平均法

ドルコスト平均法とは、一定の金額を定期的に投資する方法です。価格が高いときは少なく、価格が低いときは多く買えるため、購入価格が平均化され、リスクを分散できます。市場のタイミングを読む必要がないため、初心者に最適な方法とされています。長期投資で効果を発揮し、特に投資信託やETFで利用されることが多い手法です。

新NISA

新NISAとは、2024年からスタートした日本の新しい少額投資非課税制度のことで、従来のNISA制度を見直して、より長期的で柔軟な資産形成を支援する目的で導入されました。この制度では、投資で得られた利益(配当や売却益)が一定の条件のもとで非課税になるため、税負担を気にせずに投資ができます。新NISAでは「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの枠が用意されており、年間の投資可能額や総額の上限も大幅に引き上げられました。 また、非課税期間が無期限となったことで、より長期的な運用が可能となっています。投資初心者にも利用しやすい仕組みとなっており、老後資金や将来の資産形成の手段として注目されています。

iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)

iDeCo(イデコ)とは、個人型確定拠出年金の愛称で、老後の資金を作るための私的年金制度です。20歳以上65歳未満の人が加入でき、掛け金は65歳まで拠出可能。60歳まで原則引き出せません。 加入者は毎月の掛け金を決めて積み立て、選んだ金融商品で長期運用し、60歳以降に年金または一時金として受け取ります。加入には金融機関選択、口座開設、申込書類提出などの手続きが必要です。 投資信託や定期預金、生命保険などの金融商品で運用し、税制優遇を受けられます。積立時は掛金が全額所得控除の対象となり、運用時は運用益が非課税、受取時も一定額が非課税になるなどのメリットがあります。 一方で、証券口座と異なり各種手数料がかかること、途中引き出しが原則できない、というデメリットもあります。

複利効果

複利効果とは、投資で得られた利益を元本に組み入れて再び運用することにより、利益が利益を生むという仕組みのことを指します。たとえば、最初に100万円を年利5%で運用した場合、1年後には105万円になりますが、その翌年は105万円に対して5%の利息がつくため、さらに増えた金額に利息が上乗せされていきます。このように、運用期間が長くなるほど利益が加速度的に増えていくのが複利効果の特徴です。特に配当再投資や自動積立投資との組み合わせによって、この効果はより強く現れます。短期間では実感しにくいかもしれませんが、10年、20年といった長期で見ると、元本だけで運用する単利に比べて、はるかに大きな資産形成が可能になります。複利効果は「時間を味方につける」資産運用の基本的な考え方として、投資初心者にとっても非常に重要です。

ポートフォリオ

ポートフォリオとは、資産運用における投資対象の組み合わせを指します。分散投資を目的として、株式、債券、不動産、オルタナティブ資産などの異なる資産クラスを適切な比率で構成します。投資家のリスク許容度や目標に応じてポートフォリオを設計し、リスクとリターンのバランスを最適化します。また、運用期間中に市場状況が変化した場合には、リバランスを通じて当初の配分比率を維持します。ポートフォリオ管理は、リスク管理の重要な手法です。

デフレ(デフレーション)

デフレとは、物価が継続的に下落する現象を指します。 一見すると「モノやサービスが安く買える」という点で消費者にとっては好ましく思えますが、デフレが長く続くと経済全体に深刻な悪影響を及ぼします。 物価が下がると、企業の売上や利益が減少し、人件費の削減や設備投資の抑制が起こります。その結果、賃金の引き下げや雇用の悪化につながり、消費者の購買意欲も低下します。このように、デフレは経済活動を縮小させる「負の連鎖」を引き起こすリスクがあります。 デフレはまた、金融市場や資産運用にも影響を与えます。将来の物価が下がると予想される中では、お金の価値が相対的に高まるため、人々が現金を使わずに貯め込む傾向が強まります。これは投資意欲の減退にもつながり、株式市場や不動産市場の低迷を招くことがあります。 そのため、中央銀行はデフレを回避するために、利下げや量的緩和などの金融緩和政策を通じて物価を引き上げ、経済の活性化を図ろうとします。特に日本では、1990年代以降、長期的なデフレとその克服が大きな課題となってきました。

リスク許容度

リスク許容度とは、自分の資産運用において、どれくらいの損失までなら精神的にも経済的にも受け入れられるかという度合いを表す考え方です。 投資には必ずリスクが伴い、時には資産が目減りすることもあります。そのときに、どのくらいの下落まで冷静に対応できるか、また生活に支障が出ないかという観点で、自分のリスク許容度を見極めることが大切です。 年齢、収入、資産の状況、投資経験、投資の目的などによって人それぞれ異なり、リスク許容度が高い人は価格変動の大きい商品にも挑戦できますが、低い人は安定性の高い商品を選ぶほうが安心です。自分のリスク許容度を正しく理解することで、無理のない投資計画を立てることができます。

アセットアロケーション(資産配分)

アセットアロケーション(Asset allocation)とは、資産配分という意味で、資金を複数のアセットクラス(資産グループ)に投資することで、投資リスクを分散しながらリターンを獲得するための資産運用方法。アセットアロケーションは戦略的アセットアロケーションと戦術的アセットアロケーションの2つを組み合わせることで行われ、前者は中長期的に投資目的・リスク許容度・投資機関に基づいて資産配分を決定し、後者は短期的に投資対象の資産特性に基づいて資産配分を決定する。

ETF(上場投資信託)

ETF(上場投資信託)とは、証券取引所で株式のように売買できる投資信託のことです。日経平均やS&P500といった株価指数、コモディティ(原油や金など)に連動するものが多く、1つのETFを買うだけで幅広い銘柄に分散投資できるのが特徴です。通常の投資信託に比べて手数料が低く、価格がリアルタイムで変動するため、売買のタイミングを柔軟に選べます。コストを抑えながら分散投資をしたい人や、長期運用を考えている投資家にとって便利な選択肢です。

全世界株式ファンド

全世界株式ファンドとは、世界中の株式市場に分散して投資を行う投資信託のことです。日本や米国といった先進国だけでなく、新興国も含めた幅広い国や地域の企業の株式に投資することで、一つの国や地域の経済状況に左右されにくくなります。個別の株を選ぶ必要がなく、一つのファンドで世界経済全体の成長を取り込めるため、長期的な資産形成を目指す方に向いています。また、為替や国ごとの景気動向によるリスクを分散できる点も特徴です。

信託報酬

信託報酬とは、投資信託やETFの運用・管理にかかる費用として投資家が間接的に負担する手数料であり、運用会社・販売会社・受託銀行の三者に配分されます。 通常は年率〇%と表示され、その割合を基準価額にあたるNAV(Net Asset Value)に日割りで乗じる形で毎日控除されるため、投資家が口座から現金で支払う場面はありません。 したがって運用成績がマイナスでも信託報酬は必ず差し引かれ、長期にわたる複利効果を目減りさせる“見えないコスト”として意識されます。 販売時に一度だけ負担する販売手数料や、法定監査報酬などと異なり、信託報酬は保有期間中ずっと発生するランニングコストです。 実際には運用会社が3〜6割、販売会社が3〜5割、受託銀行が1〜2割前後を受け取る設計が一般的で、アクティブ型ファンドでは1%超、インデックス型では0.1%台まで低下するケースもあります。 同じファンドタイプなら総経費率 TER(Total Expense Ratio)や実質コストを比較し、長期保有ほど差が拡大する点に留意して商品選択を行うことが重要です。

購入時手数料

購入時手数料とは、投資信託などの金融商品を買うときにかかる費用のことです。この手数料は、商品を販売する証券会社や銀行に支払うもので、通常は購入金額の一定割合として設定されています。たとえば、購入時手数料が3%であれば、100万円分の投資信託を購入するときに3万円の手数料がかかり、実際の投資額は97万円になります。最近では、手数料を無料にする「ノーロード」と呼ばれる商品も増えており、手数料の有無は投資効率に大きく関わるポイントです。

信託財産留保額

信託財産留保額とは、投資信託を解約(売却)する際に、投資家が支払うことになる費用の一つで、解約代金から差し引かれてファンド内に留め置かれるお金のことです。 このお金は、運用している信託財産の中に残され、他の投資家に不利益が出ないようにするための調整の役割を持ちます。たとえば、大量の解約が発生すると、ファンドは保有資産を売却して現金化しなければならず、その際に売却コストが発生します。このコストをすべての投資家に負担させると不公平になるため、解約者に信託財産留保額という形で部分的に負担してもらうのです。つまり、長くファンドを保有する投資家の利益を守る仕組みとして設定されています。

生活防衛資金

生活防衛資金とは、万が一の病気や失業、災害などで収入が途絶えた場合でも、一定期間は生活を維持できるように、あらかじめ確保しておく現金のことです。投資を始める前にまず準備しておくべきお金で、一般的には生活費の3か月から6か月分を目安にするとされています。 この資金は、株や投資信託のように価格が変動する商品ではなく、すぐに引き出せる預金などで保管するのが望ましいとされています。生活防衛資金がしっかりと確保されていれば、投資のリスクを過度に恐れずに冷静な判断がしやすくなり、精神的な安心感にもつながります。

老後資金

老後資金とは、定年退職後の生活を支えるために準備しておくお金のことを指します。収入が減少する老後においても、生活費や医療費、介護費、趣味や旅行などの費用をまかなうための資金です。多くの人にとって、公的年金だけでは十分な生活水準を維持できないことが多いため、自助努力による資産形成が重要になります。老後資金の準備には、確定拠出年金(iDeCo)やつみたてNISAなどの税制優遇制度を活用する方法や、長期の投資信託を用いた積立投資が効果的です。また、退職後の支出計画やライフスタイルの見直しも含めて、早い段階から具体的な目標額を設定し、計画的に貯蓄や投資を進めることが大切です。

元本割れ

元本割れとは、投資で使ったお金、つまり元本(がんぽん)よりも、最終的に戻ってきた金額が少なくなることをいいます。たとえば、100万円で投資信託を購入したのに、解約時に戻ってきたのが90万円だった場合、この差額10万円が損失であり、「元本割れした」という状態です。 特に、価格が変動する商品、たとえば株式や投資信託、債券などでは、将来の価格や分配金が保証されているわけではないため、元本割れのリスクがあります。「絶対に損をしたくない」と考える方にとっては、このリスクを正しく理解することがとても重要です。金融商品を選ぶときには、利回りだけでなく元本割れの可能性も十分に考慮しましょう。

非課税制度

非課税制度とは、本来であれば税金がかかる利益や所得などに対して、一定の条件を満たすことで課税が免除される仕組みのことです。 資産運用の分野では、投資によって得られる利益、たとえば配当金や売却益などに対して、本来なら約20%の税金がかかりますが、特定の制度を利用することでその税金がかからなくなることがあります。 代表的な非課税制度には、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)などがあり、これらは国が個人の資産形成や老後資金の準備を支援するために設けた制度です。非課税制度をうまく活用することで、長期的に見て資産形成の効率が高まり、手取り利益を増やすことが可能になります。そのため、初心者にとっても、まず最初に理解し活用すべき仕組みのひとつといえます。

退職所得控除

退職所得控除とは、退職金を受け取る際に税金を軽くしてくれる制度です。長く働いた人ほど、退職金のうち税金がかからない金額が大きくなり、結果として納める税金が少なくなります。この制度は、長年の勤続に対する国からの優遇措置として設けられています。 控除額は勤続年数によって決まり、たとえば勤続年数が20年以下の場合は1年あたり40万円、20年を超える部分については1年あたり70万円が控除されます。最低でも80万円は控除される仕組みです。たとえば、30年間勤めた場合、最初の20年で800万円(20年×40万円)、残りの10年で700万円(10年×70万円)、合計で1,500万円が控除されます。この金額以下の退職金であれば、原則として税金がかかりません。 さらに、退職所得控除を差し引いた後の金額についても、全額が課税対象になるわけではありません。実際には、その半分の金額が所得とみなされて、そこに所得税や住民税がかかるため、税負担がさらに抑えられる仕組みになっています。 ただし、この退職所得控除の制度は、将来的に変更される可能性もあります。税制は社会情勢や政策の方向性に応じて見直されることがあるため、現在の内容が今後も続くとは限りません。退職金の受け取り方や老後の資産設計を考える際には、最新の制度を確認することが大切です。

公的年金等控除

公的年金等控除とは、年金を受け取っている人の所得税や住民税を計算する際に、年金収入から一定額を差し引ける控除制度です。これにより課税対象となる金額が減り、税負担を軽減できます。 対象となるのは、国民年金・厚生年金・共済年金などの「公的年金」に限られます。これらは所得税法上の「公的年金等」に分類され、控除の対象となります。 一方で、iDeCo(個人型確定拠出年金)や企業型DC、個人年金保険などは、たとえ年金形式で受け取ったとしても税法上は「公的年金等」に該当せず、公的年金等控除の対象外です。これらは「雑所得(その他)」として課税されます。 控除額は受給者の年齢と年金収入の額に応じて異なり、特に65歳以上の高齢者には手厚い控除が設けられています。 | 年齢 | 公的年金等の収入額 | 控除額 | | --- | --- | --- | | 65歳未満 | 130万円以下 | 60万円 | | | 130万円超〜410万円以下 | 収入額 × 25% + 37.5万円 | | | 410万円超〜770万円以下 | 収入額 × 15% + 78.5万円 | | | 770万円超 | 一律195.5万円 | | 65歳以上 | 330万円以下 | 110万円 | | | 330万円超〜410万円以下 | 収入額 × 25% + 27.5万円 | | | 410万円超〜770万円以下 | 収入額 × 15% + 68.5万円 | | | 770万円超 | 一律195.5万円 | たとえば、65歳以上で年金収入が250万円であれば、110万円の控除が適用され、課税対象となる所得は140万円に圧縮されます。

個人向け国債

個人向け国債とは、日本政府が個人投資家向けに発行する債券で、安全性が高く元本保証が特徴です。最低1万円から購入可能で、3年・5年の固定金利型と10年の変動金利型があります。変動金利型は半年ごとに金利が見直され、市場金利の上昇に伴い受取利息が増加するメリットがあります。 一方、株式投資ほどの高いリターンは期待できず、インフレ時には実質的な資産価値が目減りする可能性があります。また、購入後1年間は中途換金ができず、その後の換金時には直前2回分の利子相当額が差し引かれる点に注意が必要です。銀行預金より高い金利を求めるが、リスクを避けたい投資初心者や安全資産を確保したい方に適した商品です。

ファイナンシャル・プランナー(FP)

ファイナンシャル・プランナーとは、お金に関する幅広い知識を持ち、個人や家庭のライフプランに応じた資金計画や資産運用、保険、税金、年金、相続などについてアドバイスを行う専門家のことです。略して「FP(エフピー)」と呼ばれることもあります。例えば、子どもの教育資金や老後の生活費をどのように準備するか、住宅ローンをどう組むべきか、保険は見直すべきかといった具体的な悩みに対して、相談者の状況に合ったプランを提案してくれます。国家資格や民間資格を持つファイナンシャル・プランナーが存在し、中立的な立場でアドバイスをしてくれる点が信頼されています。投資や家計管理に自信がない方にとって、人生の重要なお金の意思決定をサポートしてくれる心強い存在です。

ペイオフ

ペイオフとは、銀行が経営破綻した場合に、預金者が預けたお金のうち一定額までを保証される仕組みのことを指します。 日本では預金保険制度によって、預金者一人あたり元本1,000万円とその利息までが保護されることになっています。 この仕組みがあることで、万が一銀行が倒産しても、預金の一部は確実に戻ってくるため、安心して預けられるようになっています。ただし、保護される対象は普通預金や定期預金などの「預金保険の対象商品」に限られており、投資信託や外貨預金などはペイオフの対象外となります。

新興国株式

新興国株式とは、経済成長の途上にある国々の企業が発行する株式のことを指します。代表的な新興国には、中国、インド、ブラジル、南アフリカ、インドネシアなどがあります。 これらの国々は人口増加や都市化、産業の発展によって今後の経済成長が期待されています。そのため、新興国株式は高い成長性が魅力ですが、一方で政治的な不安定さや経済の変動が大きく、先進国株式と比べて価格の上下が激しい傾向があります。 投資初心者にとってはリスクが高く感じられるかもしれませんが、長期的に見れば大きなリターンが期待できる可能性があるため、分散投資の一部として検討されることが多いです。

資産運用に役立つ情報をいち早くGET!

無料LINE登録

資産運用について気軽にご相談したい方

プロへ相談する

当メディアで提供するコンテンツは、情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。 銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。 本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。 また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。

投資のコンシェルジュ

運営会社: 株式会社MONO Investment

Email:

運営会社利用規約各種お問い合わせプライバシーポリシーコンテンツの二次利用について

「投資のコンシェルジュ」はMONO Investmentの登録商標です(登録商標第6527070号)。

Copyright © 2022 株式会社MONO Investment All rights reserved.

「投資のコンシェルジュ」はMONO Investmentの登録商標です(登録商標第6527070号)。

Copyright © 2022 株式会社MONO Investment All rights reserved.