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企業型DCとiDeCoは併用

企業型DCとiDeCoは併用できる?仕組みと注意点を徹底解説!

難易度:

執筆者:

公開:

2024.02.09

更新:

2024.04.11

資産寿命iDeCo確定拠出年金節税

目次

確定拠出年金の仕組みをわかりやすく解説

企業版DCとiDeCoはそれぞれどんな特徴をもつ仕組み?

企業型DCの仕組みと特徴

iDeCoの仕組みと特徴

企業版DCとiDeCoの違い

企業版DCとiDeCoの制度の違い

企業版DCとiDeCoを使うことで、資産運用にどんな違いがでる?

企業版DCのマッチング拠出とiDeCoのどちらを選ぶべきか、ケース毎に比較

企業版DCのマッチング拠出の仕組み

iDeCoよりもマッチング拠出を選ぶべきケース

マッチング拠出よりも iDeCoを選ぶべきケース

企業版DCとiDeCoの併用時の注意点

企業版DCとiDeCoを併用するメリット

企業版DCとiDeCoを併用時の注意点とおすすめの方法

税制優遇措置の最大限の活用

税制優遇措置の概要

企業版DCとiDeCoの節税優遇措置の活用方法

まとめ:企業版DCとiDeCoそれぞれの仕組みを理解して、正しく運用しよう

確定拠出年金には、勤務先の企業が掛金を拠出する「企業型」と、個人が加入して掛金を拠出する「個人型」の2つがあります。確定拠出年金では運用益が非課税となり、積立金額の条件を満たすと所得控除の対象となるため、通常の資産運用よりも税制面で有利です。

2022年10月より、企業型確定拠出年金(DC)と個人型確定拠出年金(iDeCo)の併用が可能となりました。それぞれでメリットと注意点が存在するため、退職後の経済的不安を軽減するためにも、仕組みを理解することが大切です。

豊かな老後生活を送るためにも、確定拠出年金(企業版DC)とiDeCoの相違点と、それぞれをどのように活用すると節税メリットを最大化できるのかについて確認していきましょう。

確定拠出年金の仕組みをわかりやすく解説

確定拠出年金とは、公的年金の上乗せとなる私的年金制度です。公的年金のように加入が義務付けられているわけではなく、企業や個人が任意で加入する点が特徴です。

なお、公的年金・私的年金制度は以下のような3階建ての制度となっています。

年金の3階建て構造

出典:厚生労働省 年金制度の仕組みと考え方をもとに弊社作成

確定拠出年金では、拠出した掛金を保険や投資信託、定期預金などの金融商品で運用します。実際に拠出した掛金と選定した金融商品の運用益の合計額を基にして、将来の給付額が決定します。運用の成績次第で受け取れる金額が変動する点が、確定拠出年金の特徴です。

なお、企業型と個人型で、掛金を拠出する主体に違いがあります。企業型は勤務先が拠出し、個人型は加入者個人が拠出します。

運用する金融商品は、運営管理機関と呼ばれる外部機関(金融機関)が選定・提示する運用商品の中から、加入者自身が選択します。投資信託や保険商品、預貯金などのラインナップがあり、加入者自身が投資経験やリスク許容度を鑑みて、運用する商品の種類・積み立て割合を決定できる点が特徴です。

企業型DC・iDeCoともに、確定拠出年金は柔軟に受け取り方を選択できるため、何歳まで働く予定か、老後はどのように暮らしたいかなど、ご自身のライフプランに合わせて受け取り方を考える必要があります。

受取方法受け取り方企業型DCiDeCo
有期年金5年以上20年以下の範囲で、加入者が支給期間を選択する
一時金元本と運用益の合計を一時金として受け取る△(企業型DCの規約に定めがあれば可能)
年金と一時金の併用一部を有期年金、一部を一時金で受け取る△(企業型DCの規約に定めがあれば可能)
保証期間付終身年金支給開始時点から一定期間(保証期間)は受給者の生死に関係なく給付が保証され、保証期間終了後は生存している限り終身で年金を受け取る△(運用管理機関に終身年金を提供するための運用商品がある場合は可能)△(金融機関による)
終身年金終身にわたって年金を受け取れる△(運用管理機関に終身年金を提供するための運用商品がある場合は可能)△(金融機関による)

近年は平均寿命の延びに伴って「資産寿命」という言葉を聞く機会も増えました。確定拠出年金を通じて資産形成を行うことで、資産寿命を延ばして老後における経済的不安を払拭し、理想の老後生活を送れるでしょう。

企業版DCとiDeCoはそれぞれどんな特徴をもつ仕組み?

企業型確定拠出年金(以下、企業型DC)と個人型確定拠出年金(以下、iDeCO)は、それぞれ運用益非課税で資産運用できる制度です。

各制度の特徴について解説します。

企業型DCの仕組みと特徴

企業版DCとは、企業が福利厚生の一環として設けている制度です。企業によっては、企業型DCの制度そのものがないケースもあります。

企業型DCは、企業が毎月一定の掛金を拠出し、加入者であるあなたが運営管理機関の用意している運用商品から希望の商品を選択します。一般的な資産運用では利益の部分に約20%の税金がかかりますが、企業型DCは非課税で運用可能です。

例えば「運用で100万円の利益が発生した」というケースでも、企業型DCであれば利益である100万円をそのまま受け取れます。一方で、証券会社の特定口座で運用した場合、税率が約20%程度かかるため、受取額は約80万円となります。

企業型DCは、社員の資産形成をサポートする制度として、近年導入する企業が増えています。厚生労働省の「確定拠出年金統計資料(2022年3月末)」によると、企業型DC導入企業は2022年3月時点で42,669社となっており、前年から約3,500社増加しました。

厚生労働省の資料を見ると、2022年3月末における60歳以降の1人あたり資産は「463万円」でした。「企業型DCがない企業で勤務し続ける人」と「企業型DCがある企業で長期間勤務する人」では、老後の資産形成に大きな差が生まれるでしょう。

iDeCoの仕組みと特徴

iDeCoは「個人型」の確定拠出年金として、個人が加入の是非を自由に判断できます。企業型DCは当該企業に勤務している社員が対象ですが、iDeCoは会社員だけでなく、公務員や自営業者なども加入できる点が特徴です。

iDeCoでは、掛金を拠出するのは加入者自身です。つまり、あなた自身が収入の中から掛金を拠出し、利用する運用管理機関(金融機関)も選ぶ必要があります。

iDeCoで拠出した掛金は、全額「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除の対象です。また、企業型DCと同様に運用益は非課税で、税制優遇を受けられるメリットがあります。

「節税しながら老後資金を計画的に作れる」制度として、iDeCoは近年注目を集めています。実際に、厚生労働省の資料にも「iDeCoの加入者が300万人を突破」とあり、加入者は右肩上がりで増加している制度です。

企業版DCとiDeCoの違い

企業型DCとiDeCoでは、それぞれ異なる点もあります。

「老後の資産形成を行う」という点では共通していますが、様々な違いがある点は知っておきましょう。

企業版DCとiDeCoの制度の違い

企業型DCとiDeCoでは、主に以下のような違いがあります。

企業型DCiDeCo
加入対象者原則として70歳未満の企業の従業員65歳未満の国民年金保険加入者
積立期間70歳 まで65歳 まで
掛金拠出企業個人
拠出限度額27,500円または55,000円/月12,000円~68,000円/月(最低拠出額は5,000円)
拠出した掛金の税額控除なし(ただし社会保険料の算定基礎の対象外)あり
運用管理手数料の負担企業個人
運用管理機関の選定企業個人

加入対象者や拠出限度額など、様々な違いがあることがわかります。

例えば、iDeCoを始める際には利用したい運営管理機関を自分で選定します。資料請求などを通じて運用管理機関を経由し、加入申出書を国民年金基金連合会に提出しなければなりません。

一方で、企業型DCでは一連の加入手続きを勤務先が行ってくれることから、加入までのハードルは企業型DCのほうが低い と言えるでしょう。

企業版DCとiDeCoを使うことで、資産運用にどんな違いがでる?

企業型DCもiDeCoも「老後の資産形成を行うための制度」ではあるものの、積立期間や拠出限度額などに違いがあります。

令和3年4月1日から改正高年齢者雇用安定法が施行され、企業は希望する社員に対して70歳まで雇用機会の確保を行うことが努力義務とされました。今後、70歳までの雇用機会の確保が「義務」となる可能性も考えられます。

企業型DCは積立期間が70歳までですから、雇用期間の延伸に伴って、企業型DCを積み立てられる期間も長くなるでしょう。もし70歳まで就労した場合、給与収入に加えて、企業型DCを通じて手厚く老後資金を確保できます。

iDeCoでは、働き方によって拠出できる掛金の上限が異なります。iDeCoに加入する場合は「できるだけ多くの掛金を拠出する」「運用商品のラインナップが魅力的な運用管理機関を選ぶ」ことが重要です。

また、確定拠出年金を実施している事業主は必要かつ適切な「投資教育」を行うことが求められていることから、社員は運用に関する教育やアドバイスを受けることができます。

一方で、iDeCoはすべて自分の判断で行わなければなりません。iDeCo加入者は、自分自身で資産運用に関する勉強をすることも大切です。

企業版DCのマッチング拠出とiDeCoのどちらを選ぶべきか、ケース毎に比較

2022年10月より、企業型DCとiDeCoの併用が可能になりました。ただし、企業型DCに加えて自分で掛金を拠出する「マッチング拠出」をしている場合、iDeCoとマッチング拠出の併用はできません。

「マッチング拠出とiDeCoは、どちらを選ぶべき?」という疑問をお持ちの方に向けて、それぞれおすすめできる人の特徴などを解説します。

企業版DCのマッチング拠出の仕組み

マッチング拠出とは、企業型DCに含まれる仕組みです。企業型DCでは勤務先が毎月掛金を拠出していますが、企業が拠出する掛金に加えて、社員自らが掛金を拠出するのがマッチング拠出です。

マッチング拠出ができるか否かは、勤務先の規約次第です。厚生労働省の資料によると、2022年3月末の段階で、マッチング拠出を導入している事業所数は10,740カ所でした。

少しずつではあるものの、マッチング拠出を導入する企業も増えています。あなたの勤務先にも、マッチング拠出に関する定めがあるか確認してみると良いでしょう。

マッチング拠出を利用して拠出した掛金は、全額所得控除の対象です。iDeCoと同じく、節税しながら老後資金を作れるため、掛金を拠出できる経済的余力がある場合は利用を検討しましょう。

なお、マッチング拠出で拠出できる掛金には以下のようなルールがあります。

  • 加入者が拠出する掛金が事業主の拠出する掛金を超えないこと
  • 加入者が拠出する掛金と事業主の拠出する掛金の合計が、掛金拠出限度額を超えないこと

掛金拠出限度額は、他の企業年金制度を併用していない場合(企業型DCのみ)は月額55,000円です。他の企業年金制度を併用している場合(企業型DCとDBがある)は、月額27,500円となっています。企業型DCとマッチング拠出を併用する場合の掛金上限をまとまると、以下のようになります。

企業型DCのみ企業型DC以外の企業年金制度あり
会社掛金上限月額55,000円月額27,500円
マッチング拠出掛金上限事業主の拠出する掛金事業主の拠出する掛金

iDeCoよりもマッチング拠出を選ぶべきケース

1. 口座管理手数料を払いたくない人

口座管理手数料を払いたくない人は、マッチング拠出を選ぶと良いでしょう。口座管理手数料とは、運用期間中に毎月かかるコストです。

iDeCoの場合は自分で口座管理手数料を負担する必要がありますが、マッチング拠出の場合は企業が負担します。iDeCoの運用管理手数料は、金融機関ごとに「月あたり171円〜589円」と差があるものの、最安の金融機関を選んでも毎年2,052円のコストとなります。

運用期間が20年にもなれば約4万円の口座管理手数料を払うことになるため、軽くはない負担です。コストを重視して比較検討する場合は、マッチング拠出のほうが好相性と言えるでしょう。

2. iDeCoで拠出できる金額が5,000円未満の人

iDeCoの最低拠出金額は「月5,000円」です。iDeCoで拠出できる金額が5,000円未満の方は、マッチング拠出しか選べません。企業型DCとiDeCoを併用する場合、iDeCoで拠出できる金額には下記のような制限があります。

  • 企業型DCのみ加入している場合: 55,000円-企業型DCの事業主掛金額(ただし上限は20,000円)
  • 企業型DC以外の企業年金制度に加入している場合:27,500円-企業型DCの事業主掛金額(ただし上限は12,000円)

例えば、企業型DCのみ加入している方で、企業型DCの事業主掛金が50,001円以上の場合、iDeCoに回せる金額が5,000円未満となります。

このように、手厚い企業型DC制度の企業で勤務している方の場合は「そもそもiDeCoに加入する余地がない」というケースが起こりえます。

マッチング拠出よりも iDeCoを選ぶべきケース

1. 事業主が拠出している掛金が低いが、多くの掛金を拠出したい人

事業主が拠出している掛金が低い場合、iDeCoのほうが多くの掛金を拠出できる可能性が高いです。

マッチング拠出には「加入者が拠出する掛金が事業主の拠出する掛金を超えない」という制約があります。例えば、若い方は事業主が拠出する掛金が低いケースが多いです。もし勤務先が拠出している掛金が3,000円であれば、マッチング拠出も3,000円しかできません。

一方で、企業型DCとiDeCoを併用する場合、iDeCoの掛金上限は20,000円です。(企業型DCとDBを併用している場合は12,000円)

企業型DCとiDeCoとDBの関係

出典:厚生労働省

つまり、事業主掛金が20,000円の場合が、マッチング拠出できる金額とiDeCoの掛金が同額となるボーダーラインです。

具体的なケースでシミュレーションしてみましょう。(企業型DCのみ加入の場合)

事業主掛金マッチング拠出できる上限iDeCoで拠出できる上限どちらが多く掛金を拠出できるか
10,000円の場合10,000円20,000円iDeCo
20,000円の場合20,000円20,000円同じ
30,000円の場合25,000円20,000円マッチング拠出のほうが有利

事業主掛金と利用できる枠を鑑みると、事業主が拠出している掛金が低く「より多くの金額を拠出したい」という場合、iDeCoのほうが優れているケースが想定されます。

2. 企業型DCの商品ラインナップに魅力を感じない人

幅広い商品から自由に選択したい場合、iDeCoのほうが向いている可能性があります。企業型DCのラインナップに魅力的な商品が無い場合、マッチング拠出よりもiDeCoを利用したほうが良いでしょう。

確定拠出年金は、金融機関によって取り扱っている商品が異なります。つまり「A銀行」と「B証券」の確定拠出年金のラインナップを比較したとき、「B証券のほうがラインナップは豊富」というケースがあり得るわけです。

iDeCoのデメリットとして口座管理手数料が必要という話をしましたが、信託報酬等の金融商品ごとに発生する手数料についても考慮する必要があります。企業型DCに手数料が高い商品しかない場合、iDeCoで手数料の安い商品を購入したほうが、結果的に運用成績が良いケースも考えられます。

企業版DCとiDeCoの併用時の注意点

企業型DCとiDeCoの併用が可能となったことで「勤務先で企業型DCに加入しつつ、個人の判断でiDeCoを始める」というアクションを起こせます。

あなたが「できるだけ手厚く老後資金を作りたい」と考えているのであれば、企業型DCとiDeCoの併用は検討するべき選択肢となります。

ただし、企業型DCとiDeCoを併用する際に注意するべきポイントも存在するため、以下で解説します。

企業版DCとiDeCoを併用するメリット

企業型DCとiDeCoを併用することで、より多くの老後資金を積み立てることができるでしょう。いずれの制度も運用益が非課税になるメリットがあるため、大きなリターンを得られれば、非課税のメリットもより感じられます。

株式や債券などのリスク資産で運用すると、元本割れのリスクが伴います。しかし、確定拠出年金の中には元本確保型の商品もあるため、元本確保型の商品を含めればリスクコントロールが可能です。

また、iDeCoの場合は金融機関を自分で選べるため、運用の選択肢が増える点も企業型DCとiDeCoを併用するメリットです。企業型DCの中に魅力的な金融商品が無かったとしても、iDeCoと併用することであなた好みの金融商品を選べるようになるでしょう。

企業版DCとiDeCoを併用時の注意点とおすすめの方法

企業型DCとiDeCoを併用する際には、マッチング拠出との兼ね合いに注意する必要があります。 事業主の掛金額20,000円 が、判断する際のボーダーラインです。

また、iDeCoの運用管理手数料は自分で負担しなければならない点にも注意が必要です。もしiDeCoで掛金全額を元本確保型商品で運用する場合、リターンよりも手数料のほうが高くなる「手数料負け」が発生する恐れがあります。

さらに、併用することで複数の口座を管理する手間が発生する点にも留意しましょう。企業型DCとiDeCoでは口座が別になるため、それぞれの口座を別個で管理しなければなりません。

運用商品の選択も別個に行う必要があることから、「企業型DC+iDeCo」の場合は「企業型DC+マッチング拠出」のケースよりも手間が増える点に注意しましょう。

税制優遇措置の最大限の活用

企業型DCとiDeCoには、ぞれぞれ税制優遇措置があります。

税制優遇措置を最大限活用することで運用成績を高められるため、具体的な税制優遇措置について知っておきましょう。

税制優遇措置の概要

1. 企業型DCの税制優遇措置

企業型DCには、以下のような税制優遇措置があります。

  • 運用益が非課税
  • 事業主が拠出した掛金は社会保険料の算定基礎対象外
  • マッチング拠出をした分は全額所得控除
  • 受取時に公的年金等控除(年金で受け取る場合)、退職所得控除(一時金で受け取る場合)が受けられる

企業型DCでは、運用益が出ても税金は発生しません。また、事業主が拠出している掛金は社会保険料の算定基礎対象外となるため、給与で受け取る場合よりも社会保険料と税金が抑えられます。

また、60歳以降に受け取る際にも、公的年金等控除または退職所得控除を受けられます。これにより、年金で受け取る際にも一時金で受け取る際にも、税負担を軽減することが可能です。

2.iDeCoの税制優遇措置

iDeCoにも、以下のような税制優遇措置が設けられています。

  • 掛金が全額所得控除
  • 運用益が非課税
  • 受取時に公的年金等控除(年金で受け取る場合)、退職所得控除(一時金で受け取る場合)が受けられる

iDeCoは掛金が全額所得控除になるため、節税しながら老後資金を拵えることができます。具体的に節税できる金額は年収によって異なりますが、例えば年収500万円の方が毎月2万円を拠出した場合、所得税・住民税合わせて年間48,000円の節税となります。

30年間にわたって拠出すれば、節税額だけで144万円にも及びます。

idecoの積立金額

出典:iDeCo公式サイト

iDeCoは、リスクを取りたくなければ「元本確保型商品を選択する」ことが可能なので、節税メリットは誰しもが受けられると言えるでしょう(ただし、専業主婦など所得がない方は除く)。

企業版DCとiDeCoの節税優遇措置の活用方法

企業版DCとiDeCoの節税優遇措置を最大限享受するための方法は、「できるだけ多くの掛金を拠出する」「ハイリスク・ハイリターンの金融商品を選択する」ことです。

いずれも運用益が非課税になることから、株式などのリスクが大きい反面、リターンも期待できる商品を選択することで恩恵を最大化できます。例えば、私たちの納めた年金保険料を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)では、代表的な金融商品の期待リターン(名目リターン)を下記のように設定しています。

  • 外国株式:7.2%
  • 国内株式:5.6%
  • 外国債券:2.6%
  • 国内債券:0.7%

金融庁のツールを用いて「10年間にわたって毎月2万円を拠出、年利7%で運用できた」とシミュレーションすると、下記のような運用結果となりました。

金融庁のiDeCoシミュレーション結果

出典:金融庁

  • 元本積立部分:240万円
  • 運用収益:106.2万円
  • 合計:346.2万円

通常の資産運用であれば、運用収益部分に約20%の税金が課されます。企業型DCとiDeCoの場合、非課税なので運用収益部分も含めて年金または一時金として受け取ることが可能です。

ここで、「年金と一時金、どちらで受け取るのが得なんだろう?」と考える方も多いでしょう。企業型DCとiDeCoには、ともに受取時に公的年金等控除または退職所得控除が受けられますが、どちらが得かは一概には判断できません。

年金で受け取った場合、運用しながら年金を受け取れるため、受取額だけで見ると年金で受け取ったほうが得になる公算が高いです。しかし、年金で受け取ると「雑所得」となり、翌年の国民健康保険料や介護保険料に反映されます。

つまり、年金で受け取ると「もらえる金額は一時金よりも増える可能性が高いが、社会保険料が増える」のです。正確な損得を調べるためには、複雑な計算とシミュレーションを行う必要があることから、税理士や社会保険労務士などの専門家に相談することも検討しましょう。

まとめ:企業版DCとiDeCoそれぞれの仕組みを理解して、正しく運用しよう

企業型DCとiDeCoは、ともに「老後の資産を作るための制度」という本質的な部分は共通しています。しかし、積立期間や税制優遇措置の内容に違いがあるうえに、勤務先の企業によって拠出限度額が異なります。

企業型DCに加入できるかどうかは、勤務先が企業型DC制度を導入しているかどうか次第です。また、iDeCoと企業型DCは併用可能ですが、企業型DCのマッチング拠出とiDeCoはいずれかの選択制です。

iDeCoで発生する口座管理手数料の負担をデメリットに感じる場合は、マッチング拠出を選ぶと良いでしょう。一方で、マッチング拠出よりもiDeCoのほうが多くの掛金を拠出できる場合や、自分で運用管理機関を選択したい場合はiDeCoを選ぶのがおすすめです。

なお、企業型DCの事業主掛金が20,000円だと、マッチング拠出できる金額とiDeCoの掛金が同額となるボーダーラインとなります。企業型DCで選択できる運用管理機関の商品と、iDeCoで選択できる商品を比較検討することも重要です。

60歳以降の受け取り方に関しても、企業型DCとiDeCoでは違いがあります。金融機関によって差がありますが、多くの場合はiDeCoのほうが受け取り方の選択肢は豊富です。

「企業型DCのマッチング拠出」と「iDeCo」を比較すると、様々な要因を考える必要があることから、あなただけで「最適な運用方法」を選ぶのは簡単ではありません。

自分だけで資産運用の判断を行える自信がない場合は、資産運用の専門家であるファイナンシャル・アドバイザーに相談することをおすすめします。金融の専門家として、現状の資産状況などを把握したうえで、あなたにとって最適な資産運用計画を作成してくれるでしょう。

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柴田充輝

金融系ライター

厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。

厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。

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