資産運用はギャンブルと同じなのでは?
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2025/02/01 11:52
男性
40代
資産運用について調べると、「投資はギャンブルと同じだからやめておいたほうがいい」という意見を目にすることがあります。確かに、投資で大きな損失を出したという話も耳にするので、結局は運次第なのではないかと不安になります。資産運用とギャンブルの違いは何でしょうか?また、リスクを抑えて着実に資産を増やす方法はあるのでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
資産運用がギャンブルと決定的に違うのは、期待値と価値創造の有無です。ギャンブルはルール上、胴元の取り分(控除率)があるため参加者全体の期待リターンがマイナスになります。対して投資は、企業が利益を上げ設備投資や雇用に回すことで経済全体のパイが拡大し、その成果が配当や株価上昇として投資家に還元されるプラスサム(みんなが得をする仕組み)です。実際、世界株式は過去 100 年以上にわたり年平均 5〜7%程度の実質リターンを積み重ねてきました。
もっとも、投資を「ギャンブルのようだ」と感じさせる要因は時間軸とリスク管理の誤りにあります。短期で大勝ちを狙い、集中投資や高レバレッジ取引に傾くと価格変動のノイズだけで資産が大きく揺さぶられ、本来のプラスサム構造を享受できなくなります。
投資を堅実な資産形成手段に変える4つの要諦は次のとおりです。
- 長期保有:時間を味方に付けて複利効果を最大化し、短期ノイズを平均化する。
- 広範な分散:株式・債券・不動産・コモディティなど複数資産に配分し、資産クラス間でリスクを打ち消し合う。
- 低コスト運用:インデックスファンドやETFを活用し、運用コストと税コストを抑えて実質リターンを高める。
- 定期的リバランス:目標の資産配分から乖離したら自動的に売買し、リスク水準を常に許容範囲に保つ。
さらに、投資目的(教育費や退職後資金など)、運用期間、許容損失額を数値で明文化し、それに沿った資産配分を策定してください。こうしたルールベースの運用を徹底すれば、相場に一喜一憂せず市場成長の果実を着実に取り込めます。
要するに、ギャンブルは偶然に賭ける行為、資産運用は計画と規律で経済成長を取り込む行為です。長期・分散・低コスト・リバランスを守れば、投資は「運まかせの勝負事」ではなく、将来の生活設計を支える最も合理的な手段になります。
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分散投資とは、資産を安全に増やすための代表的な方法で、株式や債券、不動産、コモディティ(原油や金など)、さらには地域や業種など、複数の異なる投資先に資金を分けて投資する戦略です。 例えば、特定の国の株式市場が大きく下落した場合でも、債券や他の地域の資産が値上がりする可能性があれば、全体としての損失を軽減できます。このように、資金を一カ所に集中させるよりも値動きの影響が分散されるため、長期的にはより安定したリターンが期待できます。 ただし、あらゆるリスクが消えるわけではなく、世界全体の経済状況が悪化すれば同時に下落するケースもあるため、投資を行う際は目標や投資期間、リスク許容度を考慮したうえで、計画的に実行することが大切です。
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アセットアロケーション(Asset allocation)とは、資産配分という意味で、資金を複数のアセットクラス(資産グループ)に投資することで、投資リスクを分散しながらリターンを獲得するための資産運用方法。アセットアロケーションは戦略的アセットアロケーションと戦術的アセットアロケーションの2つを組み合わせることで行われ、前者は中長期的に投資目的・リスク許容度・投資機関に基づいて資産配分を決定し、後者は短期的に投資対象の資産特性に基づいて資産配分を決定する。