MOVE指数が上昇すると債券価格は必ず下がるの?
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2025/03/21 18:46
女性
30代
MOVE指数が上昇すると、短期債と長期債の価格にはどんな違いがあるのでしょうか?長期債のほうが影響を受けやすいと聞きますが、本当にそうなのでしょうか?それぞれのリスクについても詳しく知りたいです。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
MOVE指数の上昇は債券価格が「必ず」下がることを意味するわけではなく、あくまでも価格変動(ボラティリティ)が大きくなることを示しています。つまり、価格が上下に大きく振れやすくなり、市場が不安定になる可能性が高まります。
一般的に長期債は金利変動に対して敏感であり、「デュレーション(利回りの変動に対する価格の感応度)」が高いため、MOVE指数が急上昇した際には短期債よりも価格が大きく下落する可能性があります。
一方、短期債はデュレーションが短く価格変動リスクは相対的に小さいですが、満期後の再投資時に生じる「再投資リスク」が存在します。つまり、金利が低下した状況で短期債を再投資すると、新たな運用利回りが低くなるリスクがあります。
こうしたリスク要素は投資家の運用目的やリスク許容度によって影響が異なるため、実際の投資判断に際しては資産運用の専門家やファイナンシャルプランナーに相談し、自身に適した投資戦略を立てることをおすすめします。
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MOVE指数(move index)
MOVE指数(ICE BofAML U.S. Bond Market Option Volatility Estimate Index)は、ICEが算出・公表する米国債市場のボラティリティを示す指標であり、「債券市場のVIX指数」とも呼ばれる。米国債の先行き変動リスク(予想変動率)を測定し、特に米国債先物の1カ月物オプションのノーマライズド・インプライド・ボラティリティを基に算出される。イールドカーブ上の2年、5年、10年、30年物の国債を加重平均して構成されており、金利変動リスクを示す代表的な指標とされる。指数が上昇すると、債券市場の不確実性が高まっていることを意味し、金融政策の変更や市場の混乱時に特に注目される。
デュレーション
デュレーションは、債券価格が金利変動にどれほど敏感かを示す指標で、同時に投資資金を回収するまでの平均期間を意味します。 一般に「Macaulay デュレーション」を年数で表し、金利変化率に対する価格変化率を示す「修正デュレーション」は Macaulay デュレーションを金利で割って算出します。 数値が大きいほど金利 1 %の変動による価格変動幅が大きく(例:修正デュレーション 5 年の債券は金利が 1 %上昇すると約 5 %値下がり)、金利リスクが高いと判断できます。一方で金利が低下すれば同じ倍率で価格は上昇します。デュレーションを把握しておくことで、ポートフォリオ全体の金利感応度を調整したり、将来のキャッシュフローと金利見通しに応じて保有債券の残存期間やクーポン構成を選択したりする判断材料になります。特に金利の変動が読みにくい局面や長期安定運用を重視する場面では、利回りだけでなくデュレーションを併せて確認することが重要です。
再投資リスク
再投資リスクとは、債券や定期預金などの満期時に、元本や利息を再投資しようとした際に、当初よりも低い金利環境でしか運用できないリスクを指す。特に低金利時代には、満期を迎えた資産を同等の収益率で再投資することが難しくなり、将来の収益が減少する可能性がある。長期投資ではこのリスクを考慮し、分散投資や運用期間の調整が重要となる。
ボラティリティ
ボラティリティは、投資商品の価格変動の幅を示す重要な指標であり、投資におけるリスクの大きさを測る目安として使われています。一般的に、値動きが大きい商品ほどそのリスクも高くなります。 具体的には、ボラティリティが大きい商品は価格変動が激しく、逆にボラティリティが小さい商品は価格変動が穏やかであることを示します。現代ポートフォリオ理論などでは、このボラティリティを標準偏差という統計的手法で数値化し、それを商品のリスク度合いとして評価するのが一般的です。このため、投資判断においては、ボラティリティの大きい商品は高リスク、小さい商品は低リスクと判断されます。