投資のガイド
Guide

VIX指数(恐怖指数)とは?見方と目安、過去の推移から投資への活かし方まで解説
難易度:
執筆者:
公開:
2025.03.13
更新:
2026.09.28
相場が急落すると、ニュースやSNSで「VIX指数が急騰した」「恐怖指数が30を超えた」といった情報を目にすることがあります。しかし、数値の意味を正しく理解しないまま「危険だから売る」「高いから買い場」と判断すると、相場の動きに振り回されかねません。この記事では、VIX指数の仕組みや水準の目安、S&P500との関係、過去の急騰局面、投資判断への活用方法、VIX関連商品の注意点まで具体的に解説します。
VIX指数(恐怖指数)とは?
VIX指数(Cboe Volatility Index)は、米国のシカゴ・オプション取引所(Cboe)が算出・公表している指数です。米国の代表的な株価指数であるS&P500について、市場参加者が今後30日間にどの程度の値動きを見込んでいるかを示します。
S&P500のオプション価格から算出する「今後30日の予想変動率」
VIX指数の計算には、S&P500を対象とするオプション(あらかじめ決めた価格で売買する権利)の価格が使われます。満期までの日数が23日超37日未満のプット・コールのオプションを組み合わせ、期間30日の予想変動率になるよう加重して算出する仕組みです。
VIX指数は1993年に公表が始まり、2003年にCboeとゴールドマン・サックスが算出方法を見直しました。現在の方式はS&P500のオプション価格から直接計算するもので、特定の価格理論モデルには依存しません。見直し前の指数は「VXO」と改称されています。
出典:Cboe「VIX Index」、Cboe「VIX Index Historical Data」
なぜ「恐怖指数」と呼ばれるのか
株価が急落する局面では、値下がりに備えてプットオプションを買う投資家が増え、オプションの価格が上がります。その結果、VIX指数も上昇するのです。
反対に、相場が落ち着いているときはオプションの需要が落ち着き、VIX指数も低くなります。投資家の不安が強いほど数値が高くなることから、VIX指数は「恐怖指数」とも呼ばれています。
VIX指数の読み方:VIX20なら1か月で約±5.8%
VIX指数の数値は、S&P500が1年間にどの程度変動しそうかを年率のパーセントで表したものです。たとえばVIXが20なら、S&P500が1年後にプラスマイナス20%の範囲で動く可能性が約7割(正規分布を仮定した1標準偏差)ある、という市場の見込みを意味します。
- 1か月あたりに換算するには、年率の数値を12の平方根(約3.46)で割ります。VIX20は1か月で約±5.8%、VIX40なら約±11.5%です。日本の日経平均VIも同じ考え方で、日本経済新聞社は「日経平均VIが30なら1か月換算で±8.6%」と説明しています。
出典:日本経済新聞社「よくあるご質問(日経平均ボラティリティー・インデックスおよび同先物指数について)」
VIX指数はどこで確認できる?
VIX指数は、算出元であるCboeの公式サイトで確認できます。1990年以降の日次データ(始値・高値・安値・終値)も公開されており、誰でもダウンロードが可能です。
日常的に確認するなら、証券会社の取引ツールや金融情報サイトでも「VIX」「恐怖指数」として表示されています。サイトによってはリアルタイムではなく遅延した値の場合もあるため、表示時刻をあわせて確認しましょう。
VIX指数の目安:水準別に見た市場の状態
VIX指数に公式の基準値はありませんが、市場では「20」と「30」がひとつの目安として使われています。1990年以降のデータで、各水準がどのくらいの頻度で現れたかを集計しました。
| VIX指数の水準 | 市場の状態の目安 | 終値がこの水準だった日の割合 |
|---|---|---|
| 15未満 | 落ち着いている(楽観的) | 32.0% |
| 15以上20未満 | 平常 | 31.0% |
| 20以上30未満 | やや不安定(警戒感がある) | 29.0% |
| 30以上40未満 | 強い不安が広がっている | 5.7% |
| 40以上 | パニック的な状態 | 2.2% |
※Cboeが公表する1990年1月2日〜2026年9月25日の日次終値(9,281営業日)をもとに編集部算出。四捨五入のため合計は100%になりません。
出典:Cboe「VIX Index Historical Data」
同じ期間の終値の平均は19.42、中央値は17.57でした。VIXが30以上だった日は全体の7.9%にとどまり、30を超える状態はまれな非常時といえます。2026年9月25日の終値は14.87で、足元は落ち着いた水準です。
- なお、目安の数値は経験則にもとづくもので、VIXが20を超えたからといって必ず株価が下がるわけではありません。水準そのものより、短期間でどれだけ急に上がったかにも注目しましょう。
VIX指数とS&P500の関係:逆相関と平均回帰
VIX指数の動きには、株価と逆に動きやすいことと、高い水準が長続きしにくいことの2つの特徴があります。
株価が下がるとVIX指数は上がりやすい
S&P500とVIX指数の日々の変化率の相関係数を、1993年から2026年9月までのデータで計算すると-0.71でした。相関係数は-1に近いほど逆の動きが強いことを示すため、両者ははっきりとした逆相関の関係にあります。
実際に、S&P500が下落した日の77%でVIX指数は上昇し、S&P500が上昇した日の80%でVIX指数は低下していました(編集部算出)。特に、株価が急落する場面ではVIXの上昇幅が大きくなるのが特徴です。
高い水準は長く続きにくい(平均回帰)
VIX指数は、急上昇しても時間とともに平均的な水準へ戻っていく傾向があります。これを「平均回帰」と呼びます。後述する主な急騰局面でも、2010年以降は多くのケースで数日〜2か月あまりで30を下回りました。
ただし、2008年のリーマン・ショックのように、30を下回るまで半年近くかかった例もあります。「すぐに落ち着くはず」と決めつけず、危機の性質によって長引く場合があることも押さえておきましょう。
VIX指数の過去の推移:急上昇した主な局面
VIX指数が大きく上昇した主な局面を、Cboeの日次データで振り返ります。「30を下回るまで」「20を下回るまで」は、終値のピークから数えた日数です。
| 時期 | 主なきっかけ | 終値の最高値(日付) | 取引時間中の最高値 | 30を下回るまで | 20を下回るまで |
|---|---|---|---|---|---|
| 2008年秋 | リーマン・ショック(世界金融危機) | 80.86(2008年11月20日) | 89.53 | 180日 | 397日 |
| 2010年5月 | ギリシャ発の欧州債務危機 | 45.79(2010年5月20日) | 48.20 | 7日 | 144日 |
| 2011年8月 | 米国債の格下げ | 48.00(2011年8月8日) | 48.00 | 67日 | 164日 |
| 2015年8月 | 中国発の世界同時株安 | 40.74(2015年8月24日) | 53.29 | 3日 | 42日 |
| 2018年2月 | 米長期金利の上昇による株価急落 | 37.32(2018年2月5日) | 50.30 | 1日 | 9日 |
| 2020年3月 | コロナ・ショック | 82.69(2020年3月16日) | 85.47 | 53日 | 333日 |
| 2024年8月 | 米景気の後退懸念と急速な円高 | 38.57(2024年8月5日) | 65.73 | 1日 | 8日 |
| 2025年4月 | 米国の相互関税の発表 | 52.33(2025年4月8日) | 60.13 | 9日 | 34日 |
| 2026年3月 | 中東情勢の緊迫と原油高 | 31.05(2026年3月27日) | 35.30 | 4日 | 13日 |
※日数は暦日。Cboeの日次データ(1990年1月〜2026年9月25日)をもとに編集部算出。
出典:Cboe「VIX Index Historical Data」
リーマン・ショックとコロナ・ショック:水準は近いが回復の速さに差
VIX指数の取引時間中の最高値は、2008年10月24日の89.53です。終値ベースでは2020年3月16日の82.69が過去最高で、2つの危機はほぼ同じ水準まで上昇しました。
違いが大きかったのは、その後の落ち着き方です。2008年は30を下回るまで180日、20を下回るまで1年以上かかりました。一方、2020年は各国の大規模な金融緩和と財政出動もあり、53日で30を下回っています。
- 株価の動きにも差がありました。2008年はVIXのピーク(11月)の後も株価が下がり続け、S&P500は2007年10月の高値から2009年3月の安値まで約57%下落しています。2020年はVIXのピークから1週間後の3月23日が株価の底で、高値からの下落率は約34%でした。
2022年:VIXは40に届かず、株価の下落は長引いた
2022年は、米国の急速な利上げを背景に株価が1年近く下落しました。S&P500は1月の高値から10月の安値まで約25%下がっています。
ところが、この年のVIX指数の終値の最高値は36.45にとどまりました。年間平均は25.6と高めの水準が続いたものの、パニック的な急騰は起きていません。VIXの水準が極端に高くないからといって、下落相場が終わったとは限らないことを示す例です。
2024年8月・2025年4月・2026年3月:短期間で急騰し急低下
近年は、VIXが短期間で急騰し、すぐに落ち着くケースが目立ちます。2024年8月5日は、米景気の後退懸念と急速な円高を受けて、日経平均株価が過去最大の下げ幅(4,451円安)を記録した日です。この日、VIXは取引時間中に一時65.73まで上がりましたが、終値は38.57で、8日後には20を下回りました。
2025年4月は、米国の相互関税の発表を受けて終値52.33まで上昇しています。2026年3月は中東での軍事衝突と原油価格の急騰を背景に、3月9日に一時35.30を付けました。いずれも10日以内に30を下回っています。
FOMCの結果も、VIX指数に影響を与えます。詳しくは、こちらの記事も参考にしてみてください。
VIX指数の水準とその後の株価:1990年以降のデータで検証
「VIXが高いときは買い場」という見方をよく耳にします。実際にはどうだったのか、VIX指数の水準別に、その後1年間のS&P500の騰落率を集計しました。
| VIX指数の終値 | 該当日数 | 1年後の騰落率(平均) | 1年後の騰落率(中央値) | マイナスになった割合 | 最も悪かったケース |
|---|---|---|---|---|---|
| 15未満 | 2,935日 | +11.1% | +11.4% | 12% | -19.3% |
| 15以上20未満 | 2,681日 | +10.2% | +10.9% | 16% | -44.7% |
| 20以上30未満 | 2,641日 | +5.9% | +11.0% | 32% | -48.8% |
| 30以上40未満 | 526日 | +18.1% | +20.6% | 16% | -41.5% |
| 40以上 | 208日 | +33.0% | +30.8% | 4% | -17.0% |
| 全期間 | 8,991日 | +10.2% | +11.9% | 19% | ― |
※1990年1月〜2025年9月の各営業日を起点に、252営業日後のS&P500の騰落率(配当含まず)を計算。VIXはCboeの日次終値、S&P500は日次終値を使用して編集部算出。
VIXが30以上だった日を起点にすると、1年後の騰落率の平均は全期間の平均を上回っていました。恐怖が強い局面は、長い目で見れば株価が回復に向かう途中だったケースが多いといえます。
ただし、このデータには注意すべき点が3つあります。1つ目は、VIX40以上の日の多くが2008〜2009年と2020年に集中しており、実質的には数回の局面のデータにすぎないことです。2つ目に、VIX30〜40の日に買っても、2008年秋のように1年後に4割以上下落したケースがありました。
3つ目は、VIXが30以上になった後も、翌1か月でさらに株価が下がる場面が多かったことです。VIX30以上の日から1か月以内の最大下落率は平均で約5%、最も大きいケースでは約30%に達しました(編集部算出)。VIXの急騰を見て一度に資金を投じるのではなく、時間を分けて投資するほうが現実的でしょう。
積立投資とドルコスト平均法については、こちらの記事もあわせて参考にしてみてください。
日本株の恐怖指数「日経平均VI」とは
日本株にも、VIX指数と同じ考え方で算出される「日経平均ボラティリティー・インデックス(日経平均VI)」があります。日経平均株価の今後1か月の予想変動率を示す指数で、日本版の恐怖指数とも呼ばれます。
| 項目 | VIX指数 | 日経平均VI |
|---|---|---|
| 対象となる株価指数 | S&P500 | 日経平均株価 |
| 算出者 | Cboe(シカゴ・オプション取引所) | 日本経済新聞社 |
| 算出に使う価格 | S&P500のオプション価格 | 大阪取引所の日経平均オプション価格 |
| 公表開始 | 1993年(2003年に現行方式へ変更) | 2010年11月19日 |
| 関連する先物 | VIX先物(2004年上場) | 日経平均VI先物(2012年2月27日上場) |
出典:日本経済新聞社「よくあるご質問(日経平均ボラティリティー・インデックスおよび同先物指数について)」、Cboe「VIX Index」
日本経済新聞社によると、日経平均VIも30がひとつの目安とされ、過去には2008年秋の金融危機で92の最高値を付けました。2011年3月の東日本大震災の直後にも70に迫っています。
- 最近では、日経平均株価が急落した2024年8月5日に終値70.69、2026年3月9日に終値57.00まで上昇しました(日本経済新聞社の日次データ)。日本株は米国株の影響を受けやすいため、VIXと日経平均VIの両方を確認すると、相場の不安の広がり方を把握しやすくなります。
VIX指数を投資に活かす方法
個人の長期投資家にとって、VIX指数は売買のタイミングを当てる道具ではありません。自分の資産配分や心構えを見直すための「温度計」として使うのが現実的です。
VIXが急上昇したとき:慌てて売らず資産配分を点検する
VIXが30を超えるような局面では、保有資産の評価額が短期間で大きく減ることがあります。ただ、過去のデータでは、VIXの急騰は多くの場合、数週間〜数か月で落ち着いてきました。
不安から一度に売却すると、その後の回復を取り逃がすおそれがあります。まずは、生活防衛資金が確保できているか、株式の比率が当初決めた範囲から大きく外れていないかを確認しましょう。
暴落時に投資家が取るべき対策については、こちらの記事もあわせて参考にしてみてください。
VIXが低いとき:リバランスとリスク許容度の見直しに使う
VIXが15を下回るような落ち着いた相場では、株価の上昇で株式の比率が高くなりすぎていることがあります。値動きが穏やかなうちに、目標の資産配分に戻すリバランスを検討するとよいでしょう。
- また、「VIXが30を超えるような下落が来たら、自分はどのくらいの評価損に耐えられるか」を平時に考えておくことも大切です。急落の最中に冷静な判断をするのは難しいため、リスク許容度は落ち着いているときに確認しておきましょう。
リスク許容度については、こちらの記事でも解説しています。あわせて参考にしてみてください。
VIXのピークだけで買い時を判断しない
2008年のようにVIXのピークの後も株価が下がり続けた例や、2022年のようにVIXがそれほど上がらないまま下落が続いた例もあります。VIXの動きだけで「ここが底」と判断するのは難しいものです。
余裕資金で買い増しを考える場合も、一度にまとめて投資するのではなく、時期を分けて少しずつ投資するほうがリスクを抑えられます。積立投資を続けている人は、相場の水準に関係なく継続することが基本です。
他の指標とあわせて確認する
VIX指数は株式市場の不安を示す指標ですが、市場の不安は債券や為替にも表れます。米国債の値動きの大きさを示すMOVE指数や、金利・雇用などの経済指標とあわせて見ると、不安の原因を理解しやすくなります。
MOVE指数や代表的な経済指標については、こちらの記事で解説しています。
VIX指数に連動する商品の仕組みと注意点
VIX指数そのものは株価指数のように直接売買することはできません。VIXに投資する商品は、主にVIX先物を組み入れる仕組みになっており、指数とは違う値動きをする点に注意が必要です。
取引の対象はVIX先物やオプション
VIX指数を対象とする先物は、2004年にCboeの先物取引所で上場しました。VIX関連のETFやETNの多くは、このVIX先物に投資して値動きを作っています。
そのため、VIX指数が上がっても、関連商品の価格が同じだけ上がるとは限りません。商品の中身が「VIX指数」ではなく「VIX先物」であることを理解しておきましょう。
VIX先物型の商品は長期保有で価値が目減りしやすい
平常時のVIX先物は、満期が先のものほど価格が高い「コンタンゴ」と呼ばれる状態になりやすい傾向があります。VIX先物型の商品は満期の近い先物を売って先の先物を買い直すため、この入れ替えのたびに価値が少しずつ目減りしやすくなるのです。
国内の東京証券取引所に上場していた「国際のETF VIX短期先物指数(1552)」も、この特性から繰上償還されました。運用会社は、市場のボラティリティが低い状況では価値が徐々に減少する特性があると説明しています。2017年9月に受益権の併合を実施した後も基準価額の低下が続き、2024年2月12日に上場廃止、2月19日に償還されました。
出典:三菱UFJ国際投信「『国際のETF VIX短期先物指数』の信託終了(繰上償還)等にかかる内容変更のお知らせ」
VIXの下落で利益を狙う商品は急騰時に大きな損失が出る
VIXが低いまま推移することで利益が出るインバース型の商品は、VIXが急騰すると大きな損失が生じます。2018年2月5日、VIX指数の終値は前営業日の17.31から37.32へと1日で2倍以上に上昇しました。1990年以降で最大の上昇率です(編集部算出)。
この急騰で、東証に上場していた「NEXT NOTES S&P500 VIX インバースETN(2049)」は、参照する指数が前日終値の20%を下回り、早期償還条項に該当しました。同ETNは2018年2月19日に上場廃止となり、償還金は1口あたり1,144円でした。
VIX関連の商品は、短期売買を前提とした上級者向けの商品です。暴落への備えとして長期で持つ場合は、目減りや急変のリスクを十分に理解したうえで、資産のごく一部にとどめることが前提になります。
この記事のまとめ
VIX指数は、S&P500のオプション価格から算出される今後30日間の予想変動率で、市場の不安が強まると上昇しやすい指標です。過去にはVIXが高い局面の後に株価が回復したケースも多くありましたが、急騰後も下落が続いた例があるため、VIXだけで売買のタイミングを判断することはできません。相場が大きく動いたときは、VIXの水準や変化を参考にしつつ、生活防衛資金や資産配分、リスク許容度を確認し、長期的な運用方針に沿って行動しましょう。

MONO Investment
投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。
投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。
関連する専門用語
VIX指数(恐怖指数)
VIX指数は、シカゴ・オプション取引所(CBOE)が公表する、市場の「価格変動の大きさ(ボラティリティ)」を示す指数です。主にS&P500指数のオプション価格をもとに算出され、今後30日間の市場の不安感を表します。 一般に「恐怖指数」とも呼ばれ、数値が高くなるほど投資家の不安が高まり、リスク回避の動きが強くなっていることを意味します。特に金融市場が混乱する局面では、VIXが急上昇する傾向があります。
ボラティリティ
ボラティリティは、投資商品の価格変動の幅を示す重要な指標であり、投資におけるリスクの大きさを測る目安として使われています。一般的に、値動きが大きい商品ほどそのリスクも高くなります。 具体的には、ボラティリティが大きい商品は価格変動が激しく、逆にボラティリティが小さい商品は価格変動が穏やかであることを示します。現代ポートフォリオ理論などでは、このボラティリティを標準偏差という統計的手法で数値化し、それを商品のリスク度合いとして評価するのが一般的です。このため、投資判断においては、ボラティリティの大きい商品は高リスク、小さい商品は低リスクと判断されます。
S&P500指数
S&P500指数とは、アメリカの代表的な株価指数の一つで、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が算出しています。米国を代表する主要企業500社の株価をもとに構成されており、テクノロジー、金融、ヘルスケアなど幅広い業種が含まれるのが特徴です。 この指数は、米国株式市場全体の動向を示す指標として世界中の投資家に注目されており、投資信託やETF(上場投資信託)のベンチマークとしても広く活用されています。「アメリカ経済の健康状態を測る体温計」とも言われる、非常に重要な指標です。
シカゴ・オプション取引所(CBOE)
シカゴ・オプション取引所(CBOE)とは、アメリカ・シカゴに本拠を置く、世界最大級のオプション取引市場です。ここでは、株式オプションや株価指数に連動したオプション、さらには「恐怖指数」とも呼ばれるVIX指数に関連するオプションなど、さまざまな金融派生商品(デリバティブ)が取引されています。 また、CBOEはこのVIX指数(市場の価格変動の予想を示す指標)を算出している機関としても有名です。
オプション価格
オプション価格とは、株式などの資産を「ある価格で売買する権利(オプション)」につけられた値段のことです。 この価格は、オプションの対象となる資産の値動きや、あらかじめ決められた売買価格(行使価格)、満期までの残り日数、価格変動の大きさ(ボラティリティ)、金利など、さまざまな要素によって決まります。 実際の取引では、これらの要素を使ってオプション価格を計算する「ブラック・ショールズ・モデル」といった数理モデルが用いられることもあります。
プットオプション
プットオプションとは、ある資産を将来の決められた価格で売ることができる「権利」のことです。 株などの資産が値下がりしたときに、その値下がりによる損失を抑えるための「保険」のような役割を果たします。 たとえば、ある株が今100円で取引されていて、将来値下がりしそうだと考えたとします。ここで「1か月後に100円で売れるプットオプション」を買っておけば、仮に1か月後に株価が80円に下がっていても、100円で売ることができます。市場価格より高く売れるため、その差額で利益が出ます。 逆に、株価が120円に上がった場合は、わざわざ100円で売る必要がなくなるので、そのプットオプションは使いません。損失は最初に払った「プレミアム(オプション料)」だけです。このように、損失は限定的で、下落時には利益が出せるのがプットオプションの大きな特徴です。 また、プットオプションは投資家が保有している株の値下がりに備える手段としても使われます。たとえば、大きなイベントや相場の不安定な局面で、一時的にリスクを避ける目的で活用されることがあります。 ただし、プットオプションには「時間が経つだけで価値が減っていく」という特性があります。これは「時間的価値の減少(タイムディケイ)」と呼ばれる現象です。オプションには有効期限があるため、満期までの期間が短くなるほど、「この先相場が動く可能性が小さくなった」と見なされ、オプションの価値は自然と下がっていきます。つまり、何もしなくても時間が経つだけで価値が目減りしてしまうのです。 そのため、プットオプションを使う場合は「いつ下がるか」というタイミングも重要になります。あまりに早く買ってしまうと、思ったより相場が動かずに価値だけが減っていく、ということも起こり得ます。







