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CBDC導入で経済全体はどんなメリットを得られますか?

解決済み

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2025/05/16 14:54


男性

30代

question

キャッシュレス化の次段階とされるCBDCですが、決済効率や金融政策手段は実際にどの程度向上するのでしょうか。導入コストやプライバシー保護とのバランスを踏まえたとき、得られる便益は本当に大きいのでしょうか。


回答

佐々木 辰

株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長

CBDCを導入すると、中央銀行が運営する公的デジタル台帳を介して24時間365日即時決済が行え、手数料はクレジットカード網の数分の一、現金管理費も不要になります。経済産業省の試算によると、現金関連コストの削減効果はGDP比0.3%程度です。残高に階段金利を付与すれば、中央銀行が家計や企業の資金需要へ直接インセンティブを与えられ、政策金利の伝達ロスを補完できます。

スマホさえあれば銀行口座を持たない層にも安全な決済手段を提供でき、金融包摂が進む点も大きな社会的便益です。一方、ブロックチェーン基盤の構築や端末更新、サイバー防衛など初期費用は数千億円規模に達し、障害時に備えたバックアップ体制も不可欠です。

プライバシー面では二層構造を採用し、小口取引は匿名性を保ちつつマネロン対策を確保する設計が国際的に検討されています。総じて中長期にはコスト削減と金融政策手段の拡充が初期投資を上回る公算が大きいものの、技術標準や民間決済との競争環境を整え、段階的に実装するガバナンスが成功の鍵となります。

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公的デジタル台帳

公的デジタル台帳とは、政府や中央銀行などの公的機関が主体となり、取引・所有権・契約情報などを電子的に記録・管理する仕組みである。紙の帳簿と同様に記録の正確性を担保しつつ、デジタル技術により高速処理、アクセス追跡、改ざん耐性の向上を実現する。技術的には中央集権型データベースのほか、許可型ブロックチェーンなど分散型台帳技術(DLT)が採用される場合もある。 代表的な活用例には、中央銀行デジタル通貨(CBDC)、土地登記、デジタル身分証明、税務処理、炭素クレジット管理などがある。透明で一貫性のある取引記録は不正防止やリスク管理を支え、金融インフラとしての効率性を高める一方、システム集中による障害リスクやプライバシー保護といった課題への対策も不可欠である。公的デジタル台帳は、デジタル社会における信頼と効率を両立させる基盤として注目されている。

政策金利

政策金利とは、中央銀行が民間の金融機関に資金を貸し出す際の基準となる金利のことで、金融政策の中核をなすツールです。 中央銀行はこの金利を操作することで、経済全体の金利水準や通貨の流れを調整し、景気や物価の安定を図ります。たとえば、景気が冷え込んでいるときには政策金利を引き下げて(利下げ)お金を借りやすくし、消費や投資を促進します。逆に、インフレが進みすぎているときには政策金利を引き上げて(利上げ)需要を抑え、物価の上昇をコントロールしようとします。 政策金利の変更は、住宅ローンや企業の融資金利、預金金利など、私たちの生活に関わる金利にも波及します。また、株式市場・債券市場・為替市場にも大きな影響を与えるため、投資家にとっては極めて重要な経済指標です。 たとえば、中央銀行が予想以上に利上げを行った場合は、株式市場が下落し、通貨が上昇する可能性があります。逆に利下げが行われれば、株高・通貨安につながることが一般的です。 各国の中央銀行(例:日本銀行、FRB、ECBなど)は、定期的に会合を開き、経済情勢や物価の動向を見ながら政策金利を調整しています。

金融包摂(ほうせつ)

金融包摂とは、すべての人が公平に金融サービスへアクセスできる状態を目指す考え方です。ここでいう金融サービスには、銀行口座の開設、送金、融資、保険、資産運用などが含まれます。経済的に不利な立場にある人々、たとえば所得が低い人、地方に住む人、金融機関が近くにない地域の人などが、基本的な金融サービスを使えないことは、生活の安定や経済的自立を妨げる要因になります。 金融包摂は、そうした人々にもサービスが届くようにすることで、個人の生活改善や経済全体の活性化を目指します。たとえば、スマートフォンを使ったモバイルバンキングや、中央銀行デジタル通貨(CBDC)などは、金融包摂を実現するための具体的な手段として注目されています。資産運用の世界でも、金融リテラシー向上や少額投資の促進などを通じて、より多くの人が経済的な恩恵を受けられるようになることが期待されています。

ブロックチェーン

ブロックチェーンとは、取引の記録を「ブロック」という単位でまとめて、それを鎖のようにつなげて保存していく仕組みのことを指します。この技術の最大の特徴は、特定の管理者がいなくても、みんなで記録を共有・確認できる点にあります。たとえば、仮想通貨の取引記録はこのブロックチェーン上に保存されており、誰でもその履歴を見ることができます。記録が一度保存されると、改ざんが非常に難しくなるため、安全性と透明性に優れています。投資の世界では、仮想通貨の基盤として知られており、近年は金融や不動産、証券などさまざまな分野でも注目されています。投資初心者にとっては、まず仮想通貨の仕組みを理解する入り口として知っておくと役立つ技術です。

二層構造モデル

二層構造モデルとは、中央銀行と民間金融機関がそれぞれ異なる役割を担いながら、協力して通貨の発行と流通を行う仕組みのことを指します。特に中央銀行デジタル通貨(CBDC)を設計する際に使われる考え方として注目されています。 このモデルでは、中央銀行がCBDCの価値や仕組みを支える「中核(第1層)」の役割を果たし、民間の銀行や決済事業者が実際の流通・口座管理・顧客対応といった「末端(第2層)」を担います。つまり、中央銀行は通貨の安定性と信頼性を確保しつつ、民間の創意や利便性を活かして効率的に通貨を社会に広めることができます。 従来の現金や預金もこのモデルに近い構造で運用されており、既存の金融インフラとの整合性や、金融システムの安定を保ちながらイノベーションを促すという意味でも、二層構造モデルは現実的かつ実効性のあるアプローチとされています。資産運用や金融政策を考える際にも、通貨の供給体制やその進化を理解する上で重要な概念です。

マネーロンダリング

マネーロンダリングとは、犯罪などによって得られた資金の出どころを隠すために、複数の取引や口座を経由させて、あたかも正当な手段で得たお金のように見せかける行為のことを指します。 名前の由来は「お金を洗浄する(洗ってきれいにする)」という比喩からきており、資金の流れを複雑にすることで、不正な資金の出所を特定しにくくするのが目的です。 資産運用の現場では、マネーロンダリング対策が重要な役割を果たしており、金融機関は顧客の本人確認や不審な取引の報告など、厳しいルールに従って対応する必要があります。このため、投資家自身も取引時に情報提供を求められる場面があり、健全な金融市場を守るための一環として理解しておくことが大切です。

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