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遺言で「全額寄付」しても遺留分は守られる?

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2025/04/04 14:27


男性

50代

question

遺言で「全財産を慈善団体に寄付する」と指定した場合でも、遺留分権利者は自分の取り分を請求できますか?その場合の具体的な流れも知りたいです。


回答

佐々木 辰

株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長

はい、たとえ遺言で「全財産を慈善団体に寄付する」と記載されていたとしても、配偶者や子ども、親などの遺留分権利者には、法律で保障された最低限の取り分を請求する権利があります。これは民法第1046条に定められており、遺留分が侵害されている場合には、遺留分侵害額請求というかたちで、一定の金銭を請求できる仕組みです。

遺留分の割合は、相続人の構成によって異なります。配偶者や子どもがいる場合は、各自の法定相続分の2分の1、直系尊属(親など)しかいない場合は3分の1が遺留分として認められています。たとえば子どもが1人いる場合、全財産が寄付されていたとしても、その子どもは本来の法定相続分の半分にあたる遺留分を請求することができます。

実際に請求を行う流れとしては、まず寄付を受けた慈善団体に対して、内容証明郵便で遺留分侵害額請求を通知するところから始まります。その後、当事者同士で補填額や支払い方法について協議し、合意が成立すれば示談として解決します。ただし、話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所に調停を申し立てるか、必要に応じて訴訟を提起することになります。

このとき注意すべきなのは、遺留分侵害額請求には時効があることです。相続の開始または遺留分の侵害を知ったときから1年以内に請求しなければなりませんし、相続開始から10年を過ぎると、時効により請求権自体が消滅します。寄付先が遺留分の存在を知らなかった場合でも、返還義務は生じるため、時間的な余裕を持って対応することが重要です。

話し合いや調停での解決は、訴訟に比べて時間や費用の負担が少なく、穏便に解決しやすいというメリットがありますが、感情的な対立や法的な争点が複雑な場合は、調停が不成立になり裁判に発展することもあります。

このように、遺留分の請求は法的な判断と交渉が求められるため、早い段階で弁護士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。専門家のサポートを受けることで、適切な主張や交渉ができ、スムーズな解決につながるはずです。

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遺留分

遺留分とは、被相続人が遺言などによって自由に処分できる財産のうち、一定の相続人に保障される最低限の取り分を指す。日本の民法では、配偶者や子、直系尊属(親)などの法定相続人に対して遺留分が認められており、兄弟姉妹には認められていない。遺留分が侵害された場合、相続人は「遺留分侵害額請求」によって不足分の金銭的補填を請求できる。これは相続財産の公平な分配を確保し、特定の相続人が極端に不利にならないようにするための制度である。

遺留分権利者

遺留分権利者とは、法律で定められた「最低限の相続分」である遺留分を受け取る権利を持っている相続人のことを指します。たとえば、亡くなった方が遺言で全財産を特定の相続人や第三者に渡すと記した場合でも、遺留分権利者には一定の取り分を請求する権利があります。 具体的には、配偶者、子ども、直系尊属(両親や祖父母など)が遺留分権利者に該当し、兄弟姉妹には遺留分は認められていません。この制度は、相続における公平性を保ち、特定の相続人だけが極端に不利になるのを防ぐために設けられています。遺言によって遺留分が侵害された場合、遺留分権利者は「遺留分侵害額請求」という手続きによって、他の受益者に対して金銭で補償を求めることができます。資産の分配を公平に行うためにも、遺留分とそれを主張できる遺留分権利者の存在は、相続対策において非常に重要なポイントです。

民法

民法とは、私たちの生活に深く関わる基本的なルールを定めた法律で、日本の法律の中でも最も身近で重要なもののひとつです。 民法では、人と人との間の権利や義務に関する取り決めが広くカバーされており、たとえば契約、売買、借地借家といった財産に関するルール、結婚・離婚・親子関係などの家族に関するルール、そして相続に関するルールも詳細に定められています。 相続においては、誰が相続人になるのか(法定相続人)、相続の割合(法定相続分)、遺言の有効性や内容の優先順位など、手続きの基本がすべて民法によって規定されています。 このように民法は、私たちの人生におけるさまざまな場面――契約、家庭、財産の承継など――で基盤となるルールを示す、まさに「生活の憲法」とも言える存在です。

遺留分侵害額請求

遺留分侵害額請求とは、相続人の最低限の取り分である「遺留分(いりゅうぶん)」を侵害された場合に、その不足分に相当する金銭の支払いを求める手続きのことを指します。たとえば、遺言によって特定の相続人だけに多くの財産が渡され、他の相続人が本来もらえるはずの遺留分を受け取れなかったときに、侵害された相続人が他の相続人や受遺者に対してその差額を金銭で請求することができます。 この制度は、相続人間の不公平を防ぎ、一定の相続権を保護するために設けられています。2019年の民法改正により、かつては「遺留分減殺請求」として行われていたものが、現在は金銭による支払いを求める「遺留分侵害額請求」となりました。資産運用や相続の場面では、遺言によって財産の分け方を自由に決める一方で、遺留分という法律上の制約を理解し、トラブルを防ぐための知識として非常に重要です。

法定相続分

法定相続分とは、相続人が相続できる取り分について、民法であらかじめ定められている割合のことをいいます。 たとえば、被相続人に配偶者と子どもがいる場合、配偶者が2分の1、残りの2分の1を子どもたちが均等に分けるというように、法定相続分が設定されています。 相続人の組み合わせによって割合は異なり、たとえば「配偶者と親」が相続人の場合は、配偶者が3分の2、親が3分の1、「配偶者と兄弟姉妹」の場合は、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1というように決まっています。 遺言書がある場合は、その内容が優先されますが、遺言がない場合や、遺産分割協議の目安として法定相続分が使われることが一般的です。 この割合はあくまで「基準」であり、相続人間の話し合いで異なる分け方をすることも可能です。

受遺者

受遺者とは、遺言書によって財産を受け取ることが指定された人のことを指します。つまり、亡くなった方(遺言者)が生前に書いた遺言書の中で、「この人に財産を渡します」と明記された受取人です。受遺者は相続人である場合もあれば、相続人以外の第三者であることもあります。たとえば、「長男に不動産を渡す」「お世話になった知人に預金の一部を贈る」などと記載されていれば、その対象となる人が受遺者です。遺言による財産の受け取りは、法律で定められた相続とは別の仕組みで行われるため、遺言書の内容に従って確実に権利を得ることができます。資産を特定の人に託したいという希望を実現するために、遺言と受遺者の制度は非常に重要な役割を果たします。

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