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遺言の3つの基本方式を徹底比較:自筆・公正・秘密、それぞれの使い分け方とは

遺言の3つの基本方式を徹底比較:自筆・公正・秘密、それぞれの使い分け方とは

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公開:

2025.06.26

更新:

2025.06.26

2020年に始まった法務局の自筆証書遺言書保管制度と、2019年の民法改正により財産目録のパソコン作成が認められたことで、遺言作成の実務は急速にアップデートされています。しかし自筆・公正・秘密の三方式には手間、費用、安全性の差が大きく、選択を誤れば「無効」や「検認待ちで手続き停滞」といった落とし穴も。本記事では各方式の特徴を徹底比較し、資産規模や家族構成別に最適解を導く視点を提示しつつ、公正証書遺言に数万円を投じる意義など“今”考えるべきポイントを明らかにします。

サクッとわかる!簡単要約

自筆証書は0円〜3,900円で即日作成できる一方、検認で1〜2か月遅れるリスクがあり、公正証書は約28,000円からでも検認不要で即相続手続きに入れます。本記事では資産1億円未満・1〜5億円・5億円超の三事例を通じ、費用対効果と安全性をどう天秤に掛けるかを解説。2019年改正による目録のPC作成解禁や2020年開始の保管制度が遺言未発見リスクを大幅に低減する仕組みも押さえられるため、読了後には「将来の争族」を防ぐ具体的アクションプランが描けます。

目次

遺言の基本方式を比較解説

自筆証書遺言|手軽だが形式に注意

公正証書遺言|確実性と手続きの安心感

秘密証書遺言|公証人に存在だけ証明してもらう方式

特別方式遺言|緊急時に限られる例外的な遺言手段

信頼性比較|無効リスク・検認・改ざんの違い

無効リスク|形式ミスに最も注意が必要なのは自筆証書

検認の有無と手続き期間|自筆証書は遺言の執行が遅れやすい

改ざん・紛失リスク|保管方法の違いが信頼性を左右

まとめ|形式と保管の信頼性で選ぶなら「公正証書」か「法務局保管」

遺言の作成コストと手間を比較|自筆と公正証書の現実的な違いとは

公正証書遺言|確実性と円滑な実行に優れるが費用はかかる

自筆証書遺言|コストを抑えて今すぐ作れるが形式ミスに注意

実行コストにも違いあり|作成後にかかる費用とは?

まとめ|コストだけでなく実行時の円滑さも考慮を

資産規模・家族構成別のおすすめ遺言方式

事例1:金融資産1億円未満/相続リスクが低い 背景例:不動産や事業はなく、預貯金・有価証券が中心。家族関係は良好。

事例2:資産1〜5億円/公平分配が課題・未成年の相続人あり 背景例:資産が億単位で相続人が複数。中には未成年の子・孫も含まれる。

事例3:資産5億円超/事業承継・海外資産を含む 背景例:会社経営や複数の不動産を保有。海外資産や国際相続の要素も。

遺言作成タイミングと手順

ライフイベント別チェック

専門家を活用した遺言作成のすすめ

関与できる専門家とその役割

遺言の基本方式を比較解説

遺言書を残す際に最も重要なのは、「法的に有効な形式で作成すること」です。民法では複数の方式が認められていますが、実務でよく使われるのは「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3つです。

これに加え、病気や事故などで通常の方式が使えない場合に限り、「特別方式遺言」が例外的に認められることもあります。

それぞれに、作成の手間、費用、保管の安全性、秘匿性、死後の実行しやすさなどに違いがあります。

区分自筆証書遺言公正証書遺言秘密証書遺言特別方式遺言(危急時・隔絶地)
作成方法本文・日付・氏名を全て自筆で記載公証人が作成し、証人2名と立会い署名パソコン作成可。封印し公証人が「存在」を証明危急時:口述を証人3名以上が筆記/隔絶地:自筆で作成し立会人が署名
自書の要否本文は自書必須/目録のみ印刷可自書不要(口述でOK)本文すべて自書不要(代筆・印刷OK)危急時:不要/隔絶地:原則自書が必要
保管方法自宅保管 or 法務局保管制度公証役場に原本保管本人が原本を自己保管原本保管の定めなし(実務では証人等が保持)
検認の要否必要(※法務局保管時は不要)不要必要危急時は「確認」が20日以内に必要
費用の目安無料(法務局保管:3,900円)数万円〜十数万円(+証人謝礼)公証人立会費+証人謝礼:数万円程度特になし(証人確保・家庭裁判所申立てが課題)
実務での利用度高い(特に法務局保管制度の開始以降)非常に高い(信頼性が高く広く活用)極めて少ないほぼ使用されない(緊急時限定)

自筆証書遺言|手軽だが形式に注意

自筆証書遺言は、遺言者が全文・日付・氏名をすべて自筆で書き、押印して作成する方式です。特別な用紙や筆記具は必要なく、費用もかからないため、最も手軽に作成できる遺言方式として広く利用されています。

一方で、法律で定められた形式要件をひとつでも満たさないと、たとえ遺言者の真意が明確でも無効と判断されるリスクがあります。具体的には以下のような不備に注意が必要です。

  • 日付の記載がない、または「吉日」など曖昧な表現
  • 押印の欠落(署名のみ、または印のみでは原則無効)
  • 本文が自書されていない(パソコン入力や代筆)
  • 訂正時の手続き不備(訂正箇所への署名・押印がない等)

なお、2019年の民法改正により、財産目録に限っては自書でなくても有効とされるようになりました。通帳や登記事項証明書のコピーなどを添付し、各ページに署名押印すれば、目録部分はパソコン作成でも認められます。ただし、相続人・遺産の指定など、遺言の本文は引き続き全文自筆が必要です。

さらに2020年には、法務局による「自筆証書遺言書保管制度」が開始され、作成した遺言書を公的に保管してもらうことが可能となりました。この制度を利用することで、紛失・改ざん・死後の発見漏れといったリスクを大幅に軽減できます。また、家庭裁判所での検認も原則不要となり、相続手続きを迅速に開始できるのも利点です(ただし、実際の相続手続きでは「遺言書情報証明書」や「遺言者の戸籍類」といった追加書類の提出が必要)

法務局への保管申請は遺言者本人が出頭し、手数料は3,900円。保管期間は死亡後150年間と長期にわたります。形式面に細心の注意を払いつつ、法務局保管制度を活用すれば、自筆証書遺言はコストと実行性を両立した現実的な選択肢となります。

公正証書遺言|確実性と手続きの安心感

公正証書遺言は、公証人の立会いのもとで作成される遺言です。遺言者が口頭で内容を述べ、公証人がその内容を記録し、遺言者・証人2名とともに署名・押印することで成立します。作成された原本は公証役場に厳重に保管され、遺言者には正本と謄本が交付されます。

最大の特徴は、方式の確実性と保管の安全性です。公証人は元裁判官や弁護士などの法律専門職であり、形式不備のリスクがほぼありません。また、公正証書遺言は検認不要であり、死亡後は謄本により速やかに相続手続きが可能です。

さらに全国の公証役場で遺言検索ができ、相続人が遺言の有無を確認することも可能です。公正証書遺言は費用(公証人手数料・証人謝礼など)がかかりますが、その分法的安定性・執行確実性が高く、実務でも広く利用されています。

高齢や病気で公証役場に出向けない場合は、公証人の出張対応も可能(別途費用要)。形式の確実さ、内容の実現性、手続きの円滑さを重視する方には最も信頼できる選択肢です。

秘密証書遺言|公証人に存在だけ証明してもらう方式

秘密証書遺言は、遺言の存在は証明しつつも、内容は秘密にしておきたい場合に用いられる方式です。遺言本文は自書でなくてもよく、パソコン作成や代筆でも構いません。遺言者が封筒に入れて封をし、公証人・証人2名とともに封紙に署名押印して成立します。

ただし、以下のような注意点があります。

  • 内容を公証人が確認しないため、法的に無効な遺言になる可能性がある
  • 原本は本人保管のため、紛失や破棄のリスクが残る
  • 法務局の保管制度は利用不可
  • 死亡後には家庭裁判所で検認が必要

形式の自由度や内容の秘匿性を重視した方式ですが、実務上の利用は極めて稀です。法的な安全性や執行の確実性に劣るため、「内容は秘密にしたいが自書が難しい」という特別な事情がない限り、現実的な選択肢とは言えません。

特別方式遺言|緊急時に限られる例外的な遺言手段

特別方式遺言は、通常の方法で遺言が残せない緊急時にのみ認められる例外的な方式です。大きく分けて「危急時遺言」と「隔絶地遺言」があり、いずれも限定的かつ一時的な効力しか持たず、実務上の利用は極めて稀です。

危急時遺言(死期が迫った場合)

病床などで死期が迫り、公正証書等の手続きが間に合わないときに認められます。証人3名以上の立会いのもと、口頭で伝えた内容を1名が筆記し、確認後に全員が署名押印します。作成後20日以内に家庭裁判所で確認を受けないと無効になります。

隔絶地遺言(外部と連絡が取れない環境)

検疫隔離・船舶航行中など社会から隔絶された状況で作成できる遺言です。遺言者が自筆で作成し、立会人(警察官・船長など)と証人の署名を得て成立します。ただし帰港や隔離解除後6か月以上生存すると無効になります。

※特別方式はいずれも「その場しのぎの最終手段」であり、形式や期間に厳格な制約があります。確実に遺志を残すには、通常方式(自筆・公正証書)での早めの作成が原則です。

信頼性比較|無効リスク・検認・改ざんの違い

遺言の方式によって、作成時の無効リスク、死後の実行スピード、改ざんや紛失のリスクに大きな差があります。ここでは、自筆証書遺言と公正証書遺言を中心に、信頼性の観点から3つの側面を比較します。

無効リスク|形式ミスに最も注意が必要なのは自筆証書

遺言は、法律で定められた形式に沿っていなければ無効になります。特に自筆証書遺言は単独で作成できる反面、以下のようなミスによる無効が多発しています。

  • 日付の記載が曖昧(例:「令和○年○月吉日」)
  • 署名または押印の欠落
  • 本文の一部または全部がパソコン作成(自書でない)
  • 訂正方法が法定手順に違反(署名押印なしの二重線等)

これら1つでも満たさなければ、法律上は「書かなかったのと同じ」扱いになります。

一方、公正証書遺言は、公証人が関与して形式チェックを行うため、形式的な無効はほぼ発生しません。無効となる可能性があるのは、以下のような例外ケースです。

  • 遺言者の判断能力(認知症など)が不十分だった
  • 遺言内容を公証人に口授していなかった(手続違反)
  • 証人に欠格者(受遺者やその親族など)が含まれていた

通常は、公証人の指導のもとで作成すれば、形式面の不備で無効になるリスクは極めて低くなります。

検認の有無と手続き期間|自筆証書は遺言の執行が遅れやすい

自筆証書遺言(法務局保管を除く)や秘密証書遺言では、相続開始後に家庭裁判所での「検認」が必要です。検認は、遺言の有効性を判断するものではなく、内容・状態を記録する形式確認の手続きです。

検認には申立書や戸籍などの準備が必要で、通常は申立てから1〜2か月後に期日が設定されます。この間、遺産分割や不動産登記などの手続きは進められません。

一方、「公正証書遺言」「法務局保管の自筆証書遺言」では検認は不要です。これらは、遺言者の死亡後すぐに遺言書を使って相続手続きに入れるため、スピードと実務効率に優れています。

改ざん・紛失リスク|保管方法の違いが信頼性を左右

保管方法改ざん・紛失リスク補足
自宅保管(自筆証書)高い火災・破棄・隠匿などの可能性
法務局保管(自筆証書)低い第三者の改ざん不可/死亡時通知サービスあり
公証役場保管(公正証書)最も低い原本は半永久的保管/全国検索対応
貸金庫・専門家保管中程度〜低め死後の開封に相続人全員の同意が必要な場合あり

相続相談を誰にすればいいか悩んでいるという方はこちらのQ&Aもご参照ください。

公正証書遺言は、公証役場で厳格に保管され、相続人が謄本を請求すれば全国どの公証役場でも検索できます。原本は公証人によって事実上半永久的に保存され、偽造・破棄のリスクは事実上ありません。

自筆証書遺言でも、法務局に保管すれば同等の安全性が得られます。死亡時には法務局から通知が届くしくみもあり、遺言が「発見されないまま無効になる」といった事態を防げます。

まとめ|形式と保管の信頼性で選ぶなら「公正証書」か「法務局保管」

  • 自筆証書遺言は作成コストが低いものの、形式ミス・検認・紛失のリスクが高め
  • 公正証書遺言は無効リスク・改ざんリスクが極めて低く、即実行可能
  • 法務局保管を活用すれば、自筆証書でも高い信頼性を確保できる

最終意思を確実に実現するには、「有効性・実行スピード・安全性」までを視野に入れた遺言方式の選択が大切です。

遺言の作成コストと手間を比較|自筆と公正証書の現実的な違いとは

遺言を残すには、「どの方式を選ぶか」で準備の手間や費用が大きく変わります。ここでは主に実務で利用される自筆証書遺言と公正証書遺言の2つを比較し、それぞれの作成コストや必要書類、作成期間、相続発生後にかかる実行コストまでをまとめます。

公正証書遺言|確実性と円滑な実行に優れるが費用はかかる

費用の目安(公証人手数料+遺言加算)

財産額に応じて以下のような費用がかかります(遺言加算11,000円を含む)

財産総額公証人手数料(概算)
1,000万円約28,000円
5,000万円約40,000円
1億円約54,000円
3億円約92,000円
10億円超20〜30万円台

加えて、証人2名の立会い報酬が1〜3万円程度(知人への謝礼〜司法書士への依頼まで幅あり)かかります。

準備書類と作成期間

戸籍謄本、印鑑証明書、不動産の登記事項証明書・評価証明書、財産リストなどが必要です。公証人との事前打ち合わせや証人手配を経て、通常2〜4週間程度、複雑な場合は1〜2か月を見込んでおくと安心です。

自筆証書遺言|コストを抑えて今すぐ作れるが形式ミスに注意

紙とペンがあれば即日作成可能かつ無料で始められる方式です。保管制度を利用する場合は、手数料3,900円で法務局に預けることができ、紛失や改ざんのリスクが下がります。

ただし本文は全文自書が必要で、日付・署名・押印のいずれかを欠くと無効になるため注意が必要です。保管制度を使う際は、本人確認書類や住民票の提出が求められ、予約から1〜2週間程度で手続きが完了します。

実行コストにも違いあり|作成後にかかる費用とは?

遺言書は、作成後の実行段階でもコストが発生します。主な内容は以下の通りです:

  • 検認手続き費用:自筆・秘密証書は検認が必要(法務局保管を除く)。印紙・切手代のほか、専門家に依頼すれば数万円〜十数万円。
  • 遺言執行者の報酬:専門家に任せると遺産総額の1〜3%が相場。信託銀行では最低100万円前後の場合も。

相続税申告の税理士報酬:申告が必要な場合は数十万円〜百万円超が一般的。

公正証書遺言は検認不要で、書式ミスもなく、手続きが迅速かつ確実に進む点が大きな強みです。自筆証書遺言はコストを抑えられる反面、検認や記載不備のリスクがあり、相続発生後に手間や争いが生じる可能性があります。

保険と相続税の非課税枠についてはこちらのQ&Aもご参照ください。

まとめ|コストだけでなく実行時の円滑さも考慮を

遺言方式作成費用目安メリット注意点
自筆証書無料〜3,900円(保管制度)手軽で低コスト、即日作成可能形式不備による無効・検認手続きあり
公正証書数万円〜十数万円検認不要・法的確実性が高く安心書類準備と費用・手間が一定かかる

形式だけでなく、内容の明確さや家族構成の複雑さも含めた総合的な視点で、最適な遺言方式を選ぶことが重要です。特に1億円以上の資産を保有する方や、相続人が複数いる場合は公正証書遺言が費用対効果の高い選択となります。

資産規模・家族構成別のおすすめ遺言方式

事例1:金融資産1億円未満/相続リスクが低い 背景例:不動産や事業はなく、預貯金・有価証券が中心。家族関係は良好。

おすすめ:自筆証書遺言+法務局保管制度

財産構成が比較的シンプルで、相続人同士の関係も円満な場合、自筆証書遺言で十分対応可能です。費用負担が軽く、思い立ったときに自分で作成・修正できる柔軟性が魅力です。なお、形式要件(日付・署名・押印)を守らないと無効になるため、最低限の書式ルールは厳守しましょう。

法務局の遺言書保管制度を併用すれば、紛失・改ざんを防げるうえ、家庭裁判所による検認も不要となります。費用は3,900円と手軽で、死亡時に相続人へ通知される設定も可能です。

たとえば「自宅は妻に、預金は子どもたちに均等に」といった分け方を記しておけば、法定相続分通りでない配分も問題なく行えます。また、兄弟や孫など相続人以外への遺贈も、遺言がなければ実現できません。家族が円満であっても、統計上、遺産分割調停の約3分の1は遺産1,000万円以下の事例で起きており、「揉めごとは資産の多寡に限らない」ことを踏まえて備えるべきです。

事例2:資産1〜5億円/公平分配が課題・未成年の相続人あり 背景例:資産が億単位で相続人が複数。中には未成年の子・孫も含まれる。

おすすめ:公正証書遺言+遺言執行者の指定

この規模になると、相続税や相続人間の利害対立が現実的なリスクになります。公正証書遺言なら、形式の不備による無効リスクを回避でき、かつ公証人との事前相談で適切な分配や遺留分への配慮も可能です。

未成年の相続人がいる場合は特に注意が必要です。遺言がないと、親が代理人となって行う遺産分割協議が「利益相反」となり、家庭裁判所で特別代理人を立てる手間が生じます。しかし、遺言で具体的な分け方が決まっていれば協議が不要となり、この問題を回避できます。

さらに、遺言執行者を定めておけば、執行者が相続手続きを代行可能となり、未成年者の名義変更・財産管理も円滑に進められます。金融資産や不動産が複数ある場合、専門家(弁護士・司法書士等)を執行者に指定しておくと安心です。

具体的な財産配分(例:「○○銀行の預金は長男、△△社の株式は長女」など)を明記することで、曖昧さをなくし、誤解やトラブルを防げます。また、付言事項として「家族が今後も仲良く過ごせるよう願っています」などメッセージを添えると、遺族間の心理的緊張を和らげる効果も期待できます。

遺留分制度の詳しい仕組みは以下の記事とQ&Aで解説しています。

事例3:資産5億円超/事業承継・海外資産を含む 背景例:会社経営や複数の不動産を保有。海外資産や国際相続の要素も。

おすすめ:公正証書遺言+遺言代用信託・家族信託の併用

超富裕層の場合、遺言書だけでは対応しきれない課題が複数発生します。たとえば、後継者への事業承継、相続税対策、複雑な財産構成や海外資産への対応などです。

公正証書遺言はこの層でも基本ですが、加えて「遺言代用信託」や「家族信託」の併用が効果的です。遺言代用信託を使えば、生前に契約で「死亡時に信託財産を○○に給付」と定めておくことができ、遺言書によらない円滑な資産移転が可能です。金融資産に限らず、法人持株や不動産に適用するケースもあります。

家族信託は、認知症対策や長期的な資産承継設計に有効です。たとえば、自分の死後も不動産の収益を配偶者が得られるようにしつつ、その後の承継先も指定する、といった柔軟な設計が可能です。

海外資産に関しては、現地法との整合を図る必要があり、現地遺言や多言語遺言(英文遺言など)を別途準備する必要があります。国際相続に精通した弁護士・税理士との連携が不可欠です。

このようなケースでは、公正証書遺言を軸としつつ、複合的なスキームで資産承継を立体的に設計する「ファミリーオフィス的な視点」が求められます。資産状況や法改正に応じた定期的な見直しも含め、長期にわたり一族の財産管理をサポートする体制が鍵となります

遺言作成タイミングと手順

最後に、遺言を書くべきタイミングや、専門家への相談の流れについて解説します。人生の節目ごとに遺言を検討・更新すること、そして遺言作成には法律や税務の専門家の力をうまく借りることがポイントです。

ライフイベント別チェック

人生では様々なイベントがあり、その都度相続に影響する状況変化が起こります。以下のライフイベントの際には、遺言の作成・見直しを検討しましょう。

結婚・出産

結婚すると配偶者が法定相続人となります。子供がいない夫婦では、夫が亡くなった場合、妻と夫の兄弟姉妹が相続人になるケースもあり(妻3/4、兄弟姉妹1/4)、配偶者に全財産を残したいなら遺言が必須です。

また離婚・再婚の場合も要注意です。前配偶者との間の子どもにも相続権がありますし、再婚相手との間に子がいないとその方の相続分は法律上は2分の1しか保証されません。結婚・離婚によって相続人が変わった際は、遺言を書き換えておくべきです。

出産は言わずもがな大きな転機です。お子さんが生まれたら、その子にどの財産を残したいか、配偶者とのバランスはどうするかを考えます。特に未成年の子を残して親が亡くなるときは、信頼できる配偶者や親族に遺言で後見人を指定しておくこともできます(家庭裁判所の選任において考慮されます)。

万一夫婦ともに事故等で死亡する場合を想定し、子の親権者(後見人)や教育資金の管理方法について遺言書に付言しておくことも可能です。出産後は将来に備え、早めに遺言を書くことが子への愛情の一つと言えます。

事業承継計画

事業をお持ちの方(中小企業オーナーや自営業者など)は、遺言と事業承継計画をセットで考える必要があります。会社の株式や事業用資産を誰に引き継ぐかは極めて重要で、遺言がないと相続人全員の共有になって事業が停滞しかねません。

後継者に集中して承継させたいなら遺言で明確に株式等をその人に相続させる旨を定めましょう。加えて、生前から事業承継税制の活用や後継者教育、他の相続人への代償の準備などを進めることになります。

遺言書だけで事業承継が完結するわけではありませんが、遺言書は承継計画の重要な柱です。後継者以外の相続人には会社に関与しない代わりに他の資産を多めに渡す、といったバランス調整も必要でしょう。

また、経営者が高齢の場合、判断能力が低下する前に家族信託や任意後見契約を結び、経営権や財産管理権限を信頼できる人に委ねておくことも検討すべきです。遺言は亡くなってから効力を発揮しますが、その前に認知症などになってしまうと遺言すら作れなくなります。事業承継の観点では、「遺言+生前対策」で万全を期すのが理想です。

海外移住・帰国

海外に移住した場合や長年居住する場合、自身の相続に関する準拠法(適用される国の法律)が変わる可能性があります。例えば日本国籍でもアメリカ永住者であれば、遺産分割は米国法の影響を受けることがあります。

また海外に不動産や金融資産を持っている場合、それぞれの国で法的な手続きを踏まねばなりません。こうした国際的ケースでは、各国で有効な遺言書を整備することが重要です。日本の遺言書を英文翻訳公証して海外で使うこともできますが、国によっては現地方式の遺言を別途作った方がよい場合もあります。たとえば米国の州法に則った遺言、または生前信託を活用するなどです。海外資産について日本の遺言でカバーできるかは専門家に確認しましょう。

帰国して日本に資産を移した場合も、以前に海外で作成した遺言書との整合性に注意が必要です。複数の遺言書があるとき、内容に抵触すると新しい遺言が古い遺言を撤回したものとみなされます。

異なる国で作成した遺言同士が干渉しないよう、どの遺言書がどの財産について有効かを明確にしておく必要があります。国際相続は専門知識が要求されますので、海外資産に詳しい弁護士・信託銀行などに相談しながら遺言・信託の組み立てをすることが大切です。

いずれにせよ、ライフイベントの節目ごとに「私にもしものことがあったら…」と考えてみて、状況に即した遺言が用意されているか確認しましょう。遺言は一度書いたら終わりではなく、何度でも書き直し・撤回が可能です。むしろ環境の変化に合わせアップデートしていくものだと考えてください。定期的なメンテナンスが、いざというとき家族を守る安心につながります。

専門家を活用した遺言作成のすすめ

遺言書を確実かつ効果的に残すには、専門家のサポートを得ることが重要です。ここでは、関与し得る専門家の役割と、ワンストップ型・個別依頼型それぞれの特徴について解説します。

関与できる専門家とその役割

司法書士

書類作成と不動産登記のプロ 司法書士は、不動産の名義変更や法人登記に強みを持つ専門家で、特に不動産を含む遺言作成に適しています。公正証書遺言の証人や文案作成の補助を担う司法書士も多く、費用が比較的手頃で地域密着型の対応が魅力です。ただし、法的判断や相続トラブルの代理交渉は行えません。

弁護士

相続トラブル予防と複雑事案の支援 弁護士は、相続全般のリーガルサポートが可能で、争いの予防から調整・訴訟対応まで一貫して対応できます。遺言文案の作成、公証人との折衝、相続税への配慮まで踏み込んだ提案が可能です。費用は高めですが、特に紛争リスクのある家庭や、遺言執行まで依頼したい場合には心強い存在です。

行政書士

手続き支援に特化した柔軟な窓口 行政書士は訴訟代理権は持ちませんが、公正証書遺言の作成支援や手続き代行(戸籍収集・証人手配など)に長けています。費用を抑えつつ、書類面での細やかな支援が必要な場合に適しています。高齢者支援に注力する事務所もあり、後見契約との併用も可能です。

税理士

相続税対策と遺産分割の税務判断 資産規模が大きい方には、税理士の関与が欠かせません。遺言の内容によって相続税額が変わるため、分割シミュレーションや節税策の提案は不可欠です。土地や非上場株式の評価を含めた包括的な支援が可能で、相続税申告を含めた遺言執行に対応する税理士法人も増えています。

信託銀行

安心感と一貫支援の「遺言信託」 信託銀行は「遺言信託」として、公正証書遺言の作成支援から保管・執行までを一括提供するサービスを展開しています。専門家チームによるドラフト作成や証人手配、作成当日の立会いから遺産整理まで任せられる点が特長です。費用は高額(保管料・執行報酬など)ですが、安心を重視する方には有力な選択肢です。

遺言信託について以下の記事で詳しく解説しています。

ワンストップ型と個別依頼型の違い

信託銀行や大手士業事務所による「遺言フルサポートサービス」は、作成から保管、執行までを一括して任せられるワンストップ型の支援です。依頼者は希望を伝えるだけで手続きが進み、専門家チームによる対応で抜け漏れも防げます。特に資産が大きい方や高齢者にとっては、手間をかけず安心感を得られる点が魅力です。ただし、費用は高めで、信託銀行によっては資産運用商品の提案が付随することもあります。

一方、個別依頼型では、税務は税理士、文案は弁護士、公正証書作成は司法書士といった形で、必要な業務ごとに専門家を選んで依頼します。費用を抑えやすく、信頼できる専門家に相談できる利点がありますが、専門家間の調整や情報共有は依頼者自身が行う必要があります。

どちらを選ぶかは、資産状況や希望する関与度によります。資産1億円以上の方や複雑な相続を想定する方は、まず信託銀行の無料相談で提案内容を確認して比較検討するのが有効です。比較的シンプルな相続で費用を抑えたい場合は、司法書士や行政書士への個別依頼が現実的です。公証人役場の事前相談も活用できるため、段階的な準備も可能です。

よくある質問(FAQ)

この記事のまとめ

遺言方式選びは「コスト」「無効リスク」「実行スピード」の三点比較が要となります。自筆証書でも保管制度を活用すれば実務性が高まり、公正証書は費用を上回る安心と迅速性を提供します。ご自身の資産規模と家族構成を踏まえ、定期的な見直しと専門家への早めの相談を行うことで、相続発生後の手続き遅延や紛争を最小化できます。記事で示したチェックポイントを今日からメモし、次の休日に公証役場や信託銀行の無料相談を予約してみてください。早期に動くほど選択肢は広がり、家族へのメッセージも余裕をもって練ることができます。

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自筆証書遺言とは、遺言者ご本人が遺言書の全文・日付・氏名を自筆し、押印することで成立する最も手軽な遺言方式です。公証役場に出向く必要がないため費用を抑えられる一方、書式の不備や保存中の紛失・偽造リスクがあるほか、相続開始後には家庭裁判所で検認を受けなければ法的効力が発揮されない点に注意が必要です。近年は法務局での自筆証書遺言の保管制度も始まり、保管と検認手続きが簡素化されるなど利用しやすさが向上していますが、内容の法的妥当性を確保するためには、作成前に専門家へ相談することをおすすめいたします。

公正証書遺言

公正証書遺言とは、公証人が本人の意思に基づいて作成する遺言書で、遺言の中でも最も法的な信頼性と実効性が高い形式とされています。作成にあたっては、公証役場にて遺言者が口頭で内容を伝え、それを公証人が文書にまとめ、証人2名の立会いのもとで公正証書として正式に成立します。 この方式の最大の特徴は、家庭裁判所による検認手続きが不要である点です。つまり、相続開始後すぐに法的に効力を持つため、遺族による手続きがスムーズに進むという実務上の大きな利点があります。また、公証人による作成と原本保管によって、遺言の紛失や改ざん、内容不備といったリスクも大幅に軽減されます。 一方で、公正証書遺言の作成には一定の準備が必要です。財産の内容を証明する資料(不動産登記簿謄本や預金通帳の写しなど)や、相続人・受遺者の戸籍情報などが求められます。また、証人2名の同席も必須であり、これには利害関係のない成人が必要とされます。公証役場で証人を紹介してもらえるケースもありますが、費用が別途発生することもあります。 費用面では、遺言に記載する財産の価額に応じた公証人手数料がかかりますが、将来のトラブル回避や手続きの簡素化といったメリットを考えれば、特に財産規模が大きい場合や、遺産分割に不安がある家庭では非常に有効な手段と言えるでしょう。 資産運用や相続対策において、公正証書遺言は重要な役割を果たします。特定の資産を特定の人に確実に引き継がせたい場合や、相続人間の争いを未然に防ぎたい場合には、公正証書遺言を活用することで、遺言者の意思を明確かつ安全に残すことができます。

秘密証書遺言

秘密証書遺言とは、遺言者が自ら作成した遺言書を封筒に入れて封じたうえで、公証役場で公証人と証人2名の立ち会いのもと封印・署名し、その存在だけを公正証書で証明してもらう方式の遺言です。内容を誰にも開示せずに作成できるため、生前は遺言の詳細を徹底的に秘密にしたい場合に適しています。 一方で、封をしたままでは書式の不備や法律上の要件欠如が発見しづらく、相続開始後には家庭裁判所で検認手続きを受けて初めて開封されるため、迅速な遺言執行が難しいというデメリットもあります。偽造や紛失のリスクを公正証書による存在証明で抑えつつ、内容を秘匿したいというニーズに応える方式と言えます。

特別方式遺言

特別方式遺言とは、災害や事故、病気などによって通常の方法で遺言を作成することが困難な状況にあるときに、例外的に認められる遺言の作成方法です。たとえば、死が間近に迫っているときや、船舶や航空機の中など隔離された状況下であっても、その場にいる証人の立ち会いのもとで口頭で遺言を伝えることが可能です。ただし、この特別方式による遺言は、厳しい条件や手続きが定められており、一定期間内に家庭裁判所での確認や検認が必要になります。緊急時の手段ではありますが、法的効力を持つため、適切な形式と証人の確保が重要です。

検認手続き

検認手続きとは、遺言書が見つかった際に家庭裁判所がその形状や日付、署名押印などの状態を確認し、改ざんや偽造の防止を図るための公的な手続きです。これは遺言の内容を有効と認める審査ではなく、あくまで遺言書の存在と原本の保全を目的とするものですが、検認を経ないまま遺言を執行すると過料の対象となるため注意が必要です。公正証書遺言では不要ですが、自筆証書遺言と秘密証書遺言では相続開始後に相続人が家庭裁判所へ申し立てを行い、開封の立ち会いや写しの作成を受けて初めて遺言内容を実行できる流れとなります。

遺言執行者

遺言執行者とは、遺言書に記された内容を実際に実行するために選任される人物で、相続財産の名義変更や不動産の登記、銀行預金の払戻し、相続人への遺産分配などを法的権限をもって行います。遺言書であらかじめ指名しておくことができ、相続開始後は家庭裁判所の選任状を受けて職務を開始します。 遺言執行者がいると、相続人全員の同意を都度取り付ける手間が省け、紛争を避けながら遺言の内容を迅速かつ確実に履行できるメリットがあります。一方、職務に必要な費用や報酬は相続財産から支払われるため、事前に相続人へ説明しておくことが望ましいです。

遺言代用信託

遺言代用信託とは、生前に財産を信託銀行や信託会社などに預け、亡くなった後にその財産を指定された人に引き渡すようあらかじめ契約しておく仕組みのことです。これは、遺言書を作成せずとも、財産の引き継ぎを確実に行える方法として利用されます。契約内容には、誰に・いつ・どのような形で財産を渡すかを明記でき、生前の間も財産を活用しながら、死後の円滑な相続や資産承継が可能になります。特に高齢者や一人暮らしの方が、自身の意思を明確に反映させた財産管理を行う手段として注目されています。

家族信託

家族信託とは、ご自身の財産を信頼できる家族に託し、その管理や運用を契約で定めた目的に沿って行ってもらう仕組みです。委託者さまは公正証書で信託契約を締結し、現金や不動産、株式などを信託財産として受託者名義に移転します。これにより、たとえ将来認知症を発症されても資産が凍結されず、受益者さまへ生活費や医療費を継続して届けられる点が大きなメリットです。相続発生後は受益権そのものが相続対象となるため、遺産分割協議を簡素化できる効果も期待できます。 もっとも、家族信託には手続きと費用が伴います。不動産を組み入れる場合は信託登記が必要となり、登録免許税や司法書士報酬、公証人手数料が発生いたします。また、受託者さまは信託口座の開設、収支報告書の作成、信託財産とご自身の財産の分別管理など、煩雑な事務を担う義務があります。税務面では契約締結時に贈与税が課税されることは原則ございませんが、信託財産を売却した際の譲渡所得税や信託終了時の相続税は避けられません。そのため、成年後見制度や遺言信託と比較しながら、費用対効果や家族の負担を総合的に検討することが大切です。

公証人

公証人とは、国から任命され、法的に重要な文書の作成や認証を行う専門職のことを指します。公証役場という専用の事務所で業務を行い、契約書、遺言、公正証書などの作成を通じて、個人や法人の権利関係を明確にし、将来の紛争を予防する役割を果たします。特に「公正証書」は、公証人が関与することで強い証拠力と法的拘束力を持ち、万が一のトラブル時には裁判を経ずに強制執行できることもあります。 公証人になるのは、原則として長年の実務経験を積んだ裁判官、検察官、弁護士などで、高度な法律知識が求められます。資産運用や相続、事業承継などの場面でも公証人による書類作成は信頼性と安全性を高めるために活用されることが多く、法的トラブルのリスクを軽減するための心強い存在です。

法務局保管制度

法務局保管制度とは、遺言書を作成した人が、自分の死後に確実に内容が実行されるよう、法務局にその遺言書を保管してもらう制度です。2020年7月から始まったこの制度では、自筆で書いた遺言書を法務局に提出し、専門の職員が形式的なチェックを行ったうえで、原本を厳重に保管してくれます。これにより、遺言書の紛失や改ざん、家庭裁判所での検認が不要になるといったメリットがあり、より確実かつ安全に遺言の意思を残す手段として注目されています。特に高齢者の相続準備や財産の引き継ぎを円滑に進めるために有効な方法です。

贈与税

贈与税とは、個人が他の個人から金銭・不動産・株式などの財産を無償で受け取った際に、その受け取った側(受贈者)に課される税金です。通常、年間110万円の基礎控除を超える贈与に対して課税され、超過分に応じた累進税率が適用されます。 この制度は、資産の無税移転を防ぎ、相続税との整合性を保つことを目的として設けられています。特に、親から子へ計画的に資産を移転する際には活用されることが多く、教育資金や住宅取得資金などに関しては、一定の条件を満たすことで非課税となる特例もあります。 なお、現在は「暦年課税」と「相続時精算課税」の2制度が併存していますが、政府は近年、相続税と贈与税の一体化を含めた制度改正を検討しており、将来的に制度の選択肢や非課税枠、課税タイミングが見直される可能性があります。 こうした背景からも、贈与税は単なる一時的な贈与の問題にとどまらず、長期的な資産承継や相続対策の設計に深く関わる重要な制度です。税制の動向を踏まえた上で、専門家と連携しながら最適な活用方法を検討することが求められます。

戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)

戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)とは、日本における家族関係を公的に証明する書類で、本籍地の市区町村役場で管理・発行されています。 相続手続きでは、誰が法定相続人であるかを確認するために必要不可欠な書類です。被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍をすべて取得することで、配偶者・子ども・親・兄弟姉妹など、関係する相続人を明らかにできます。 戸籍は複数の場所に分かれていることもあるため、「戸籍の取り寄せ」は相続手続きの最初のステップとして重要です。

登記事項証明書

登記事項証明書とは、不動産登記簿に記載されている内容を証明するための公的な書類で、法務局が発行します。以前は「登記簿謄本」とも呼ばれていました。記載されている内容には、不動産の所在地や面積、所有者の氏名、抵当権などの権利関係が含まれており、不動産の法的な状態を確認するために不可欠な書類です。 不動産の売買、相続、担保設定などの取引において、権利関係が正確であるかどうかを確認するために提出が求められることが一般的です。オンラインでの取得も可能で、「全部事項証明書」と「現在事項証明書」の2種類があり、必要に応じて使い分けます。不動産の安全な取引や登記手続を行ううえで、信頼性の高い情報源として活用される非常に重要な書類です。

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