ソフトバンク社債が危険と言われるのはなぜ?
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2025/05/21 10:39
男性
60代
「ソフトバンク社債 危険」と検索すると少し不安になる情報が出てきます。なぜソフトバンクの社債は危険と言われるのでしょうか?高い利回りなのに注意が必要な理由や、会社の経営状況との関係をわかりやすく教えてください。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
ソフトバンク社債が「危険」と言われる背景には、発行体であるソフトバンクグループ(SBG)の特殊な事業構造と財務体質があります。SBGは安定収益を生む通信会社とは異なり、レバレッジ(借入依存度)の高い投資持株会社として、未上場スタートアップや上場株式への投資に大きく依存しています。そのため、株式市場の変動や投資先の評価損益によって業績が大きく振れやすく、通信子会社のような安定的なキャッシュフローは期待しにくい構造です。
2025年3月期末時点で約28.5兆円にのぼる有利子負債を抱え、金利上昇・株価調整・円安といった要因が重なれば、利払い負担と投資損の双方が一気に表面化するリスクがあります。加えて、SBGは持株会社であるため、通信子会社やArmなどのキャッシュフローに直接アクセスしにくい「構造的劣後性」も抱えており、社債の返済余力は見かけ以上に限定的です。
このようなリスクに対する評価は格付機関でも分かれており、国内格付会社はA格を維持する一方、S&P(BB+)やMoody’s(Ba3)はジャンク債と位置付けています。高い利回りは魅力的に映るものの、それはこうしたリスク要因に対するプレミアムであり、安全性の裏付けではありません。
ソフトバンク社債に限らず、個別商品に投資する際には、資産全体とのバランスや目的に照らしてリスク許容度を慎重に見極める必要があります。「投資のコンシェルジュの無料相談」では、特定の商品を販売しない中立的な立場から、あなたの資産状況に応じた冷静な判断をサポートしています。迷ったときは、一人で抱え込まず、ぜひ専門家の意見を取り入れてみてください。
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社債
社債とは、企業が事業資金を調達するために発行する「借金の証書」のようなものです。投資家は社債を購入することで企業にお金を貸し、その見返りとして、あらかじめ決められた利息(クーポン)を一定期間ごとに受け取ることができます。満期が来れば、企業は投資家に元本を返済します。 銀行からの融資とは異なり、社債は不特定多数の投資家から直接資金を集める方法であり、企業にとっては柔軟かつ効率的な資金調達手段です。 投資家にとって社債の魅力は、株式に比べて価格の変動が小さく、定期的な利息収入が得られる点にあります。一方で、発行体である企業が経営破綻した場合、元本が戻らないリスクがあるため、信用格付けや業績などを十分に確認することが重要です。 安定的な収益を目指しつつ、リスク管理も重視する投資家にとって、社債はポートフォリオの中核を担いうる資産クラスのひとつです。
レバレッジ
レバレッジとは、借入金や証拠金取引など外部資金を活用して自己資本以上の投資規模を実現する手法です。利益の拡大が期待できる一方、市場の下落や金利の変動で損失が膨らみやすく、追加証拠金(追証)が必要になる場合やロスカットが発生するリスクも高まります。 また、借入金利や手数料などのコストが利益を圧迫する可能性があるため、ポジション管理やヘッジ手法を含めたリスク管理が不可欠です。レバレッジによる損益変動幅が大きくなることで精神的な負担も増えやすい点にも注意が必要です。最終的には、投資目的やリスク許容度を考慮し、適切なレバレッジ水準を設定することで、資産運用の効率を高めつつリスクを抑えることが重要となります。
キャッシュフロー
お金の流れを表す言葉で、一定期間における「お金の収入」と「支出」を指します。投資や経済活動では特に重要な概念で、現金がどれだけ増えたか、または減ったかを把握するために使われます。キャッシュフローは大きく3つに分かれます。 1つ目は本業による収益や費用を示す「営業キャッシュフロー」、2つ目は資産の購入や売却に関連する「投資キャッシュフロー」、3つ目は借入金や配当などの「財務キャッシュフロー」です。 キャッシュフローがプラスであれば手元にお金が増えている状態、マイナスであれば減っている状態を示します。これを理解することで、資産の健全性や投資先の実態を見極めることができ、初心者でも資金管理や投資判断の基礎として役立てられます。
ボラティリティ
ボラティリティは、投資商品の価格変動の幅を示す重要な指標であり、投資におけるリスクの大きさを測る目安として使われています。一般的に、値動きが大きい商品ほどそのリスクも高くなります。 具体的には、ボラティリティが大きい商品は価格変動が激しく、逆にボラティリティが小さい商品は価格変動が穏やかであることを示します。現代ポートフォリオ理論などでは、このボラティリティを標準偏差という統計的手法で数値化し、それを商品のリスク度合いとして評価するのが一般的です。このため、投資判断においては、ボラティリティの大きい商品は高リスク、小さい商品は低リスクと判断されます。
有利子負債
有利子負債とは、利息を支払う義務がある借入金や社債などの負債のことを指します。企業が銀行からお金を借りたり、社債を発行して資金調達を行った場合、その借金には利息を支払う必要があり、これが有利子負債にあたります。資産運用の場面では、企業の財務の健全性を判断するために有利子負債の額や返済能力が注目されます。借金が多すぎる企業は、景気の悪化時に財務リスクが高まる可能性があるため、投資判断において注意が必要です。
ジャンク債
ジャンク債とは、信用格付け機関によって投機的格付けと評価された債券であり、デフォルトリスクが高いが、高い利回りが期待できる特徴を持つ。通常、S&PでBB+以下、ムーディーズでBa1以下の格付けが該当する。ジャンク債は、企業の財務状況が不安定な場合や、新興企業が資金調達を行う際に発行されることが多い。高い利回りを求める投資家にとって魅力的な選択肢となるが、市場の変動や発行体の経営状況に大きく影響されるため、慎重なリスク管理が必要である。