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米国債のゼロクーポン債にはどんなメリットがありますか?

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2025/08/09 08:19

債券投資
債券投資

男性

30代

question

米国債に興味があるのですが、利息が出ないゼロクーポン債というものがあると知りました。具体的にどのようなメリットがある米国債か教えて下さい。


回答

佐々木 辰

株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長

米国のゼロクーポン債(STRIPS)は、利息の支払いがなく、満期日に額面金額を一括で受け取る債券です。この特徴により、他の利付債券にはないメリットがいくつかあります。

まず、再投資リスクがないという点が大きな特徴です。利付債は定期的に利息を受け取るため、その都度その資金を再運用する必要がありますが、ゼロクーポン債は満期まで一切の利息支払いがなく、最終的に決まった金額を受け取るだけなので、投資時点で利回りが確定し、再投資のリスクが発生しません。将来の教育資金や住宅購入資金など、特定の時点での支出に備える目的での運用に向いています。

また、金利が下がった場合に価格が大きく上がるというメリットもあります。ゼロクーポン債は将来のキャッシュフローがすべて満期に集中しているため、金利の変化に対する価格の感応度(デュレーション)が非常に高くなります。金利が低下する局面では、利付債よりも大きく値上がりし、キャピタルゲインを得るチャンスが高まります。

さらに、信用リスクの低さも魅力です。STRIPSはもともと米国財務省が発行した利付国債を元にしており、米国政府の信用を背景としています。そのため、元本の返済に対する信頼性が非常に高く、安全資産としての位置付けがあります。

購入価格が割安に見える点も、初心者には分かりやすいポイントです。たとえば、10年後に1,000ドルを受け取れるゼロクーポン債を、今700ドル前後で買うといった形になります。将来の受取金額が決まっているため、投資成果がイメージしやすく、購入のハードルが低く感じられます。国内証券会社では100ドル単位から購入できる場合もあり、少額から始めることも可能です。

加えて、長期ポートフォリオの分散効果を高める点も見逃せません。ゼロクーポン債は株式と異なる値動きをするため、株式と組み合わせることで資産全体のリスクを抑えることができます。特に、株式市場が下落する局面で米国債が上昇する傾向があるため、リスク分散に有効です。

さらに、日本の個人投資家であれば、ゼロクーポン債をNISAの成長投資枠や特定口座で保有することもできます。配当がないため、利金課税や複雑な税務処理がなく、シンプルな管理が可能です。売却時の譲渡益に対する課税のみを意識すれば良いため、初心者にも扱いやすい商品と言えるでしょう。ただし、外貨建て商品であるため、為替リスクには注意が必要です。

一方で、注意点もあります。途中売却する場合は、金利上昇によって大きく値下がりする可能性があり、保有期間によっては大きな価格変動を経験するかもしれません。また、米国居住者には毎年の利息相当額に課税されるルールがありますが、日本居住者は基本的に譲渡益課税のみで済みます。

このように、米国ゼロクーポン債は、将来の明確な資金ニーズに備えたい初心者にとって、わかりやすくリスクの取り方も限定的な商品です。長期目線での運用を前提に、為替や保有期間とのバランスを考えて活用すれば、資産運用の選択肢として十分に検討する価値があります。

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関連する専門用語

ゼロクーポン債

ゼロクーポン債とは、利息の支払いが一切なく、額面よりも安い価格で購入し、満期時に額面金額を受け取るタイプの債券です。「ゼロクーポン」という名前のとおり、通常の債券のように定期的に利息(クーポン)を受け取ることはありません。その代わりに、割引された価格で買い、満期まで保有することで、その差額が実質的な利益となります。たとえば、額面が100万円のゼロクーポン債を90万円で購入し、満期に100万円を受け取れば、10万円が利回りとなります。利息の再投資を考える必要がなく、運用がシンプルであることから、将来の資金用途が明確な場合や、確定した金額を一定期間後に受け取りたい場合に適しています。ただし、金利の変動による価格の変化が大きいため、途中で売却する場合にはリスクがあることも理解しておくことが大切です。

米国債

米国債とは、アメリカ合衆国政府が発行する債券で、政府が資金を調達するために投資家からお金を借りる手段として利用されます。一般に「トレジャリー」や「米国財務省証券」とも呼ばれ、発行元がアメリカ政府であることから、世界的に見ても非常に高い信用力を持つ安全資産とされています。 米国債には、短期のT-Bill(1年未満)、中期のT-Note(2〜10年)、長期のT-Bond(20〜30年)などの種類があり、いずれも固定利付で定期的に利息が支払われ、満期時に元本が償還されます。米国の金利動向に基づいて利回りが決まるため、低金利が続いている日本と比べて、米国債の利回りが高いケースが多くなっています。 ただし、日本の投資家が米国債に投資する際には、米ドル建てであるため為替リスク(円高による損失)がある点には注意が必要です。また、金利が上昇すると既発債券の価格が下がるといった価格変動リスクも存在します。 米国債は日本国内の証券会社を通じて購入可能であり、市場規模が大きく流動性も高いため、初心者にも比較的取引しやすい資産といえます。

利回り

利回りとは、投資で得られた収益を投下元本に対する割合で示し、異なる商品や期間を比較するときの共通尺度になります。 計算式は「(期末評価額+分配金等-期首元本)÷期首元本」で、原則として年率に換算して示します。この“年率”をどの期間で切り取るかによって、利回りは年間リターンとトータルリターンの二つに大別されます。 年間リターンは「ある1年間だけの利回り」を示す瞬間値で、直近の運用成績や市場の勢いを把握するのに適しています。トータルリターンは「保有開始から売却・償還までの累積リターン」を示し、長期投資の成果を測る指標です。保有期間が異なる商品どうしを比べるときは、トータルリターンを年平均成長率(CAGR)に換算して年率をそろすことで、複利効果を含めた公平な比較ができます。 債券なら市場価格を反映した現在利回りや償還までの総収益を年率化した最終利回り(YTM)、株式なら株価に対する年間配当の割合である配当利回り、不動産投資なら純賃料収入を物件価格で割ったネット利回りと、対象資産ごとに計算対象は変わります。 また、名目利回りだけでは購買力の変化や税・手数料の影響を見落としやすいため、インフレ調整後や税控除後のネット利回りも確認することが重要です。複利運用では得た収益を再投資することでリターンが雪だるま式に増えますから、年間リターンとトータルリターンを意識しながら、複利効果・インフレ・コストを総合的に考慮すると、より適切なリスクとリターンのバランスを見極められます。

デュレーション

デュレーションは、債券価格が金利変動にどれほど敏感かを示す指標で、同時に投資資金を回収するまでの平均期間を意味します。 一般に「Macaulay デュレーション」を年数で表し、金利変化率に対する価格変化率を示す「修正デュレーション」は Macaulay デュレーションを金利で割って算出します。 数値が大きいほど金利 1 %の変動による価格変動幅が大きく(例:修正デュレーション 5 年の債券は金利が 1 %上昇すると約 5 %値下がり)、金利リスクが高いと判断できます。一方で金利が低下すれば同じ倍率で価格は上昇します。デュレーションを把握しておくことで、ポートフォリオ全体の金利感応度を調整したり、将来のキャッシュフローと金利見通しに応じて保有債券の残存期間やクーポン構成を選択したりする判断材料になります。特に金利の変動が読みにくい局面や長期安定運用を重視する場面では、利回りだけでなくデュレーションを併せて確認することが重要です。

再投資リスク

再投資リスクとは、債券や定期預金などの満期時に、元本や利息を再投資しようとした際に、当初よりも低い金利環境でしか運用できないリスクを指す。特に低金利時代には、満期を迎えた資産を同等の収益率で再投資することが難しくなり、将来の収益が減少する可能性がある。長期投資ではこのリスクを考慮し、分散投資や運用期間の調整が重要となる。

為替リスク

為替リスクとは、異なる通貨間での為替レートの変動により、外貨建て資産の価値が変動し、損失が生じる可能性のあるリスクを指します。 たとえば、日本円で生活している投資家が米ドル建ての株式や債券に投資した場合、最終的なリターンは円とドルの為替レートに大きく左右されます。仮に投資先の価格が変わらなくても、円高が進むと、日本円に換算した際の資産価値が目減りしてしまうことがあります。反対に、円安が進めば、為替差益によって収益が増える場合もあります。 為替リスクは、外国株式、外貨建て債券、海外不動産、グローバルファンドなど、外貨に関わるすべての資産に存在する基本的なリスクです。 対策としては、為替ヘッジ付きの商品を選ぶ、複数の通貨や地域に分散して投資する、長期的な視点で資産を保有するなどの方法があります。海外資産に投資する際は、リターンだけでなく、為替リスクの存在も十分に理解しておくことが大切です。

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