事実婚でも配偶者の扶養に入ることはできますか?
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2025/09/04 09:09
男性
50代
事実婚関係にある場合でも、法律上の配偶者と同様に扶養に入れるのでしょうか?特に、税金面での配偶者控除や健康保険での被扶養者認定に影響があるのか教えて下さい。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
事実婚であっても、条件を満たせば配偶者の扶養に入ることは可能です。ただし、税金面と社会保険面では扱いが異なるため、それぞれ確認する必要があります。
まず、税金面(配偶者控除・配偶者特別控除)についてです。原則として、これらの制度は法律上の婚姻関係があることが前提となります。そのため、事実婚関係の場合は対象外となり、配偶者控除や配偶者特別控除を受けることはできません。ただし、生計を一にしている場合には、条件を満たせば「扶養親族」として扶養控除を受けられる可能性があります。この場合も、年齢や所得制限といった要件を満たす必要があります。
次に、社会保険(健康保険・厚生年金の扶養認定)についてです。事実婚であっても「内縁の配偶者」として被扶養者に認定されるケースがあります。たとえば、健康保険組合や協会けんぽでは、住民票で同居を確認できることや、生活費の扶養関係を証明する資料(送金記録や生活費の負担割合を示す書類など)を提出すれば、認定されることがあります。ただし、年収130万円未満であること、かつ被保険者の収入の1/2未満であることなど、収入基準を満たすことが条件になります。
実際に手続きを行う際には、事実婚を証明するために、住民票の同一世帯記載、連名での公共料金明細や賃貸契約書などを準備しておくことが重要です。また、健康保険組合ごとに必要書類や審査の基準が異なるため、加入している組合に事前に確認することをおすすめします。
まとめると、税制上は法律婚に比べて制約が多く、控除を受けにくい一方で、社会保険上は比較的柔軟に扶養認定を受けられる可能性があります。事実婚で扶養を考える場合は、この違いを理解した上で準備を進めることが大切です。
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内縁関係(事実婚)
内縁関係(事実婚)とは、法律上の婚姻届を提出していないものの、社会的・実質的には夫婦として共同生活を営んでいる関係を指します。お互いに結婚の意思を持ち、継続的に同居し、家計や生活を共にしている場合、一定の法的効果が認められることがあります。裁判所は、その実態に基づいて、内縁関係の成立と効力を判断します。 たとえば、生活費の分担義務や内縁解消時の財産分与、慰謝料請求、さらには労災や生命保険における遺族補償の受給資格など、法律婚に準じた取り扱いを受ける場面もあります。また、健康保険の被扶養者や国民年金の第3号被保険者として認められる場合もあります。 しかし、内縁関係はあくまで法律上の「婚姻」ではないため、相続や税制上の扱いには明確な限界があります。内縁の配偶者には法定相続権がなく、遺産を受け取るには遺言や信託契約などによる明示的な指定が必要です。また、相続税における配偶者控除(最大1億6,000万円)や、所得税の配偶者控除・配偶者特別控除といった優遇措置も原則として適用されません。 このため、内縁関係にある当事者が安心して暮らし続けるには、生前からの明確な財産承継対策が不可欠です。公正証書遺言の作成、信託スキームの活用、生命保険金の指定などを通じて、遺産の受け渡しや税負担への備えを整えておくことが重要です。 なお、同居期間や関係の安定性、家計の一体性などが不十分な場合、内縁としての法的保護が否定されることもあり得るため、形式にとらわれない実質的な関係性の証明が重視されます。内縁関係の権利保全には、専門家の助言を受けながらの対応が望まれます。
配偶者控除
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