匿名組合の利益にかかる税金はどのようになりますか?
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2025/07/02 10:00
男性
40代
最近匿名組合への投資に興味を持っていますが、利益が出た場合の税金の扱いがよくわかりません。法人と個人で税金が異なると聞きましたが、具体的にはどのように違うのでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
匿名組合の利益にかかる税金は、出資者が法人か個人かによって異なります。
法人の場合、匿名組合から分配される利益は法人税上の「益金」に計上されます。匿名組合の営業者側で利益分配金を損金として処理できるため、利益に対する法人税の二重課税はありません。ただし、法人税法上の受取配当控除の対象にはなりません。また、匿名組合で損失が発生しても、出資額を超える損失(損失超過額)は損金として認められません。
個人の場合、匿名組合から得た利益は原則として「雑所得」となり、給与所得など他の所得と合算されて総合課税されます。雑所得は他の所得との損益通算ができないため、匿名組合で損失が出ても他の所得から控除できません。
さらに法人・個人共通で、利益分配時には一律20.42%(復興特別所得税を含む)の源泉徴収が行われます。この税金は確定申告で精算できますが、一時的なキャッシュフローに影響を与えることに注意が必要です。また、未分配でも確定した利益は課税対象となります。
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