戸建てで生活している人に地震保険は必要ですか?それともいらないですか?
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2025/09/30 09:07
女性
30代
私は戸建てに住んでいますが、地震保険に加入すべきか迷っています。万が一の大地震に備えて加入するべきだという意見もあれば、火災保険と比べて保険金の支払い上限が低く、実際の再建費用をまかなえないので不要だという声も耳にします。保険料の負担と補償内容のバランスをどう考えるべきかも踏まえて、教えていただけますか。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
地震保険は戸建て世帯にとって、多くの場合加入する価値があります。理由は、地震で住まいが損壊しても住宅ローンが残る可能性があることや、自己資金だけでは再建や仮住まいの費用をまかなえない人が多いからです。地震保険は再建費用のすべてを補うものではなく、生活再建の初動資金を確保する仕組みと考えるのが適切です。
地震保険は火災保険に付帯して契約する制度で、補償額は火災保険の30〜50%、上限は建物5,000万円と家財1,000万円です。損害認定は全損・大半損・小半損・一部損の4区分で、保険金額の100%・60%・30%・5%が支払われます。支払いは実費精算ではないため、満額再建を期待するのではなく、当座の資金を受け取れる安心感を持つのが現実的です。
加入を特に検討すべきなのは、住宅ローンの残高がある人、貯蓄が十分でない人、木造住宅や地震リスクの高い地域に住んでいる人、家財が多い家庭です。逆に、十分な資産を持ち自己再建が可能な人や、近い将来に建替えや転居を予定していて住宅価値が低い場合は、見送る選択も合理的です。ただし火災保険だけでは地震を原因とする損害は補償されないため、その点は注意が必要です。
実際にどれくらいの補償になるのかを把握することも重要です。例えば火災保険3,000万円の住まいに地震保険を50%で付けた場合、全損で1,500万円、大半損で900万円、小半損で450万円、一部損で75万円となります。家を建て直す全額ではなく、あくまで一時金に近い役割です。
保険料は地域や構造で変わり、木造や危険度の高い地域ほど高くなりますが、建築年や耐震性能で割引もあります。耐震等級が高い住宅や免震構造の住宅では最大50%の割引を受けられるため、確認することをおすすめします。
総合的に見て、地震保険は戸建て世帯にとって生活再建を支える現実的な選択肢です。保険金額の上限や定額性、72時間ルールや10日ルール、巨大災害時の総額上限などの制約を理解したうえで、補償内容と家計のバランスをとりながら判断することが大切です。
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関連する専門用語
地震保険
地震保険とは、地震や噴火、津波などによって建物や家財に損害が生じた場合に、その損害を補償するための保険のことを指します。日本は地震の多い国であり、火災保険だけではこれらの自然災害による損害は補償されないため、地震保険に別途加入する必要があります。 通常、火災保険に付帯する形で契約され、単独で加入することはできません。保険金の支払いは実際の修理費用ではなく、被害の程度(全損、大半損、小半損、一部損)に応じて定額で支払われる仕組みです。国と民間の保険会社が共同で運営しており、大規模災害時にも対応できるように設計されています。万が一に備えて、住宅を所有する方にとっては重要な補償手段の一つです。
火災保険
火災保険とは、火事によって建物や家財が損害を受けたときに、その損害を補償するための保険のことです。ただし名前に「火災」とありますが、火事だけでなく、落雷、爆発、風災、水災、盗難など、さまざまな災害や事故による損害も対象に含まれることがあります。 保険の内容や補償範囲は契約によって異なり、自分の住まいや生活スタイルに合わせて選ぶことが大切です。住宅ローンを利用する際には、火災保険の加入が必須とされることが一般的です。もしものときに大きな経済的損失を防ぐための基本的な備えとして、多くの家庭で活用されています。
一部損
一部損とは、火災や災害、事故などによって建物や財産に損害が生じたものの、全体が壊れてしまったわけではなく、一部の修理や交換によって元の状態に戻せるような損害のことをいいます。保険の世界では、損害の程度が軽度または中程度で、修理費が資産の再取得価格よりも低いと判断された場合に「一部損」とされます。 たとえば、建物の一部が台風で壊れたが、全体の構造や価値に大きな影響がない場合がこれにあたります。一部損では、保険会社から修理費用などに応じた保険金が支払われます。全損と比べて補償金額は少なくなる傾向がありますが、資産の維持や修復が可能である点が特徴です。
全損
全損とは、保険の対象となる建物や車両などが、火災や事故、災害などによって原型をとどめないほど壊れたり、修理が不可能または修理費が再取得価格を上回るような状態になることをいいます。保険の世界では、こうした状態を「全損」と判定し、保険会社が契約金額の全額や実損額に相当する保険金を支払うケースが一般的です。 たとえば、投資用不動産が火災で完全に焼失した場合、その建物は全損となり、建物保険の契約内容に応じて保険金が支払われます。全損は部分的な損害である「一部損」とは区別され、資産価値の大部分を失う重大な事態であるため、事前のリスク対策が非常に重要です。
耐震等級
耐震等級とは、建物が地震にどの程度耐えられるかを示す指標で、日本では住宅性能表示制度に基づいて等級が定められています。等級は1から3まであり、等級1は建築基準法で定められた最低限の耐震性能を満たす水準、等級2はその1.25倍、等級3は1.5倍の耐震性能を持つことを意味します。等級が高いほど強い揺れに耐えられる設計となり、住宅ローン減税や地震保険の割引といった優遇を受けられる場合もあります。 資産運用の観点では、耐震等級の高い住宅は価値が下がりにくく、将来売却する際や貸し出す際にも有利に働くことがあるため、投資対象としての安心材料となります。
72時間ルール
72時間ルールとは、投資や資金運用の世界で用いられる用語の一つで、特定の判断や手続きを行うまでに最低限の時間的猶予を設ける考え方を指します。特に大きな投資判断や契約を行う際に、感情に流されず冷静に考えるための「待機期間」として使われることが多い言葉です。このルールを守ることで、衝動的な投資判断や誤った金融商品の選択を避けやすくなります。 72時間という区切りはあくまで目安であり、実際には投資初心者にとって冷静にリスクとリターンを見直すきっかけを与える仕組みとして理解されます。



