最近注目される債券投資のトレンドは何ですか?
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2025/06/07 17:54
男性
30代
近年、ネット証券の拡充やデジタル技術の進展で個人の債券投資環境は急速に変化しています。購入単位や取引方法、商品ラインナップにも新機軸が登場しているようですが、今押さえておきたい主要トレンドにはどのようなものがあるのでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
債券投資で今最も大きい潮流は小口化とオンライン化です。楽天証券やSBI証券では米ドル建て既発債を1,000ドル前後から買え、電子記録債は数万円と株式並みのサイズに下がりました。銘柄を細かく組み合わせ、情報開示もウェブで即時取得できるため、個人でも分散と価格比較が容易になっています。次に台頭するのがSTOです。債券をトークン化しブロックチェーン上で発行・譲渡を行うため、事務コストが削減され24時間取引が視野に入ります。さらにESG債やサステナビリティ・リンク・ボンドなど、資金使途を環境・社会課題に紐付ける商品も拡大し、リターンと社会的インパクトを同時に狙う動きが加速しています。もっとも、券面額が小さいほど銘柄管理は煩雑になり、STOはカストディや規制が途上です。購入前に発行体の信用力、ウォレットの安全性、税務・流動性コストを確認し、欲張らずに投資額と銘柄数をコントロールすることが肝要です。
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小口化
小口化とは、大きな金額が必要な投資対象を、複数の投資家が少額ずつ出資できるように分けることを指します。たとえば、不動産やインフラなど、もともと一人で投資するには高額すぎる商品を、小口化することで1万円や数万円といった単位で投資できるようになります。これにより、資金に余裕のない個人投資家でも、多様な資産に分散投資しやすくなります。小口化は、クラウドファンディング型の投資や不動産投資信託(REIT)などでよく利用されており、投資のハードルを下げる仕組みとして、初心者にも注目されています。
既発債
既発債とは、すでに発行され市場に流通している債券のことを指します。新規に発行される新発債と区別され、既発債は発行時に決定された金利、償還期間、利払い条件などの契約内容が固定されているため、その後の市場環境の変化に応じて価格が変動する特徴があります。 投資家は、既発債を市場で売買する際に、発行時の条件と現行の金利状況などを考慮してリスクとリターンを判断する必要があります。また、既発債の市場動向は、金融全体の金利環境や信用リスクの変動を反映するため、経済の健全性や市場動向の分析においても重要な指標となっています。
電子記録債
電子記録債とは、従来のように紙の証書を使わず、電子的な記録だけで発行や管理が行われる債券のことをいいます。つまり、投資家は実物の証書を受け取るのではなく、証券会社などの口座を通じて、債券の保有状況が電子データで記録される仕組みです。 この仕組みによって、債券の管理が効率化され、盗難や紛失のリスクがなくなるというメリットがあります。日本では「社債等の振替に関する法律」に基づいて、一定の条件を満たす債券は電子記録でのみ発行されるようになっています。投資初心者の方にとっては、債券を実際に「持つ」という感覚がわかりにくいかもしれませんが、証券会社の取引画面などで保有状況を確認できるので、安心して利用できます。
分散投資
分散投資とは、資産を安全に増やすための代表的な方法で、株式や債券、不動産、コモディティ(原油や金など)、さらには地域や業種など、複数の異なる投資先に資金を分けて投資する戦略です。 例えば、特定の国の株式市場が大きく下落した場合でも、債券や他の地域の資産が値上がりする可能性があれば、全体としての損失を軽減できます。このように、資金を一カ所に集中させるよりも値動きの影響が分散されるため、長期的にはより安定したリターンが期待できます。 ただし、あらゆるリスクが消えるわけではなく、世界全体の経済状況が悪化すれば同時に下落するケースもあるため、投資を行う際は目標や投資期間、リスク許容度を考慮したうえで、計画的に実行することが大切です。
セキュリティトークンオファリング(STO)
セキュリティトークンオファリング(STO)とは、「Security Token Offering」の略で、ブロックチェーン技術を活用してデジタル化された有価証券(セキュリティトークン)を発行し、資金調達を行う手法です。 例えば、不動産STOとは、不動産を小口化し、「セキュリティトークン」として発行・販売する仕組みです。 ブロックチェーン技術を活用することで、従来の不動産投資よりも透明性が高まり、取引が効率化されます。これにより、少額から不動産投資に参加できる機会が広がっています。
ブロックチェーン
ブロックチェーンとは、取引の記録を「ブロック」という単位でまとめて、それを鎖のようにつなげて保存していく仕組みのことを指します。この技術の最大の特徴は、特定の管理者がいなくても、みんなで記録を共有・確認できる点にあります。たとえば、仮想通貨の取引記録はこのブロックチェーン上に保存されており、誰でもその履歴を見ることができます。記録が一度保存されると、改ざんが非常に難しくなるため、安全性と透明性に優れています。投資の世界では、仮想通貨の基盤として知られており、近年は金融や不動産、証券などさまざまな分野でも注目されています。投資初心者にとっては、まず仮想通貨の仕組みを理解する入り口として知っておくと役立つ技術です。