格付け記号の意味と投資適格・ジャンクの境目を知りたいです
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2025/06/02 16:01
男性
60代
社債の詳細を見てもアルファベットが並んでいて分かりません。AAAやBBBだけでなく、プラスやマイナスが付く場合もあります。各記号は具体的にどの信用度を示し、どこからリスクが高い領域に入るのでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
格付け記号は「債務不履行になる確率」を階層的に示すラベルです。一般的な順序は最上位からAAA/Aaa、AA/Aa、A、BBB/Baa、BB/Ba、B、CCC/Caa 以降と続きます。S&P やフィッチは同一等級内で上位を「+」、下位を「−」で細分し、ムーディーズは「1・2・3」で段階を示します。国際的な運用ガイドラインでは BBB−(Baa3)以上を「投資適格」と呼び、年金基金や保険会社の購入対象の主流です。一方 BB+(Ba1)以下は「ハイイールド(ジャンク)」に分類され、利回りが高い代わりにデフォルト率も急増します。たとえば過去5年間の平均累積デフォルト率は、投資適格全体で 0.5%前後、BB 格で約 5%、B 格で 15%超と大きく開きが生じます。
ただし同じ格付けでもリスクプロファイルは企業の事業モデルや財務政策で大きく変わります。設備投資負担が重い公益企業の A 格と、手元流動性が潤沢なネット企業の BBB 格では、景気後退局面における実質的な信用リスクが逆転することすらあります。格付けはあくまでスタートラインとして捉え、①事業の安定性、②キャッシュフローと負債のバランス、③担保・優先順位、④経営方針や配当政策などを併せて確認することで、利回りと信用リスクを適切に見極められます。
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投資適格
投資適格とは、信用格付け機関が企業や債券の信用力を評価する際に、一定以上の安全性があると認定された格付けを指す。S&Pの格付けではBBB-以上、ムーディーズではBaa3以上が投資適格とされる。これらの債券はデフォルトのリスクが低く、機関投資家を中心に安定的な投資対象とされる。一方で、投資適格債はリスクが低い分、利回りも低くなる傾向がある。金融市場では、投資適格と投機的格付けの境界を意識した投資判断が重要とされる。
格付け記号
格付け記号とは、企業や国、地方自治体などが発行する債券などに対して、格付機関が信用力を評価した結果をアルファベットなどの記号で示したものです。たとえば「AAA」「AA」「BBB」などの形式で表され、信用力が高いほど上位の記号が付けられます。投資家はこの格付け記号を参考に、債券がどれだけ安全か、リスクがあるかを判断します。 記号は機関によって多少異なることもありますが、一般的には「投資適格」とされるレベルと「投機的水準」に分類され、信用リスクの目安として広く利用されています。資産運用においては、格付け記号を見ることで、利回りとリスクのバランスを判断しやすくなります。
ジャンク債
ジャンク債とは、信用格付け機関によって投機的格付けと評価された債券であり、デフォルトリスクが高いが、高い利回りが期待できる特徴を持つ。通常、S&PでBB+以下、ムーディーズでBa1以下の格付けが該当する。ジャンク債は、企業の財務状況が不安定な場合や、新興企業が資金調達を行う際に発行されることが多い。高い利回りを求める投資家にとって魅力的な選択肢となるが、市場の変動や発行体の経営状況に大きく影響されるため、慎重なリスク管理が必要である。
ハイイールド債
ハイイールド債とは、投機的格付けに分類される債券のことであり、信用リスクが高い分、高い利回りを提供する債券である。ジャンク債とほぼ同義で使われるが、「ハイイールド債」という表現は投資戦略の観点から用いられることが多い。高リスク・高リターンの投資対象として、投資家は市場環境や発行体の信用力を慎重に分析する必要がある。景気拡大期には価格が上昇しやすいが、景気後退期には価格が急落する可能性もある。
債務不履行(デフォルト)
債務不履行(デフォルト)とは、企業や国などの債務者が、借入金や債券などの元本や利息の支払いを、契約どおりに履行できなくなる状態を指します。利払いの遅延や元本返済の停止が発生した時点で、デフォルトとみなされます。 債務不履行が発生すると、債券を保有している投資家は、予定されていた利息や元本の一部または全額を受け取れないリスクに直面し、損失を被る可能性があります。特に、国による債務不履行(ソブリン・デフォルト)は、為替市場や株式市場にも連鎖的な影響を与え、国際的な金融不安を引き起こす要因となることがあります。 また、支払いの一時的な遅延や手続上の不備によって形式的に契約違反が生じる「テクニカル・デフォルト」というケースも存在します。これは即時の経済的破綻を意味するわけではありませんが、発行体の信用力に対する警戒が強まるきっかけとなり得ます。 投資においては、こうしたデフォルトの可能性(デフォルトリスク)をあらかじめ評価し、債券の発行体の財務状況や格付、市場環境を踏まえてリスク管理を行うことが重要です。
キャッシュフロー
お金の流れを表す言葉で、一定期間における「お金の収入」と「支出」を指します。投資や経済活動では特に重要な概念で、現金がどれだけ増えたか、または減ったかを把握するために使われます。キャッシュフローは大きく3つに分かれます。 1つ目は本業による収益や費用を示す「営業キャッシュフロー」、2つ目は資産の購入や売却に関連する「投資キャッシュフロー」、3つ目は借入金や配当などの「財務キャッシュフロー」です。 キャッシュフローがプラスであれば手元にお金が増えている状態、マイナスであれば減っている状態を示します。これを理解することで、資産の健全性や投資先の実態を見極めることができ、初心者でも資金管理や投資判断の基礎として役立てられます。