エンジェル税制を活用した投資はどのような人に向いていますか?
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2025/03/21 19:12
男性
30代
株式の売却益が大きくなりそうなので、分散投資としてエンジェル投資を検討しています。エンジェル税制にはどんな優遇措置があり、どんな人に向いていますか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
エンジェル税制には4種類の優遇措置があり、節税したいタイミングと投資スタイルによって最適な選択肢が異なります。
優遇措置A〈投資額40%を所得控除〉
‐ 年収が高く、給与・事業所得などの課税所得が大きい人向け。投資額の40%をその年の総所得から差し引けるため、最高税率(55%)ゾーンなら実質で投資額の約22%が手元に戻ります。
優遇措置B〈投資額100%を譲渡益から控除〉
‐ IPOやM&Aで得る株式売却益、ストックオプション益が見込める人に最適。投資額を譲渡所得から最大100%差し引け、控除し切れない分は3年間繰り越せるため、利益確定年の税負担を大幅に圧縮できます。
プレシード/シード特例〈将来キャピタルゲイン最大20億円非課税〉
‐ 設立5年未満の超初期スタートアップを支援したいハイリスク・ハイリターン志向の投資家向け。成功時でも非課税枠内のキャピタルゲイン(売却益)は課税されません。
起業特例〈自己出資による将来益を非課税扱い〉
‐ これから起業する個人や共同創業者に最適。自分の会社へ出資した分の将来譲渡益が非課税枠で評価され、資金調達と個人の節税を同時に実現できます。
いずれの措置も対象企業の要件(設立年数・従業員数・研究開発費率など)や手続き期限が毎年度更新されるため、適用可否や節税効果を試算する際は必ず最新の制度概要を確認し、税理士など専門家に相談してください。
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関連する専門用語
エンジェル税制
エンジェル税制とは、個人投資家が投資時・株式売却時に受けることができる税制上の優遇措置を定めた税制。ベンチャー企業に対する投資の促進を図る観点から国税庁によって定められている。ベンチャー企業に投資した年、未上場ベンチャー企業株式を売却して売却損益が発生した年にそれぞれ優遇措置を受けることができる。
所得控除
所得控除とは、個人の所得にかかる税金を計算する際に、特定の支出や条件に基づいて課税対象となる所得額を減らす仕組みである。日本では、医療費控除や生命保険料控除、扶養控除などがあり、納税者の生活状況に応じて税負担を軽減する役割を果たす。これにより、所得が同じでも控除を活用することで実際の税額が変わることがある。控除額が大きいほど課税所得が減少し、納税者の手取り額が増えるため、適切な活用が重要である。
スタートアップ
スタートアップとは、新たなビジネスを立ち上げる企業で、特に革新性や成長のポテンシャルが求められます。通常、テクノロジー関連のアイデアやサービスを基にした企業が多く、迅速な成長を目指します。 成長度合いにより、4つのステージに大別され、シードステージ、アーリーステージ、ミドルステージ、レイターステージの順に成長したことを示します。
ストックオプション
ストックオプションとは、企業が役員や従業員に対して、一定の価格で自社株を購入できる権利を付与する制度です。これにより、株価が上昇した場合、従業員は利益を得ることができます。インセンティブとしての効果が高く、従業員のモチベーション向上や企業価値の向上につながります。
プレシード・シード特例
プレシード・シード特例とは、スタートアップ企業の創業初期段階(プレシード・シード期)に適用される税制優遇措置のことを指します。これにより、起業家や投資家が初期の資金調達をしやすくなり、新規事業の立ち上げを支援する狙いがあります。具体的には、エンジェル投資家による投資への所得控除や、法人設立時の税負担の軽減などが含まれます。創業初期は資金繰りが厳しくなるため、こうした特例を活用することで財務基盤を強化し、持続的な成長へとつなげることができます。