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特定の相続人に財産を集中させる方法を教えてください

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2025/04/04 14:39


男性

50代

question

遺言で特定の相続人に財産を集中させたいのですが、遺留分請求を防ぐ方法はありますか?事前の対策を教えてください。


回答

佐々木 辰

株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長

遺言によって特定の相続人に財産を集中させたい場合、最大の障害になりうるのが「遺留分侵害額請求」です。遺留分は法定相続人に保障された最低限の取り分であるため、原則としてこれを完全に無視することはできません。ただし、いくつかの事前対策を講じることで、請求のリスクを大幅に抑えることは可能です。

最も確実性が高いのは、遺留分権利者に家庭裁判所の許可を得たうえで、遺留分の放棄をしてもらう方法です。これは、特定の相続人に事業や資産を集中させたいときに特に有効で、あらかじめ法的に請求権を放棄してもらうことで、将来的な争いを避けることができます。ただし、放棄の同意を得るためには、丁寧な説明と十分な理解を相続人に求める必要があります。

また、遺言書の中に「付言事項」として、自分の想いや財産配分の理由を書き添えることも大切です。これは法的な効力を持つわけではありませんが、感情的な対立を避ける効果があります。特定の相続人に財産を集中させる背景を明確に伝えることで、他の相続人が遺留分請求を思いとどまる可能性もあります。

金銭的な対策としては、生命保険の活用が有効です。たとえば、遺留分権利者を受取人とする保険をあらかじめ契約しておけば、相続時に現金で補填できるため、遺産分割や資産売却の手間を減らすことができます。特に相続財産の大半が不動産など換金しにくい場合には、有力な手段となります。

さらに、事業承継が関わる場合には、「経営承継円滑化法」の特例を活用することで、一定の条件を満たせば、事業用資産を遺留分の算定対象から除外することも可能です。この制度を利用するには、遺留分権利者の全員の合意と家庭裁判所の許可が必要ですが、後継者にスムーズに株式などを引き継ぐための有効な手段となります。

最近では、家族信託(民事信託)を使って、特定の相続人に資産を承継させる仕組みを設計する方法も注目されています。これは、法律上の所有権と実質的な管理・受益権を分けることで、柔軟な資産承継が可能になる制度です。遺留分侵害のリスクを一定程度抑えつつ、希望通りの資産移転を実現しやすくなります。

いずれの方法を選ぶ場合でも、相続人との十分なコミュニケーションと、法的な手続きの正確な理解が欠かせません。事前の準備が不十分だと、想定外のトラブルが発生することもあります。円満な相続を実現するためには、遺言・相続に詳しい弁護士や司法書士、税理士などの専門家に相談し、ご自身の状況に合った最適な方法を検討することをおすすめします。

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遺留分

遺留分とは、被相続人が遺言などによって自由に処分できる財産のうち、一定の相続人に保障される最低限の取り分を指す。日本の民法では、配偶者や子、直系尊属(親)などの法定相続人に対して遺留分が認められており、兄弟姉妹には認められていない。遺留分が侵害された場合、相続人は「遺留分侵害額請求」によって不足分の金銭的補填を請求できる。これは相続財産の公平な分配を確保し、特定の相続人が極端に不利にならないようにするための制度である。

家族信託

家族信託とは、財産を持つ人(委託者)が信頼できる家族(受託者)に財産を託し、その管理や運用を任せる制度です。受託者は委託者の意向に従って財産を管理し、利益を受け取る人(受益者)に配分します。認知症対策や相続対策としてよく利用され、財産凍結を防ぎ、柔軟な財産管理が可能です。

遺留分権利者

遺留分権利者とは、法律で定められた「最低限の相続分」である遺留分を受け取る権利を持っている相続人のことを指します。たとえば、亡くなった方が遺言で全財産を特定の相続人や第三者に渡すと記した場合でも、遺留分権利者には一定の取り分を請求する権利があります。 具体的には、配偶者、子ども、直系尊属(両親や祖父母など)が遺留分権利者に該当し、兄弟姉妹には遺留分は認められていません。この制度は、相続における公平性を保ち、特定の相続人だけが極端に不利になるのを防ぐために設けられています。遺言によって遺留分が侵害された場合、遺留分権利者は「遺留分侵害額請求」という手続きによって、他の受益者に対して金銭で補償を求めることができます。資産の分配を公平に行うためにも、遺留分とそれを主張できる遺留分権利者の存在は、相続対策において非常に重要なポイントです。

遺留分請求

遺留分請求とは、法律で守られている最低限の相続分(遺留分)を侵害された相続人が、その分を取り戻すために行う正式な請求のことです。たとえば、遺言などで財産のほとんどが他の人に渡るように指定され、自分の取り分が著しく少ない場合に、遺留分を請求することで一定の金額を受け取ることができます。この請求は、基本的に金銭で行われ、相手に対して遺留分に相当する額の支払いを求めます。

遺留分算定

遺留分算定とは、相続人が請求できる最低限の取り分である遺留分を、法律に基づいて金額として計算することをいいます。この金額を決めるには、まず「遺留分の基礎となる財産額」を出す必要があり、これは被相続人が亡くなった時点の財産に加えて、生前の贈与なども含めて評価されます。そのうえで、相続人の関係性(配偶者、子、親など)に応じた割合を掛けて、遺留分の額が算出されます。この算定によって、どれだけの金銭を請求できるかが明確になります。

民事信託

民事信託とは、家族や親しい人の間で、自分の財産を信頼できる人に託して、その人に管理・運用・処分してもらう仕組みのことです。たとえば、高齢になって自分で財産管理が難しくなったときに、子どもに財産を託して、将来に備えることができます。遺言や成年後見とは異なり、柔軟に設計できるのが特徴で、相続対策や事業承継、障がいのある家族の将来支援など、さまざまな目的で利用されています。

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