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特定の相続人に財産を集中させる方法を教えてください

特定の相続人に財産を集中させる方法を教えてください

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2025/04/04 14:39


男性

60代

question

遺言で特定の相続人に財産を集中させたいのですが、遺留分請求を防ぐ方法はありますか?事前の対策を教えてください。


回答

佐々木 辰

38

株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長

特定の相続人に財産を集中させたい場合、最大の課題となるのが「遺留分侵害額請求」です。遺留分は配偶者や子どもなどの法定相続人に法律上保障された最低限の取り分であり、これを完全に排除することは原則できません。ただし、事前に適切な対策を講じれば、請求のリスクを大きく軽減することが可能です。

最も確実性が高い方法の一つは、遺留分権利者に家庭裁判所の許可を得た上で「遺留分の放棄」をしてもらうことです。これは、事業承継や不動産の集中保有など、一部の相続人に財産を集中的に引き継がせたい場合に有効です。放棄には本人の同意が必要なため、背景や理由を丁寧に説明し、納得を得るプロセスが欠かせません。

遺言書には、財産配分の意図や家族への想いを伝える「付言事項」を記載することも効果的です。法的拘束力はありませんが、他の相続人に対する理解を促し、感情的な対立や遺留分請求の抑止につながる可能性があります。

金銭的な手段としては、生命保険の活用が有効です。たとえば、遺留分権利者を受取人とする保険契約を事前に用意しておけば、相続時に現金で補填でき、遺産分割や不動産売却などの手間を減らすことができます。特に不動産中心の相続には有力な選択肢となります。

事業承継が関わる場合は、「経営承継円滑化法」の特例を活用することも可能です。一定の条件を満たし、遺留分権利者全員の合意と家庭裁判所の許可を得れば、事業用資産を遺留分算定の対象から除外できます。これにより、後継者に株式などをスムーズに承継させることができます。

さらに、近年注目されているのが「家族信託(民事信託)」の活用です。これは、財産の所有権と管理・受益権を分離し、あらかじめ設計した通りに資産を承継できる制度です。遺留分の完全排除はできませんが、リスクを抑えつつ柔軟な資産移転を可能にします。

どの対策にも共通するのは、相続人との丁寧なコミュニケーションと、法的手続きの正確な実行です。準備が不十分だと、かえって争いの火種になりかねません。ご自身の状況や希望に最も適した方法を選ぶためにも、相続や信託、税務に精通した専門家への早めの相談をおすすめします。円満で意図通りの資産承継を実現するためには、計画と対話が鍵となります。

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関連する専門用語

遺留分

遺留分とは、被相続人が遺言などによって自由に処分できる財産のうち、一定の相続人に保障される最低限の取り分を指す。日本の民法では、配偶者や子、直系尊属(親)などの法定相続人に対して遺留分が認められており、兄弟姉妹には認められていない。遺留分が侵害された場合、相続人は「遺留分侵害額請求」によって不足分の金銭的補填を請求できる。これは相続財産の公平な分配を確保し、特定の相続人が極端に不利にならないようにするための制度である。

遺留分侵害額請求

遺留分侵害額請求とは、相続人の最低限の取り分である「遺留分(いりゅうぶん)」を侵害された場合に、その不足分に相当する金銭の支払いを求める手続きのことを指します。たとえば、遺言によって特定の相続人だけに多くの財産が渡され、他の相続人が本来もらえるはずの遺留分を受け取れなかったときに、侵害された相続人が他の相続人や受遺者に対してその差額を金銭で請求することができます。 この制度は、相続人間の不公平を防ぎ、一定の相続権を保護するために設けられています。2019年の民法改正により、かつては「遺留分減殺請求」として行われていたものが、現在は金銭による支払いを求める「遺留分侵害額請求」となりました。資産運用や相続の場面では、遺言によって財産の分け方を自由に決める一方で、遺留分という法律上の制約を理解し、トラブルを防ぐための知識として非常に重要です。

付言事項

付言事項とは、遺言書の中で法律的な効力を持たないものの、遺言者の気持ちや家族へのメッセージなどを自由に書き添える部分のことです。たとえば、「これまで育ててくれてありがとう」や「仲良く助け合ってほしい」などの感謝や願いを記すことができ、相続人にとって心の支えになることもあります。また、なぜこのような遺言内容にしたのかという背景や理由を説明することも可能です。法的な拘束力はありませんが、相続人同士の誤解や争いを防ぐための重要な役割を果たすことがあります。資産だけでなく思いも一緒に引き継ぐという意味で、遺言書において非常に大切な要素です。

経営承継円滑化法

経営承継円滑化法とは、中小企業の経営者が引退や死亡によって事業を後継者に引き継ぐ際に、その手続きを円滑に進められるよう支援することを目的とした法律です。正式には「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」といいます。経営者が亡くなった場合には、相続税や贈与税の負担が重く、事業の継続が難しくなることがあります。そこでこの法律では、相続税の納税猶予制度や、事業に必要な株式や資産をスムーズに後継者に渡すための手続きを整備しています。また、遺留分に関する民法の特例を適用することで、親族間の相続トラブルを回避しやすくする効果もあります。資産運用と同様に、企業の資産や経営権のスムーズな引き継ぎを実現するために欠かせない法律です。

家族信託

家族信託は、委託者が信頼できる家族を受託者として選び、財産の管理・処分・収益の使途などを契約で定める民事信託の一形態です。実務では、公正証書によって信託契約を締結し、現金や不動産、株式などを信託財産として受託者名義に移転します。もっとも、名義が移転しても財産から生じる利益を受け取る権利(受益権)は、委託者本人や指定された家族が保有します。 この仕組みの特徴は、将来、認知症などにより判断能力が低下した場合でも、財産が一律に凍結されることなく、あらかじめ定めた目的に沿って管理・支出を継続できる点にあります。生活費や医療費、介護費用などの支払いを想定した設計が可能であり、成年後見制度とは異なるアプローチで財産管理を行える場合があります。また、相続発生後は信託財産そのものではなく受益権が相続対象となるため、遺産分割の範囲や手続きを整理しやすくなるケースもあります。 一方で、家族信託は相続税を直接減らす制度ではなく、相続や遺言を不要にする仕組みでもありません。税負担や法的効果は、基本的に現行の相続・税務ルールに基づいて判断されます。家族信託はあくまで、生前から財産の管理主体や使途を柔軟に設計するための枠組みであり、節税や相続対策そのものを目的とする制度ではない点には注意が必要です。 活用時には、一定の手続きとコストが発生します。不動産を信託財産に含める場合には信託登記が必要となり、登録免許税や司法書士報酬、公証人手数料などが生じます。また、受託者には、信託口座の管理、収支状況の記録・報告、信託財産と個人財産の分別管理といった継続的な事務負担が伴います。税務上、信託契約の締結時に原則として贈与税は課されませんが、信託財産を売却した際の譲渡所得税や、信託終了時の相続税は通常どおり発生します。 そのため、家族信託は単独で評価するのではなく、成年後見制度や遺言、遺言信託などの代替手段と比較しながら、資産の種類や家族構成、将来の管理負担を踏まえて検討することが重要とされています。家族にとっての実務的な負担と得られる効果のバランスを見極めることが、制度活用の前提となります。

受益権

受益権とは、信託や投資信託などの仕組みにおいて、その運用から得られる利益を受け取る権利のことを指します。たとえば、投資信託にお金を出した人は「受益者」となり、その資産運用の成果として分配金や売却益を受け取ることができます。 この「利益を受け取る立場」にあることが、受益権を持っているという意味です。受益権は、所有している資産そのものではなく、その資産から生まれる経済的な利益に対する権利であり、株式のように売買することも可能な場合があります。 投資においては、資産の運用や管理を他者に任せつつ、自分はその成果だけを受け取るという形を取ることができるため、専門知識がなくても資産形成に参加できる手段のひとつとなります。特に投資信託や信託商品を利用する際には、受益権の仕組みを理解しておくことが大切です。

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