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外貨預金はメリットがなくおすすめできないと言われましたが本当ですか?

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2025/07/31 08:17


男性

30代

question

外貨預金を検討しています。しかし、最近、知人から「外貨預金はメリットがないからやめた方がいい」と言われました。為替差益や金利の高さが魅力だと思っていたのですが、本当にメリットはないのでしょうか?


回答

佐々木 辰

株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長

外貨預金には「メリットがない」と言われることがありますが、必ずしもそうとは限りません。たしかに誰にとっても最適な金融商品ではありませんが、使い方や目的によっては一定のメリットを得ることも可能です。資産運用の初心者の方には、その特徴と注意点を正しく理解したうえで判断することが大切です。

まず、外貨預金の代表的なメリットは、円預金よりも高い金利で運用できる点です。たとえば、米ドル建ての定期預金では、年3〜4%の金利が提示されることもあり、超低金利の円定期と比べると魅力的に感じられるでしょう。また、預けた外貨を円に戻すときに為替レートが円安に動いていれば、その差益も利益となります。さらに、FX取引のようにレバレッジをかけずに外貨を保有できるため、価格変動リスクをある程度抑えながら外貨に触れる方法として、初心者にもとっつきやすい商品といえます。

ただし、見落としがちなデメリットも多く存在します。最大の注意点は、為替手数料の負担が大きいことです。一般的に、円から外貨に両替する際には「スプレッド」と呼ばれる手数料がかかり、銀行によっては1米ドルあたり1円程度かかることもあります。この手数料が高すぎると、せっかくの高金利や為替差益も帳消しになってしまうことがあります。

また、外貨預金は預金保険制度(いわゆるペイオフ)の対象外です。つまり、万が一、預け入れた金融機関が破綻した場合でも、元本は保障されません。さらに、為替相場の変動はプロでも読みにくいため、短期間での値動きに一喜一憂してしまうと、冷静な運用が難しくなります。加えて、受け取る利息や為替差益には税金がかかるため、手元に残る実質的なリターンは想像よりも少なくなるケースがあります。

こうした背景を踏まえると、外貨預金は「全資産の中の一部を、目的をもって保有する」ことが前提になります。たとえば、今後使う予定がない余裕資金の一部で、米ドルなどの主要通貨に分散して預けるといった使い方が考えられます。手数料が安いネット銀行を選んだり、一度にまとめて預けるのではなく、数回に分けて買うことで為替リスクを抑える工夫も有効です。

さらに、外貨預金に固執する必要もありません。同じように外貨で資産を保有できる商品には、外貨建ての投資信託や外貨建てMMF(マネー・マーケット・ファンド)といった選択肢もあります。これらは信託財産として分離管理されており、万が一の際にも資産保全の点で安心感があります。流動性や手数料の面でも外貨預金より有利な場合が多いため、目的や使いやすさに応じて比較検討するのがおすすめです。

結論として、外貨預金は「何のメリットもない商品」ではありませんが、その利点を生かすにはリスクとコストを十分に理解し、適切なタイミングと手段で活用する必要があります。外貨を活用したい理由が明確で、なおかつ他の資産とバランスよく組み合わせる意識があれば、資産運用の一部として有効に機能するでしょう。もし不安がある場合は、専門家に家計や投資の全体像を見てもらいながら、シミュレーションしてもらうと安心です。

外貨預金は、誰かの一言で否定するのではなく、自分自身の資産状況や目的に照らして判断することが大切です。正しく使えば、立派な資産運用手段のひとつとして活用できるでしょう。

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関連する専門用語

外貨預金

外貨預金とは、日本円ではなく米ドルやユーロなどの外国の通貨で預ける預金のことをいいます。通常の預金と同じように銀行にお金を預ける形式ですが、外貨で運用されるため、為替レートの変動によって元本や利息の受取額が増えたり減ったりします。 たとえば、円安になると、外貨を円に戻したときの受取額が増える一方で、円高になると損をすることもあります。また、外貨預金は日本の預金保険制度の対象外であり、元本保証がない点にも注意が必要です。利率が高めに設定されていることが多く、円預金よりも高い利回りを狙える反面、為替リスクという特有のリスクを伴うため、初心者の方には慎重な検討が求められる商品です。

スプレッド(Spread)

スプレッド(Spread)とは、金融商品の売値(ビッド:Bid)と買値(アスク:Ask)の差のことをいいます。主に外国為替市場や債券市場、株式市場などで使われる用語です。 ビッド(Bid)は投資家がその商品を「売るときに受け取れる価格」、アスク(Ask)は「買うときに支払う価格」を指します。スプレッド(Spread)が広いほど、投資家にとっての取引コストが高くなるため、売買のタイミングには注意が必要です。 一般的に、流動性の低い市場や銘柄ではスプレッドが広がりやすく、反対に、取引が活発な市場ではスプレッドが狭くなる傾向があります。そのため、スプレッドの大きさは、市場の流動性や取引コストを判断する一つの指標となります。

為替差損益

為替差損益とは、外貨建ての資産を日本円に換算する際に生じる為替レートの変動による損益を指します。たとえば、1ドル=130円のときに米ドルで資産を購入し、売却時に1ドル=140円で円に戻した場合、為替差によって10円分の為替差益が発生します。逆に、売却時に円高が進行し1ドル=120円になっていれば、10円分の差損が発生することになります。この為替差損益は、外国株式、外貨建て投資信託、外債、外貨預金など、外貨を用いた資産運用において常に発生し得る重要なリスク要因です。 資産の値動きが堅調であっても、為替相場の変動によって最終的な円ベースのリターンが目減りすることがあるため、投資判断の際には為替リスクも含めて総合的に考慮する必要があります。たとえば、円安が進行すれば円換算での評価額は増えますが、円高になれば逆に資産価値は減少します。為替差損益は、こうした為替変動を通じて投資成果に直接的な影響を与える存在であり、為替動向の把握や資産配分の調整、ヘッジ戦略の活用などが求められます。 NISA口座での運用においても為替差損益は無視できません。NISAでは、外国株式や外貨建て投資信託の売却益が非課税となるため、為替差益も含めた全体の売却益が非課税対象となります。つまり、為替差によるプラスのリターンも税金がかからずそのまま受け取れるというメリットがあります。ただし、逆に為替差損が発生しても、それを他の利益と損益通算したり、繰り越して控除することはできません。NISAでは損失の税務活用ができないため、為替リスクを取る際は慎重な判断が必要です。 税務や会計上では、為替差損益には「実現損益」と「評価損益」があります。実現損益とは、外貨建て資産を実際に売却し円に換えた際に確定する損益であり、通常の課税対象となります。一方、評価損益とは、保有中の外貨建て資産を期末などに円換算した際に一時的に生じる為替差損益であり、個人投資家の場合、課税対象にはなりません。法人ではこの評価損益を会計上反映させるケースもありますが、個人の確定申告ではあくまで実現ベースでの損益が対象です。 このように、為替差損益は資産運用における見落としがちなリスク要素でありながら、運用成果に与えるインパクトは決して小さくありません。為替相場の予測は困難であるため、為替ヘッジ付き商品の活用や、複数通貨への分散投資、円建て資産とのバランス調整などを通じて、想定外の為替変動にも対応できる設計が望まれます。投資判断を行う際には、表面的なリターンだけでなく、その背後にある通貨変動の影響にも目を向けることが重要です。

預金保険制度

預金保険制度とは、金融機関が破綻した場合に、預金者の資産を一定額まで保護する制度のことである。日本では、預金保険機構がこの制度を運営しており、銀行や信用金庫などの金融機関が加入している。通常、元本1,000万円とその利息までが保護対象となるが、決済性預金(利息の付かない当座預金など)は全額保証される。この仕組みにより、金融システムの安定性が維持され、預金者の信用が確保される。一方で、投資信託や外貨預金などは預金保険の対象外であるため、資産運用においてはリスク管理が求められる。安全性を重視した資産運用を考える際に、預金保険の適用範囲を理解することが重要である

ドルコスト平均法

ドルコスト平均法とは、一定の金額を定期的に投資する方法です。価格が高いときは少なく、価格が低いときは多く買えるため、購入価格が平均化され、リスクを分散できます。市場のタイミングを読む必要がないため、初心者に最適な方法とされています。長期投資で効果を発揮し、特に投資信託やETFで利用されることが多い手法です。

MMF

MMF(マネー・マーケット・ファンド)は、短期の金融商品を中心に運用される投資信託の一種で、安全性と流動性を重視した資産運用手段です。主な投資対象は、国債や社債、コマーシャルペーパー(CP)などの信用度の高い短期証券で、銀行預金よりも高い利回りを目指しつつ、価格変動リスクを抑える設計になっています。MMFは通常、出資後すぐに換金可能で、短期的な資金管理に適しています。日本では、かつて円建てのMMFが提供されていましたが、低金利環境や元本割れのリスクから、2017年までに各運用会社が償還を決定し、現在では提供されていません。一方、外貨建てのMMFは引き続き販売されており、2025年1月末時点での残高は約2.7兆円と報告されています。

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